2010年12月19日(日)
「怖れ」を取り除く政治の王道を

 
 相手を弱らせる一番の高等戦術は、ディバイド&ルール、すなわち相手を仲間割れさせて同志討ちにすることです。
 
  「怖れ」からでた言動は、対立を深刻化させます。岡田幹事長は、「世論も野党も求めている、小沢氏が応じないことで統一地方選挙など選挙にマイナスだし通常国会の審議にも影響する。」という怖れから小沢元代表に政治倫理審査会に出るよう求めていると推察されます。

 他方、小沢一郎元代表からすれば「何が問題なのか?「郵便不正事件」で証拠を偽造してまで犯罪を仕立て上げようとした疑いで逮捕された同じ検事が関わっている。それでも自分にかけられた嫌疑は白で不起訴だったではないか?民主党を潰そうという勢力に加担しようと言うのか?司法手続きに入ったものを政治倫理審査会で扱わないはず。」と考えて当然だと思います。

 何故、民主党の党大会にぶつけるように小沢さんの問題が出されるのか?何故、民主党の代表選挙と検察審査会の結論が出た日が全く同じなのか?民主党の中に対立の芽を入れて、弱らせようと言う動きはないのか?

 私は、このことに答えを見出していません。
 ただし、熾烈な国際政治の中で俯瞰的・長期的な見方ができなければ、日本の変革を敢行する試みは頓挫してしまうことは、しっかりと認識しておかなければならないと思います。

 「信なくば立たず。」
 国民の信頼と協力がなければ改革は進みません。 

しかし、合理的な説明や説得を省いて数で解決するやり方は、避けるべきです。

 明日は、菅総理が自ら小沢元代表に会うと言うことが伝えられています。かつて菅さんが代表を追われて失意のうちにお遍路さんに出かけた時のことを思い出してほしいと思います。あの時、菅さんは、自分に年金未納などないと懸命に説明をしていました。しかし、国民世論とそれを形成したメディアは、菅さんに代表辞任を迫りました。私も含めた民主党議員は、菅さんの言うことよりも当時の「世論」の求めるものを菅さんに求めました。

 その後、菅さんの「年金未納」は、「造られた嘘」であることがわかりました。その後、年金記録を「盗み見」ていた社会保険庁の職員が処分されたということでしたが、ご本人の菅さんはもとより民主党も大きく傷つきました。

 私は、あの時のことを今でも本当に申し訳なく思っています。
そして二度と同じような轍を踏んではならないと考えています。

 一流の指導者は、相手の「怖れ」を取り除くことで一致を見いだしていく指導者だと、かつて松下幸之助さんに教えて頂きました。

「怖れ」を取り除けば、対立の芽はなくなり協力の連帯が生まれます。