2010年11月16日(火)
政治の信頼は、政策の一貫性から

 
11月15日、行政刷新会議の「事業再仕分け」WGが開催され、フューチャー
スクール推進事業は廃止と判定されました。

この判定を下したWGの上部組織である行政刷新会議のメンバーは、議長が菅総理、
副議長が蓮舫行政刷新担当大臣、議員が仙谷官房長官、玄葉国家戦略担当大臣、野田
財務大臣等となっています。


 そもそも、フューチャースクール推進事業は、昨年秋の事業仕分けで、当時の施策
(ICT利活用型教育確立支援事業)が「将来ビジョンが乏しい」等の指摘を受けま
したが、我が国の将来を担う人材を育成する教育の改革が喫緊の課題であることから
当時の総務大臣であった私の下で政務三役で議論を行い将来ビジョンを示す等の見直
しを行い、新たに「フューチャースクール推進事業」として、平成22年度予算とし
て、民主党政権下で盛り込んだものです。

その後、本年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」でも、「21世紀にふさわしい
学校教育の実現」という項目の中で、2010年度から2013年度までの「モデル事業等に
よる実証研究」を行うこととされました。
当該閣議決定を受け、同6月22日、総理大臣を本部長とし、全閣僚を本部員とする
「高度情報通信ネットワーク社会推進本部」で決定した「新たな情報通信技術戦略」
工程表において、総務省は文科省と連携し、2012年度まで「フューチャースクール推
進事業」を実施することとされました。

これらの閣議決定、高度情報通信ネットワーク社会推進本部の工程表決定の両方と
も、現在の行政刷新会議の議長である菅総理、副議長である蓮舫行政刷新担当大臣が
署名しているものでもあります。

このように、閣議や関係閣僚が決定している事業に関し、事業再仕分けにおいて、事
業経費の単価を見直すなどの技術的な面はともかく、事業そのものの廃止を判定する
のは問題です。この再仕分けを行った方々はどのような権限で、事業の廃止を判定
できるのか、国民に説明すべきだと思います。

今月末に予定されている行政刷新会議(第14回)で、昨日のWGの判定の報告が行
われるとのことですが、その報告どおり、議長である菅総理、副議長である蓮舫行
政刷新担当大臣が自ら署名して決定したものを廃止するとすれば、国民は一体、何
を、誰を信じて政治と向き合えばよいのでしょうか。

 私も、行政刷新会議のメンバーでした。だからこそ、このような決定が、手続きを
無視した理不尽なものに見えて仕方ありません。
 
現に、本年度から3カ年計画で、実際にフューチャースクール推進事業を開始してい
る学校関係者等は、この廃止という判定を知り、失望とともに、混乱しているとのこ
とです。行政刷新会議が本来の役割をしっかりと認識し、正常な判断を行うことを
求めたいと思います。

 合意とプロセスを無視してその時々のパフォーマンスで事業の改廃を決めるならば、
大臣もいらなければ政府も成り立ちません。