2010年11月09日(火)
食い力

 
95歳で生涯を閉じた祖母は、大きな女性でした。小さな私は、170センチ近くかったように感じていました。金色に光る独特の目。ぴんと伸びた背筋。

 教育を受けられず、字を書くにも不自由していた祖母ですが、物事の本質を短い言葉で表し、いささかも臆するところのない強い明治の女でした。 
女性に威風堂々と言う言葉は馴染まないかもしれませんが、ほかに形容する言葉が浮かばないくらいの存在感でした。


 その祖母が私に「ご飯をどんどん食べんしゃい。たくましゅうならんば。人間は『食い力』で決まっとよ。」と言っていました。目の前に大きな丼ご飯。神経質で食の細かった私は、この大きなご飯が越えられない山のように思えてなりません。祖母のあまりの強さに圧倒される日々でした。


 スポーツで体と心を鍛えて、ようやく丼ご飯が食べられるようになってからも祖母にとれば、まだまだとのことでした。

 心理学を学び、子どもたちと向かい合う機会が増えて祖母の言葉を思い出します。偏食がなく、「食い力」を持った子どもは、多少の困難も撥ね退けていきます。こっぴどく叱られても翌日には、ケロリとしています。それに対して食の細い子どもは、そうはいきません。心を砕いて叱った後も挫けないか心配になり夜つ眠れないことも少なくありませんでした。

 「食い力」 ・・・祖母の造語なのかもしれません。
「兵隊さんも大工さんも(なぜか大工さんでした。数多い兄弟たちが、建設関係が多かったからかも)食い力のある男だけが頑張れたとよ。」

 食育の大切さ、食べる力の大切さを改めて感じます。 . .