2010年10月21日(木)
資源外交戦略~優先順位と国益
国際石油開発帝石がイラン南西部アザデガン油田開発からの完全撤退を発表しました。エネルギーの権益を確保するためには、莫大な時間と周到な戦略が必要です。旧政権時代から進められてきたもので総括を求める声が上がっています。
私がイランを訪問した2001年8月。「文明の対話」を標榜したイランのハタミ政権が第二次政権を立ち上げようという日でした。日本とイランの友好の歴史・相互の発展関係は、長く深いものがあります。中東の平和と世界の安定にイランが果たす役割がさらに大きくなるだろうと実感して帰国しました。
あれから9年。
911テロを経て、世界の様相は一変しました。
イランの政権も変わり、イスラエルに対する強硬姿勢や核開発問題で国連でも数次にわたる議論や議決が行われてきました。米国の安全保障の専門家の友人たちと議論している中にも、核拡散がいかに深刻な脅威をもたらすかが中心議題となることがしばしばです。
何にもまして 核拡散の危機を踏まえた決断と戦略論が必要です。極めて遺憾なことに日本は、中東における石油権益の一部を失いますが、他の選択肢を選ぶことは、日本及び世界にとっても深刻な危機をつきつける可能性さえあります。
今回の撤退をいまさらあれこれ言って時間と資源を費やすよりことよりも日米同盟と世界の安全・平和の観点から前向きの戦略を提案することを重視したいと考えます。
急激な円高をこれ以上続けることは、日本の産業にとっても世界の公正な貿易秩序にとっても是認できるものではありません。「6年半の間、為替を守るというゴールキーパーが何もせずにゴールの前で立ちすくんでいたのではないか。」との批判が聞こえたのか、6年半ぶりの為替介入が実行されました。
しかし、「為替介入」は国際協調なしには効果が減殺されてしまいますし基軸通貨をどんどん刷られてしまえば、一時的に効果をあげても直に吸収されてしまいます。
ここで重要なのが世界をマクロ的な視点から見た戦略です。
政府には現下の円高の苦境を逆手にとり資源のストックの積み上げを行う戦略の実行が求められています。
資源安全保障上の危機管理・円高圧力への対抗カードとしても有効だと考えます。ブレーンの皆さんと討議をして提案をまとめます。 .