2011年07月01日(金)
東日本大震災で殉職された消防団員への公務災害補償の充実拡大を

 
 東日本大震災の被災地を訪れた時に、 宮城県閖上の漁師の方から言われた言葉を反芻してきました。

 「私たちは自力でも頑張ります。皆を逃がしてくれて亡くなった消防団員の遺族の方を宜しくお願いします。」
 本当に重い言葉です。
殉職者の皆様のご冥福を心からお祈りするとともに、ご遺族の皆様に改めてお悔やみを申し上げます。地域における消防団員の皆様をはじめとする尊い活動が多くの命を救い、地域の希望と復興への大きな力となっていることを心から感謝申し上げます。
 
 東日本大震災で消防団員の死者は192人、行方不明者57人(6月15日現在判明分)。2次補正予算でも公務災害補償をしっかりと支えられる予算措置ができるように働きかけを強めています。

 消防団員の死亡に伴う給付には、大きく分けて国(消防庁)が支給する賞じゅつ金と消防団基金(消防団員等公務災害補償等共済基金)等による公務災害補償があります。

 国が支給する賞じゅつ金は、殉職者賞じゅつ金(殉職者の功労の程度により、490万円~2,520万円が支給される)か殉職者特別賞じゅつ金(災害に際し、命を受け、特に生命の危険が予想される現場へ出動し、生命の危険を顧みることなくその職務を遂行して傷害を受け、そのために死亡した者が、その功労により特別功労章を授与された時は、3000万円が支給される)のいずれかが支給される仕組みとなっています。

 都道府県、市町村が支給する賞じゅつ金は、各団体の条例等で定められることになっていますが、概ね国と同様の規定となっています。


 消防団基金等による公務災害補償では、市町村と消防団基金との契約に基づき、損害補償による給付(市町村が遺族に至急。支給に要する経費を消防団基金が市町村に支払う。)と福祉事業による給付(消防団基金が市町村に代わって遺族に支給)が行われます。

 給付額は、消防団への加入期間や遺族の状況などにより異なりますが、勤務年数10年未満の分団長(扶養親族:妻及び子(中・小学生2人)の場合には、初年度に2,500万円、翌年度以降約300万円が支給されます。

 このほか掛け金年間3000円で消防団員の相互扶助を目的とした消防団員福祉共済を財団法人「日本消防共済」が運営しています。
 この共済では未曾有の大災害のために準備金を全額取り崩しても弔慰金に支払う資金が不足することから理事会で減額を決定したと報じられました。任意の団体の共済金不足を国が予算措置をすることはできないというのは、理解しますが国に対して減額分に見合うなんらかの補償ができないか要望が出ています。

 地域を支え、住民の生命・財産を守る。安全と安心を献身的な努力により支える消防団員の活動は、尊い地域の財産です。その活動を国民全体で支え、支援の枠組みを拡大していかなければなりません。消防庁を所管している総務省。前総務大臣としてその先頭に立って頑張りたいと思います。