2011年06月28日(火)
原発再稼働問題と安全性確保について

 
政府・経済産業省に玄海原発をめぐる問題について連絡の不備・調整の不作為について民主党佐賀県連を代表としても強い不快感を示すとともに抗議を行いました。原発の再稼働についての考え方も、県民への説明の日取りさえ伝えられていません。経済産業大臣からも陳謝がありました。


 陳謝と姿勢を改めるという確約を引き出したものの、不信は拭えません。そもそも与党の代議士、しかも地元の代表にすら所要の手続きを怠る人たちに安心安全についての万全の備えがあると言われてもにわかに受け入れられません。

 資源エネルギー庁・保安院幹部が説明にきましたが、大串代議士とともに聞いた説明だけでは、安全についての確信を得られませんでした。

「そもそも40年近く前に建設された原子炉(玄海原発1号機は36年前)にどれだけの信頼性を寄せていいのか?中性子照射による脆性劣化はどれくらい進んでいるのか?そのことによってどのような危機を想定するのか?その「脆弱性」はコントロールできる「脆弱性」であり、断じてないと言い切れる危機なのか?」
 「福島第一原発事故は、想定外の津波によるものだけと言い切れるのか?地震による影響をどのように見積もり評価しているのか?旧来の耐震基準を見直す必要はないのか?」「核燃サイクル自体が疑問視される中でプルサーマル発電の燃料棒を増やしているが、それが妥当なのか?そもそもMOX燃料の成分の詳細は、企業秘密と言うこともあり開示されていない。成分がわからなければ、福島第一原発3号機爆発でMOX燃料の何が溶け飛び散っているのか検知しようもないではないか?国民を放射性物質の健康被害から守ることができないと言うのであれば、そもそもそのような危険性を抱えたものを続けていいのか?」
 
 「玄海原発3号機は、定期点検による稼働停止といっているが実際にはヨウ素漏れ事故による停止ではないか?定期点検と言う言葉で、さも通常の停止のように国民に誤解をさせる表現は改めるべきではないか?事故による停止であれば、事故の原因は明らかになったのか?改善されたのか?」(3号機のヨウ素漏れ事故は、ピンホールからの微量の漏れでも感知できる仕組みがあって安全のために前倒しして定期検査に入ったとの説明。MOX燃料棒からの漏れではなく、通常のウラン燃料からの漏れ)

「福島第一原発の事故を受けた安全性強化の作業を積み上げた結果、再稼働の可と言う判断を下せるようになったその日に、浜岡原発について停止を判断したのは何故か?浜岡原発が停止でどうして玄海原発は、再稼働をしても安全と言う結論になるのか?その違いは何か?」
「IAEAからも津波に対する備え、水をかぶることに夜電源喪失の危険性について指摘されていながら放置してきたとされているが、それは事実か?そしてその理由は何か?仮に放置してきたと言うことが事実ならば、放置してきた者が今回は大丈夫と言うことを言っても説得力に欠けるのではないか?」
「福島第一原発の事故以後、日本全体の原発に対して、この間にどのような工事が為され、どのような安全性が確保されたのか?玄海原発1号機については、何が施されたのか?」

 その後、海江田経済産業大臣が私の国会内の事務所を訪問。陳謝と説明をされました。明日、佐賀に行くとのこと。直前に聞かされることについても問題ですが、佐賀県の県民の懸念と情勢を伝えました。私は、中性子照射による脆性劣化を深刻に考えています。一定の期間を過ぎた炉については、廃炉を決断するように求めると同時に、核燃サイクルについての見直しも提案しました。

 この日の両院議員総会で首相がエネルギー政策を争点にした総選挙に触れました。緑の分権改革を提唱して脱原発の方向性について提唱するとともに固定価格買い取り制度の導入を強く求めてきたのは私達です。首相が、バイオエタノールなどの再生可能エネルギー導入を提唱してきたことは承知していますが、原子力をエネルギーの5割にするという決断を行ったことは、事実です。原発事故を受けて大幅なエネルギー政策の見直しを行うと言うのならば、安全根拠を住民が得心しないまま、なし崩し的に再稼働を行うべきではありません。

 今回の福島第一原発事故で、旧来、想定された範囲での放射線被害・放射性物質拡散被害対策が根拠を失いました。九州でも県境を越えて原発の危険性に対する懸念・風評被害が広がっています。「福島第一原発の事故が終息していない、今の段階で海外からの観光客が原発からの距離を見て観光を断念するということも起きています。」

「農地を動かすことはできません。放射能漏れの事故があり、放射性物質が検出されれば計り知れない風評被害を受けます。生活そのものが成り立たなくなる危険性を抱えていては、農業を続けられません。」「原発の立地している地域の首長だけの同意で再開されていいものか疑問です。影響を受けるのは狭い地域ではないということが今回の事故でわかったではないですか?」

 「九州の火山活動も活発化しているのではないかと心配しています。玄海原発でも火山の噴火や地震についての備えが万全でしょうか?」

 私の元にも数多くの懸念が寄せられています。

九州の電力需要における原発依存度は43%とされています。直ちに全ての原発を廃炉にすると言うことは、困難だと思います。だからこそ万全の安全に対する備えと丁寧な手続き・説明が必要となります。

 経済産業大臣との会談で改めて多くのことを共有することができたと考えています。佐賀の方では、上原先生をはじめとする原子力の専門家をはじめとする県民の皆さんが行政との間で真摯に議論を進めていただいています。

 今回の福島第一原発事故収束に向けて九州電力の皆様からも多くのご協力をいただきました。「東電と九電では体質も考え方も違います。現場に多くの実質的判断の権限があるのが九電です。官僚体質でがんじがらめの組織と同じにしないでください。」という声も寄せられています。
しかし、同時にこれまでの「安全神話」は崩れました。
想定外と言う言葉はもう許されません。原子力発電の安全性確保に向けた厳しい再考と安全措置実施こそが求められています。