2010年02月02日(火)
礼の大切さ

 
葉隠四誓願
1.武士道に於いて遅れ取り申すまじき事
1.主君の御用に立つべき事
1.親に孝行仕るべき事
1.大慈悲を起こして人の為になるべき事

 これは私の故郷佐賀の「葉隠」の四誓願です。いきなり葉隠四誓願を出して、どうしたんだと誤解する方もおられるかもしれません。葉隠は、かつて戦争に利用されて、曲がった形で伝わっています。しかし、全文を読めば、葉隠は、戦争賛美ではなく「生の哲学」であることがわかります。

 佐賀の七賢人と言えば、佐賀十代藩主鍋島閑叟候、初代司法卿・江藤新平、初代北海道開拓使・島義勇、外務卿・副島種臣、日本赤十字社創設者・佐野常民、初代文部卿・司法卿、東京府知事・大木喬任、大蔵卿、内閣総理大臣、早稲田大学創立者・大隈重信の七人です。

 佐賀の末裔の血脈の中にまで流れ込んでいると言っても過言ではない葉隠の哲学。新渡戸稲造博士は、ご著書「武士道」の中で聖書の言葉「愛」を「礼」にかえて次のように記しておられます。「礼は寛容であって人の利をはかる。礼は妬まず、誇らず、たかぶらず、非礼を行わず、自分の利を求めず、軽々しく怒らず、人の悪を思わない。」

 誉める時には人前で大いに誉め、叱るときには二人きりのときに諭すように叱る。葉隠の伝統は、人をけして辱めません。子どもに愚痴を聞かせず、人の悪を言う親の姿を見せない。教育の本質のひとつに礼があると考えます。