2010年02月02日(火)
葉隠と礼(再掲) 世界から見た佐賀

 
外国の方が佐賀を訪れると丁重な礼節に驚き、日本人の美徳の一つである礼に深く感激されます。佐賀に伝わる葉隠。武士道の著者新渡戸稲造博士は聖書の言葉「愛」を「礼」にかえて次のように記しておられます。「礼は寛容であって人の利をはかる。礼は妬まず、誇らず、たかぶらず、非礼を行わず、自分の利を求めず、軽々しく怒らず、人の悪を思わない。」

 同僚の代議士であった精神科医の水島広子さんが、アメリカで様々な精神医学の勉強を重ねる中で出会ったのがパッツィ・ロビンソンのアティテュードナル・ヒーリング(AH)という考え方です。AHはもともと致命的な病を持つ子どもたちのためにスタートしました。
 つらい病気との戦い。死の恐怖。怖れを手放して人生の最期を心穏やかに生きるためにはどうすればいいのか?AHは、子どもたちの兄弟や親だけでなく、同じようにつらい経験をしている人たちの間にも大きく広がりました。
 私たちは日々、様々な刺激に晒されています。人から酷いことを言われると腹立たしいし悲しい思いがします。それを自分への攻撃だととらえると、反撃するか自己正当化するか逃げるかしかありません。しかし、それを攻撃ではなく、ただ不安で叫んでいるだけだととらえることができれば、ものの見方がガラッと変り解決への道が見えてきます。これがAHです。

 他人の欠点を見つけるのは簡単です。他人が変わってくれさえすれば自分はもっと幸せになるのにと思うことがあります。しかし、これは幻想です。誰かが変わらなければ幸せになれないというのは、あまりに受身です。自分の幸せを作り出すのは、自分自身です。人の中に欠点ではなく輝きを発見することができれば、心の平和と愛を手にすることができます。

 誉める時には人前で大いに誉め、叱るときには二人きりのときに諭すように叱る。葉隠の伝統は、人をけして辱めません。佐賀が平和の風土を持つ背景が少しわかったような気がします。