2010年01月15日(金)
未来を構想する力

 
 私たちは明確なビジョンを示して(ビジョン会議)新成長戦略の全体像を国民に示さなければならないと思います。今度、出版する「地域主権改革宣言」も私たちの変革の明確なビジョンの一つです。霞ヶ関の古い官僚依存政治を打破して「地域主権改革」を実現するとともに、戦略的な情報立国政策を次々に打ち出していきたいと考えています。

 成長エンジンは何か?世界の成長を見ていても情報通信分野への資源が集中していることは明らかです。極端に言えば、広義の意味でのICT分野以外は伸びていないと言ってもいいかもしれません。

 私は既に原口ビジョンの中で「光の路」構想を提案していますが、これは情報通信という産業分野を作るという意味ではありません。既存の産業をICTと組み合わせることで革新して、次世代成長産業に蘇らせようと考えています。そういう意味でチャンスは全ての産業にあると言えるかもしれません。

 医療や福祉、教育もクラウド化することにより、有機的な構造に変革することができますし、少子高齢化でまかないきれないとされた費用さえも大幅に削減することが可能だと思います。大事なことは、この国家ビジョン創造を国民との協働で行うことです。国民参加のないビジョンは、絵に描いた餅に終わりがちです。
まさに未来を構想する力が試されています。

 昨年暮れに提示した私たちの成長戦略ですが、未だに項目の段階でしか理解をされていないのではないかと思います。この成長戦略をしっかりとした変革への物語と戦略にするためには「世界を知る力」が必要となります。寺島先生がご指摘されておりとおり、世界はネットワーク型発展をしています。地政学的な見方に偏った目ではネットワーク型の発展は認識できません。貿易構造の変化も顕著です。日本の対外貿易額は、アメリカとの貿易の比重が減り、中国が2割を超えアジアとの貿易が5割となっています。日本がアジアとのネットワーク相関の中で動いているという視点も重要です。インフラの変革が新しいニーズを作り、時代のパラダイムそのものを変えていきます。プロジェクト・エンジニアリングの構想力がものをいう時代になりました。
 
 全世帯ブロードバンド化は、まさに国民だれもがどこに住んでいてもコミュニケーションの権利を保障しようとするものです。光の路と言っても光ファイバーなのか無線LANなどとの混合型マルチネットワークなのか最適インフラには地域差もあります。スマート・グリットの技術は政策そのものを変えていきます。クラウド・コンピューティングにより一人ひとりが高速大容量の大型コンピュータにアクセスできれば、教育や医療も変わります。