2011年06月11日(土)
被災者支援・二重債務問題の解決に向けて

 
 これまで多重債務問題・銀行融資の在りかたについて弁護士の椎名麻沙枝先生らの活動を支援続けて参りました。

 債務者の権利を無視するかのように売り渡されて事業そのものまで危機に瀕した中小零細企業。自らの債務がいくらで売り渡されたかも知らされずに「ハゲたか」に食い荒らされる日本の貴重な技術。地道な汗の結晶が一瞬にして水泡にされてしまう零細企業の悔しさ。

 「100点満点の企業」にだけしか融資が行なわれなければ、ベンチャーなど育つ道理もありません。債権回収だけに血眼になり融資により育む視点が欠落してしまえば、日本経済そのものが成長の芽をつまれてしまいます。

 連帯保証・担保により倒産して身ぐるみ剥がれて死に追い込まれる。社会的正義・道理に照らしてもあってはならないことです。金融債務者を取り立ての対象としてしか認識せず人権を無視した金融慣行を続けることは、日本の活力を奪い社会の安定さえも損なうこととなります。

 今日は、椎名先生ら「銀行の貸し手責任を問う会」「全国クレジット・サラ金問題対策協議会」の主催で「東日本大震災被災者の銀行ローン債務免除を求める緊急集会」~震災被災者の真の救済と立法を求める~が開催されます。

 第一部は、被災者からの訴えとして宮城県気仙沼市、岩手県山田町、福島県楢葉町から被災者の方々がお話をされます。あわせて耐震偽装被害者の方も加わり二重債務の問題解決に向けた立法の早期成立を確認します。

第二部は、日弁連の提言及び政府の動きについての報告です。阪神淡路大震災被災地からの報告とあわせて行われます。

第三部は国会議員パネルディスカッションで私も参加します。
椎名先生が「銀行の貸し手責任を問う会」からの提言を行い、次いで民主党の小泉俊明代議士、共産党の佐々木憲昭代議士らとパネルディスカッションです。

 米政権は、どのようにしてサブプライムローンの問題を解決しようとしているのか?2008年法は、サブプライムローンで自宅を購入した人の救済を目的とした法律です。この法律は、自己の居住に使っていること、2008年3月時点においてローンの返済が収入の最低31%を超えることなど一定の条件にあるサブプライムローンの債務者に対して、そのローンを、フレディマック、ファニーメイなどの公的機関に「時価」で買い取らせ、債務者には、これらの会社が買い取った額で新たにローンを設定するというものです。

 この法律のポイントは、ファニーメイなどが債権を買い取った場合に債務も減額された上、債務者の資力に応じて融資が設定されるという点です。
私たちは、整理回収機構の問題を国会でも取り上げてきました。銀行と言う性格付けがされていたにも関わらず整理回収機構は、貸付業務を行わず回収業務だけを行うことが問題視されてきました。

 3月11日の大震災で多くの尊い命が失われました。多くの方が家族を失い自宅や工場、お店などの損壊を受け、農林水産業も壊滅的な打撃を受けました。
 一刻も早く被災者に対して生活再建を支援する政策の立法とその実行が求められます。昨日、自公民三党で修正合意して衆議院で可決した復興基本法もその一つです。特区の創設が認められることになりましたが、法制審や税調などの1年以上に及ぶ議論を待っているだけでは、迅速な被災者支援を行うことはできません。

  大震災被災者の銀行ローンなどの既存債務を軽減して日本の復興につなげるために何をなすか。

以下、椎名先生らが提示された論点を記しておきます。

(1)買取機構の設置  
  どういう業務を行わせるか
  買い取り業務
  貸し出し業務
 
  どういう権限を与えるか
  片面的高速性を持たせた仲裁権限

(2)買い取る債権について、どう定義するか
  被災債務者の定義
  被災地に居住していた人
  被災地を本拠地に事業展開していた「中小企業」「農林水産業者」・・。

 無担保債権

(3)買い取り価額
   全銀協の震災前の簿価 その他
   RCCの買い取り価額を基準とする

(4)買い取り価額の決定


(5)軽減された債務の返済について
  新たに買い取り機構が貸し出しをする

(6)債務免除益の非課税扱い

(7)債権売却した金融機関への公的支援・インセンティブの付与

(8)その他
  地震保険、船舶保険の給付の関係をどうするか
  保険からの給付金は、債務免除の除外とするか
 
  原発事故による損害賠償請求権との関係について

  災害救助法や被災者生活再建支援法にもとづく給付金との関係 .