2011年05月20日(金)
「70日の失われた時」 これ以上の被害を広げないために

 
「東電任せ・メーカー丸投げ・下請け任せ」でこの危機を乗り切れないのは明らかです。事故収束のための国家としての枠組み・予算組をして一分一秒でも早く放射性物質の放出を止める責務を果たさなければなりません。
 
 もう発災後、70日を超えました。発災直後から佐賀大学元学長の上原先生と提案している様々なことは、大臣聞き取りや総理との話までもあったにもかかわらず実現していません。東電任せのためなのか?途中でたち切れになってしまい、状況だけが悪化の一途を辿っています。

 そもそも原子力行政は複雑で入り組んでいます。総理を除いてこの事故にあたっている担当大臣は何人かと尋ねられて正確に答えられる人さえ少ないのではないかと思います。
 
 経済産業大臣は、資源エネルギー庁を抱え、これまで原子力の推進役の側面を色濃く有していました。科学技術担当大臣は、原子力委員会の担当ですが、この内閣では国家戦略担当が担っています。
原子力安全委員会の所掌は誰か?まさに防災担当大臣が担います。科学技術担当文科大臣は、モニタリングなどを担います。それに官房長官。加えて原発事故対応の首相補佐官。

 組織が複雑になれば責任の所在も不明瞭になります。20mSv/yの撤回を求めて各省に強く働きかけていますが、SPEEDIのデータの開示だけでも時間がかかるという状況は許容できません。


 予算の制約なのか?それとも決断の問題なのか?
特定の国の特定の業界の参入障壁なのか?判然としません。


 健康被害、生活に対する被害、生産物被害・・・。級数的に被害が広がっていきます。政権の担当者には、大きな「被災」が今もなお続いているという認識があるのかさえ疑ってしまいます。

 現行原災法でも総理には強い権限と責任が与えられています。既存の枠を超えてもあらゆる力を尽くすべきですが、それが本当になされているなら結果が伴っているはずです。誠実な情報開示、強い決断と言う観点からも課題を抱えています。


 西岡参議院議長の発言が取り沙汰されています。閣僚からも批判する声が。しかし、三権の長として敢えて発言しなければならなかった危機認識を私は共有したいと思います。被爆地長崎の出身の西岡議長が「ヒバク」の被害をこれ以上、容認できないとお考えになるのは当然だと思います。

 原発の封じ込めに並行して多くのことを行わなければなりません。
放射性物質の除去、防護。地下からも漏れ出している可能性もあります。各省の政務官の中には準備をしてあとは決断を待つだけの具体的検討と提案を上げている政務官がいます。

 それさえも実現していないのです。時だけが失われていく現在。小さな政局を言っている場合でもなく、そもそも菅おろしなどと言う次元の話ではありません。

 この状況が続けば日本が立ちいかなくなる事態に陥ってしまいます。
政府与党とての責任。国民に対する責任を果たすためにも行動が必要です。