平成21年2月に行われた第1回古民家鑑定士試験の結果が財団法人職業技能振興会から発表され、207名が新たに古民家鑑定士として合格され、活動を開始されました。今日は、佐賀で活躍されている古民家鑑定士さんのもとを訪れます。
私の生まれた家は祖父母が亡くなり、今は無人です。時々、父が手入れをしていますが、高齢の父にも無理が出て、ご近所にもご迷惑をかけてはならないということで、取り壊しを私が行うことで父と話がつきました。
3年も前のことです。
しかし、その後、何度も「あれはなかったことにしてくれないか。」「畑をつくりたいから残してくれないか。」と父が頼みます。祖父母が貧しい中から作った家。95歳でこの世を去る祖母が、これだけは残しておいてくれといった家です。それでも維持だけでも、お金がかかります。何より台風時期など危険です。
何回言っても父も「残して欲しい。」と思っているようです。
「余裕はないだろうけど、再生して地域の皆さんにも使っていただくように考ええられないのか?」と友人も言います。
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NPO法人200年住宅再生ネットワーク機構のホームページからの引用です。
http://www.200live.com/page0117.html
古民家鑑定の意義
地球温暖化が世界規模の深刻問題となっている現在、家造りの観点からもCO2の削減を促すべく、2008年、年頭に国が200年住宅ビジョンを掲げ日本の住宅政策は大きく転換しました。「いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使う」と言う考え方への移行は、建て替えの際のCO2を減らすこともでき生活する中でのCO2削減にもなります。地球温暖化防止につながる考え方であると思われます。確かに、世界の住まいの平均寿命を見ると日本の30年は、55年のアメリカ・77年のイギリスに比べ、極端に短命であると思われます。さらに、建て替える度に貴重な資源を消費し、大量の廃棄物を産み出しています。
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いいものを長く使う
「超長期住宅」は構造的耐久性や将来の可変性など、建物の性能についての取組みが重要視されています。この「いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使う」という考え方においては、住宅に使われている構造材(木材)の耐久性は、その大きな要素であると考えられます。本来、古材はその成長の段階からその土地の風土の中で、与えられる自然環境からの試練をかいくぐってきております。屋久島の縄文杉は樹齢7000年以上と言われています。また、世界最古の木造建築「法隆寺」の1300年以上たったヒノキの柱にカンナがけすると、真新しい檜と同じ爽やかな香りがしてくると言います。この木材の持つ、時間の経過とともにどんどん熟成し、その強度を増してくるという特性に着目しました。樹齢100年の檜の場合、伐採から100年後に最も引っ張り強度・圧縮強度が増しているとの研究報告があります。
現在、日本では木材が最も円熟する前の段階で捨てられている。民家・町家は解体され、その多くの価値ある古材が廃棄されている。戦前では、新築する時、家をリホームする時、「古い木材を再利用する。」ということはごく当たり前のようでした。
つまり、古材リユースの文化はあったのです。そこには「モノを大切にする」「もったいない」という日本人ならではの習慣がありました。古材を利用できる市場がありした。古い民家を解体したり、改修したりすると、何度も使われた形跡のある古材が梁や桁に再利用されています。時代は高度成長時代に入り、「モノを大切に」の時代から「捨てる」時代に。使うのに手間のかからない外材に押されたこともあり、解体された民家や町家から出る価値ある古材は、その市場から姿を消し、チップにされて燃やされたり、埋められたりするようになってしまいました。
未来の子供たちのために
温暖化対策をはじめ、環境問題を地球規模で大切に考えるようになってきた現在こそ、日本人の「もったい」の精神を生かして「いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使う」と言うストック社会の考え方を普及させていきたいと考えます。
日本という風土の中では、「壊したくない」「次世代に住みつなげていきたい」という数値では測れない施主の気持ちを活かすこともまた長寿命の住まい存続には重要であり、潜在的に持つ古材の癒し、暖かさ、美しさの要素が、さらなる先人の知恵とのコラボレーションによって、住む者にとって心地よく活かされることが必要不可欠であると考えています。