2009年06月03日(水)
矛盾だらけの裁判員制度  「辞退理由」の勉強会

 
私が世話人(幹事長)をしている裁判員制度を見直す議員連盟で裁判員候補の「辞退理由」について最高裁・法務省から来ていただいてヒアリングを行い、問題点をつめました。
以下はその考察メモです。

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6月3日裁判員制度を見直す議員連盟勉強会 2009年6月3日


===議連からの配布レジメ===
裁判員候補「辞退理由」について
 裁判員候補に指名された国民がどのような場合に辞退が認められるのか否かについて、法務省は「裁判員法16条8号に規定するやむをえない事由を定める政令」(平成20年政令3号)を定めている。また最高裁判所は「裁判員選任の手続きの検証業務」を株式会社野村総合研究所に委託してグループインタビューをもとにした報告書を作成している。(契約金額は平成19年度8817.9万円 平成20年度6450万円(合計1億5222.9万円)

 この報告書はデータベース化されて全国の裁判所に配布され、各裁判所の判断の際に使われるとされる。この「辞退事由」について最高裁・法務省から説明をしてもらうが、ひとつひとつ見ていくと疑問が重なっていく

「ママさんバレーのエースは辞退できる」
「ナンバー1ホステスは多忙なので辞退できる」
「テレビ番組のレギュラー司会者(みのもんた)は辞退できるが、コメンテーターは辞退できない」
「プロのマ-ジャン師が参加する大会は辞退できる」
「プロ野球選手であることだけでは辞退は認められるが大相撲の力士は辞退できる」
「人を裁きたくない」「思想・信条の理由で裁判員にならない」という辞退事由は認めないことは、憲法上の疑義があると指摘されるがどうか。

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原口質問・問題意識

このグループインタビューの目的は何か?
国民の側から自分が辞退できるか予見可能性を得るということで作ったのではなく、あくまで裁判所が自分たちの運用に資するための参考資料ということでいいか?
非公開でいいのか?今のところは非公開 
誤った理解を与えるかもしれないので非公開というのはおかしいではないか。
裁判員制度というのは裁判の市民化・国民との協働ということではなかったのか。それなのに国民に辞退事由も公開しないというのは、国民は知識もなく誤解するから知らしめるべきでないというとんでもない認識をしていると返って誤解を受けるのではないか?
辞退事由を広く知らしめることは、裁判員のなり手がなくなると思っているのではないか

思想良心の自由ということについて全く考えられていないではないか
いではないか。
どうしてこの分野をグループインタビューに含めなかったのか
仕事上のご事情がわからないという裁判官のニーズからやった。

政令6号
 自己又は第三者に身体上、精神上又は経済上の重大な不利益が生じると認めるに足りる 相当の理由があること

ご遺体をみたり陰惨な事件に接してある一定の割合で心理的・精神的障害を起こす確率があると考えるが政令6号を定めるにあたり、心理学者や精神科医の意見をどのように聞いたのか?
そこに入っていないと思う(法務省)
刑事裁判の一番重いところに量刑を入れると誰が決めたのか?どこで決まったのか?
平成11年から平成13年まで内閣に直属の司法制度改革審議会で決定されている
この審議会での意見が平成13年6月にされていて、これが内閣の方針になる

思想信条の自由が認められて初めて公平と言える


事例集やガイドラインを示すことは困難というのはいかがなものか?

「性犯罪被害者の候補者への氏名開示」で早急なヒアリングが必要だ。
この一点をとっても裁判員制度は実にあらっぽい制度で多くの被害が出てからでは取り返しがつかない。早急に見直し・凍結が必要ではないか。