2011年05月03日(火)
立憲主義の原点

 
 「憲法とは国民が権力をしばるものだ、というのが、近代憲法が大前提にした立憲主義です。憲法という国のかたちの中で、一人ひとりが自由に自分の生き方を選べるし、選ぶべきなのだという考え方。」これは、樋口陽一教授の言葉だ。私は、大学時代直接、先生の講義を受けた。「もし、歴史問題や人権問題に取り組みながら改憲論を進めるというのならば、私個人はそれでも改憲に賛成しないだろうが、それは尊重すべき改憲論だと思う。」との言葉を思い出す。
 権力の正当性の源泉は国民にある。国民から代議する権利を付託されたのが私たち、代議士だ。立憲主義・国民主権の意義を学ばせていただいた。 衆議院予算委員会で宮沢蔵相と議論した日を想起する。あれから6年、国民投票法案も国会に上程されている。憲法とは何か?民主党の中でも、国会議員としても一番多くの時間を共有してきた同志である、枝野衆議院議員と議論をした。

平成12年 2月21日 衆議院予算委員会第147国会(常会) 宮沢大蔵大臣の憲法答弁 
○原口予算委員 まず、大蔵大臣にお尋ねを申し上げます。いよいよ現行憲法及び憲法調査会で始まった憲法論議に対して、私たち政治家の姿勢が問われています。そこで大蔵大臣、長い間政権の中枢におられ、そしてこの国を引っ張ってこられたその立場で、現行の憲法に対して、そしてこの始まった憲法調査会についてどのような御所見をお持ちか、まずお尋ねを申し上げます。
○宮澤喜一国務大臣 所管のことではございませんけれども、それを御承知の上でお尋ねであると思いますので、憲法調査会ができまして現行の憲法についての諸種の調査審議をなさるということは、私は基本的に賛成でございます。
 次に申し上げたいことは、戦前から生きてまいりました、また軍隊にも参りました人間として申しますことは、日本は自衛隊を外国に派遣するようなことがあってはならないということは、今日まで続けて考えてまいりました。自衛のために何をしてもいいということは、もちろん当然のことでございます。しかしながら、そうではあっても、自衛隊を外国に派遣するということは、言い直させていただきます、日本が外国で武力行使をするということは、私はどういう理由であれ、決して国のためにいいことではない、国外で、外国で武力行使をするということは、決して日本のためにならないということは、いまだにその考えは変えておりません。
 ただ、最後に申し述べますことは、そういうふうに今まで考えてまいっておりますけれども、新しいジェネレーションが誕生されて、日本の将来についてまた別の考えを持ち、別の決断をされることは、それはあり得ることでございますけれども、それは恐らく自分がもうこの世の中にいないときのことであろう、それについては私は何も申すことができませんので、ただ、私が聞かれれば、日本は外国で武力行使をすることがあってはならないということは、私はやはり大切なことだと思っています。