2009年05月29日(金)
英雄の星散る時
NHKで「新八犬伝」をやっていたことを思い出します。
真田幸村侯のもとの集う武将たち。8つの玉。仁義礼智忠信孝悌
辻村ジュサブローさんが人形を制作したこの人形劇は、滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」をアレンジしたものでした。
それぞれの勇者たちの凛々しい姿。そしてそれぞれが持つ仁義礼智忠信孝悌の徳の輝き。「玉梓が怨霊」の恐ろしさはこの世のものとは思えないほどでした。
八犬士の活躍がとても新鮮で親友たちと、君は犬飼、君は犬江、君は犬村と勇士になぞらえて遊んでいました。仁義礼智忠信孝悌。それぞれの徳がそれぞれの武将の持つ玉に書かれていて、武将の性格も例えば仁であれば、とても慈しみあふれたキャラと言う具合に実によく描かれています。友達の中に様々な「徳」を見出すことを学んだのも「新八犬伝」のお陰でした。
3年くらい続いたでしょうか。心をわくわくさせながらみていました。
『水滸伝』では百八の星が飛び散り、のちに英雄として現われます。
『八犬伝』では八つの数珠玉が飛び散り、のちに八犬士として現われる物語です。
鳥山明さん・小山たかおさんのドラゴンボールにも影響を与えているかもしれません。
時は流れ、今は平成の世。英雄の星は再び集う時が来るのでしょうか。
新たな物語の誕生を期待します。
「新八犬伝」のナレーションは坂本九さんです。
「上を向いて歩こう」などの大ヒット曲でも知られる国民的歌手の坂本九さん。とても尊敬する方でしたが不慮の事故で天に召されました。
坂本九さんは、朗らかで優しい方です。
ナレーションも全体にとてもやさしい語りかた。息のしかたも穏やかです。
ふっと気づいたことがあります。
違うのです。決定的に違うものを感じます。
何だろうと思って注意深くみてみると、話し方そのものが違います。
30年前の話し方は、現代の人の話し方と大きく違うのです。
新八犬伝の中の言葉もあるいは息遣いもとても優しく落ち着いています。とても新鮮でした。
私たちはこの30年くらいの間に話し方を変えてしまっているのかもしれません。現代の方が、ブレスが短くせわしない感じがします。NHKの放送を見ながらこの文章を書いていますが、声のトーンもこころなしか「トゲトゲ」しています。
30年くらい前の映像が残っていたら研究してみたいと思います。
この頃、テレビを観た方々からのお手紙のなかに、私が話す声やトーンについて言及が増えています。人の心が落ち着くような癒しの話し方をさらに心がけたいと考えました。