2009年04月22日(水)
裁判員制度を問い直す議員連盟第三回勉強会

 
裁判員制度を問い直す議員連盟第三回勉強会   090422
裁判員制度の問題点
「裁判長!話が違うじゃないですか」国民に知らされない裁判院生殿“不都合な真実”
 池内ひろ美/大久保太郎

講師 大久保太郎先生(元裁判官)

1.公判審理のスケジュールはびっしりと詰まっているところ、裁判員甲が公判期日の開廷時期を過ぎても出頭しない場合、補充裁判員がいても裁判員法の条文(41条、43条)解釈上、裁判所は、直ちに甲を解任し、補充裁判員1名を裁判員に選任することはできず、従って、審理を行いえない(審理は停頓する)のではないか。(条文の不備があるのではないか)(資料1)
2.事案が複雑(例えば和歌山毒物カレー事件)または大規模(たとえばオウム事件)であるなどの理由で審理に多数の公判期日を必要とする事件は、裁判員法の対象から外すべきではないか。(裁判員制度を提案した当の学者がその旨を発言している。)(資料2 ジュリストno.1370)
  区分審議、部分判決制度でどうカバーできるか。
  新たな規定を設ける必要があるのではないか
  「長期事件に耐えうる裁判員を選んで裁判員になってもらう」と当局は言っているようだがそのようなことができるのか?国民の平均的な人になって欲しいという裁判員制度の本来の趣旨から外れるのではないか。(何ヶ月も裁判員になっていいという人は一握り)

3.裁判員法は、数々の重大な違憲の疑いのある問題点を包蔵している(「模擬・裁判員法違憲決定」参照)。これを合憲と解釈することは無理ではないか。強いて合憲と理屈づけることは、折角「司法」に高い地位を与えている現行法の規定を歪め、この地位を低くすることにならないか、そのような法律で果たして人を死刑にし、その判決を確定させ、さらに執行までできることであろうか。(資料3)

  違憲決定理由目次
  憲法80条1項(裁判官の任命方法)違反
  憲法37条1項(公平な裁判所の保障)違反
  憲法76条3項(裁判所の独立の保障)違反
  憲法32条(裁判を受ける権利の保障)違反
  裁判員候補者および裁判員等の基本的人権の侵害
  「公判手続きの更新」規定「裁判員法61条」の違憲性
  部分判決制度(裁判員法71条以下)の違憲性

最高裁は憲法の番人なのに、その地位を忘れたかのようにやっているのはいかがなものか


質疑(司会 保坂 社民党)

 総務会で議論があり、これは違憲であると主張し、何箇所か修正。思想信条の問題で義務を課すもの。自分の思想信条に照らし合わせて人を裁くというのはいやだというのに、これを強制するのは違憲ではないか。しかし、その立法がなされる過程の時に最高裁判所から違憲ではないという判断が示された。立法過程に裁判所が土足で踏み込むのは、やりすぎではないか

 答え
 最高裁としては考えられない。最高裁判所の調査官をしていたが多くの先生のご薫陶を受けたが、あの当時だったら絶対にこのようなことはなかったと思う。下級審の裁判所の違憲としても絶対反対ということが出たのではないか。

 

 刑事訴訟法上の問題、憲法上の問題、市民の能力の問題などがご指摘いただいたが。
 会社法改正など一連のアメリカ化というか、司法試験もロースクールなど、これまで100人に1人だったものが、100人に40人など変わってきている。大きな考えが変わってきてしまっている。裁判官の中で果たして議論があったのか?

 答え
 最高裁がこの問題に賛成する前は下級審でもいろいろな意見。裁判官会同などで反対が多かったと報道されている。ところが最高裁が意見をだしてからは、反対はなくなった。
 声を上げることができなくなった。ある時考えがいっぺんに変わったわけではない。腹のそこでは、おかしいと思っているはず。
 
最高裁は、下級審についても人事権を持っているから物が言えなくなったのではないか



 裁判員制度は廃止しかないのではないかと思う。少なくとも凍結をしていろいろな問題点を見直さないと大混乱をするのではないかと危惧をしている。
答え
 和歌山カレー事件など。やってみて悪ければ直せといえるのか?重大事件の判断をやり直せるのか?重大事件がデッドロックに乗り上げた場合どうするのか?これに対応しようとすれば裁判所が憲法違反を犯さざるを得なくなるのではないか?


 細部に入ると収拾がつかないから触らないようにしながら、国民に対しては簡単ですよ、大丈夫ですよ。簡単に終わりますよと全く違うことをいう。人を裁くということは大変なことなのに。守秘義務に違反したら懲役6ヶ月。拒否したら罰金。それなのに本当のことを誰も言わない。司法制度審議会で裁判員制度を導入することについて違憲であると言ったら個人的な見解を述べただけとの答弁。

答え
 それはありえない。少なくとも長官の決済を受けているはず


 みんな素朴に感じていることが同じ。しかし、率直に申し上げてそうは言っても今更というのがわが党の中にも。突入してから何かあれば問題になるだろうし、あと1ヶ月しかないしという考え。

原口(民主党)
 憲法の番人である最高裁が自らの役割を放棄したということがよくわかりました。
 日弁連なども憲法擁護を常に言っているのに、どうしてそこを素通りしているのか?
 私たち国会議員は違憲を看過することはできません。国会でも徹底的に先生がご提起された、7つの違憲の論点をもとに徹底的に論破しなければなりません。最も違憲の深刻性の高いと思われる主な論点をお示しいただきたいと思います。
 
答え
異説を頼りにした法務省、裁判所。
何人も裁判所において裁判を受ける権利 裁判官による裁判
「日本国憲法国民の司法参加」
今や筋道の立った合憲論はない
合憲性が説明のできない制度が始まろうとしている

もしも被告人に辞退権を認めるのならば違憲性は低くなると民主党
よしんば凍結が通らなくてもここまで審議したのだということを国会で残しておくことがとても大事。下級審にとっても最高裁にとっても絶対に必要


 被告人のほうで選べた帝国憲法下でさえ。
 裁判員になるのは権利なのか義務なのか?
 新たな義務を国民に課すというのは基本的人権に関わること
  
答え
 国民の義務というのは長い間の歴史の中で蓄積されたものだ。小堀先生の意見。正論座談会。国民の義務は憲法の根拠がなければいえないことだ。


これだけ周知期間があったにもかかわらず全く理解されていない状況
裁判員制度について今、なお反対であるという人が多数
憲法違反という疑いがあることを国会議員が知らん顔しているというのは怠慢。
私自身は猛反対をしたが押し切られて全会一致で通ったという反省をもって、凍結をすべきと考える
不備な点は最初から見えている
刑事裁判の中で放火殺人というところでいいのか
延期・凍結の法案作成の準備

原口(民主党)
大久保先生から違憲であるということをご指摘いただいたわけで国会議員の憲法尊重擁護義務に照らしても私たちは行動すべき。