2009年05月14日(木)
水の遺跡に
水の遺跡に
遊んだ日

遠い時間
遠い記憶

切ないほどの輝きが僕たちを
包む

水面に返る光が
君の薄絹の
頬を照らす

こんもりとした杜が
僕らの姿を隠し
鮠が銀色の腹を光らせている

揖斐を流れる水は
どこまでも清らかで

君の髪を撫でる風は
水の色を映している

僕たちは
恋のおそれさえ知らず

水と同じように
流れていく

膨らみかけた
君の胸のように

僕たちは
希望の意味さえも知らず

清らかな
水と同じように
流れていく


大地を焦がすような
強い光が
空気を白く染めて

草いきれの
むせるような
匂いさえ

僕たちを祝福している

遠く
友の
はしゃぐ声

僕は君だけを追い
君は僕だけを追う

夏の切ない夕暮れが
僕たちをおおい
美しい君の唇が
かすかに微笑んでも

僕たちは
恋の意味さえ知らず

水と同じように流れていく

夕立の来ることも
恐ろしい嵐さえ

僕たちは知らず

この時が続くと信じている 

僕は君だけをみつめ
君は僕だけをみつめる


切ないほどの輝きが僕たちを
包む


水面に返る光が
君の薄絹の頬を照らし
木々をわたる風が
君の髪を撫でていく

木々たちも草も
そして花も
僕たちを守り
大きな木々さえも
命の喜びを歌う

堰を流れる水は
どこまでも清らかで

君の髪を撫でる風は
水の色を映している

僕たちは
恋のおそれさえ知らず

水と同じように
流れていく