2010年01月19日(火)
さいはてに咲くもの
さいはてに咲くもの

さいはてに咲くものは
誰の目にもとまらず
誰からも誉められもせず

小さな花びらの
凛とした
美しささえ
時に朽ちていく

さいはてに咲くものは
一言の声も出さず
伝える愛の言葉も
薄い空気に消えて

小さな花弁の
けなげな
哀しさも
時に朽ちていく

さいはてに咲くものに
おまえの甘い蜜を運んで
さいはてに咲くものに
おまえの柔らかな声を聞かせて

小さな茎の
一人の
寂しさも
固い岩肌の
頼りない
小さな根も

おまえの優しい
養分を吸い上げる

朽ちていく時も
虚ろの哀しさも

永劫の流れを
しばし止めて

小さな茎の
一人の
寂しさも
固い岩肌の
頼りない
小さな根も

おまえの優しい
ぬくもりを吸い上げる


さいはてに咲くものの
小さな声と
伝えることのできなかった
愛のうたを
しばし聞くだろう

おまえの暖かな乳で
さいはてに咲くものを
満たして

さいはてに咲くものは
おまえの美しい蜜で
悦びのうたをうたう

さいはてに咲くものも
さいはてのときのかなたに
終にあなたを感じることだろう

氷に閉ざされた
さいはての地にさえも
あなたの愛の届くことを
温もりの中で感じることだろう