2009年01月31日(土)
原口一博国会通信2009年7号☆

「澄んだ瞳に託したい」
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 景気対策優先と言いながらの緊縮予算~平成21年度予算案の矛盾と問題
 

 成21年度予算案のつくりは、どっちつかずの政治不在予算です。
予算の専門家以外には、様々な複雑な仕掛けがつくられているために、一見
してどのような性格を持つ予算か、わかりにくく作られています。

 主な問題点を指摘しておきます。

(1)予算編成の過程の問題点
  各省からあがってくる「しがらみ」予算をクリップ止めしたものです。
 そのために不用額の「活用」や、特別会計からの繰り入れなど、様々な「し
かけ」がされています。長年の官僚丸投げ政治の弊害ですが、本来は政治がな
すべきことを決めて、このような官庁からの積み上げ予算を許しません。

(2)大甘の経済見通し
  IMF(国際通貨基金)は、09年世界経済の成長見通しを下方修正して-0.5
%という数字を発表しました。それによるとアメリカ、-1.6%でユーロ圏は-
2.0%、日本は-2.6%となっています。ところが麻生政権は、0.0%という大甘の
見通しです。
 日銀の-2.0という見通しとも大きく違っています。根拠のない楽観は、見通
しのない悲観と同様に危険です。「危機ではあるけど日本が一番、経済的にも
傷は浅く、いち早く経済回復する」という認識そのものが希望的なものに過ぎ
ないと思います。

(3)緊縮予算
  景気対策が一番、未曾有の経済危機と叫んでしますが、それに対する対応の
 予算にはなっていません。小泉・竹中路線の象徴ともいえる骨太2006を改める
ことができずに、平成20年度補正予算を加えた予算からしても、予算規模そのも
のがさして、増額しておらず「大胆」とは言葉だけで超緊縮予算となっています。
  75兆円の経済対策と胸を張りますが、その中身をみると真水部分は12兆円
(政府の説明でも)で、しかもこれさえも20年度と21年度をあわせた額です。

(4)無駄の排除ができていない予算
  無駄の削減と言う言葉はありますが、何をいくら削ったのか示されていませ
ん。予備費やいわゆる埋蔵金がこれだけ増えて都合よく使われているのは、近年
にもないことです。「水ぶくれ」予算を許してしまうのは、行政改革・財政改革
に対する政治の力が弱い証左です。

(5)つじつまあわせ予算
  例えば、道路特定財源を一般財源化したといいますが、実質的に使途が指
定されている予算が散見されます。交付税にすら使途の枠を設けるなど異例の措
置さえ見えます。
  セーフティネットが壊されて、もっとも切実な声が上がっている社会保
  障予算は、惨憺たる状況のままです。毎年の削減分2200億円を埋めたといっ
ていますが、その中身をみると金特別会計に設置された資金 (税財源)の清算
(1,370億円)が主要財源です。平成元年にはじめた「埋蔵金」を苦し紛れにも
ってきただけです。年金特別会計については運 用損を5兆円も出しており、年
金財政を埋めるどころか、別用途に使ってつじつまあわせをしているのではない
かと言う批判は免れないと思います。

(6)先送り予算
  赤字国債を約7兆円強増額して、埋蔵金をかき集めて作った予算で
  す。税制の抜本改革も先送りで、年金の国庫負担分2分の1への安定財源問
題も先送りされています。
  ツケを将来世代に大きく先送った予算です。