2010年01月13日(水)
原口一博国会通信2010年12号☆
命を守る政治を!地域医療を支える仕組みと医療改革
「澄んだ瞳に託したい」
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総務省に寄せられる地方の要望の中でも最も切実なものの一つが、地方の医療、公立病院の持続可能な運営について
のものがあります。高齢化が進む中で地域医療全体を福祉も含めてマクロの視点から変革して国民の命と地域の安心
を守りたいと考えています。
友人の医師と懇談の機会を持ちました。その方は医師としてだけでなく海外のシンクタンクの経験もある方でICT
利活用も含めた地域医療の支援体制の抜本改革の筋道を考える上でも大事な示唆をいただきました。
「毎年約100万人の方がお亡くなりに。その8割は病院。病院はネットワークではなく個々独立のフルセット型で患
者さんにきてもらうのを待つ形式。医療モニターで24時間365日繋がることで安心と健康。ヘルスケア・医療のクラウ
ド化ができないか。」との提案でした。
「在宅で亡くなるか。病院で亡くなるか。1976年が均衡した年。戦後直後は8割が家。1年で170万人が亡くなると推計
される2032年。団塊の世代の終末医療。今の資源では破綻することが統計上明らか。高齢者が病院に。高齢者医療費がた
だになったことも。一方医師の側からすると出かけていかなくても患者さんが向こうからくることに。病院が患者さんを
取り合うだけで協力しなければ医療資源が足りなくなる。個々フルセット医療ではなくクラウド。自治体病院破綻救済方
策としても有効な考え方。
医療費の8割は死ぬ直前で使われているとのこと。病院のキャパシティにも限界が。更に高齢化が進み医療資源の再配
分改革を行わなければ、「 死ぬところを探しまわらなければならない『難民』が増えていく。現に墨田区に住んでおら
れる方が群馬県の山奥で亡くなる事態が起きている。」
私は未来工学研究所に非常勤で勤めていた頃、「ホームケア・サポート・システム構築」の研究をしていました。医療
相談やリハビリがうまくいけば、国民の医療に関する安心を構築するとともに医療費についても合理化することができる
というのがその結論でした。重複受信もカルテが電子化されず患者個人に帰属させられないために起きている不合理な現
象です。医療の質そのものを患者の立場からチェックできるための医療法の改正(患者の権利法 民主党提出)も今まで
実現してきませんでした。
患者さんが医療機関の良し悪しを自分の体で確かめなければならないならば、重複受信は減りようがありません。
私たちが議論した在宅医療とは、かつて行われていた往診とは違います。CTやMRIなどの検査技術も飛躍的に進歩しまし
た。戦後まもなく白衣をきて医師が自転車で回れたのは診断の技術が確立されていなかった時代でした。診断の技術が確立
していない時代においては、病院にいこうが在宅で医師に診断してもらおうが大差ない時代でした。
医師が患者さんの家に計画的にうかがい、24時間、365日のサポート体制を敷ことができれば、まさに予防の観点からも大
きな恩恵がもたらされます。緊急往診とは違うこの仕組みができた2006年ですが、なかなか進まないのが現状だといいます。
「医療側が考えているサービスと患者さんが望んでいるサービスは違いがあるのではないか」と友人。呼べば、いつでも
来てくれるという事も大事だが、それよりも誰かとつながっていて、これで病院に行ったほうがいいのか的確なアドバイス
ができれば、大幅に医療のロスを減らし資源の集中的投下が可能になるのではないか。SKYPE等で患者さんがオペレーターに
つながっていて、その人が判断をして医師につなぐ仕組みができれば、もっと有機的に医療を保障することができるととも
に医療資源を少なくすることができるのではないか。 患者は動かなくていい仕組みをつくることができないか。」
119番のうち10件に1件は医療行為につながることはないコールだといいます。しかし、医療機関に行くかどうかを全て患者
側に判断を委ねるというのは難しいことです。何が重篤かということも専門家でなければわからないこともあります。また現
場の救急隊員のみに医療機関の選別から受け入れまでの判断を要請することは、過重です。緊急のコールをうけてトリアージ
ュをできるセンターができれば、様々な問題を解決する一助になります。
地域医療を支える仕組みそのもののパラダイムを転換して家にいながらにして安心の生活を送ることができないのかさらに
議論を深めていきたいと思います。