2009年04月10日(金)
原口一博国会通信2009年26号☆  2009年4月10日

「澄んだ瞳に託したい」
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第30回日本EU議員会議~
 
欧州委員会の友人の議員が来日。人間が中心の新しい世界をどう構築するか。
経済・金融危機をどう乗り越えるか議論をしました。私も第二セッションで
リードスピーチを行いました。 鎖国時代、出島を管理していた佐賀藩、吉
野ヶ里遺跡、有田焼を紹介、豊かな交易・交流の大切さ・保護主義との戦い
を話しました。新しい成長分野を興し、世界不況を克服するためにも欧州と
の戦略的協力関係を強化する上での大事な会議です。
  記念すべき30回の会議でEUの友人たちが九州を訪れてくれました。
 長崎の爆心地公園で悲惨な原爆の犠牲になられた方々に祈りを捧げ献花。
有田の窯元や唐津などを訪問。文化の豊かな交流の中から創造された芸術に
も触れていただきました。佐賀の名尾和紙でできたレターセットをお土産に
用意。佐賀の文化も堪能していただき、さらに友好を深めました。

以下はリードスピーチの原稿案です。

 議長、発言の機会をいただきましてありがとうごいざます。民主党「次の
内閣」総務大臣で衆議院議員の原口一博でございます。EU議会の皆さんの変
わらぬ友情と友好に心からの感謝を捧げます。第30回の記念の会議にあたり
私の故郷佐賀を訪れていただくことも大変光栄です。鎖国政策をとっていた
江戸時代、佐賀鍋島藩は世界との唯一の交易の窓口であった長崎出島を管理
しておりました。世界から入る科学技術や文化の情報、特に欧州からの情報
により様々な有為の人材を育てました。もしこの門戸がなかったのならば、
近代日本の基礎さえも成り立たなかったと思います。有田焼の柿右衛門作品
や唐津焼についてもお示ししていますが、これらも自由な発想と交流がなけ
れば達成し得なかった至高の芸術です。 
世界的な経済・金融危機にあたり新たな保護主義も台頭しつつありますが、
貧困をなくし平和な世界を築く観点からも私たちは連帯して、この保護主義
と戦っていきたいと思います。

ブラッセルでの日本・EU議員会議で私はドイツの童話作家ミハエル・エンデ
の遺言について言及しました。私たちはその時に金融のバ-チャルな記号だ
けが無際限に膨張することへの危機感を共有しました。貧困や紛争、戦争の元
になる危険性についても議論をしたことを想起したいと思います。車にもハン
ドルやブレーキがあるように、金融の世界にも共通のルールが必要であり、ど
こかで膨張しすぎた記号を減価させる仕組みが必要です。
しかし、警告は無視され続け、2008年の9月リーマン・ブラザーズ破綻に端を
発する世界的危機を目の前にしてもブレーキを忌避する声が支配してきました。
先日のG20で一定のヘッジ・ファンド等に対する規制が合意されたことは大き
な一歩です。日米欧などの監督当局で構成される「金融安定化フォーラム」
(FSF)を再編、機能強化し「金融安定理事会」(FSB)を設けると発表したこ
とも一定の前進です。しかし、2010年に自己資本規制の改善策を諮問とうので
は、対策が遅すぎて後手に回ってしまいます。

現在の金融危機は、これまでの危機とは質的にも量的にも全く違います。
過大にレバレッジを効かされた金融証券化商品の焦げ付きにより、まるでばば
抜きのジョーカーのように誰がリスクを負っているかわからないという疑心暗
鬼が払拭されていません。私たちは信用そのものへの危機が起きていることを
忘れてはなりません。単に金融機関の自己資本を公的資金で増強しても、それ
が企業活動に回らないのでは経済は復活しません。銀行だけを救済して中小零
細企業を潰した教訓に学びたいと考えます。

グラフはニューヨーク・ダウの変遷です。
資本や市場の暴走・一企業・一業界の危機が一国の危機へ。そして世界的危機
に。そして戦争。このような悲惨な歴史を繰り返してはなりません。賢者は歴
史に学び、愚者は状況に振り回されて原則を省みません。1929年の世界恐慌の
対応の失敗に私たちは多くの教訓を学びました。紙の上での利益を実際に利益
に代えようとしたときに、現実に気づき世界的な危機に発展した1929年の現状
は今と酷似しています。世界中で危険なまでに恐慌の程度が深まっていった時
代。人々の中には従来の分析手法では現状を判断できないことに気が付いた人
もいました。そこで起きていた問題は各国にとどまらぬ世界全体の信用経済の
問題であり、世界全体の施策が必要でした。しかし、それが何を意味するかな
ど考慮せずに、各国は現在の急場をしのごうと多くのツケを将来にまわし、世
界生産的資源を費やしてしまいました。

2%の財政出動の合意について評価するものでありますが、追加の財政出動の
是非については国ごとに事情も異なり注意深く議論を進める必要があります。
グラフ2は、生産と消費の落ち込みです。日本では10-12月のGDPの落ち込みが
マイナス12.7%でした。足元が崩れ落ちるような真っ逆さまの転落の危機です。
年率マイナス15%ともなれば75兆円もの富が失われた計算となります。大きな
デフレ・ギャップが生じています。しかし、これほど大きなギャップを財政の
みで埋めることは不可能です。
 BRICsも同様です。中国経済も世界的不況と似た動きになっており、対ロシ
ア輸出は9割落ちも落ちています。その中で通貨の弱い国が、国民生活にさら
なる大きな打撃を受けることも懸念されます。国際的協調で破綻の回避を試み
るべきだと考えます。その意味でIMFの資金基盤増強合意は大切です。
 日本の経常黒字も急速に減っています。財政も金融もあまりやりすぎると通
貨安など悪い意味での金利上昇懸念を抱えることになります。今までのように
経常黒字がいくらでもあるから何をやってもいいというわけにはいきません。
議会の介入主義・大きな政府が定着するリスクをうまくコントロールしながら
限られた資源を効果的な政策に重点化する必要があります。
 大きな資本、大きなエネルギー供給体が利益を貪る時代は終わりました。
教育・雇用・医療・環境に資源配分が公正になされるべきです。
 キャッシュフローが減り続け、不良債権も積みあがるということでは、世界
的な新たな金融危機が起きることも懸念されます。社会保障が充実し、医療費
や教育費が無償で受けられる国と雇用を失えば、医療や教育の安心までも失う
国とでは当然、対応も異なります。
 
ガイトナー財務長官が出した1兆円の官民買取ファンドも不良債権用が圧倒的
に大きい 不良証券の問題はギブアップしたのではないか懸念も出ています。
アメリカの政策当局者の中には財政ファイナンスが危ないと見ている友人たち
もおりますが、金融救済用の資金原則的には返ってくる資金でありGDPにも国
際収支に影響しません。金融救済の金も含めて財政上のファイナンスをしなけ
ればいけないとうろたえると危機を拡大させてしまいかねません。
 
冷静な対応と国際協調が大切です。危機の本質を見極めて人間の尊厳を保障す
る政策で世界が協調するならば、私たちはこの危機を乗り越えることができます。
ファシズムは人々の格差に対する憤りを力の源泉にします。EU議会の友人の皆さ
んとの議論を通して、危機の克服し、世界の平和と安全への道筋をつけるための
大きな枠組みを創造して参りたいと思います。皆様の益々のご活躍と日本・EUの
さらなる友好をお祈りいたします。たくさんの祝福がありますように!ありがと
うございました。
 

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