2009年03月16日(月)
原口一博国会通信2009年20号☆

「澄んだ瞳に託したい」
★ 〃。☆〃。☆〃。★〃。★〃。☆〃。☆〃。★ 
 ジェラルド・カーティス先生の朝日新聞寄稿論文について

 米コロンビア大学のジェラルド・カーティス先生が3月12日の朝日新聞に
論説を寄せておられます。「今回の東京地検特捜部による小沢一郎・民主
党代表の公設第一秘書の逮捕と事態の展開には解せないことがある。」と
逮捕から一週間余りたつのに、検察当局は強制捜査に踏み切った理由など
について、国民に対し公式な説明をしていない。「これは一体どうしたこ
とか。」と疑問を投げかけておられます。

 「この事件は普通の政治スキャンダルとは質的に違う。数ヶ月以内には
総選挙が行われ、政権交代が取りざたされている。その微妙な時期に「政
治資金規正法違反」という形式犯で、次期首相になる可能性のある人物の
公設秘書をいきなり逮捕するとは、極めて異例である。だからこそ、検察
の説明責任が問われるのだ。」との先生のご指摘は正しいと思います。

 過去、検察は総選挙等の影響を考えて慎重に事を運んできたと言われて
います。「国家権力があくまで公平・公正に使われていると国民が信じら
れることが、民主主義の絶対条件である。いま日本では政治かもマスコミ
も、さらに国民一般も、この問題にあまりにも鈍感になっていないか。」
と先生は問われています。 

 「検察が自民党のために動いたとの憶測が出たり、民主党から「国策捜
査」の非難が飛び出したりした。検察当局は沈黙を守るが、マスコミは「関
係者によると」などの形で様々な情報を流している。」
 
「当局のリークなどによる巧妙な情報操作への疑念も生じさせている。」と
先生。法治国家としてのプロセスの正当性が問われています。捜査で知りえ
た情報を外部に漏らすことは国家公務員法違反です。しかし、検察リークが
当たり前のように行われているという疑念は消えません。現に、新聞でも
「関係者への取材によると」(NHK)、「捜査関係者によると」などという文
言で「リーク」を伝えています。もしこれが事実ならば、裁判員制度も成り
立ちません。重大事件について裁くこととなる裁判員が検察側の作った世論
によって誘導されるということはあってはならないからです。
 
 それでは放送の公正性・中立性を求められる放送機関の報道内容が虚偽な
のでしょうか?カーティス先生は、論の中で「朝日新聞は3月10日、『民主
党、この不信にどう答える』と題した社説を掲げたが、どうして『検察、こ
の不信にどう答える』と問いかけないのか。検察のやることは絶対に正しく
疑う余地がないとでも思っているのか。マスコミは検察側が不機嫌になるよ
うな報道を自己規制して控えているからか」と問われています。

 私は検察が国策捜査をするとは思っていませんし、またそのようなことを
信じたくもありません。公共事業に絡む政治腐敗を徹底的に排除するように
行動してまいりましたし、今後も改革を前進させます。検察が不正を追求す
るのは当たり前のことです。

 しかし、漆間官房副長官の「自民党へは及ばない」とする捜査の中身に関
する発言などを聞くと強い不信感を拭えません。検察が公の場で自らの姿勢
をきちんと説明することが求められています。民主党の西岡参議院議会運営
委員会委員長は樋渡検事総長を国会に証人喚問することを検討すると述べて
います。国家公務員法違反問題も含めて国権の最高機関における議論を通し
て行政機関の権力の行使について質すことは、とても重要だと考えます。