2009年02月27日(金)
原口一博国会通信2009年13号☆

「澄んだ瞳に託したい」
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 安心の原子力行政のためにもMOX燃料の移送について、丁寧な説明を

 原子力発電所で計画されるプルサーマル発電でプルトニウム・ウラン混合
酸化物(MOX)燃料の海上輸送を国が許可しました。この件について、今日
に至るまで、国・県・事業者からの説明はありません。テロに狙われる危険
性があるMOX燃料の受け入れに不安を抱く住民も多く、輸送路における国々の
懸念も伝えられています。にもかかわらず、一言の説明も無いというのでは、
原子力発電について理解を求めてきた私の立場からしても不信を抱かざるを
得ません。
 国民は真実を知る権利を有しています。私たち国会議員は、不安や懸念を
払拭する義務を負っています。その義務を誠実に履行できないとなれば、大
きな問題です。国や事業者らが、国民も国会議員も、どうせ従うしかないと
たかをくくって説明責任を疎かにしてきたとすれば、とんでもないといわざ
るを得ません。

 今まで最大の量のプルトニウムがもうすぐフランスを出向して佐賀に向か
おうとしています。大きな国際会議で容器が変形してしまえば臨界の危険が
高まることが指摘され、日本の事業者も試験と解析をやり直しましたが、そ
の報告書には名前も日付もなく、試験と解析の詳細な説明が一切なく、ほと
んど結論だけが書かれています。
 この試験と解析が正しく行われたか、国会には知らされていませんし、地
元自治体、第三者には確認も不可能です。国際会議での指摘された中身とも
違う試験と解析で移送が強行されようとしているとすれば、こんなに危険な
ことはありません。
 今回、移送されようとしているMOX燃料は、ファリントン論文の問題提起以
前の何の変化も起こらないという前提のもとで審査をパスした燃料だと言え
ます。日本の事業者が行った試験が法的要求を満たしているかどうか問題で
す。国土交通省告示第14号第3号では「当該輸送物と同一のもの」を9メート
ル落下させることになっています。MOX燃料集合体は崩壊熱によって約300℃に
なり、それだけ構造物の強度が落ちています。試験に用いる燃料集合体も同程
度の温度にして落下させる必要がありますが、それがなされていません。
 
 MOX燃料の海上輸送中の安全性は確認されていると確信できません。輸送ル
ートになるのではないかと、他の国民からも多くの懸念が寄せられています。
 今回、輸送されるプルトニウムは佐賀県の玄海原子力発電所に向かうもので
すから、事前了解の権限を持っているのは佐賀県知事だけです。国土交通省が
安全性を確認せずに見切り発車を決めて、佐賀県知事が事前了解を行えば輸送
船の出港が可能となります。

 知らされないままに何が行われようとしているのか?大きな危機感を禁じえ
ません。この危惧に対して行政からも正しい反論がなされ、国民に説明ができ
ることを望みます。