逓信委員会

平成9年4月2日(水曜日)

○逓信委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。


○原口委員 新進党の原口一博でございます。堀之内郵政大臣初めすばらしい先輩に恵まれまして一年生ながら勉強させていただいていることを心から感謝申し上げ、今回の法案の改正について御答弁をいただきたいというふうに思います。
 私たち政治家は、三つの戦いをやっています。一つは選挙、政治家として選ばれるための戦い。もう一つ目は、選ばれた後の政策上の理念そして政策の違いを明らかにした戦い。そして三番目は、時の流れとの戦い、時代との戦い。特に、この逓信委員会におきましては、新しいビジネス、時代、時代にどうやって打ちかっていくのか、これは与党野党問わず私たちが考えていかなければいけない問題であるというふうに思います。
 現行商法は、株主の平等保護の原則を思想原理としております。今回のストックオプション制度は、一種の株主を差別するもので、そういう商法の原理原則とはやや異なるところがございます。ただ、この前提は、厳格なディスクロージャー、そして公正な市場が担保されていること、それが必須要件であるというふうに考えます。法案の中身の質疑に入ります前に、今回その公正な市場が果たして担保されているのかどうか、そのことについて幾つかの点を確認して質問に入りたいというふうに思います。
 今回、野村証券の不祥事がございました。この不祥事は、証取法の五十条、それから五十条の三、それから百五十九条、それから商法二百九十四条の二、同じく商法四百八十六条違反の疑いが発生しているというふうに言われております。この法案を審議する上で、これは看過できない大きな問題であるというふうに思います。

 監視委員会にお尋ねしますが、事実関係をどのように把握されているのか、まずお答えいただきたいというふうに思います。

○証券取引等監視委員会事務局特別調査課長 野村証券の問題につきましては、証券取引等監視委員会の日常的な監視活動の中におきまして、取引の公正の観点から不自然と思われる取引が認められましたことから、昨年の夏ごろより鋭意調査を進めてきたところでございます。こうした中で、当委員会は、三月二十五日、東京地方検察庁とともに、証券取引法違反の嫌疑で野村証券本社ほか関係箇所について強制調査を行うなど、調査を進めてきたところでございます。
 現在、検察当局と緊密な連携を図りながら鋭意調査を進めているところでございまして、一刻も早く事実関係の解明に努めていきたい、このように考えております。


○原口委員 その中で、政治家、官僚のVIP口座の存在が伝えられておりますが、このことについて、このVIP口座というのは一体何のためのものだったのか、事実関係を把握されていれば御報告をお願いしたいというふうに思います。

○証券取引等監視委員会事務局特別調査課長 現在、検察当局と緊密な連携を図りながら鋭意調査を進めているところでございまして、その調査の事案の具体的な内容につきましては、今後の調査等に支障を生ずることになりかねないことから、その内容についてお話しすることは差し控えさせていただきたい、こう思います。

○原口委員 野村証券のトップの中には、本委員会が関係する電気通信審議会の委員をお務めになっていた方の家宅捜索もあったというふうに聞いておりますが、郵政省はこのことをどのように受けとめておられるのか、お尋ねを申し上げます。

○郵政大臣 ただいまの野村証券の問題と郵政省とは何ら関係ないと思いますので、私の方は何も調査いたしておりません。

○原口委員 実際に電気通信審議会の委員が家宅捜索を受けているということが郵政省と何で関係がないのか。そして、このストックオプションは、株式市場が公正であるということが大前提だというふうに思います。私は、今の大臣の答弁、本気でおっしゃっているのだろうかというふうに思います。
 郵政大臣並びに郵政官僚がこういう野村証券からの特別な優遇措置を受けたかどうか、これは御自身が、自分が受けたか受けてないかというのはおわかりになると思います。堀之内郵政大臣がそんなことをお受けになるということはあり得ないと思いますが、まずそういったところを確かめてからストックオプションの審議に入りたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。


○郵政大臣 ただいま御指摘の、電気通信審議会委員に酒巻社長が就任されておられましたが、これは、ああいう事件が発生してから辞表が出てまいりましたので、すぐ受理したわけでございます。現在は欠員中であります。
 なお、私のことでお尋ねがありましたが、残念ながら私はVIPの指定を受けておりませんので、大変恥ずかしいことであります。


○原口委員 それが恥ずかしいことかどうかはわからない。むしろ、国民が知りたいのは、果たして、新たなこの金融市場の自由化の中で公正さが保たれているかどうか。そして、一部の人間にだけ利益供与がされる、こんなことがずっと繰り返されてきたわけであります。実際に、平成三年の同会社の事案から、監視委員会の勧告は、平成四年の七月から八年の七月まで三十件行われている。そして、会社の行政処分、勧告は十件、個人の勧告は二十件行われている。一方で、株式市場が、そこに集った人たちがまだ非常に古い体質を残しているということを明示して、制度の審議に入りたいと思います。
 少しまじめに答えをしていただきたい。私は大変尊敬をしているわけですが、VIP口座がないからというので残念ながらとか、そんなものではないというふうに思います。
 ストックオプション制度について質問に入ります。

 欧米の主要国における制度の導入は、アメリカでは、一九五〇年代に始まって大体会社の八三%、イギリスも上位百社のうち九〇%が導入しており、いずれも税制上の優遇措置を持っています。
 この制度は、外部から優秀な人材を確保できるメリットや、あるいは、役員、従業員に高報酬という形でインセンティブを与えることができ、高いモチベーションを与えることが期待をできます。権利を与えるだけで会社に経済的な負担がなくインセンティブを与えることができることから、この制度そのものは、私は、積極的にやっていくべき制度であるというふうに思います。
 アメリカのNASDAQ市場の銘柄数はニューヨーク株式市場の実に二倍で、出来高も一・二倍、一年間で五百社が新規登録を行い、二百社が登録廃止になるなど、活発な取引が行われておるところであります。マイクロソフトなどというハイテクベンチャt企業もこの市場から出てまいりました。
 日本も、将来性を秘めたベンチャー企業の資金調達の場となる店頭特則市場が九六年十二月十七日から動き出しました。先ほど答弁にありましたように、資金難に悩むベンチャー企業を育成する目的で創設されたこの第二店頭市場は、事業内容に成長性、新規性が認められ、かつ売上高の三%以上研究開発費がある企業であれば、赤字企業でも株式を公開できるのが最大の特徴であります。
 ところが、この市場にも、創設後一年半の空白がございました。それは、先ほど局長が答弁なさったように、日米の投資環境の違いというのがあるのだろうというふうに思います。
 投資に対する基本的な考え方、そして、ベンチャーを個人的に援助する、支援するエンゼルの存在。私は、今からの産業政策というのは、護送船団方式、今までのやり方を根本的に変えなければいけない。アメリカでは、まずNPOでもって、企業化するまで、学校でいろいろな援助を受けながら、どんな芽があるのだろうか、シーズがあるのだろうか、どういうものが産業として花開くのだろうか、そういったことを民間ベースで研究しながらやっています。ところが、まだ我が国は、官主導の域を抜けていないと言わざるを得ません。日米の店頭比較についても、日本が六百九十八社であるのに対してアメリカは四千九百八社、その売買代金も、日本が五・九兆であるのに対してアメリカは百四十四・九兆ということで、これだけの差が出てきている。この違いが一体どこからきているのか。

 私は、今回、思い切って郵政省さんがこういうストックオプションという人材の確保のための法改正をなさるということは、遅きに失したけれども大変大事なことだというふうに思いますが、局長の基本的なお考えをお聞きしたいというふうに思います。

○郵政省通信政策局長 先生御指摘のとおり、新しい風を我が国に吹き込み、二十一世紀を展望したダイナミックな国をつくり上げていくということは、既存の仕組みにとらわれずに新しい仕組みにも果敢に挑戦をして、風当たりは、先ほどのお話にもありましたように、フロントでありますから強いわけでありますけれども、そこを突破していくという気概が必要だろうということで、あえて商法の例外ということではございましたけれども、特例法をもちまして情報通信あるいは放送分野の新規事業に対するストックオプション制度を導入したいというのがその趣旨でございます。そういう意味で、私どもとしましては、こういった私どもの考え方の基本を果敢に打ち出していこうということであります。
 既に通産省が鉱工業分野でこの制度を導入しておりますけれども、ある意味では、一年少し、私ども、情報通信分野のこういった問題への取り組みがおくれたかなという指摘もございます。しかし、これは、対象事業の内容の違いによるものでありまして、この一、二年急激に、インターネットあるいはCSデジタル放送などの技術革新による普及というのが爆発的な伸びがございました。
 そういう意味で、ニーズがこの一、二年急速に高まったということを受けた対応措置でありまして、一般的には商法としての例外ということでありますから、やはりニーズがなければ、なかなかこういう法律につきまして問題提起ができなかったということでございます。
 時宜に合わせた施策ということで、通産省が行われました後も、あえて郵政省として、法務省民事局にお話をいたしまして、政府部内で統一した法律ということで提案をさせていただいた次第でございます。

○原口委員 通産省の方にもきょうお見えいただいていますので、先行してストックオプションを導入された通産省の今までの認定実績、そしてその内容について、概要をお伺いしたいというふうに思います。

○通商産業省産業政策局産業資金課新規産業室長 新規事業法でのストックオプション制度の運用状況をお尋ねでございますけれども、御案内のとおり、平成七年十一月に特定新規事業実施円滑化臨時措置法の改正をいただきまして、以来運用してまいりまして、今順調に利用件数が増加いたしております。
 この平成九年四月一日現在で、全体、新規事業法認定事業者八十三件ございますけれども、この一年強の間にストックオプション制度の利用は十九件ございます。そのうち、既に特別決議が行われまして権利付与がされているものが六社ございます。うち一社は、三月十四日に大阪取引所の二部特則に上場するという段階にまで至っております。
 私どもといたしましては、今後とも、引き続きこの着実な実施に努めてまいりたいと考えております。

○原口委員 そこで、再び通産省の方にお伺いしたいのですが、株式の上限というのを通産省の所轄の法律では決めておられると思います。その上限についてどうなっているのか。
 それから、例えば大企業を分社化したり、あるいはカンパニー制度をとっていたりする。そうすると、今後、持ち株会社の導入なんという話も出てきているわけですが、持ち株会社は別にして、大企業を分社化した、そういったものについてもこのストックオプションの対象とされているのかどうか、そのことについてお尋ねしたいというふうに思います。

○通商産業省産業政策局産業資金課新規産業室長 お尋ねが二つございましたうち、まず前者でございますけれども、ストックオプション制度につきましては、基本的には株式の希薄化を防止するという観点から、私どもの制度では、現在、発行済み株式の三分の一ということで上限を設けてございます。
 この考え方は、ストックオプションを付与する際に、商法におきます新株有利発行の特別決議の有効期限六カ月の特例を設けたわけでございますけれども、この六カ月としている理由はまさにその株式の希薄化を防止するという観点があるわけでございますけれども、こういった特例を設ける際に、やはり何がしかの制限は要るのではないかという議論があの立法当時ございました。もちろん、御案内のとおり、ディスクロージャーの徹底をするとかいう措置を講じておりまして希薄化対応策を講じたわけでございますけれども、量的にもある程度抑える必要があるだろうということで、私ども、新規事業法では、認定事業者の平均的な資本規模等々を勘案いたしまして、三分の一ということで導入したわけでございます。
 それから、対象となる企業でございますけれども、先生御指摘ございました大企業の子会社等々につきましても、制度上は対象になっております。基本的には未上場の会社ということで縛っておりまして、企業規模でありますとかなんとかでは制限いたしておりません。未上場の企業で、まさに新しい新規事業を行う者について対象にしていくというのが法律の趣旨でございます。


○原口委員 いわゆる大企業の分社化したものについても対象としているわけですね。
 今回の郵政省の法案ではどのようになっているのか、大企業の分社化についてもこの対象とするのかどうか、お尋ねをしたいというふうに思います。

○郵政省通信政策局長 ただいま先生が御指摘されました件でありますけれども、大企業の出資会社、いわゆる分社化と申しましょうか、そういう会社でありましても、通信・放送新規事業の認定要件を満たしまして、かつ当該事業の実施に必要な人材の確保を目的とするという限りにおきましては、本法案に基づくストックオプション制度を導入するということが可能であるというふうに認識いたしております。

○原口委員 先ほどの佐藤委員の質問に対するお答えとは若干違いますね。資金力が乏しいベンチャー企業を育てるのだということでございましたが、対象とするというふうなお答えをいただいたわけで、ベンチャー企業を支援するとする本制度の導入の意図とはちょっと反するのではないかというふうに思うのですが、反しませんか。

○郵政省通信政策局長 法律的な可能性といいますのは、そういう会社であっても可能だ。ただ、内容は通信・放送新規事業というものの認定要件を満たさなければいけないということと、かつそのために人材が必要だということでなければいけないということで、本ストックオプション制度の趣旨は、主としてやはり独立系の中小のベンチャー企業ということになりますけれども、法的蓋然性としては全く排除をするということではなかろうというふうに考えております。もちろん、メーンは独立系の中小ベンチャー企業ということを意識いたしております。

○原口委員 この法案のどこを見てもそういう制約というのはないわけでございまして、また、先ほど通産省は三分の一という制限がございましたけれども、今回の郵政省の特開法の場合はどういう制限をされているのか、そしてその制限はどういう根拠でもってそういう制限になったのか、そのことについてお尋ねしたいというふうに思います。

○郵政省通信政策局長 商法の特例を設けてストックオプション制度を導入するということでございますので、導入に当たりましては、情報開示の徹底、それから株式希薄化への対応策を講じようということであります。
 そういう観点で、本制度が商法の例外措置であるということでありますので、必要以上の株式の希薄化を防止するため、ストックオプションに係る新株発行の総数を一定の限度にとどめるということが適当だというふうに判断をいたしております。
 その総量制限についてでありますけれども、ストックオプションが人材確保策として有効に機能をするというためには、通信・放送新規事業の認定会社の資本規模が、先ほど通産省の方からお答えがありましたように、いわゆる新規事業法の認定会社に比較いたしまして相当程度大きいこともございます。したがいまして、私どもとしましては、新規事業法の三分の一という制限よりも小さい範囲で必要十分であろうというふうに判断をいたしました。
 発行済み株式総数の五分の一の範囲までストックオプションを付与し得るということが商法の原則との調和という観点で妥当であろうということで、五分の一の範囲を超えないということで判断をいたしております。

○原口委員 つまり、郵政省さんが認定の対象とされているのは通産省さんが認定の対象としているよりも規模が大きい、だから五分の一ぐらいでいいだろうという御答弁でございますね。
 先ほどの小さなベンチャー企業を育てるのだというのとはちょっと違う射程もお人れになっているというふうに理解をするわけでございますが、これが通産で導入をされるに当たって、委員会の議事録を見ておりますと、政府委員がこんなことをおっしゃっています。 これを導入するに当たりましては、率直に言いまして、本当に聞くも涙、語るも涙という経緯がございます。大変な法務省さんのかたいガードに遭って、聞くも涙、語るも涙だったんだというふうに思うわけでございます。
 法務省にお尋ねをいたしますが、商法との関係上、このストックオプション制度導入の制約となるものを挙げていただきたい。そして、法務省さんでもまた独自に検討されていると思いますが、この導入についてのお考えを、商法との関係でお尋ねを申し上げたいというふうに思います。

○法務省大臣官房参事官 お答え申し上げます。
 まず第一点、ストックオプションを導入するに当たって商法のどこが問題なのかということでございますが、ただいま御審議をいただいております法案は、新株の有利発行という手法を活用するものでございます。
 商法の原則は、新株の有利発行、すなわち時価よりも著しく安い価額で新しい株式を発行するということにつきましては、株主の権利という観点がございますので、株主総会の特別決議が必要であるということになっておりまして、しかもこの決議の効力は決議後六カ月間しかない、さらに、決議後一番最初に発行する新株しかその決議がカバーしないということになっております。したがいまして、ストックオプションを導入する場合には、この六カ月、しかもその中で最初の一回限りということが制約になるわけでございます。
 この点、御審議いただいております法律案では、決議後+年、しかも何回でもいいという形になっておりまして、この点が商法の特例ということになっているわけでございます。

 私どもの立場から申し上げますと、株主の権利あるいは公正、公平ということをどのように守っていくのかということが関心事でございますけれども、この点につきましては、いろいろ弊害防止といいますか、株主総会の決議をきちっとやっていただくとか、ディスクロージャーを徹底していただくといったことで対応されているというふうに考えております。
 なお、第二点目、私ども自身の話でございますが、ストックオプションにつきましては、いわゆるベンチャー企業だけではなくて広く会社一般が利用できるようにすべきであるという御議論が非常に強くなってきております。
 そこで、つい最近、先月、三月二十八日の閣議で決定されました政府の規制緩和推進計画の再改定におきましては、ストックオプション制度の一般的導入につきまして、平成九年度中に結論を得て、法改正を経て平成十年度中の早期に導入するということになっております。
 私ども法務省といたしましては、この政府の規制緩和推進計画に従いまして、しっかりと検討をしてまいりたいというふうに考えております。

○原口委員 私が申し上げたいのも今の答弁の中にございます。特例でもっているいろな、通産省さんは三分の一だ、郵政省さんは五分の一だ、非常にわかりにくい。ストックオプションの一類型であるワラントが出たときも、一般の投資家の皆さんにさまざまな混乱があった。そして、自分たちはこれをもうかると思ってそこに投資したけれども、結局はその資金も回収できない。私どもの九州の地方では、弁護士に相談しようと思っても、それに対する知識のある弁護士がいなくて、結局泣き寝入りをしたなんということもございました。
 ですから、一方で、今お話にありましたように、市場をきっちり公正、公平にしていく、そしてもう一つは、制度をわかりやすくする。特例でもって何か、この後来るのはバイオでもいいじゃないか、農林省がまた同じようなものをお出しになると思う。それから厚生省だって、自分のところも先端企業ありますよということでお出しになる。そうではなくて、商法自体の改正でもって、今御答弁いただきましたのでそれでよしとしますが、ぜひ大臣も、全体の法律を皆さんにわかりやすくする、その御努力をお願いをしたいというふうに思います。
 また、ストックオプションのメリットだけを、話をしていますが、デメリットについてどのようにお考えになっているのか、郵政省さんの基本的な考え方をお尋ねしたいというふうに思います。

○郵政省通信政策局長 私どもは、今お話にありましたように、新しい風をつくり出していこう、新産業の創出だということでありますから、むしろメリットの部分を意識に置いてこれを効果的に活用していこうという観点でこの方策を進めさせていただいておるわけでありますけれども、こういった制度が日本の土壌になじむかどうか。
 アメリカでは、最近、ストックオプション制度によりましてすごい利益を上げられる方がおられまして、少し突出し過ぎではないかといったような議論も、あのアメリカですら出ておるというようなことも伺っておりますので、こういった制度が我が国の企業の中にうまく定着するかどうかというのが一つ大きな問題であろうと考えております。
 しかし、株主総会というところで使途を特定して、公開性、透明性の中で客観的な措置を行うものでありますので、まずはこういった制度で本当に人材が確保できて、新しく仕事をしようとする企業がインセンティブを与えられるような仕組みを維持しつつできるということであれば、私どもはそちらの方に目を向けて進めてまいりたいというふうに考えております。

○原口委員 具体的なデメリットはお話しになりにくいでしょうけれども、私がざっと考えられることは「例えばストックオプションを行使した後、その従業員や役員のモチベーションは急速に低下するのではないか。あるいは、企業側にすれば身銭を切らないでいいですから、安易にストックオプションの制度を導入することになりかねないだろうか。そして、十年ということでありますが、その間につぶれてしまえば、この権利そのものは単なる紙切れになってしまう。そのことについてどのように考えておられるのか。
 また、各法令との整合性でも、一番私が危慎をするのは労働基準法との整合性であります。あなたはストックオプションの権利を付与するから給与はこれぐらいにしておいてくださいと。労働基準法の二十四条は、賃金は通貨で払わなければいけないというふうに書かれていますが、実際に、東京地裁の五十三年の二月二十三日の判決で、賞与として株式を支給する旨の特約は無効という判決が出ておりますが、こういった労働者の権利を守るということについてどのようにお考えになっているのか、そことの整合性をどのように検討されたのか、お尋ねを申し上げたいというふうに思います。


○郵政省通信政策局長 確かに、未公開のスタートアップしたばかりの新規通信・放送分野の事業者が、人材を確保しながらいい業績を上げていこうというための一つの方策でありますから、十年なら十年という期間に限ってそういうものを保持していこうということであります。
 立ち上がり期から店頭公開をしてという、そういう夢をつないでいくという施策でありますから、その後、終わった後、インセンティブがなくなるかどうかといったような問題はありますけれども、とにかく立ち上げていくための刺激、インパクトを与える方策の一つだということであります。
 企業が永続的にインセンティブを確保しながら業績を上げていくのは何もこのストックオプション制度だけではないわけでありまして、あらゆる、人事、労務その他の施策がその会社を健全な経営に持ち上げていくわけでありますので、このストックオプションだけで全体の士気を高揚するということではなくて、まさに立ち上がりの中小のベンチャー企業が、意欲を持ってそういう人をつなぎとめて、頑張ってここで花を咲かせようという意味での、そういう時点を見たメリットというのが非常に強調される制度でありますので、その後急速に意志が衰えるかどうかといったようなことにつきましては、その他の施策をもって補完をしていこうということで、ストックオプション制度だからといって十年、二十年、三十年と続いていくというのは、やはり先ほど来お話が出ておりましたような一般の株主の利益という観点からも比較考量する必要がある中身であろうというふうに考えております。総合的な施策の中で、スタートアップの未公開のベンチャー企業を立ちげていこう、そこに力点を置いた施策であるということで御理解を賜りたいと思います。
 それから、給与、賞与とこのストックオプションで得られる利益というのはどういうふうに違うのかといったようなこと、あるいは東京地裁判決との整合性の御質問がございました。
 これにつきましては、本法案に基づきますストックオプションの付与や権利を行使したことにより取得する利益につきましては、労働省との間で、給与や賞与など労働基準法第十一条に規定する賃金には該当しないということで整理をいたしております。
 この理由といたしましては、ストックオプションは賃金のかわりに付与されるものではない、人材確保の観点からプラスアルファとして従業員等に付与されるものでありまして、ストックオプションの付与されたこと等により賃金が減額されるというものではないということであります。

 それから二つ目には、ストックオプションの権利の付与は賃金のように支給基準があらかじめ定められておらず、権利行使による価値の移転も被付与者の意思にゆだねられているということであります。
 こういったことで労働基準法第二十四条の賃金通貨払いの原則の適用もないというふうに解釈をいたしております。
 御指摘ありました東京地裁の判例は、株式を賞与、つまり賃金として支給することは不可とされたものでありまして、賃金に該当しないこのストックオプションにつきましては適用にならないものだというふうに理解をいたしております。

○原口委員 今度は税法上の問題に入っていきたいと思いますけれども、賃金でないとすると、これはストックオプションの権利を行使したところについては法改正によって非課税にされていますね。そして、株式を売却したところで二六%の申告分離課税という形になっていますが、じゃ一体これは、賃金でないとすれば何になるわけですか、キャピタルゲインになるわけですか。

○郵政省通信政策局長 いわゆる労働基準法上の賃金ではないというお話をいたしましたが、いわゆるストックオプション制度の場合には、普通であれば権利行使をして権利者が株を取得されたというときには所得、そういうことでありますので、総合課税がかかるという話でありますが、ここを非課税にしよう、最終的に売却をしたときに譲渡益課税ということで、申告分離課税ということで二六%を税として納める、こういう仕組みになっておるというふうに理解いたしております。

○原口委員 これは賃金ではなくて所得を転換したんだというふうにみなすわけですね。今の答弁ではそうだった。
 そして、もう一つ、最も危慎されるのは、証券取引法上のインサイダー取引規制の観点から問題がないのか、そのことについてはどのように検討をされたのか、基本的なお考えをお尋ねしたいというふうに思います。

○郵政省通信政策局長 インサイダーの関係で申し上げますと、このいわゆる円滑化法に基づきますストックオプション制度は、会社が取締役、従業員に対しまして新株発行請求権を付与するものであります。しかし、この取締役、従業員による新株発行請求権の取得、及びその権利行使によります新規発行株券の取得につきましては、それぞれ、証券取引法上の株券等の売買に係るオプションの取得、株券の有償の譲り受けには該当しないということで、インサイダー取引規制の対象とはならないというふうに解釈をされておりまして、この点につきましては関係御当局との整理、意識統一、そういう理解で進めさせていただいております。
 ただ、取締役、従業員が権利行使によって取得した株券を実際に売却をするという場合には、通常の株券の売却と同様に証券取引法のインサイダー取引規制の対象となるということでありまして、当該会社の業務等に関する重要事実を知りながらその公表前に売却する行為はインサイダー取引として禁止されることになるというふうに理解をいたしております。


○原口委員 大体三つの点についてお話をしてきましたけれども、最後に、ストックオプションの中で、認定の作業をどれぐらいの期間でなさるのか、そしてどういったものを認定するのか。
 私は、本来だったら、原則すべてストックオプションはオーケー、商法の改正をやって、そして何も郵政大臣にこれでいいですかとお伺いを立てなくても、あるいは通産大臣にお伺いを立てなくても、自分たち民間が、自分たちの自己責任とそして自分たちの独自の発想でもってやっていく、そのことが大事なのではないか。まだこういう認定作業をなさっているのか、役所に情報を集中させなければいかぬのかという思いがございますが、認定の基準について、そしてその期間についてどのようにお考えになっていますか。

○郵政省通信政策局長 お答え申し上げます。
 本来ならば、商法の特例措置をそれぞれの役所の大臣がやるということはあくまで例外でございまして、そういう例外であるがゆえに担保しておかなければいけない手続というものがある。それが郵政大臣の認定行為であるというふうに理解をいたしております。例外でなければ、一般の商法の原則に従って、郵政省なり通産省、それぞれの事業の所管がとやかく言う話ではないというふうに考えておりまして、そういう面では、先生がおっしゃるように、先ほども法務省の方から御答弁がありましたように、規制緩和推進計画ということで一層の前進を図るということであります。
 しかしながら、現時点ではあくまで商法の特例ということでございますので、先ほど来お話が出ておりますように、一般の株主の利益の保護という観点もよく比較考量をいたしながら、この政策目的に合致するようにということで、客観的な透明性のある認定基準を設けまして、それに該当する部分についてはこういったストックオプション制度ができるんだということで、むしろ資格審査といいますか、そういう環境整備をする役割を郵政大臣が負っておる、このように認識をいたしております。

 そういう点からは、この実施計画の認定に要する期間につきましては、これまでの十一認定をいたしました会社等の実績では、大体相談に来られてから三、四カ月かかっております。
 今後、ベンチャー企業等にとりまして一層使いやすいようにしようということで、関係省庁との協議なども始めておりますけれども、これを簡素化いたしまして、できるだけ短く、資格付与ですから、先生おっしゃるように公正な立場ということもございますから、客観的な基準に基づいてオーケーよという期間を早くして、後はその会社がそういうものを導入するかどうか、株主総会という会社自身の責任においてそれができるかどうかという判断ができる立場に置くということで、この点につきましては、できるだけ速やかに認定作業を終えるように努めてまいりたい、このように思います。


○原口委員 今の答弁は限られた中の答弁ですから大変お気の毒な感じがいたしますけれども、認定に三、四カ月かかるなんというのは今のベンチャー企業では、例えば私たちが三カ月前に購入したコンピューターはもう古型になってしまっている、もう古色蒼然たるものになってしまっている。三カ月で新たなソフトは次のものがどんどんどんどん出てきているこの時代において、一方でベンチャー企業、新しいものを育成しなければいかぬ。冒頭に私は政治の三つの戦いというお話をしましたけれども、時の流れとの戦いをやっているベンチャー企業が、郵政大臣に三、四カ月かけて認定をやるなんということは、今の商法上の中でブレークスルー、それを突破するためにはこれしかなかったんだというのはわかりますけれども、これを長く続けていくものではない。商法できっちり規定をして、原則自由ですよ、そして通産であろうが、農林であろうが、郵政であろうが、どの企業もストックオプションを自由に導入してください、その方向性が重要なんではないかというふうに思いますが、方向性についてどのようにお考えになっているのかお尋ねをしたい。

○郵政省通信政策局長 環境整備を図る、それから迅速にそういった新規事業者を立ち上げていくという点につきましては、政府の規制というものが簡素で必要最小限のものであろうというふうに考えております。もちろん、このストックオプション制度が一般化されれば先生御指摘のような方向になるだろうというふうに理解をいたしております。

○原口委員 ストックオプションについてさまざまな観点からお話をさせていただきましたが、私は基本的にこれについては導入すべきだという立場で積極的に応援をしていきたいというふうに思います。
 次に、特定通信・放送開発事業実施円滑化法そのものについてお尋ねをしたいと思いますが、この円滑化法の中で、特定通信・放送開発事業、三事業が定義されていますが、その定義及び内容についてお尋ねをいたします。

○郵政省通信政策局長 開発法のいわゆる三事業でありますけれども、まず通信・放送新規事業につきましては、近年のインターネットの普及や衛星デジタル放送の開始などを背景といたしまして、認定事業数は増加をいたしております。平成八年度では八件が認定され、現在認定事業者は全部で十一件ということで、現在ストックオプションの対象にという通信・放送の新規事業というのはこの分野に入ります。
 それから、もう一つの分野であります特定通信・放送開発事業には、地域通信・放送開発事業というものがあります。この地域通信・放送開発事業につきましては、これまで当該地城では利用できなかった役務を提供する事業でありまして、地域的なしベルでの技術的な新規性のある事業のことであるということで、全国ではもう既にあるのだけれどもこの地域では初めてだ、新規性のある、こういう事業のことでありまして、具体的には都市型CATV事業やコミュニティー放送事業などが該当いたしまして、現在七十三件の認定実績がございます。

 それから、三つ目の事業といたしまして、通信・放送共同開発事業というのがございます。これは、高度な電気通信技術の企業化を共同して行う事業や、その企業化のために必要な需要の開拓の事業であります。この通信・放送共同開発事業というものにつきましては、現在のところ認定の実績はございません。
 以上であります。


○原口委員 ちょっと答弁について、二番目の地域通信・放送開発事業、これは認定が七十三と御答弁いただきましたけれども、これは認定行為はないものでございますね。

○郵政省通信政策局長 失礼いたしました。先生御指摘のとおり、この地域通信・放送開発事業につきましては、郵政大臣の認定なしということで、事業の実績が七十三件ということでございます。訂正いたします。

○原口委員 これは何で認定行為がないのでしょうか、その論拠となるものは。一番目の新規事業、それから通信・放送共同開発事業、これは実績なしということですけれども、一体これはいつからやっていて、実績がないのか。何でこんな実績のないようなものを、その原因はどこにあるのか、お尋ねをしたいというふうに思います。三つお尋ねをします。

○郵政省通信政策局長 まず、地域通信・放送開発事業につきまして郵政大臣の認定が不要な理由であります。
 先ほど申し上げましたように、地域通信・放送開発事業と申しますのは、全国的には既に実施されておりますけれども、当該地城では初めてのサービスを提供する事業だということであります。この事業につきましては、日本開発銀行等の政策金融機関が融資を行うことを既に決定したものに例えば通信・放送機構が利子補給を行うものということでこの支援策が定められておりまして、改めて国が認定という形で支援の是非を判断しなくても、通信・放送機構が個々の事業について地域通信・放送開発事業に該当するかどうかを判断することで支援を行うことが可能であろうということで、地域通信・放送開発事業につきましては郵政大臣の認定を不要としておるということであります。
 それから、通信・放送共同開発事業につきまして、これは二年にこの法律がスタートしておりますけれども、認定の実績がないのはなぜかということであります。この通信・放送共同開発事業につきましては、高度な電気通信技術の企業化を共同して行う事業、高度な電気通信技術の企業化のために必要な需要の開拓の事業及びこれらの事業と一体的に行われる企業化施設の整備の事業であります。

 これまでは、バブル経済の崩壊等で経営環境が非常に悪化をしておった、あるいは共同開発による自社の技術情報の流出の懸念、一緒になるとどうしても情報が出ていっちゃうというような企業の思惑といいますか、懸念ですね。こういったことで、通信・放送共同開発事業のように各企業が共同して行うような大規模な技術の企業化はちゅうちょされがちであったというようなことであります。
 しかしながら、現在、技術革新の進展あるいは技術のオープン化、規制緩和等によりまして、アライアンスの時代、グローバルな観点から見てもわかりますように、そういう提携というものが一つの大きなうねりでございます。
 こういった電気通信を取り巻く社会環境の進展あるいは情報化の進展ということもございますので、今後はこういった共同開発事業に対する支援のニーズが出てくるだろうということで、言ってみれば環境整備のそういった手段というものをあらかじめこの法律によってつくってあるということで、時宜が通して、動きが出れば、いつでも対応できるような法律ができておるということではありますけれども、現時点までは実績がなかったというのは事実のとおりであります。


○原口委員 平成二年からことしまで一件も認定がない。
 新しい技術、ベンチャー企業を育てるのは、さっき佐藤委員の御質問の中にございましたけれども、私は三つあるというふうに思います。それは、今回のストックオプションの、人材を流動化していい人材を供給できる、そして株式を公正にして、そこに良質で豊富な資金を導入できる、そして三番目は、今議論をさせていただいている研究だというふうに思います。この新たな基礎研究について、残る時間はあとちょっとでございますが、NTTの株配当で基盤技術研究促進センター出融資制度というものを持っておられますが、この仕組みについて概略をお尋ねしたいというふうに思います。

○郵政省通信政策局長 この基盤技術研究促進センターと申しますのは、通産省と共管をいたしております認可法人であります。国庫保有義務のありますNTTの株の配当金を原資といたしまして、基盤技術の推進のために役立てようという趣旨でできたものであります。
 この制度と申しますのは、もともと民間が、これはやれば将来的にはその成果を生んで利益にもつながるというような技術の内容を持つもので、純粋基礎と申しますか税金の分野でやるという全く基礎的なものとは違って、やればできるのだけれども、民間としても将来これは果実ができればいいなというものだけれども、やるには長期にわたる、あるいはハイリスクがある。本来民間がやってということはあるのだけれども、なかなか民間だけでは立ち上がれないなというものを国としてはこういう形で支援をしようということで、もともと行動の主体は、研究開発の主体は民間にあるものだというふうに認識をいたしております。それに対しましてこの基盤技術研究促進センターのお金でもって支援を立ち上げていこう、そういう趣旨でできたものであります。

 趣旨は以上でございます。

○原口委員 聞き逃したのかもわからないのですけれども、今、通産省の所管とおっしゃいましたけれども、これは通産と郵政で両方で所管されていますよね。共管ですね。
 それで、その中に実に今まで二千二百億円の資金が投入されて、そして成果がどうなっているのか。平成四年ですか、行政監察を受けておられます。その中で、総務庁はきっちりその資金を回収しなさいということを言っています。しかし、今までどれぐらいのお金が回収されたのか。そして、特許やさまざまな事業化によってどれぐらいこの二千二百億円の資金が戻ってきたのか。その数字についてお尋ねをしたいというふうに思います。


○郵政省通信政策局長 出資事業、これまで二千二百億ということがございましたが、平成八年三月末現在で出資会社数は百三社ございます。うち、研究開発会社は六十八社であります。特許出願件数は三千二百五十六件ということで、このうち特許登録件数は四百四十二件であります。こういう特許等によりまして、いわゆるロイヤルティー収入というものでありますけれども、これは現時点では約十三億円であるということであります。

○原口委員 二千二百億円を超す政府資金を投入しておいて、そしてその一九八五年以降六十八社が、今御答弁にあったように、受け皿として設立されたがほとんど未回収だ。そして、新しい年度も二百億円を再投入していく。今まで特許で十三億円と言われましたけれども、有料放送の受信機や電子辞書の翻訳装置など収益が上がっているものは本当に二千二百億円のうちの一部であります。
 私はこの研究がいかぬなんということを言っていません。基礎研究はやはり大事でありますし、次のステップアップの台をつくるためには大事なのですけれども、もともとこういう研究開発から資金を回収するということ自体、この制度自体に無理があるのではないかというふうに思いますが、その無理を承知で、また資金の回収が困難とされるにもかかわらず、また新たに制度を拡充する理由は一体どこにあるのだろうか、その辺についてお尋ねをしたいというふうに思います。


○郵政省通信政策局長 今先生御指摘がございましたように、こういった基盤的な研究開発を行う重要性というのは先生も大いに必要だということであります。
 私どもといたしましては、国が応援をしなければやはりこの国は立ち上がらないということで、二十一世紀を見ましても非常に重要な分野だということで、この分野から国が全く手を引くということは、二十一世紀を展望した我が国の将来もないと言っても私は過言ではないというふうに認識しております。
 ただし、その手法でありますけれども、出資でありますから、あくまで配当金をもって賄うというのがいわゆる出資の考え方であります。しかしながら、この基盤研究といいますのは、先ほど来申し上げましたように、民間では非常にハイリスクであってなかなか動けない、しかも、すぐに研究成果が出てくるかどうかわからぬ、しかし、民間が中心になってやらなければいかぬ分野だ。やれば、場合によっては、相当お金も入ってくる、果実も生まれる、こういう分野であります。そこを応援しようということでありますから、もともとこういう制度そのものは、一定のリスクを頭に置いて国が出資をするということで行っておるものであります。
 今回、まだ十三億円だということでありますけれども、例えばその中でも、通信・放送の分野では、先生御指摘ございましたように、いわゆる衛生放送の放送スクランブル解除装置、デコーダーなんというのはこの研究開発会社が技術開発を行いましてもう既に二百万ぐらい出荷台数が出ておりますし、それから衛生デジタル放送に不可欠な画像圧縮伝送ソフト、いわゆるMPEG2といったようなものもこの研究の成果であります。
 また、各病院に今配置をされておりますアルツハイマー診断装置なども、まさにこの通信・放送分野での研究開発がベースになって出てきた、そういうものであります。
 また、今研究中でありますけれども、国際電気通信基礎技術研究所を中心として、例の音声翻訳電話といったようなものもできておりまして、これは二十一世紀、グローバル社会で、日本語でしゃべれば、例えばアメリカであれば英語で翻訳を自動的にされる、言葉のハンディキャップなしにお話しができる、そういう画期的な研究もこの分野で進められておるということでありまして、そういう面では非常に楽しみな分野であります。

 しかし、短期には、お金を出したからすぐこの二、三年のうちに全部回収するのだということにもなかなかならない、もともと出資ですから。配当でもってだんだん返っていくということでありますから、確かに先生がおっしゃいましたように、出したお金がすぐ回収できないからということを余り性急に見て行うものではないだろう。だからこそ国がお金を出して、全体として立ち上がっていく、国益に沿うものだということでもありまして、私どもはそういう観点で、こういった基礎研究を行う手段というものはぜひ必要だろうというふうに考えております。
 もともとこのお金も、NTTという国民共有の財産で、電電公社時代から積み上げてきたNTTの株の配当金をもとにしたものでございまして、国民全体が電気通信に寄与したお金でもってまた国民の皆さんに還元をしていくという面で、長期的に、ある程度息長く、我慢しながらこういう研究開発をどこかで行っていく。そういう意味では、私ども、出資をされたお金は全く返らなくていいんだなんということは決して思っておりませんけれども、そういう気持ちで取り組んでいきたいというふうに考えております。
 そうはいいましてもやはり期間がたってまいりましたので、徐々に成果も出始めておるところもあります。それから、成果が出ないところは、もう不作為じゃなくてきちっと整理をしていくというようなことも昨年来関係省庁とも合意ができております。そういった中で、ニーズに応じた充実改善ということで、制度をどんどん拡充というのじゃなくて、だめなところはつぶすし、いいところはさらに手を打っていこうというようなことで、ニーズに応じながら対応していこうという気持ちで、我々としては、こういった仕組みというのがぜひ必要だなというふうに考えております。

○原口委員 二千二百億ものお金をつぎ込んで十三億しか上がらない。ここにアンケートの結果がありますけれども、企業化の見通しがわからないのが六〇%、当初の目標どおりの成果が出るかどうかわからないというのが約一〇%、こういう状況の中で、やはり今おっしゃったような厳しい財政状況の中で、きっちりとした態度が必要だというふうに思います。
 私がきょう申し上げたかったのは、何でもかんでも官がやっていいというものではない。河村先生を中心にNPO法案を今国会に提出を予定されていますけれども、市民の活動そして民間の活動、それは原則をしっかりわきまえて、特例、特例、特例で進めていくような政治をもうこれ以上やってはいけないということをきょう申し上げたくて質問に立たせていただきました。

 大変厳しい中で誠意ある答弁をいただいたことをお礼を申し上げまして、質問を終わりたいというふうに思います。ありがとうございます。