逓信委員会

平成9年4月24日(木曜日)

○逓信委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。

○原口委員 おはようございます。新進党の原口一博でございます。
 質疑に入る前に、昨日解決をいたしましたペルー公邸の人質事件、ペルー政府の誠意ある対応、そして日本政府の御努力に心から感謝の誠をささげたいというふうに思います。あわせて、犠牲となられた方の御冥福と御家族様への弔意をあらわして、質疑に入りたいというふうに思います。
 まず大臣にお伺いをさせていただきますが、本法の改正の理由そしてその背景及び趣旨については、今さらりとお話しになりましたけれども、もう一度、今なぜこの三種郵便の緩和をなさるのか、その辺について大臣から御意見をお伺いしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

○郵政省郵務局長 先ほどの趣旨説明にございましたように、郵便事業というのは国営・非営利の事業を行っておりますけれども、国民・利用者の方々のニーズにできるだけ対応し、よりよいサービスを提供するということが責務であると考えております。そして、いろんな改善を時宜にかなってやっていくということが私どもの仕事であると考えておるわけですけれども、そういう観点から今回いろいろ検討した結果、改善できるところがいろいろあるということで提案させていただいているところでございます。

○原口委員 ありがとうございます。
 各法案の中身に入る前に、一つだけ御紹介したいことがございます。それは九十七年、ことしの二月二十一日の毎日新聞。立川志の輔さんという方が、「郵便局の地味さがステキ」ということで、郵便局が分割民営化するっていうことなんだけど、なんとなく寂しい思いがするのは、町のお地蔵さんがなくなるような気がするからなんです。理屈としてはわかるんですよ。競争した方がもっと利益があがるだろうしサービスも向上するだろうというのは。だけど私なんか郵便局に求めてたのは「利益」じゃないから。通帳の絵がミッキーマウスやピーターラビットじゃなくたって、利子が少なくたって、貯金した時にもらえるお礼が流しの三角コーナーの穴あきビニール袋であっても、腹は立たないんです。むしろ、そんな地味なつつましやかな態度に好感をもってたんです。銀行がバブルに浮かれているんな方面に手を出して失敗しても、郵便局はそんなことはないと安心していられた。
 私達が郵便局に求めてるのは、実直に生きてってほしいということ。博打好きの遊び人の証さん銀さんにお金を預けたら「アラヨッ、預かったよ。まかしといてくんねえな。こちとら江戸っ子でえ。半年後には倍にして返してやっからよ。楽しみにして待っててくんねえ。恥はかかせねえ」と威勢のいい啖呵をきってくれる。こういうことをおっしゃっています。
 私たちは今、効率化そして一部で民営・分割論なんというのもあります。その一方でこういう意見があるということも大事にしなければいけないというふうに思います。松下幸之助さんに、松下電器は昭和三十四年にコンピュター業界から撤退するんですけれども、そのことをお聞きしたことがあります。なぜコンピューター業界から松下電器は撤退するのか、これほど成長が見込まれているのになぜ撤退するんだということを松下さんにお聞きしたところ、新しいものと古いものは半々じゃなきゃいかぬ、何でもかんでも新しいものであってしまっては、経営体が、そして人心が乱れてしまう、ですから私たちは撤退したんだということであります。
 郵便局を取り巻く環境、そして効率化への要求、それは大変大きな、激しい、厳しいものがございますが、一方で、地域の二万四千六百ある郵便局にこういう期待をお持ちの方があるということも踏まえながら、以下の議論を進めていきたいというふうに思います。
 さて、とは申しましても、この三種郵便物制度に対して会計検査院並びに総務庁の行政監察局からそれぞれ指摘をされておりますが、それはどういうものだったのか、まずお尋ねをしたいというふうに思います。

○会計検査院事務総局第四局郵政検査課長 お答えいたします。会計検査院といたしましては、第三種郵便物につきまして、過去二回指摘をいたしております。
 一回目は、昭和五十四年度のものでございまして、これは院法の三十四条に基づきます処置要求事項でございます。具体的には、千部に満たないとか、そういった発行部数が少ない、あるいは特定の会員だけに送付しているといった、そういう法定条件を具備していないと認められるものがございましたので、まず、認可の審査に当たって法定条件を的確に把握できるようにという処置を要求いたしました。これが昭和五十四年度、五十五年のものでございます。それから二回目は平成二年度のものでございまして、これは院法の三十六条に基づきます意見表示事項でございますが、三種郵便は、もちろん御存じのように公共的な事項を報道するものでございます。しかし、その中にあって、商品の販売等を目的とするもの、巧みに法定条件を具備しているかのような編集方法を用いたりしているものがあったということをとらえて、認可後の監査体制を見直すようにという意見表示をいたしました。
 以上でございます。

○原口委員 そのときにたしか二十七件、平成二年のときに不適切なものがあった。これはサンプリング調査ですね。幾らの中からどれぐらいのサンプルを取り出して、そのうちの二十七件がどういう不適切な事案だったのか、もう一回、重ねてちょっとお尋ねをしたいというふうに思います。

○会計検査院事務総局第四局郵政検査課長 お答えいたします。
 平成二年度についてお尋ねですので、二年度についてお答えいたしますと、東京郵政局ほか二郵政局で、私ども人数が多くないこともございまして、千百九十件しか調査しておりません。そのうち二十七件を指摘いたしました。ただ、二十七件といっても、通数でいいますと膨大な数になってございますが、二十七件で十数億の指摘をいたしてございます。

○原口委員 このことを受けて郵政省は法改正に踏み切られるわけですが、そのときの法改正はどのようなものだったのでしょうか。

○郵政省郵務局長 平成二年度の会計検査院の御指摘を受けまして、平成四年に郵便法の改正をさせていただきましたけれども、これは、第三種郵便物の認可した定期刊行物がその後も認可条件を具備しているかどうかということについて、年一回定期監査を行うというような制度を導入しました。そして、そういう監査をするために必要な調査業務を郵政大臣が指定する指定調査機関に行わせる、そういうような所要の措置を講じたところでございます。
 それから、同時に三千通以上出すような第三種郵便物について、発行の都度、その定期刊行物を見本として郵便局に差し出していただきまして、そしてそこでまた監査をするという、そういうふうな制度改正も行ってきたところでございます。

○原口委員 そのとき、特に新聞協会からは、第三種郵便を大変多く利用されているわけですが、その中身に対して大変な御懸念があって、本委員会でも多くの議論を生んだところでございます。
 その後、新聞協会が御懸念のあったような事案、あるいは言論に対しての何らかの不都合なこと、そういったものについては郵政省としては把握をされていますでしょうか、それとも問題はなかったというふうに御認識をなさっているのか、お尋ねを申し上げます。

○郵政省郵務局長 平成四年のその監査体制を整備する法律の改正をお願いしたときに、新聞協会の方は、そういう新聞なんかの監査を行うということは言論の自由にかかわる重大な問題ではないのか、そんなことをやっちゃいかぬ、こういうお話だったわけですけれども、私どもとしては新聞の中身を監査しているのじゃなくて、第三種郵便物に該当しているかどうかということをやる話でございまして、御懸念のようなものはないというふうに申し上げていたところでございますが、それ以後、新聞協会あるいは新聞社等から自由を侵したとかなんとかいう、そういうようなお話は一切ございません。

○原口委員 御懸念のことはなかったということで前に進ませていただきますが、一方、この審査機関というのはどういうところでなさっているのか。どのような機関が指定されて、そして第三種郵便物制度に果たす役割は何なのか。最近、引き受け物数の推移を見ていますと、必ずしも好調とばかりは言いがたいような感じがいたしますが、全郵便物に対して第三種郵便物が占める割合、そういったところのデータをまずお聞きしたいというふうに思います。

○郵政省郵務局長 まず最初に御質問の、指定調査機関はどうなっているのかということでございますけれども、平成四年十一月に、郵便文化振興協会から指定調査機関にしてほしいという申請がございまして、審査の結果、その機関が適当と認められましたものですから、郵便文化振興協会に指定調査機関としてお願いをして、いろいろな調査をやっていただいているところでございます。定期的な調査を行うということで非常に事務量が多くて、郵政省でそれをやっていけないということでこのような指定調査機関に事務を委託してやっているということで、今のところ順調にその事務を指定調査機関でやっていただいているという状況でございます。
 それからもう一つ、第三種郵便物の状況ということでございますが、現在のところ、経済の状況だとかそういうこともあるかと思いますが、第三種郵便物自体の数というものはそんなにはふえておりません。むしろ数が少し減ってきているというのが現状でございます。しかし、これは年によってふえたり減ったりというようなこともございます。全体的にはそんなに、ほかの郵便物に比べてふえているというようなことではございません。

○原口委員 私は、その際、今おっしゃった財団法人郵便文化振興協会では、三種郵便の要件を満たすためには当該の八割の人たちが有料購読者であることが条件になっているというふうに思いますが、名簿を提出しないと、その八割が実際に購読をしておられるのか、そうではなくて無料配布をされているのか、どっちなのかというのはわからないと思います。逆にこれは、政党やさまざまな文化団体から言わせてもらえば、名簿を出すということは私たちの心臓部を出すということにも等しいわけでございますが、そういう心配のようなものはないのでしょうか。必ず名簿を出して、八割の人たちが有料購読をしていますということを立証する責任が三種郵便物を利用している人たちにはあるのでしょうか。お尋ねをしたいというふうに思います。

○郵政省郵務局長 先生御指摘のような心配はございますから、そのために、だれにでも調査をお願いするということではなくて、一定の資格条件が備わった機関に法律に基づいて調査を委託して、いろいろ企業のプライバシー等が侵されないように十分な注意を払っているところでございます。
 それから、必ずしも名簿を出して証明するということではなくて、提出された資料が、有料配布、あまねく発売されているということがわかればそれでよいというようなことで、御懸念のようなことがないように十分な注意を払ってやっているところでございます。

○原口委員 この第三種郵便物、文化の振興、そしてその趣旨に沿うような運用の仕方をやっていただきたいというふうに思います。
 財団法人郵便文化振興協会、これはただこの審査のために設立されたのではないですね。何のために設立されたのか、業務内容、そして人員構成、役員の方々がどういう方が役員になっておられるのか、次にお尋ねをしたいというふうに思います。

○郵政省郵務局長 郵便文化振興協会は、むしろ、もともとは全日本郵便切手普及協会と申しましまして、郵趣といいますか、そういうようなものを育てていこうというようなことが趣旨で発足した財団でございます。そして、業務の拡大に伴って名前も変更しまして、郵便文化振興協会、こういうようなことになっております。
 それから役員ですが、現在、理事九人、監事二名、職員数が約六十名程度で仕事をやっておりまして、その出身等は、民間の方、それから郵政省のOBなんかも入ってやっているところでございます。

○原口委員 もともと今お話しになったような経緯でできたわけで、昭和五十四年に「特殊法人の役員について」という閣議了解がされています。これはいわゆる天下り、そういったものを一定の水準に抑えよう、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者を、全特殊法人の常勤役員については半数以内にとどめることを目標とするという閣議決定が昭和五十四年十二月十八日に出ています。これはこういう財団法人にも適用されるのでしょうか。

○郵政省郵務局長 昭和五十四年に出ました「特殊法人の役員について」という閣議了解は特殊法人に対してでございまして、この協会は財団法人でございまして、この閣議了解の対象にはなっておりません。

○原口委員 私たちは今、橋本総理が六つの改革をお話しになって、そして政府の機能、行政の機能を見直していこう、積極的に行政改革をやっていこう、小さな政府をやって官と民の役割も見直していこう、その中で審議をさせていただいています。私は、その方向は間違っていないし、今思い切った見直しが必要であるというふうに思っています。
 ここに郵政省所管の公益法人の一覧をいただきました。この公益法人も、今御答弁になりましたように、郵便文化振興協会と同じようにこの閣議決定の範囲に当たらないのだというふうに考えてよるしいでしょうか。

○郵政大臣官房長 特殊法人や公益法人は全般的に官房の方で所掌しておりますので、私の方からお答えさせていただきます。
 今先生御指摘の公益法人につきましては、昭和五十四年に閣議了解がされました「特殊法人の役員について」という内容につきましては、これは適用になりません。基本的に、特殊法人と分類されるものが今先生御指摘されたものの適用になるものでありまして、公益法人というものは性格が違うものでございますので、適用にならないということでございます。

○原口委員 これは、ぜひ大臣にもお尋ねをしなければいけないのは、いわゆる天下り、天下りなのか天上がりなのかわかりません、優秀な知識を持った、専門の知識を持った方がその次にその知識を生かされるということは大事なことであろう、しかし、そこに無際限に、ある一定の基準なしにさまざまな公益法人をおつくりになって、そして行政がそれを維持すること自体に、公益法人がそれを維持することに目的を移してしまうとすれば、それは国民の福祉から大きく離れてしまう、私はそのように考えます。
 一 つずつ名前を申し上げますと、財団法人通信文化振興会、これは元東京地方貯金局長。郵政弘済会、元官房財務部長、これはトップだけです。それから郵政互助会、元東京貯金事務センター所長。郵便局ネットワーク高度化機構、この理事長さんは元郵政事務次官。国際通信経済研究所、元貯金局長。新日本ITU協会、元郵政事務次官。海外通信・放送コンサルティング協会、元郵政事務次官。日本郵便友の会協会会長、元郵政事務次官。読んでいくと、実にさまざまな形で郵政省の幹部の方がそのトップになられている。
 私は、このことがきっちり議論をされないと、ただただ官の中だけを、省庁を再編して、そしてスリムにしましたというだけでは、行政改革の実は上がらないのではないかというふうに思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。

○郵政大臣官房長 先生ただいま郵政省所管の公益法人につきまして、郵政省職員が退職後の再就職先として幾つかのポストについているという御指摘がございましたが、これにつきましては、先生御指摘の昭和五十四年の特殊法人に関する閣議了解が適用にならないと先ほど申しましたが、実は公益法人につきまして、これの運用の適正化につきましては、昨年の九月に閣議決定がなされております。これは「公益法人の設立許可及び指導監督基準」という名称で閣議決定がなされておりまして、その閣議決定の中の一つに、公益法人の理事につきまして一定の制限をかけております。例えば「所管する官庁の出身者が占める割合は、それぞれ理事現在数の三分の一以下とする」、こういった規定がございまして、郵政省にも幾つかの公益法人がございますが、残念ながらこの要件をすべてが満たしているというわけではございませんので、この適正化の指導監督基準に基づきまして、この要件を満たすように私ども今指導をしている、そういう状況でございます。

○原口委員 昭和五十四年のときから前に進んだ閣議決定がされて、それに沿った改善がなされているものというふうに思いますが、今幾つかとおっしゃいましたが、言葉の端をとらえるわけではないですが、幾つかではないのですね。もう本当に、今時間の関係で少ししか読みませんでしたけれども、ほとんどそういう財団の理事長あるいは会長にOBがお座りになっている。このことはやはりきちっとした見直しをやっていただかなければいかぬというふうに思っています。そして、これは一番最初の逓信委員会で御質問させていただきましたが、その財務内容や会計というものを、私たちの税金がそういうところに広義の意味で使われているというふうに思いますので、ディスクロージャーをしていくことが大事だというふうに思います。
 さて、四月二十二日に郵便局ビジョンの中間報告というのが出されました。このことについての御見解をお伺いをしたい。これは、郵政審議会が中間報告という形でおまとめになったものでありますが、御所見をお尋ねしたいというふうに思います、大臣。

○郵政大臣 郵政審議会に対する諮問は、高度情報化、少子・高齢化等の大きな社会経済の変化を踏まえまして、二十一世紀を展望した国民本位の郵便局サービスのあり方について御検討いただくようお願いいたしたところでございます。
 今回の中間報告は、郵便局は国民共有の生活インフラであり、情報、安心、交流の拠点として社会的に活用されるべきではないか、もう一つは、このため、国民本位の視点から、ワンストップ行政サービスあるいは生活設計型の自助支援サービスの実現など、郵便局事業の改革を行うべきではないかとされております。国民の立場から有意義な御提言であると考えておるところであります。
 郵政省といたしましても、審議会の御意見を踏まえながら、郵便局サービスを通じて国民が豊かで安心できる生活を享受できますように、地域に密着した郵便局ネットワークの一層の活用に努めてまいりたいと思っております。

○原口委員 私は、郵便局を国民共有の財産、ファンダメンタルだとされたこの考え方には賛成であります。
 ただ、官業のあり方をまず論じるときに来ているのじゃないか。まず、官業というのはどういうもので、どこに限る、あるいはそこに特化するというものがあってしかるべきではないか。行政改革の着実な推進が言われる中で、国営維持をうたう、むしろいろいろなサービスをやっていきますよという意欲にあふれた答申ではありますが、そのことは一方で、よく言われている民業の圧迫になってしまう。民ができることは民でやるべきじやないかという、そういう議論もございます。この中間ビジョンというのは、行政改革の理念に逆行するのではないかという意見がございますが、御所見をお伺いしたいというふうに思います。

○郵政大臣官房長 今回の郵政審議会に諮問した趣旨は、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、国民・利用者本位の観点に立って、二十一世紀を展望した郵便局ネットワークやサービスのあり方について御検討をお願いしたものでございます。
 中間報告では、国民共有の財産とも言える郵便局ネットワークを開放して有効に活用されることが国民の利益や簡素で効率的な行政の実現に資する、こういうふうに提言されているものでございまして、直接に経営形態のあり方について報告されたものではありません。今後、郵政審議会におきましては、最終答申に向けて国民の視点に立った論議が深められていくことを期待している状況でございます。

○原口委員 私は、その中でやはりきっちり論じていかなければいけない点が幾つかある。
 それは、郵便については、信書の送達が国による独占とされている。このことを果たして今後とも続けていくべきなのかどうか。独占的な経営が事実上行われることによって、そこに競争がなく、価格設定も、五%条項などというのを持ち出す気はありませんけれども、国民のサービスという面からするとまだまだ不満が残っているのではないか。
 郵便事業については、他の事業分野との競争関係というのは大変進展しつつあるわけでございますが、一層の事業効率化に対する姿勢というものが問われてくる。そういったものも、この中で、報告書の中で初めてお触れになっていますから、私はこの報告書自体は評価するものであります。
 今度、三種郵便というものを議論する中で、公企業であり、事業運営の経費負担を事業収入でもって充てるというのが収支相償の原則、郵便事業の収支の原則だというふうに思いますが、したがって、その損益計算上の収益と費用の伸びがほぼ同程度で推移するというのが望ましい姿だというふうにされています。この三種郵便の収支状況はどうなっているのか、そのことについて次にお尋ねしたいというふうに思います。

○郵政大臣官房財務部長 お答え申し上げます。
 第三種郵便物につきましては、先生御案内のように、社会政策的に低い料金の設定が義務づけられておるところでございます。具体的には、第一種郵便物の同一重量のものに比べて低くなければならないというような法律上の義務がございます。
 それから、実態的にも、先生ただいまお挙げになりました先般の郵政審議会の「郵便局ビジョン二〇一〇」でも触れられておるわけでございますけれども、毎日の新聞紙の配達、戸別配達でございますが、これなども過疎地域などにおきましては毎日郵便局の職員が配達をしておる、こういう実態にあるわけでございます。
 したがいまして、当然とも言えようかと思いますけれども、第三種郵便物の収支は赤字でございます。一番最近の数字で申し上げますと、七年度でございますけれども、収入が八百二十九億円に対しまして、費用の方が千六十八億円ということで、二百三十九億円の赤字ということになっておるわけであります。しかし、これは公共的な国の非営利の郵便事業の責務として今後とも続けていかなければならない仕事だと考えておるところでございます。

○原口委員 郵便事業全体の収支をずっと通年で見てくると、平成三年に赤字体質に転化していますね。この要因というのはどこにあるのでしょうか。

○郵政省郵務局長 先生御承知のとおり、郵便事業というのは非常に人力に依存している事業でございますので、人件費のアップ、それ以上に物数が伸びて収入が上がらないと郵便事業というのは赤字になっていく、そういう宿命を担っております。経済成長が非常に大きい時代は、郵便物数の伸びというのが非常にありましたので、健全経営というのが比較的易しかったのですが、その経済成長が鈍くなりますと、郵便物数が伸びない、一方人件費が非常に大きく伸びていく、そういうことになってきました。
 それで、平成三年ごろに、景気の鈍化によって郵便物数が伸びが非常に落ちてきた。一方、人件費の方は、現時点では非常に人件費の伸びというのは低くなっているのですが、平成三年当時はまだ好景気の時代を反映した人件費の伸びというようなことでございましたので、人件費の伸びの方が非常に大きくて、物数の伸びは非常に少ない、こういうミスギャップの時代になりまして、それで急速に赤字になってきた、こういう状況でございます。

○原口委員 赤字体質へ転化した理由というのはほかにもいろいろあると思うのですよ。その当時、全体がバブルだった。そして、さまざまな局舎の建てかえもあった。そして、今おっしゃったような人件費の問題もある。
 ところが、その後大幅な値上げをなさって、そして黒字に転換をしています。ただ、そのときは、我が党の神崎郵政大臣が、値上げ幅を生活者の視点に立って抑えるという努力をされました。また、今回も堀之内郵政大臣が、四百億の消費税の転嫁分は絶対に料金に転嫁しないんだという御英断をされた。このことは、国民のサービス、そういった点から高く私は評価するものであります。
 しかし、この三種郵便の規制緩和をすれば、また赤字体質をもっともっとふやしていくのじゃないか、そういう心配もあるわけでございますが、大体、この今回の法改正によってどれぐらいの量が新たに三種郵便の認可になって、そしてどれぐらいの収支の欠損が出るというふうに考えておられるのか、お尋ねをしたいというふうに思います。

○郵政省郵務局長 確実なことは申し上げられないのですけれども、雑誌の発行点数のうち、今回三種郵便として拡大していこうと考えているその割合が、要するに隔月刊行あるいは季刊刊行というような部分が、全体の中の一八・五%しかございません。ですので、今回の改正によって郵便事業の収支に及ぼす影響というのは、一方では、今まで三種郵便として使っていなかった方が使っていただくということで増収がある、一方で安い料金でサービスを提供するというマイナスの面とがある。両方兼ね合わせて考えますと、それほど事業財政には影響がないのではないのか、恐らく数億円程度のことではないのかなというふうなことを予想しております。

○原口委員 それでは余り経営に対する、収支に対する影響はないということだというふうに思います。
 また同時に、総務庁の行政監察も今回お受けになって、新たな経営の効率化、合理化についても御指摘があるやにお聞きしますが、その内容について総務庁の方からお願い申し上げます。

○総務庁行政監察局監察官 お答えをいたします。
 お尋ねの監察は、八年の一月に郵政省に勧告した、郵政事業につきまして郵便事業を中心とした監察でございまして、経営の合理化、効率化、あるいは経営情報のディスクロージャーという観点を中心として調査したものでございます。
 主な勧告事項といたしましては、まず第一に経営の効率化、合理化でございますけれども、郵便区につきまして、同一市町村に複数設置をされているという小規模な郵便区を統合してはどうか、そういったことなど、郵便区の統合を着実に推進するよう勧告をしたところでございます。
 また、要員の合理化ということにつきましては、取扱業務量が同程度の郵便局間で内務員の配置に格差が見られます。そうしたことから、業務量に対応した要員配置の見直しを行い、要員の合理化を図るよう指摘をしたところでございます。
 さらに、経営情報のディスクロージャーということにつきましては、近年行政情報の公開を求める国民のニーズの高まりがございます。そういったものにこたえて、収支情報など経営情報を現状以上に開示をするよう、そういったことについて検討するよう勧告をいたしたところでございます。

○原口委員 一層の経営努力、効率化の努力というのは必要なんだというふうに思います。
 ただ、私たちの手元では、どこにどういう努力をすればいいのかという資料がなかなかわかってこない。例えば、郵便事業における部外委託の現状、これは一体どうなっているのか。郵便物を運送する、あるいは郵便物を取り集める、小包を配達する、さまざまなところで部外委託をきれているというふうに思いますが、そこに果たして競争条件が入っているのかどうか、現状についてまずお尋ねをしたいというふうに思います。

○郵政省郵務局長 部外委託をすれば私どもがみずからやるよりも能率が上がるというような場合には、積極的に部外委託をさせていただいているところでございますが、主な部外委託としましては、郵便物を自動車だとか飛行機で運送するところは全面的に部外委託をしております。これは、郵便物運送委託法という法律に基づいて部外委託をしているところでございます。それから、郵便物の取り集めをする、ポストから集めてくる、そういう作業についてもかなりのところを部外委託しております。小包の配達という分野につきましても、大都市を中心に部外委託をしている。それから、これも部外委託と言っていいんだと思うのですが、例えば切手類の売りさばきを、郵便局でもちろんやっていますが、たばこ屋さんでやるとか、そういうような形で委託をしてやっているとか、いろいろ部外委託をしておるところでございます。

○原口委員 今お話しになりましたように、郵便物の運送についてはもう一〇〇%部外委託、これは、航空機とか鉄道とかいろいろございますね。
 それから郵便物の取り集めについては約三二%部外委託、そして小包の配達については四七%部外委託、その集配の運送費が総額が千七百八十億円というふうなところまではわかりました。しかし、それぞれの契約はどのようになさっているのか。随意契約をなさっているのか、それともある一定条件の競争の中で郵便物の取り集めのサービスを選んでおられるのか、実態をさらにお尋ねをしたいというふうに思います。

○郵政省郵務局長 私ども部外委託する場合は、官庁でございますので競争契約でやるということが大原則になっておりますので、競争契約を大前提としてやっております。
 ただ、郵便物運送委託については法律で競争契約というのが大前提になっておるのですけれども、ところが自動車運送については運輸省の管轄下になっておりますから、その中で行政庁の処分、運輸省の処分に基づいて料金が最初から決まっている、確定額になっているものは、競争入札をいたしましても料金が決まっておりますので意味をなさないということで、確定額になっておるようなものについては、競争入札をせずに随意契約を行うということになっておるわけです。原則は競争入札になっているのですが、自動車で郵便物を運送するようなところは確定額になっておるものですから、ここは随意契約で行っているということになっております。

○原口委員 大体その割合、原則は競争入札だというふうにおっしゃいましたけれども、千七百八十億円の集配運送費だけでも結構ですから、どれぐらいが競争入札で、そしてあと固定の部分というのはどれぐらいになるのですか。

○郵政省郵務局長 今具体的な数字は手元にございませんけれども、集配運送というのは、郵便物を自動車で委託してやっております。その委託のほとんどが要するに確定額でございますので、随意契約になっておるということでございます。

○原口委員 集配のほとんどの部分は随意契約ですね。そうすると、もうそこには効率化を図る余地とかあるいは競争というものはないわけで、ずっと委託をある一定の業者の方にお願いをするという形なんだというふうに思います。私たちはこういったところにやはりメスを入れていかなければいけない。しっかりと国民のサービスが、安価にしかも全国あまねくどこからでも郵便が送れる、これはすばらしい制度だと思いますが、その中でどこにコストの低減を求めるかというと、こういうところも見逃してはならない。これから積極的にディスクローズしていただいて、そして私たちこの逓信委員会の中でも、こういうところが減らすことができるということを国民の皆様にお示ししていかなければいけないというふうに思いますが、大臣の御所見をお伺いいたしたいというふうに思います。

○郵政省郵務局長 先生のおっしゃるとおりでございまして、実はこの貨物運送のところは、かつては認可料金という形になっていまして、運輸省がもうがっちり料金を認可していた。それ以降、届け出制料金というような仕組みになったのですが、届け出をした場合に運輸省が変更命令をかけるということで、運輸省の処分によって料金が確定する、こういう仕組みになっていて随意契約になっているのですが、実は私どもも非常に事業者にいろいろなことをお願いし、効率化を図っていただいて、諸物価が非常に大きくこの十数年間上がったところなんですが、この運送契約のところは一切料金を上げずに効率化を事業者の方に図っていただいて、料金を十数年間もう全然上げない、そういう努力をしていただいたところでございます。
 しかしながら、できるだけいろいろな効率化を図っていくことが必要でございますので、運送便の設定の仕方、それから載せる重量、それから待ち時間の短縮だとか、そういうことの面から、たとえ料金は確定額であってもいろいろ改善するところがございますので、いろいろな改善をお願いして、物量というのは上がってきているのですけれども運送料がそれほど上がらないようにいろいろ努力をしてまいりました。また、今後もそういう方向で、さらに運送事業者の仕事の効率化を図っていきたいというふうに考えております。

○郵政大臣 これまで郵務局長からも答弁申し上げたとおりでありますが、ただいま原口委員の御指摘のありました問題も大変大事なことでありますから、やはり総合的に効率化あるいは経費の節減を図っていくということで、これからも精いっぱい努力をさせていただきたいと思います。

○原口委員 今、大臣の御答弁にありましたように、さらなる御努力をお願い申し上げます。郵政と運輸のすみ分けというか、さまざまな連関というのも大事なことなんだろうというふうに思います。
 あと、残る時間で一つだけ問題提起をしたいというふうに思います。それは、効率化を推進する余り、それが、郵便局の皆さんあるいは逓信病院で働いておられる皆さん、その皆さんの働く環境にしわ寄せが来てはいかぬというふうに私は思う次第でございます。
 私は、ここで、サーカディアンリズムというものについて一考を要するというふうな観点から御質問したいというふうに思います。サーカディアンリズムというのは何かというと、人間というのは、生物の行動、夜寝て、朝起きて、昼活動して、そういう行動の中で、体内に生体時計がある、外部から遮断されていても、生体時計があって、そして一日二十四時間の固有の周期を持っている、この周期をサーカディアンリズムというふうに言うわけでありますが、この生体のりズムが壊れたときにさまざまな、ホルモンの異常ですとかあるいは代謝の異常、あるいは睡眠、覚せいの異常、それから心の不安というようなものがあらわれてくるというふうに思いますが、労働省さんと厚生省さんに、その実態をどのように把握をされているのか、お尋ねをしたいというふうに思います。

○労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長 お答え申し上げます。
 まず、労働大臣の諮問機関であります労働基準研究会労働時間部会の決定によりまして設置されました深夜交替制労働専門家会議というものがありますが、この会議の報告によりますと、深夜勤務時には、自律神経系の機能が乱れることから内臓諸器官に悪影響を及ぼすとの指摘があり、また、これに加えて、消化性潰湯については食事の不規則性から、また高血圧につきましてはストレスなどから深夜労働との関係が問題とされておりますが、各種の調査結果を見てみますと、深夜交代制動務とこれらの疾患の関係について、因果関係ありとするもの、なしとするもの、両方のデータがございます。したがいまして、明確な結論は得られておらないところであります。
 また、その後の国内外の研究報告についても、まだ明確な結論が得られていないと承知しているところであります。

○厚生省健康政策局看護課長 厚生省といたしましては、看護職員の確保の観点から、看護職員の処遇の改善の一つといたしまして夜勤の負担の軽減が必要であると考えておりまして、看護婦等の人材確保の促進に関する法律に基づきまして平成四年に作成いたしました基本指針におきましても、その必要性に言及しております。
 平成七年度の厚生科学研究におきまして、 看護サービスの安定した提供体制に対する研究が行われております。この中で、交代勤務の問題とこのサーカディアンリズムでございますか、その関係が報告されております。さらに、平成十年度の厚生科学研究では、この全国調査、測定に関しまして進めてまいりたいと思っております。

○原口委員 今、影響があるかわからない、両方説がある、そして研究を進めているということでございましたが、これから社会が大変複雑になってくる。そして、昼間働いている人だけではなくてさまざまな、郵便局の方もそうであります、夜、一生懸命頑張っておられる。あるいはナースについてもそうです。今回、十六時間労働なんということを厚生省さんもお考えのようでありますけれども、私たちは、まず生きているということを前提にさまざまな制度をつくっていかなければいけない。人間が集中をできる時間というのが十六時間にも及ぶとはとても考えられない。それにもかかわらず制度をつくってしまう。このことに対してもっと真摯な態度で研究を進めて、そして本当に影響がないのかあるのか、あるという報告書を私は山ほど持っているわけです。ところが、今、労働省さんにお聞きすると、両方考えられる。
 特に私が憂えているのは、夜、リズムが狂うことによって、心の不安を、さまざまな精神の障害までも引き起こしてくる。こういったことについては、労働者の立場から見逃せない事実である。
 組合と労働者がどういう契約をしたか、それは制度の問題である。制度の問題も大事だけれども、まず実態、夜勤が人々のそれぞれの体に及ぼす影響というものをきっちり調べていく、そしてそのことについての影響を公表していく、このことが必要ではないかというふうに思いますが、再びお願いをいたします。

○労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長 お答えいたします。
 交代制勤務などによります健康の影響の調査研究についてでありますけれども、労働省といたしましては、産業医学総合研究所におきまして、ラットに負荷を与え、生体リズムの変化によりましてそのホルモンの分泌の影響がどうなっておるかといったような動物実験によります基礎的な研究を現在行っているところであります。今後も引き続きこの問題に取り組んでいきたいと考えております。

○厚生省健康政策局看護課長 先ほどもお答えいたしましたけれども、看護サービスの安定した提供体制に対する研究というものを厚生科学研究で進めておりまして、この研究結果は全部公にされております。さらにこれを引き続き続けていきまして、その結果が出ましても、オープンにしていきたいと思っております。

○原口委員 看護婦さんだけではないのですね。
 看護婦さんが最も厳しい環境におられるというのは、私たちも現場を回ってみて大変痛切に感じます。逓信病院の看護婦さん並びに郵便でお働きになっている方々、その方々がおられなければ私たちの郵便は着かない。その労働条件のさらなる改善を求めたいというふうに思います。
 時間が参りましたので、最後に郵政大臣に、今後の郵便事業の展開に当たって留意すべき点、そして大臣の御決意をお尋ねをしたい。なぜこの郵便事業が国営であるべきなのか、そのことをこれから明確にしていかなければならない時期だ、あるいは国営でなくてもいいのか、そのことをお尋ねを申し上げまして私の質問にかえたいというふうに思います。ぴしっとお願いします。

○郵政大臣 郵便事業は、全国津々浦々あまねく公平にサービスを提供することを基本といたしております。山間僻地や離島など、採算のとれない地域であっても公平にサービスを提供するためのコストは、常に事業全体の収入の中で賄っていかなければなりません。このため、常に事業の効率化、合理化に努めるとともに、一方で郵便需要の拡大を図り、健全な経営基盤を確保しつつ、国営の事業として任務を果たしていくことが極めて大切だと心得ておるところであります。

○原口委員 質問を終わります。ありがとうございました。