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 文教委員会

平成9年5月17日(火曜日)

○文教委員長 これより会議を開きます。
 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。

○原口委員 新進党の原口一博でございます。
 教育については党派性はないというふうに思います。未来を担う子供たちをいかに健やかに育てていくか、こういう観点から、私は特に子供たちの心の問題に焦点を絞ってきょうは質問をしていきたいというふうに思います。
 今、大変な競争時代の幕あげに私たちはおります。二〇一〇年には世界の空を八億人の人たちが飛ぶ。そして、私たちの子供たちがさらされるのはアイデンティティーの危機。一体私たちは何者なのか、そういう危機の問題であるというふうに思います。また、私は逓信の委員でもありますが、NTT三法が通って、十兆円を超す資産を持つNTTがいよいよ世界の競争市場に出ていく。そして、金融ビッグバン、千二百兆円を超える個人資産、これが自由化をされる。そういう競争の中において子供たちにどういう心の変化が起こっているのかるのか。
 私は、専門の心理学で子供たちの心をずっと見てまいりました。子供たちの心を見る中で、学校に行って学ぶ喜びを知る前に、学ぶ大変さを子供たちが知ってしまっている。学校に行って友達と連帯する喜びを知る前に、同じ友達にいじめられる怖さを知ってしまっている。この現状を私たちは党派を超えて認識して、これに対する対策を練っていく、このことこそが私たちに課せられた役目であるというふうに思います。
 まず文部省にお尋ねしたいのですが、子供の心の問題について今どのような認識をお持ちなのか、基本的な御認識をお尋ねしたいというふうに思います。

○文部政務次官 今委員の言われたように大変な問題になっているわけでありまして、いじめ、登校拒否、そして保健室登校の増加など、児童生徒の心の健康問題は多種多様化しており、心の健康に配慮した学校保健活動や教育相談活動を推進することが求められているところでございます。今委員が言われたことは我々も大変重要なことだと思っておりまして、今、養護教諭や学級担任など、そしてまた学校医やスクールカウンセラーが協力しまして、何としてでもこのカウンセリングが円滑に進むように努力をさせていただいております。
 文部省では、今、養護教諭が児童生徒の心の健康問題に適切に対応できるよう研修の充実を図るとともに、スクールカウンセラー活用調査研究委託事業によりまして、カウンセラーとして臨床心理士、精神科医を含めた専門家の積極的な活用を図っているところでありまして、わけても前回の予算におきましてもスクールカウンセラーの予算は倍増いたしまして、何としてでも、この大変なことに対しまして、未来を担っていくお子さん方への対応をしっかりとやっていきたい、かように思っております。

○原口委員 政務次官から前向きの御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 実態をもう少し掘り下げてお話をしていくと、一つは、抑うつの問題があるんだろうというふに思います。
 これは、カリキュラムが大変多い。例えば、皆さんに丸を、ドットをぽっと見せて、人間が一編に認識できるドットの数、丸の数というのは七つだそうです。ですから、電話番号も七けたでありますし、交通標識も七つ以上の標識があった場合はそれを人間は認識することができない。
 ですから、私たちは、もっともっと人間工学に基づいて教育のカリキュラムの内容を−先ほど自由民主党の委員の御質問に対してカリキュラム、についても精査するというお答えがありましたが、今のたくさんのカリキュラムが子供たちに学ぶ余裕を失わせてしまっている。
 ここにある調査があります。生活状況と学校生活の調査でありますが、ふだんの学校の授業中楽しい気分でいることが多いですかという設問に対して、大体そうだと答えた人は半分いかないのですね。そして、余りそうではない、全然そうではないという答えが四五%以上に達している。これは一体どこに問題があるんだろうか。
 私たちはさまざまなカウンセリングを頼まれます。その中で、頑張りなさいという言葉を子供たちがたくさん言われ続けてきている。問題を起こす子供たちは学校についていけない。そして、親からも先生からもまた頑張れと言われて、自分自身も頑張らなきやいけない、思い切り自分の糸を張り詰めている。そして、また頑張りなさいと言われてその糸が切れてしまう。こういう状況をたくさん目にいたしました。ぜひ構造の改革を今こそやらなければいけない。この抑うつ、何かしなければいけないというもう強迫のようなこの観念自体を文部省としては取り除かなければいけない。
 先生たちも疲れている。この間、自社きの構造改革の中で先生の定員については言及がありましたけれども、先生は、一般の働く皆さんよりも二十五分眠る時間が少ないという報告もあります。
 子供も先生も両方とも疲れてしまう。このことは一体どこに原因があるのか。それは、先ほどの質問の中にもありましたが、戦後の詰め込み教育、こういったことを根本から洗い直すそういう時期に来ているんではないかというふうに思いますが、基本的な御認識をお伺いしたいというふうに思います。


○文部大臣官房総務審議官 先生の御指摘、大変重要な点だと私どもも認識しております。文部省におきましては、現在、中央教育審議会等の審議を踏まえまして、教育内容とか制度の見直しにつきまして改善を進めているわけでございます。
 例えば、御指摘の学校教育の内容につきましては、中央教育審議会の第一次答申を踏まえまして、教育内容の厳選と、みずから学び、みずから考える教育への転換と、とかく知識を教え込むことになりがちでございました教育をそのような方向へ転換するということを目指しているわけでございます。
 それから、現在、審議は最終段階でございますけれども、例えば高等学校の入学者選抜につきましても、いろいろな意味で子供に小さいころからいろいろ大きな影響を与えているわけでございますので、特に入学者選抜の方法、尺度の多様化を進めまして、ペーパーテストだけではなくて、いろいろな文化、スポーツ活動とかさまざまなボランティア活動などの経験とか活動を大事にしていくというようなことも現在審議を進めておりますし、近く提案をいただくことになっております。

 さらに、子供たちにも選択のいろいろな幅を拡大するということが大事でございますので、特に、子供たちがゆとりある学校生活の中でじっくり学ぶというようなことをより可能にしていくために、例えば中高一貫教育の選択的な導入というようなことも提言させていただくことになろうかと思います。
 そういうことにつきましての提言をいただきましたら、最終的に六月の末に答申という形を想定しているわけでございますけれども、文部省としましては、これらの点を積極的に対処してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。


○原口委員 政務次官にもお尋ねしたいんですが、こういう心理学の実験があります。一〇%できているパズル、半分できているパズル、九割方できているパズル、どれでもいいから選んでごらんと小学校一年生の子供に選んでもらいます。それで、伸びる子供というのはどういう子供かというと、九割のパズルを選ぶ子供ではありません。
 一割、ほとんどできていないパズルを、自分の力で、そして自分の頭で考えてやっていこうという子供が伸びます。これを、私たち心理学の言葉でコンビテンス、知的潜在能力というふうに言うんですが、今までのキャッチアップ型の教育は九割のパズルを子供に与えてしまっている、もう受け入れられないような情報量をたくさん授けてしまっている。ですから、私たちは、今のカリキュラムの三分の一でもいいと思うし、教育指導要領やあるいはさまざまなもので縛る、そういったことも必要ないんではないかというふうに思うんでございますが、政務次官の基本的なお考え方をお尋ねしたいというふうに思います。

○文部政務次官 今委員の言われたことは確かなことであろうかと思っております。
 これから未来を担うお子さん方が本当にやる気を持ってそして挑戦していけるようなそういうふうな精神を培っていく、非常に私は大事なことじゃないか、かように思っております。
 実は、私、文部省に入りまして一番最初に中央教育審議会で申し上げたことがあるんです。それはどういうことかと申し上げますと、審議会は、基本的にはこれはもう本当に一般の皆さん方の御意見を聞く、こういうことに基本的になっておるわけでありまして、今委員が言われたように、本当に未来を担うお子さん方が大変我々に救いを求めている、そういうことを考えるならば、命がけで真剣に委員の皆さん方も議論をしていただきたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。

 この答申にのっとりまして、我々も、これからも本当に未来のお子さん方の育成のために努力をしていきたい、かように思っております。

○原口委員 ありがとうございます。
 さらに私が今大変懸念を持っている問題は、情報通信の発達によって、サイバー上のバーチャルルリアリティーと申しますか、仮想空間が大変な大きな広がりを持ってきている。そして、シミュレーションシンドロームと言ってもいいかもわかりません、バーチャルリアリティーとそして現実との区別がつかなくなっている、こういう子供たちがふえてきている。いわゆるゲーム機器の発達、この中には、大変な暴力シーンやあるいはさまざまな性に結びつくようなシーンもたくさんあります。そういう中に子供たちが引きこもり、そして隣の友人とのきずながなくなり、個々が孤立化することによってそのバーチャル空間との結びつきがもっともっと深くなってくる、そして、あたかもこの現実が本当にあるかのようなそういう錯覚をしてくる。あのオウムの忌まわしい事件も、私たちが小さいころよくテレビで目にしていた怪人もののそれを全くそのままこの社会で行う。あるいは、今、神戸の須磨で恐ろしい事件が起こっていますが、犯罪が劇場化している。そして、テレビからのフィードバックをまた楽しむかのような犯行声明を送ってくる。
 こういう中で、私たちは、このシミュレーションシンドロームが子供たちの心にどういう影響を与えているのか、文部省はどのようにおつかみなのか、あるいは、この実態調査をこれからもっともっと進めていただきたいというふうに思うわけでございますが、このことについて、今現在でお知りの範囲で結構でございますから、どのように検討されているのか、お尋ねをしたいというふうに思います。

○文部政務次官 委員の言われることは確かなことでありまして、私も非常に常日ごろ危損を感じているところでございます。
 今、マルチメディアということで、各種多様なメディアによっているいるな情報が交差しておるわけであります。非常にインタラクティブな世の中になりつつある。委員もよく御存じのとおり、二0一五年にはもうすべて光ファイバーでつながりまして、大きく言うならば、もう世界じゅうがその光ファイバーによってつながっていく。そしてまた国内においては、基本的には、要するにこの電気通信を通じて、地域間格差であるとか、そしてまた多極分散に従いまして、文化、スポーツ、医療、あらゆることにつきまして相互通信を重ねることによって格差をなくしていく。これは非常に性善説に立った考え方でありますけれども、逆に言うと、今委員の言われたような大変悪意に使われる可能性もこれはあるわけでございます。
 そういう意味におきまして、文部省といたしましても、文化であるとか教育の部分につきましてしっかりとした監視システムをつくっていかなくちゃいけない、こういうふうにも思っておるわけでございます。
 細かいことにつきまして、また役所の方からも報告さしていただきます。よろしくお願いします。

○文部省初等中等局長 いわゆる情報化の進展というものに対しまして小学校、中学校、高等学校の段階からどのように子供たちに教育をするかというのは、一つの大変重要な課題になっております。
 今先生から、いわゆる仮想空間、仮想体験と実体験の混交ということの御指摘があったわけでございますけれども、一方で、今後の社会の変化を展望するときに情報化というこの大きな変化は避けがたい、したがって、小学校、中学校、高等学校を通して、いわゆるコンピューターになれさせる、あるいはコンピューターの基礎的な知識を身につけさせる、あるいはこれを応用する力を培う、こういうことも一方で必ず必要になってくるであろうということを考えながら、一方で、そのことによろいわゆる影の部分、これに対してどう対応するかということが大変大きな課題になってございます。
 ただいまのような問題意識を持ちまして、私どもも、教育課程審議会の中でも、この情報化に対応してカリキュラムはどうあるべきか、あるいは指導方法はどうあるべきか、特に実体験をもっとふやす必要があるであろう、あるいは、教え込む内容は少なくしても、子供たちがみずから考え、判断し、行動するといった力を培うということが必要なのではないか。さまざまに議論がなされているところでございますけれども、そういった教育課程審議会の議論、それからいろいろな研究指定校等がございますが、そういったところでのさまざまな調査研究の成果というようなものも私ども持ち寄りまして、先生の御指摘、大変いわば深刻な問題だという認識を持ちまして、今後十分対応に遺憾なきを期していきたいというふうに思っております。

○原口委員 ぜひ実態の調査をやっていただきたい。
 そして、この八月には、人権侵害の委員会、マスコミが、メディアの方が、NHKさんと民放さん、自分たちで人権侵害の救済機関をつくっていこう、苦情機関をつくっていこうということも行われています。しかしこれは、一部のゲームソフトやインターネット上ではんらんしているようなものについては何ら制限を加えることはできない。私たちは有害図書を追放するという運動やってきましたけれども、しかし、もうその手に負えない部分がどんどん広がってしまっている。

 一方で、子供たちにその耐性、それに耐える力をつくらなければいけない。しかし、実態がどのようになっているのかということを文部省さんにもお尋ねしますが、なかなか現実に実態が追いついていないというのが現状だというふうに思います。ぜひ、子供たちの心にどういう影が忍び寄っているか、しっかりとした調査をやっていただきたい。
 今日本の国では、百人に一人が心の病を持ち、十人に一人が何らかの心の不安を持っている。最もセンシティブに反応をしているのは子供たちだというふうに思います。自分たちのアイデンティティーを確立することができないために、自分は一体何者かということを知るために自分より弱い人間をいじめる、これは最も安直な自己同一、自分のアイデンティティーを確立するための手段であります。いじめが今のような陰湿化する中で、ぜひこの調査をお願いしたいと思うのですが、政務次官、いかがでしょうか。


○文部政務次官 委員の言われたこと、非常に重要なことであろう、かように思っております。
 先ほど民放であるとか、そしてまたNHKの問題を出されましたけれども、これはいろいろ民放連の方でも随分議論をして、そしてまた放送におけるそういう暴力の問題であるとか人権侵害の問題、これも今委員御指摘のとおりでありまして、民放連のみならず、やはり自浄作用を高めるという意味においてはNHKも中心になってやっていかなくちゃいけない。文部省の方といたしましても、これは非常に重要、ゆゆしきこの問題でありますから、実態がどういうふうになっているのか、今後とも注視していきたい、かように思っております。

○原口委員 ぜひこの問題については、また私たちも後でさらに政府に対してどうなりましたかというお尋ねをしたいと思います。
 さて、残すところあとわずかでございますので、論点を変えて、これだけ心の問題が、二十一世紀に私たちが克服すべき問題が幾つかある。それは、民族や宗教、国家というものを超えた意識をつくる、その前に、日本の国は一体何なのか、日本人というのは何なのかという日本のアイデンティティーをつくる。今まで東西冷戦がございました から、一回中央にお金を集めて、そしてそれを分配する、私たち自由主義陣営はそれでもって日本の均衡ある国土の発展をやってきたわけでありますが、それがもうデッドロックに差しかかっている。もうそういうやり方が今までどおりいかなくなっている。
 その中で、私はぜひ文部省にここで強く要請しておかなければいけないのは、脳と心の科学の問題、この問題についてはどのような研究を今されているか。
 大変大事な問題でありますが、例えば今私がお話をしたような心の、異常心理の問題について、医学部でやられていたり、あるいは教育心理でやられていたり、また基礎的な心理学については文学部でやられていたり、あるいは情報工学となれば工学部でやってしまっている。ですから、これだけ心の問題が深刻になり、そして大変重要な課題を呈しているにもかかわらず、学際的な取り組みというのが我が国においては行われていない。
 そのことについて大変大きな危機感を私は持っておるわけでございますが、文部省としてどのような御認識をお持ちなのか、お尋ねをしたいというふうに思います。


○文部省高等教育局長 現代社会に生きております大人あるいは子供の心の問題あるいは心のケアの問題につきましては、大変幅広い問題を含んでおるというように思っておるわけでございますけれども、この分野といたしましては、今先生御指摘のように、心理学等の分野が最も関連の深い分野ではなかろうかというように考えておるわけでございます。 したがいまして、この分野の教育研究を実する、それからこの分野の専門家を養成するということが大変重要な課題になっておるというふうに思うわけでございますが、実態はというこについてのお尋ねでございます。
 主として、今先生も御指摘になられましたけれども、教育学部とかあるいは文学部に置かれる心理学科を中心に進められてきておるわけでございすが、最近の傾向といたしましては、人間学部がありますとかあるいは社会福祉学部等の新設の学際的な学部におきましても、福祉心理学科等の心理学関係の学科を設置する例も見られてきておるわけでございます。これらを含めまして、平成八年現在の数字でございますが、全体としまして、三十八大学四十学部四十二学科等に心理学科とかあるいは教育心理学科等が設置されておるところでございます。これらの学科におきましては、教育心理学、発達心理学、社会心理学等の幅広い心理学関係の授業科目を開設することによりまして、多角的な教育を行っているというように承知しておるところでございます。
 今申しましたのは学部レベルでございますけれども、特に専門家の養成ということになってまいりますと、やはり大学院レベルということにもなってまいります。学部段階におきます学習を基礎としまして、大学院段階におきまして、近年、心理学関係の研究科の整備充実も進められてきておるところでございまして、やはり平成八年の数字でございますけれども、全体としまして、三十九大学四十四研究科四十六専攻に心理学研究科、教育学研究科等が設置されているところでございます。

 先生の御指摘の分野というのは大変幅広いところでございますので、多分一つの学科だけですべて賄うというような性格のものではなくて、いろいろな角度からこの問題を掘り下げていくという必要があるかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、それぞれの大学の主体的な判断のもとでこのような問題についての教育研究が充実されますように、私どもとしても今後適切に配慮してまいりたい、かように考えておるところでございます。

○原口委員 例えば今医療改革の問題が一方で議論をされていますが、精神神経疾患に要する医療費というのは全体のどれぐらいの医療費になるのかというと、一八・七%。これは平成五年度でありますが、一八・七%も占めている。そして、私たちは、なかなか心の病というのはだれに相談しようもない。ですから、ここまでひどくならなくても済んだのにというような人たちが、いよいよにっちもさっちもいかなくなって病院に駆け込む。そのことは、ひいては私たちの医療費を圧迫している、私たちの税金にはね返ってくる、こういう状況があるというふうに思います。
 今心理学科がどこにあるかというのをるる述べていただきました。私が申し上げたいのは、それを学際的に研究する拠点というものがないということなのです。心理学部というものがあってもいいし、あるいは脳科学の面あるいは心理学の面、社会科学の面あるいは情報工学の面、そういう面を統合した研究の拠点を誘導しておつくりになるお気持ちはないのかということをお尋ねをしておるわけでございますが、政務次官の前向きの御答弁をお願いしたいというふうに思います。

○文部政務次官 委員が今言われたことは、全体的にはそのような方向で進んでおろうかと思います。今社会も非常に多種多様化しまして、各学部であるとか、今脳と心の要するに連携のお話がございましたけれども、例えばそういうことになりますと、今委員が言われたとおり、医学部であるとか理学部であるとか、そしてまた大きく言うならば工学部、農学部、あらゆる学部が基本的には一致していくわけでありまして、今の高等教育におきましても、基本的にはそういう方向に向いておるわけであります。
 ただ、目的的な研究ではありませんで、これは本当に基本的な、基礎的な研究でもあるわけであります。そういうことを考えますと、大きな意味で、これからも大きな検討課題として、委員の言われたような方向も検討の価値はあるのではないか、かように感じておるわけでございます。


○原口委員 検討の価値はあるとお認めいただいてありがとうございます。
 私たちは、今ここに「脳の科学とこころの問題特別委員会報告」、平成七年の十月二十六日、日本学術会議、委員長は大熊輝雄さん、国立精神・神経センターの名誉総長でありますが、この方が委員長になってまとめられたレポートを手元にいただいています。
 その中でも、やはり文部省の研究の中でもぜひここに力を入れて、重点的な、さまざまな医療の問題もあるいは学校教育の問題も、そのもととなる心の研究というものが総合的にやられないとこれは前に進んでいかないんだ、子供たちに不必要なさまざまな情報を与えてしまっていたり、今までどおりのキャッチアップ型の教育をやっている、そのことを根本から改めるためにも基礎的な研究の必要性というのを、ずっと数ページにわたって書かれています。
 ぜひ、検討の必要があるということをお認めいただいて、これを一歩先に進めて、検討機関をつくってやりますよ、心理学部というようなもの、学際的な、今はそれこそ日本の中においてはこの国立精神・神経センターというのは唯一の学際的な機関だというふうに言ってもいいかもわかりませんが、そういったものをつくるんだということを、もう一歩先に答弁を進めていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょう。

○文部政務次官 委員の言われることは確かにごもっともなことでございまして、法律的な間題そしてまた予算措置の問題もございますので、ただ、ぜひ御理解をいただきたいのは、先ほど私が申し上げたとおり、委員の言われたお子さん方に対するいろいろな心理的な問題であるとか多面的な研究、これは、本当に私は基礎研究によらなくては実現しないことであろう、かように思っております。
 と同時に、はっきり申し上げまして、大学等で、非常に若い方々がたくさんいらっしゃるところで、やわらかい頭で、そして本当にお子様の気持になって考えられるような頭脳が集結をして基礎研究を続けなければ、なかなか難しいことではないか。
 私は、そういう意味におきましては、文部省といたしましても、心理学のみならずあらゆる基礎研究につきましても本当に委員の言われたような形で集結をして、例えば各学部だけではなくて、もう集結して、それに関係するような方々が集まって共同研究機関のような形で進めていくのが本筋じゃないか。検討に値するというのはそういう意味で申し上げたわけでございます。

○原口委員 一歩先に進めた御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。
 もう質問を終えさせていただきますが、私たちは一体だれのために教育をやっているのか、そして何のために教育をやっているのか。ぜひ、子供たちが学ぶ喜びを学校の中で本気で感じられるような−だんだん教育を受けるたびに顔がゆがんでくる、しかめっ面なお顔になる。教育を受けられるというのは私たちにとっては大変大きな喜びであるはずなのに、それがなぜ我が高等教育の中では、中学校、高校、大学と進むにつれて反対になってくるのか。

 これは私たちが真剣に取り組んでいかなければいけない課題であるということを御指摘させていただいて、きょうは本当に前向きの御答弁ありがとうございました、私の質問にかえたいと思います、ありがとうございました。