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○予算委員長 これより会議を開きます。
平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算、平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君
○原口委員 民友連の原口一博でございます。
総理並びに関係大臣に、今議論がありました財政構造改革法について、特に経済の危機管理ということに焦点を当てて御質問をさせていただきたいというふうに思います。そして、後段では、総理が施政方針演説で何回も触れられました心の教育、心の危機の克服ということについて、関係大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。
まず、財政構造改革法案の審議の中で、この財政構造改革法の性質をよくあらわした答弁がございました。これは特別委員会の中の大臣答弁でございますが、小泉厚生大臣の答弁です。
厚生省予算がなぜ減量されたのか、そういったものを質問した委員に対して、小泉厚生大臣はこういうふうに答えておられます。
日にちは忘れましたけれども、財政構造改革会議に出てこいという会議がありまして、厚生大臣としてその会議に出席しました。そのときに、政府歳出を削減しなさいというのをみんな賛成しているけれども、厚生省予算というのは大変なんですよ、みんな総論賛成と言うけれども、もし来年の予算を一般会計歳出マイナスにするということで各省庁マイナスにやるんだったら、一番反対が出るところは厚生省予算だと思う、本当にできるのですか、厚生省関係予算を前年度マイナスするのは容易ではないというか、ほとんど不可能ですと申し上げました。どうしてもやるんだというので皆さんが決めて一番反対するのは恐らく与党ではないかと言ったことがございます。しかし、最終的に、恐らく私のそういう発言も取り入れてくれたのでしょう。来年度予算は、九年度に比べて一般歳出はマイナスにするけれども、厚生予算はマイナスにしない、三千億円増を認めるという結果が出ました。これでみんないいですね。いいというならやりますけれども、やって、後で驚かないでくださいよということは申し上げておきました。
こういう答弁でございます。
非常に率直な御答弁で、財革法の性質をよくあらわしているというふうに思います。後で驚くなよと言って帰ってこられるあたり、小泉厚生大臣らしさがよく出ているのだろうなというふうに思います。
私は、ここで総理に指摘しておきたいのは、財政改革会議のメンバーが後で驚かれようが、あるいは与党の皆さんが驚かれようが、それは私たちのあずかり知らぬことであります。しかし、最も驚き悲しむ人が、病人やあるいは障害で苦しんでおられる人であるとすれば、これを私たちは容認することはできません。先ほど議論の中にありましたが、キャップをかぶせてある、このことが、最も社会的に弱い立場の人たち、あるいは地方で頑張っていこうという人たち、その人たちを直撃する予算を、そのデフレ予算を私たちは今審議しているのだ。
総理は何回も、この予算を通すことが経済を順調にする、まずその試金石だということをおっしゃいますが、私は、この小泉厚生大臣の答弁からうかがい知る限り、そうではない。これが通った後に一体地方はどうなるのだろうか。障害を持った人たちはどうするのだろうか。あるいは、病気で苦しんでおられる方はもっと不安になるんじゃないだろうか、そういうことをまず指摘して、幾つかの質問に入らせていただきたいというふうに思います。
私は、総理、経済の危機管理というのは、最悪のシナリオを想定して、それを回避できるように対策を打つことが基本だというふうに考えます。
財革法のときに、この場で、私は三塚前大蔵大臣に御質問させていただきました。十月の二十九日だったと思います。そのときに、財革の委員会の中で、今は平時だけれども、平時のときに有事に備えるのが孫子の兵法なんだ、だから有事に備えているんだということをおっしゃいましたが、私は、そうではない、もうあの時点で既に有事に入っていたというふうに思います。
お手元に資料を、委員長、配らせていただいております。資料1は、九月二十二日にIMFがインターナショナル・キャピタル・マーケット、「国際資本市場」というレポートの中で指摘した事項でございます。このころは、まだ我が国にも主要二十行ございました。「主要二十行の不良債権は、公式統計では貸出総額の五%弱と見積もられているが、本当の額はもっと多いかもしれない」。そして、この不良債権の処理をずっと、フォーベランスポリシーと申しますか、低金利によって耐え忍ぶことでずっと先延ばしにしてきたことが、結局は不良債権問題に対して解決のタイミングをおくらせてしまったんだ。そして、どこに本当の不良債権があるのかということをわかる、そのモチベーションを失ってしまったんだということを言っています。
また、先ごろの委員会で、私は総理に質問させていただきました。それは、総理が本通常国会の中で何回も御答弁になったことであります。それは、アジアの通貨危機の問題であります。
アジアの通貨危機、あのとき私が質問をさせていただいたときには、今IMFのプログラムが進行中だからお答えは控えさせていただきますというのが総理の御答弁でございましたが、もうあのときにアジアの通貨危機は引き返しのつかないところまで来ていたんではないだろうか。昨年の四月の終わりにタイのバーツが下落して、それから大体一カ月ぐらいすると為替のそういう乱高下というのはおさまる。ところが、それがなかなかおさまらない。
この財革法を閣議決定されたのは六月三日ですから、その時点でこの危機を予測してくださいとは申しません。しかし、九月において、あるいは十月において、もうその危機は顕在化していたんではないだろうか、そのことを強く思うわけでございます。現に、九月に我が国は、タイに対して輸銀を通して四十億ドルの支援を行っている。そして、IMFも同じように四十億ドルの支援を行っています。これは、クオータの五倍という大きな額でございます。
私は、まず総理に、経済の危機管理の基本をどこに置いておられるのか、そのことについて総理の御所見をお尋ねしたいというふうに思います。
○内閣総理大臣 これは、私は別に議員に対して反論をいたすのではございません。事実問題として申し上げたいことですが、あのとき、確かに議員からアジアの通貨危機に対しての問題提起がありまして、具体的にタイのバーツを挙げられたものですから、私は、お答えはここでは勘弁していただきたいということを申し上げました。
それは、タイではございませんけれども、他の国にIMFのスキームを受け入れさせるかどうかによってその後の対応が全く違う。その中で、国際社会から日本に、その国にIMFの構造調整プログラム受け入れについての協力要請を受け、受けたと言ってはいけないんでしょう、そういう中で私自身が一つの役割を果たしておるときでありましたし、そういうことが表に出ること自体がいいことではございませんから、大変申しわけありませんが、お答えを控えさせていただきました。その上で、問題意識がなかったのではございませんということは申し上げておきたいと思います。
そして、間違いなく、最悪のシナリオという言葉を今議員は使われ、それを回避するように考えるのが基本ではないかと言われましたけれども、私は、まさに民間需要中心の経済成長というものを安定的に実現していきたい、政府は常にそういう意味での経済運営には万全を期してきたと思います。また、私自身、現在そういう思いであります。
同時に、市場に立脚する経済、なかんずく国際化の進んでおります今の経済の中におきまして、経済変動というものを除去できないということも、これは間違いありません。
我が国自身も、急激な円高、バブルの発生、崩壊、そして、その混乱の中における再び急速な円高、下落、為替の変動というものにも見舞われてまいりました。この中には、日本自身で克服できる、また、しなければならないものもございました。それを私は隠しません。しかし、日本だけで対応できない要因があったことも間違いありません。
そういう中で、我々が今やらなければならないことは、まさにその金融システムの安定と景気の回復、そして経済構造改革を初めとする構造改革、そういうものを進めていく。その必要性については、私は議員に異論を申し述べるものではありません。
ただ、最悪のシナリオと言われました部分に対しては、それを想定し得る場合、し得ない場合、想定していてそれに対応する措置を公表できる場合、できない場合、さまざまな場面があることだけは御理解をいただきたいと思います。
○原口委員 当時の総理のお立場はわかります。
ただ、私たちは、きょう、ちょっとパネルを持ってまいりました。
これは、もう先進諸国では、今総理がおっしゃった構造改革、自由主義的な改革をやるということは、ある意味じゃ決着がついている。やるかやらないかということは、もう決着がついている。私たちもやるべきだというふうに思います。
ずっと長い間、市場経済の失敗を補うために、公的部門が拡大を続けてきた。その公的部門で、今度は失敗が起こった。その公的部門の失敗、あるいは癒着、官僚政治、そういったものから脱却するために、市場や政治や、あるいは地方に分権していこう、こういう自由主義的な改革はやるべきだということは、もう決着がついている。だけれども、その改革をこれからどういうふうに行うかが、私たちがずっと議論をしてきたことだというふうに思います。
先ほど海江田委員が質問をされましたように、一直線で財政構造改革に突っ走ったときに、果たしてこの国がまだそういう余力を持っているのだろうか。大変大きな経済の国が、我が国だけの財政構造改革にとらわれて、そして、今回G7に行かれた松永蔵相が正直におっしゃった。財政構造改革法案の中で精いっぱい知恵を出す、このことが大事なのです。ところが、この中でやれることは非常に限られているのではないだろうか。また、現実に、もう処理のスキームがいろいろなところで破綻をしてきているのではないだろうか。
きょう、ここにお示しした要調整額の推移は、先日、当委員会に大蔵省が出された数字を単にグラフにしたものであります。先ほど海江田委員がお話しになりましたように、二〇〇三年では、一般歳出の伸び率を最大二%にして、名目成長率が一・七五%の場合は、八・一兆円もの歳入歳出ギャップが出てしまう。これは仮置きしたものですから、単なるシミュレーションだろう。三・五%の場合は、五・三兆円の歳入歳出ギャップが出る。
これはどこで埋めるのですか。埋めることができるのか。財政構造改革ということで、後世に負担を残さない、そのことをやったけれども、実際には負担はかえってふえてしまうのじゃないかというふうに思うわけでございます。
大蔵大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
○大蔵省主計局長 中期財政試算においてお示ししてあります要調整額でございますが、これはあくまでも機械的に計算したものでございます。それぞれの要調整額は、毎年度の予算編成の過程におきまして歳入歳出全般を見直して、最終的に要調整額をゼロにしていくということでございます。
ですから、例えば先生御指摘の平成十五年度のケースでございますが、これも例えば、歳出を二%からゼロ%にして、それから成長率が名目三・五を維持した場合には、八・一というものが二・六ぐらいまで減るとか、それから、このほかに歳出の、十年度予算案でもそうですけれども、国債費とか地方交付税、一般歳出だけでなくて、税外収入等を含めて、毎年度予算編成で見直して要調整額を減らしていくということでございます。
○原口委員 恐らくそういうお答えになるだろうというふうに思いまして、私は、前回、昨年の国会で皆さんがお示しになった要調整額、そのときより今の方がこのギャップが埋まっていればいいですよ。ただ、たった三カ月で、このギャップはもっともっと広がっているじゃないですか。
そして、実体経済を先日たくさんの委員の方がお話しになりました。私も九州で、朝電車に乗っていると、今まで私のふるさとの町でお仕事をなさっていたはずの方が、電車をたくさんお待ちになっている。なぜか。これは、自分の町でもう仕事がないからです。どうしてこの電車に乗るのですか、出張ですかと聞くと、いや、もう自分の事業所は閉鎖されたんだ、隣の福岡市でしか仕事ができないんだ、そういう状況になっています。
あるいは、自殺をする人たちも随分ふえてきている。自殺のさまざまな理論、デュルケムの自殺論というのが有名ですけれども、人間はどん底のときには死なない。どん底から少し上がったときに、ほのかに光が見えたときに、その光を切られたときに、たくさんの人たちが死んでしまう。もう悲鳴に似たような声が私たちの耳に入っています。
現に政府も、この財革法の処理スキームを変えなければいけない、そういう声が与党の中からも出ているじゃないですか。このことにいつまでもとらわれる必要があるのかどうか。
もう一つ、別の視点からお尋ねをいたします。
資料2です。資料2は「国民負担率の推移」、これも大蔵省がきのう私にお出しいただいた数字でございます。財革法の六条の六は、言うまでもなく、国民負担率を百分の五十に抑えるんだということを明示いたしています。ところが、もう既に、この法律が通ってから間もないというにもかかわらず、平成十年度では五〇・七%になっている。これは財革法の違反になるのじゃないですか。
これは大蔵大臣に聞きたいのですよ。これは大変な重要な問題なんです、国民負担率。
あのとき私たちは何を言ったかというと、国民負担を上げないということがどこかに明記されていなければ、後で増税することによって、国民からこの歳入歳出ギャップを埋めていただくことができるのです、それはないでしょうねという話をして、そうしたら答弁はどうだったかというと、いや大丈夫ですと。この六条の六があります、六条の六で国民負担率については一定に抑えていますから、それを超えることはありませんという答弁でしたが、これは違反になるのですか、ならないのでしょうか、大蔵大臣。
○大蔵大臣 お答えいたします。
高齢化が進展していきますと、委員よく御承知のとおり、国民負担率は長期的にはある程度上昇していくことは避けられない、こういうことでありますけれども、しかし、極力その上昇を抑えていく必要がある。こういった考え方で、踏まえるべき留意点の一つとして、国民負担率を五〇%を超さないようにと、留意点として掲げたものだというふうに私は理解をしております。
○原口委員 法律にはそうなっていません。留意点なんてどこにも書いてありませんよ。六条の六をごらんになってください。これは方針だと書いてあるわけです。
きのうもレクチャーの中でそんな話をされた。ところが、去年の、平成九年の三月十八日、財政構造改革五原則ということを皆さんは確認されたんじゃないでしょうか。この中では、国民負担率(財政赤字を含む)が五〇%を超えない財政運営をする、これが原則だというふうに言われたんじゃないでしょうか。そのことが、いやいや、これは留意事項であると言うんだったら、これはこの後の質問は入れません。幾らでもこの間を増税で埋めるということじゃないですか。
大臣、もう一回御答弁をお願いします。
○大蔵大臣 平成十年度で五〇・七ということになる点についての御指摘だと思うんですが、これはもう委員も御承知と思いますけれども、国鉄長期債務の問題、そして国有林野累積債務の問題、これを処理するという関係から一時的に膨らんだものであるというふうに理解をしております。平成十一年度はそれがなくなりますので、国民負担率は五〇%以下になるというふうに見ておるわけであります。
○原口委員 何で膨らんだかというのはわかります。今大臣がおっしゃったとおりです。
ところが、現にこの六条の六の、もう文面を読んでも結構です。「国民負担率を百分の五十を上回らないように抑制すること。」というふうに明記されているんです。
それから、先ほど、これはもう一回視点を変えますと、GDPの、二〇〇三年の三%、これは、毎年毎年赤字国債は減らすべきだということをさっき主計局長おっしゃいました。建設国債については、これは縛りがかかっていないと言いますが、二〇〇三年の目標時においては、これはやっぱり縛りがかかっているんですね。それで、非常に限定的な、手や足を縛られた中で私たちは経済運営あるいは財政運営をしなきゃいかぬ。わざわざ自分たちで自分たちの手や足を――私は、何回も申し上げています。この六月三日の閣議決定の時期には、こういうたくさんの金融機関に金融不安が広がることも、あるいは通貨危機が伝染病のように広がっていくことも。
私は、きょう実は財務官に、政策転換とはどういう意味でお話しになったかということを聞きたいということできのうお願いをしましたが、大変危機的な状況がいろんなところで起こっている、まあきょうは忙しいんで勘弁をしてくれということでございます。
そういう状況であるにもかかわらず、まだ財革法にこだわろうとされるのか。私は、ここは総理御自身の、虚心坦懐に御自身の胸にお聞きになって、この国民の今の経済を救おう、そのためには、私たち野党にもあるいは積極的にお働きかけになって、きのう神崎委員の質問については、弾力条項について少し勉強してみたいということを御答弁になったと思いますが、財革法をこのままにして、またその後、補正だ何だのと言っても、補正もこの財革法の中での話になってしまう。
小さなコップの中の話を私たちはしているわけではありません。そうではなくて、本当に大事な国民生活が危機に瀕している、そのことに思いをいたしていただきたい。
総理、どのように御検討なさるのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
○内閣総理大臣 今、議員から幾つかの点についての御指摘がございました。
しかし、私は、議員も財政構造改革の必要性を否定はされないと思います。そして、その上で、今まで私が繰り返してきた答弁も御承知のとおりであります。そして、それを、別に今また私はここで繰り返す愚かさは避けたいと思いますが、今、議員が、例えば国鉄の長期債務、国有林野の累積債務の処理で、確かに一時的に国民負担率五〇%を〇・七%超えているということを御指摘になりました。
留意すべき事項として掲げております点に、厳密に言うならば、確かに瞬間風速でこれは問題があるのかもしれません。しかし、長い目で見て、これはこの国の将来のために必要な措置だと私は思いますし、これをもって財革法違反と直ちに言えるものではないと思っておりますけれども、予算を編成するに当たりまして、たしかこの部分を除けば四四・幾らか、国民負担率はとどまっていたと思います。
そして、今後考えていきます上に、今議員は幾つかの問題点に触れられました。あるいは財政構造改革法、確かにきのう神崎議員は北側議員に次いで免責条項の問題を提起され、私は北側議員が提起をされましたときにも、財革法の論議のときにこの御論議はありませんでしたねということを申し上げながら、勉強してみたい、ただし難しい問題点を含んでいる、実際上大変ルールづくりが難しいということも率直に申し上げております。
そして、この国の景気、経済を安定させなければならないという意味では、私は、議員がどう私を評価しておられるのかはわかりませんけれども、私なりに真剣に考えているつもりです。
○原口委員 どう評価するかということでございますが、昨年の予算委員会で総理はこんな話をなさいました。
まだ総理になられる前の、国会議員のまだお若いときのお話だったと思いますが、自分は信念を通して、ある予算だったか法案だったか頑張った。そうすると、自分のふるさとの子供さん、その子供さんにも非常に大きな心配があった。それを陰で心配そうにごらんになる御自身のお姿を、この場で披露されました。
私も、十歳になる子供とそれから七歳になる子供を持つ親として、私たち政治家が私心を持って、自分のために政治をやっている、あるいは総理がそういうふうに思っておられる、そうは思っていません。懸命に頑張っておられる。私も地元に帰りまして、総理はお昼もお食べになれないで答弁やさまざまな政策に頑張っておられます、そのことをしっかり申し上げています。
しかし、その姿勢は姿勢として、今これだけ経済状況が厳しくなっている中で、臨機応変という形で、あるいはタイムスパンという形で対応できるものは限られていますね。限られているとしたら、神崎議員や北側議員がおっしゃったように、この財革法を一時凍結したらどうですか、あるいは財革法の中に少し弾力条項をお入れになったらどうか、そのことを素直に私たちと話し合っていただきたいということを申し上げておるわけでございますが、いかがでございましょうか。
○内閣総理大臣 困りましたね。ですから、きのう私は、北側議員に続いて神崎議員から免責条項、アメリカの例を引かれてお話がありましたときに、私は、政策としての一つの考え方であるという素直な評価もいたしましたし、北側議員に申し上げたときにも、私は勉強してみたいということを率直に申し上げましたということを申し上げました。
そういう意味では、先刻質問に立たれた海江田議員に建設国債と赤字国債の区分をなくせという御指摘を受けたときに、そういう手法もある、しかし、むしろ五年とか十年とかいう、そうした国債の出し方も考えてみたいんだということも私は率直に申し上げてきました。
そしてその上で、今予算の御審議をいただいております。私は、予算の成立についての御協力を心から願います。
○原口委員 財革法については、今積極的に勉強をしてみたいというお話をいただいたということで、別の視点から……(橋本内閣総理大臣「免責条項について勉強してみたい」と呼ぶ)条項についてですね。勉強してみたいというお話をいただいたというふうにとらえます。
今度は、金融の安定化ということについても、政府がお考えになっている今回のスキーム、自由民主党の有力な政治家の方、梶山先生だったと思いますが、金融システム安定化のスキームをお出しになりました。あのスキームと、今回の、政府が先日御提案なさってこの国会で通ったスキームは大きく違うところがある。そのところだけ一つお話をしたいというふうに思います。
私は、きょう日銀の参考人の方がお見えになっていますが、日銀の独立性というのは、これは国家の経済の安定、これには欠かせないものであるし、日銀は絶対に政府の財布になってはならない、死んでも政府の財布になってはならないというのが日銀魂ではないかというふうに思うわけでございますが、御所見をお尋ねしたいというふうに思います。
○日本銀行理事 お答えをさせていただきたいと思います。
今回のこの金融二法、新しい法律によります金融機関の自己資本充実策、これにつきましては、御承知のとおり、昨年の十一月、いろいろな金融機関、証券会社が相次いで破綻をいたしました。こういうことから、我が国の金融システムに対します国内、海外ともどもの信頼が遺憾ながら大きく揺らぎまして、信用秩序の維持、それから国民経済の円滑な活動に重大な影響が及ぶという懸念が大きくなりました。こういった事態に対応いたしますための緊急の特例措置として行われるものだというふうに承知をしておるわけでございます。
そうした中で、今御指摘いただきました日本銀行、この中央銀行としての日本銀行等が、預金保険機構に今度できますことになります金融危機管理勘定、これに向けて貸し出しを行う、こういうスキームが法律の中に予定されておるわけでございますが、ここでは、先生御承知のとおり、預金保険機構の委託によりまして整理回収銀行が引き受けを行いました優先株等、優先株あるいは劣後債等でございますが、これが売却等によって処分されますまでの間、この間のいわばつなぎといいますか、ファンディング、これを行うために実行されるものだというふうに私どもは理解をしております。
このように、日本銀行が預金保険機構の金融危機管理勘定、それに向けて貸し出しを行うこととなりました場合に、その最終的な目的がいわゆる信用秩序の維持、こういう大きな目的にありますことにかんがみますと、新しい日銀法の趣旨に照らしましても、私どもは問題ないものだというふうに考えております。
○原口委員 私はそうは思いません。実際にこれは、梶山構想の場合は、一般会計でしっかりと幾ら幾ら使いますというのがありました。これは会計の健全性の原則からいって、かかる費用はあらかじめ算定しておくということで、大変大事なことだというふうに思います。それを御提出になった先生の御見識を、私は高く評価するものであります。
しかし、今回のは違う。今回のは、今つなぎ融資というお話をされたけれども、実際は国債の日銀引き受けと同じ効果を持つじゃないか。つまり、主要の十九都市銀行を救おう、あるいは金融システムを救おうということで、もっと大事な、金融の中の金融、心臓部である日銀そのものの信用失墜を招いてしまうのじゃないか。その危機についてはどのように検討がされたのか。
これも、もし財革法がなければ梶山先生のお話しになったことで十分やれた話です。ところが、財革法のスキームがあるために、こういう非常に厳しい、ひょっとしたらこの日銀の融資が返ってこなければ、これは次にどうなるかというと、日銀そのもの、円そのものに対する信頼を失墜してしまうのです。
これは政治家の側も、これは大蔵省から、政府の方から日銀に対してそういう申し入れがあって、日銀がそれを受けたという形になっていると思いますが、私たちは、ここから先は別の人たちがやることだ、のりがある、ここから先は足を踏み入れてはいけない線があるというふうに思います。その線を踏み入れてしまう。そのことは、もっと大きな危機を生んでしまうのじゃないかというふうに思うわけでございますが、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
○大蔵省銀行局長 お答え申し上げます。
今回の十三兆円の公的資金の投入の方のスキームは、資金を金融機関に贈与するという性格のものではございません。先生非常によくおわかりのように、これはあくまで市場のすくみ現象を解消するためのファイナンスでございます。したがって、優先株を買い取ったり、劣後債を買い取ったり、あるいは劣後ローンを供与したりということでございますし、それで状況が改善しますと、それを市場に放出しまして回収をするわけでございます。その資金が十三兆という資金でございます。
したがって、日銀とか金融機関からの借り入れは十兆という枠でございますが、それについては政府保証を付しておりますので、少なくともその限りにおきましては日銀を毀損することはない。また、いざ売却したときに万一損が出たというときは、この三兆円の国債の方を現金化することによって穴埋めできることになっておりますので、およそ日銀が、これで円の信認が低下するというようなことはないというふうに考えております。
○原口委員 私は、財政法の第五条、これは、日本銀行からの借入金等の制限、こんな頭で、「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。」というふうに書いてあります、後で特別条項がありますけれども。こういったことが何で書いてあるかというと、最も大事な金融のセーフティーネット、これを確保するためじゃないでしょうか。
銀行局長が今御答弁をいただいたのも、もう何回もこの国会で聞きました。しかし、本当にそこで穴があいたときの担保については、だれも何も言っていない。このことは大きな問題だというふうに思います。
現実に、さっき冒頭にIMFの指摘を資料として提出させていただきましたが、長い間、住専という、最初にああいう不公正なスキームを使ったことによって公的資金を投入するタイミングを失ってしまった、あるいは不良債権を処理するタイミングを失ってしまった。
私は、尾身経企庁長官にお尋ねをしたいのは、尾身長官は、この不良債権がしこっているということを何回も何回もこの国会で答弁をされました。私は、尾身長官は率直にお話をしていただいたというふうに思いますし、この不良債権の現状を憂えておられる方の一人だというふうに思います。このことについて、私は、尾身長官に質問をしたときに、不良債権というのは、実際には今減っているけれども、それだけじゃないんだ、帳簿に載らないようないろんな不良債権があるんだという、ちょっと今乱暴な話をしましたけれども、そんな話をされました。
それで、この間、大蔵省からいきなり資料が出てきた。それは、今まで二十七兆、二十九兆とおっしゃっていたものが、全く別の額の七十七兆というものが出てきた。これでは、だれを信用して、どこを信頼して経済運営をしていいのかわからない。
こういうティア1からティア4まで、これは分類が違うんですよと大蔵省はおっしゃいます。しかし、比較のしようがないじゃないですか。今まで二十七兆だとおっしゃっていたことと、今回出てきたことが余りにも違う。いわゆる行政府が、情報を私たち政治家に意図的に出しているんじゃないか。今回のことも比べられませんよ。これは、主要銀行に、自分たちで算出してくださいという数字でしょう、大蔵大臣。
私は、やはり行政府と立法府の仕分けをすることが絶対に大事だ。立法府に判断の材料を正確に出す、そういう大蔵省をつくっていただきたいというふうに思うんですが、大蔵大臣の御所見をお伺いします。
○大蔵大臣 委員の御指摘は、去年の暮れに不良債権額として各金融機関が自主的に開示した額、これが二十八兆として各金融機関が集計したものがそれでございますが、今回、今回というかその後に発表したやつが七十七兆になっている、数字が違うじゃないか、こういう御指摘でございます。これは委員御承知と思いますけれども、前に発表したやつは全銀協統一開示基準に基づいて出したもの、今度の分は各金融機関が実際の回収可能性に着目して分類した自己査定結果に基づくものでございます。
各金融機関が、もう実質破綻先の債権だというもの、それから破綻懸念先債権、それから要注意債権。それで、要注意債権から下の方を全部合わせれば七十七兆になるわけでありますが、しかし、要注意債権というのは十分注意してやっていきなさいよという債権でありますから、その中で相当程度が回収可能債権、こうなるわけでありまして、したがって、二十八兆の不良債権が急に七十七兆に膨らんだものじゃない、こういうふうに私は理解をしておるわけであります。
○原口委員 理解の仕方にはいろいろあるなというふうに思います。ただ、私たちが比べられるような、いろいろな実験だって、条件を同じにしなければ、これは比べられないのですよ。
それで、私たちは、今大変経済活動が低迷している状況にある。手元に、先ほど議論になりました七カ国蔵相・中央銀行総裁会合声明というものを持っています。この五に、「日本においては、経済活動は低迷し、見通しは弱い。回復のためには、金融システムを強化するための引続きの行動及び経済の開放度を高めるため金融その他のセクターの規制改革が必要である。我々は、金融システムの「ビッグ・バン」改革に関するこれまでの進展を歓迎した。」というふうに書いてあります。
これについては、我々という言葉がございますが、日本も含むわけですね。日本の経済活動は低迷しているというふうに大蔵大臣も思われるわけですね。いかがですか。
○大蔵大臣 これはG7で合意した内容でございます。
その中で、私が申し上げたいのは、それが回復のためには、金融システムを強化するための引き続いての行動、それから経済の開放度を高めるための金融その他のセクターの規制改革、これが大切と。我々はそれを今やりつつあるわけでありますし、そして、ビッグバン改革に関する今までの日本政府の行動について歓迎をしてもらうことができた、こういうことであろうかと思います。
○原口委員 お認めになったということだと思います。
そして、その後段の添付資料の中で、「国際社会の役割」ということで、同じく、「IMFの助言に対して各国が素早く対応することは極めて重要である。国際金融機関によって支援された各国の早急かつ適切な行動が、経済上の問題が危機に陥ること及び他国への波及を防止するために不可欠である。」ということも書いてあります。
これは、資料の文脈から見ると、アジアの通貨危機に陥った国々についてのことをここでは言っているのだというふうに思います。しかし、このことは、同時に、返す刀で我が国にも言えるのじゃないでしょうか。今お認めになったような弱い経済の状況、これをしっかりとした堅調な経済運営にするためには、やはり先ほどの、その後段にある、「IMFの見方では、今や、一九九八年における経済活動を下支えするため財政刺激の強い理由がある。」と、オブザーバーがわざわざここでおっしゃっていることに謙虚に耳を傾けるべきじゃないかというふうに思うのですが、大蔵大臣の御所見をお尋ねします。
○大蔵大臣 先ほども海江田委員の質問に対してお答え申し上げたわけでありまして、そのことの繰り返しになるわけでございますけれども、とにかく財政構造改革ということの中で最大限努力をして、我々は、二兆円の特別減税もやらせていただき、あるいは補正予算も成立をさせていただき、今それが実行中でありますが、平成十年度の予算、そしてそれに関連する法案の中で、先ほど海江田委員のお話に出てきました法人税の税率引き下げ、あるいは所得税については教育減税等の制度減税、そして住宅土地に関する減税、こういったもろもろの減税で九千億近いものが十年度の政策減税になるわけでありますが、そういったものを着実に進めていって、そしてこの厳しい状況を乗り越えて、経済が上昇するようにやっておるということを強く訴えてきたわけでございます。
○原口委員 大臣の御見解と私の考え方がやはり違うわけですね。この財革法のスキームがあれば、その中でしかやはりやれないんだということを私はここで強く指摘をしておかなきゃいかぬし、このG7が他のアジアの国々にIMFの言うことをしっかり聞きなさいとおっしゃっているのと同じように、我が国も、責任ある経済大国として、だれかのメンツやだれかの政権の維持とかそんなものにこだわるのではなくて、しっかりとした改革を堅調にしていく、その努力が必要であるということを指摘して、次の質問に入ります。
心の教育の問題については、私は総理の対応を評価するものであります。今、学校の中でどういうことが起こっているのか。暴力、あるいは、子供たちの目の前から、赤ちゃんの目の前からお母さんが消えてしまっている、こういう現状の中で、私は、きょうは具体的に幾つかの御提言と、そして政府の御見解をお伺いしたいというふうに思っています。
総理は、施政方針演説で、学歴が一生を左右しかねない現状を改めるということを述べられました。総理の御認識を伺いたいというふうに思います。
実に八五%の子供たちが高校までに自分の学業のことを、ある意味では非常にいろいろな障害を受けながら、あきらめている子供もいる、そういう報告もあります。私は、こういう学歴社会の弊害から抜けるためには、今すぐ私たちができることがあるのではないか。
企業では、例えばある電機メーカーを中心に、もう学歴不問なんだ、入社するときに学歴を問わないということももう出ています。ところが、私たちのこの行政はどうでしょうか。自分がどの大学を出た、どういうキャリアがある、そういったことを一々聞くんではないでしょうか。国家公務員の採用をこの学歴重視から改めることは、今すぐにでもできることではないでしょうか。そのことを前段、総理の御認識をわかりやすくお伺いしたいというふうに思います。
○内閣総理大臣 私は、国家公務員あるいは地方公務員を含めまして、公務員は国民全体あるいは地域住民全体への奉仕者という立場が必要でありますから、一定のルールはやはり必要になるだろうとは思います。ただ、それは単純に学校のときの成績だけでいいのか、あるいは、その人がたまたま入学試験の当時能力が高く入れた、しかし、卒業するときには勉強ですり減らしてしまった神経で卒業していく、そういう形が本当にいいのか、これはおのずから別の問題だと思います。
そして、政府自身、行政官に、言いかえれば行政を担う公務員には優秀な人材を集めたいと願っております。これはただ単に能力だけではありません。今、倫理の面でも高いものを求める、そういう状況にあることは御承知のとおりです。そして、昨年十二月三日の行政改革会議の最終報告にも、採用試験の種類ですとかあるいは区分などを見直すこと、さらに、むしろ海外で学位を取得されたような人材をどう確保するか、採用の拡大、いろいろな人材を確保するためにこれから先検討していかなければならない基本的な方向が示されました。
私どもは、公務員制度調査会で今いろいろな角度からの検討をいただいておりますけれども、当然ながら、こういう点は、一方での国家公務員としての全体の奉仕者に求められるべき姿、能力及び倫理性といった問題とともにあわせて考えていくべきことだと思います。
○原口委員 一定の前進をしていただいて、学歴やあるいは自分がどういう学校を出た、あるいはどういう出自である、そんなことで人が差別を受けあるいは子供たちが無用な挫折感を持つことのないような、そういう社会を私たちは目指していかなければいけないというふうに思います。
今、暴力の話を、校内暴力あるいはさまざまな幼児虐待ということは、もうこれは見逃せないぐらい深刻な事態になっている。厚生省からいただいた資料では、虐待体験のある子供たちが大変な数でふえている。そしてまた、その虐待を受けた子供が、例えば厚生省の資料でいくと、九百四十八人の虐待を受けた子供の親のうち、二百十九人は、何らかの形で子供のときにまた自分の親から虐待を受けている、そういう状況、報告がございます。
私は、本格的に子供たちの心の教育、そして乳幼児の心の健康のために施策を用いていかなければいけない、予算を用いていかなければいけないのじゃないかというふうに思いますが、厚生大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
○厚生大臣 子供に対する虐待というのが現実にかなりあるということは、大変残念なことであります。この子供の問題というのは、実は私は親の問題だと思っています。大人の問題だと。本来、一番愛されなきゃならない人に虐待を受ける、こんな悲惨なことはないと思っております。
そういう意味において、昨年児童福祉法を五十年ぶりに改正いたしましたが、この問題につきましても、今までの教護院、これが児童自立支援施設という形で名前を変えましたけれども、親元から離れて施設が預かる場合に、実に難しい問題があるのです。
というのは、肉親の間ですから、家庭の問題、親子の間にどの程度まで行政が介入していいのか。親に、これは自分の子供だ、虐待なんかしていない、他人が関与するなと言われて、どこまで行政側が、あなたみたいな親は信頼できないと言えるか、実に難しい問題があるのですが、その点まである程度踏み込んで、むしろそういう状況もよく行政側で注意して見て、そのような親に対してはむしろ他人であっても子供は守るという姿勢を持つべきだという点も入れて改正をした。今後、そういう点に注意して、幼児虐待がないような社会を、むしろ大人に対して、親に対して自覚を持ってもらうということが必要でないか。
また、必要な施策、例えば、今核家族になりまして、親御さんが子供にどう接していいかわからない家庭が実にふえています。おばあちゃんもおじいちゃんもいない、兄弟も付近にいない、どうしたらいいんだということで、こういう点に対しましても、市町村の保健センター等では母親学級を実施したりとか、むしろ親にいろいろ指導していく。
さらには、子育ての育児不安に対しましては、地域の保育所にそのような窓口といいますか、相談所、遠慮なく相談してくださいよ、お子さんを預けなくても、実際家庭でお子さんを育てている親に対しても、子育てに対する相談に乗りますよというような窓口を設置するという点につきましても鋭意取り組んでいきまして、限られた予算でありますけれども、この育児、幼児に対して社会的に支える面は鋭意努力していかなきゃならない。
これは、本来は、私は半分以上は親の役割、家庭の役割だと思います。親に、大人に自覚してもらわなきゃならない。しかし、それでも限界があるという場合には、どこまで行政がしていいのかという問題でありますので、これは大変深い問題でありますけれども、その点を考えて、自立ある社会を目指す意味においても、まず親が自立する、子供の成長に対しては親が責任を持ってもらう。その中で、そのできない分をどこまで社会が支えるか、行政が支えるかという問題を、皆が心して考えていかなきゃならない問題だと思っております。
○原口委員 ぜひ心してやっていただきたい。
ただ、これはある国の調査だったと思いますが、子供やあるいは乳幼児期にそういう予算を一ドル削減すると、それが七ドル分の後の治安のコストとして返ってくる、そういう調査もございました。
この間私たちは、与野党を超えて、小杉前文部大臣を筆頭に、チャイルド・ライン議連というもので、カウンセラーの方にお見えいただいてお話を伺いました。そのときに、カウンセラーの方が非常にショッキングな話をされました。二歳ぐらいの子供さんを連れた親御さんが、二歳の子供が泣いている、ずっと泣き続けている。おなかが減ったかあるいはどこかが痛いか、泣き続けている。しかし、泣き続けている理由を聞こうとしない。子供というのは二歳ぐらいまではずっと泣き続けているものなんだというふうに思い込んでしまっている。
今大臣がお話しになったように、相手の気持ちをわかる、あるいは子育てをする、そういうプログラムを学校教育の中やさまざまな地域教育の中で入れていかなければいけないというふうに私は思います。私は、専門的な援助を必要とする生徒が増加したというよりも、専門的な援助を必要とする状況、環境が増加した、こういうことも一番大きな問題だというふうに思います。
そこで、文部大臣とそれから郵政大臣にあわせてお尋ねをしたいのは、子供たちがメディアから受ける影響についてどうお考えになっているのか。
資料3は、このごろ、一九九六年、「アメリカ電気通信法第五百五十一条 親のテレビジョン番組の選択」ということから抜粋して、和訳してつくったものでございます。確かに、報道の自由はある、放送の自由もある、表現の自由もある、しかし、子供たちには自分たちが健やかに育つその自由もあるんだ。私たちは、その子供たちの自由を守るためにも、こういう事実認識を一つにしておく必要があるのではないか。
郵政省やさまざまな機関に子供の発達に対するメディアの影響をお尋ねすると、なかなかこれという資料は出てきません。ですから、この資料3の五をごらんになっていただきたい。「合衆国の児童は、小学校を終了するまでに平均して、テレビジョンで推定八千件の殺人事件と十万件の暴力行為に接している」。このことを議会は問題にしております。
また、こういう番組を見た子供たちはやはり同じような暴力性を持っているということを認識して、資料4にございます「V―Chipにおけるテレビ画面で表示されるマーク」、あらかじめ子供たちの自由を守るためにこういう制度をつくろうということで立法化がされました。
私たちも、こういったものについて前向きにとらえていかなければいけないというふうに思いますが、文部大臣、そして郵政大臣は、このVチップについて、一回、去年ですか検討されていますが、まだ時期尚早ということで見送られたというふうに聞いておりますが、それがなぜなのか。そして、郵政省がたった一つお持ちの特殊法人は、主に放送技術ということに中心が置かれていて、それは発信する側の立場に立った技術の開発であって、放送と子供たち、放送と私たち大人、放送と人間ということについては多くが触れられていないのであります。
私は、今だからこそ、受け手の立場に立った放送の研究あるいは提言というものが必要ではないかというふうに思いますが、お二人の大臣に御所見をお尋ねします。
○文部大臣 御指摘のような、テレビを通じての性的な描写あるいは暴力的な描写が非常に子供に悪影響を与えているという先生の御指摘、まことにそのとおりであろう、こう思っております。やはり、大人の側からきちんとしなければいけないという一つの典型的な例だろう、こう思います。
既に衛星デジタル多チャンネル放送では、親の判断で問題ある映像を規制できるという仕組みがもう導入され始めております。これは大変一つのいいことだと思っておりますが、今後の地上放送において、今委員御指摘のようなVチップ制度というのがアメリカであるわけでありますが、こうしたことについても私どもとしてはぜひ前向きに検討すべきだろう、こう思っております。
ただ、御指摘のような、別途いろいろな権利の制限にかかわる話でもありますから慎重な検討も要るのかもしれませんが、いつまでも慎重な検討とも言っていられないという状況であると私は思いますので、ぜひこうした青少年健全育成の観点から前向きに役所の方でも検討したいし、ぜひ議会の方でもそういう形での御議論を深めていただければと期待をいたしております。
○郵政大臣 原口委員からVチップのことが紹介されまして、アメリカにおけるアメリカの連邦通信法の審議に係る資料も御紹介があったわけでございます。
御存じのように、放送番組につきましては、表現の自由の確保が、これはもう言うまでもなく民主主義国家において基本的理念とされておりますが、同時に、放送というのは、表現の自由と同時に公共の福祉という二つの理念をどう調和をとるかということが大変大事な問題でございます。そういった意味で、放送法にもやはり公共の福祉のために放送を規律せねばならない、こういう目的もあるわけでございますから、そういったことを踏まえて、青少年に対する影響という観点から、放送における今の先生の御指摘のような青少年対策も世界的に大変大きな問題でございまして、青少年対策あるいは青少年の健全育成ということ、これは本当に世界的な大きな問題になっておりまして、日本でもこのことをきちっと受けとめております。
先生今御指摘にございましたように、平成八年、一九九六年にアメリカでいわゆるVチップの内蔵を義務づけまして、これはもう先生今御紹介がございましたように、十三インチ以上のテレビ受信機に、暴力や性的シーンの多い番組をブロックする。これも暴力あるいは性的な格付と申しますかレーティングは、あくまで放送事業者にしていただく。それを一般に公表いたしまして、うちの子供には、例えば十四歳未満の子供には好ましくない番組、あるいは非常に写実的な暴力のシーンは見せたくないということがあれば、親の権利において、実はVチップを操作すれば自分の家庭では見ることはできない、こういった仕組みでございますが、これはアメリカで法制化されまして、今実際にアメリカの民間放送事業者でレーティングをやっております。
いよいよFCCが二月以降定めた日から始まるわけでございますが、そういったアメリカの現状もこれあり、大変大事な問題でございますので、郵政省といたしましても、以前は、平成八年には、多チャンネル時代の懇談会で、ちょっとまだ様子を見た方がいいんじゃないかという話でございましたが、先生の御意見もあり、これは具体的に来年度予算から視聴者保護政策に関する調査研究といった予算をいただき、このことできちっとこの問題に前向きに検討させていただきたいと思っております。
今、最後に文部大臣も言われましたように、衛星デジタル多チャンネル放送では、これはペアレンタルロックと申しまして、親が管理する暗証番号の確認が行われない限り番組を聴視できないということを既にやっておりまして、これはもう二百チャンネル現在ございます。ことしの三月から三百チャンネルになりますが、これについては既にデジタルということもございまして、ペアレンタルロックを付加しているということを御理解いただければというふうに思っております。
以上でございます。
○原口委員 子供の心身ともに健やかに育つ自由を私たち民友連は守りたい、このことを御指摘して、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○予算委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。
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