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○商工委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案及び特許法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。
○原口委員 民政党の原口一博でございます。
大臣並びに関係省庁に特許法の関係、そしてTLOの関係で幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
まず、堀内通産大臣にお尋ねをしたいと思います。
先ほども古賀委員から問題提起がございましたけれども、本当に今の景気の現状、経済構造改革、その改革を進めるにも大変厳しい状況がございます。大臣は三十代で企業のオーナーになられ、そして、企業名を言うとなんですが、富士急ハイランドというところで子供たちにもたくさんの夢をお配りになった。企業のオーナーとして今まで頑張ってこられた、そういう御経験からしても、今の経済不況、これが大変深刻であるということを御認識なさっているというふうに思います。
また、この国会では、私たちが一番問題にしなければいけないのは、財政構造改革と私たちが今この商工委員会で質疑をしている経済構造改革、この関係がどうなるのか。私たちは、この財政構造改革については、日本はまだたくさんの力を持っている、ここで思い切り景気に対して逆噴射を与えるべきではないということを昨年のこの財政構造改革法案が国会に出てくるときから議論をしていたわけでございます。今、この時点に至って、政府・与党におかれましても、やはり近々の大変重要な課題は景気なのだということで、この見直しの議論が活発に行われております。
ただ一方で、私たちは先日まで予算委員会で質疑をしておりましたが、ある大臣は、この財政構造改革については、並々ならぬ決意を持ってつくったのだから、そう簡単に改正してもらっては困る、そういう御意見もあったわけでございます。
大臣にまずお伺いしたいのは、現在の景気をどのようにお考えになり、そして臨機応変の経済対策を打つ、あるいは、これから私も質問させていただきますが、知的財産権やさまざまな技術移転を行うためにも、そのバックボーンとなる経済の力というものが大事だというふうに思いますが、基本的な御所見をお伺いしたいというふうに思います。
○通商産業大臣 御指摘のように、経済構造改革、それと財政構造改革、この二つの問題というのは車の両輪のようなものでありまして、財政構造の改革をする場合には、やはり一面において経済的な発展があって、それによってまた財政が豊かになり、そういう両方の活動によって初めて成果を上げるということになるものだというふうに認識をしておりまして、財政構造改革自体は非常に重要な問題でありますし、これをないがしろにして、将来に向かって放置しておくわけにはいかない問題だ。
ただしその場合に、一方において、景気の拡大といいますか、経済構造改革による規制緩和だとか税制の改革だとか、いろいろな面を含めて経済活動が活発になってきて、それによってまた財政構造の面にフィードバックしてくるというような、二つのものがかみ合っていかないとうまくいかないものであるというふうに私は認識をいたしております。
そういう点で考えてまいりますと、今の景気の不況の状況というのは大変深刻なものになってきていると思います。年度末、昨年からの貸し渋りの問題だとか、あるいは経営者のマインドの問題だとかいうものが予想以上に非常に低下をしてきているということを考えますと、今の年度末を乗り切るということが一つの大きな問題であったかもしれませんが、同時に、この五月、六月というのは、大きな不況というか、景気停滞の中で厳しい局面を迎えるのではないかというふうに私も認識をいたしております。
特に年度末については、資金的な面での資金ショートをさせないということによって何とか乗り切るということが一番重要でありましたけれども、今度の五月、六月の山というのは、各社の決算が出てまいります。その決算が出てまいりますと、今度の場合は非常に厳しい決算の会社が非常に多くなってきているということになりますと、さらに企業経営者のマインドが冷たくなってくるというようなことになってまいりまして、それから始まる経済活動というものにまた水を差すようなことになりかねないというふうな感じで、この五月、六月の景気というもの、決算というようなものに向かっての経済の取り組みということは、非常に重要なものだと認識をしているところでございます。
私の印象としては、いろいろの景気対策はございますが、企業活動を活発にしていくということはやはり一番基本ではないかと私は思っておるのです。企業の活動というのが活発になることによって設備投資も拡大される、あるいは雇用も安定をしてくる、さらに、収益を上げることによってベースアップも増加をしてくる、そういう基本のところから回って経済が活動をしてまいりませんと、一時的な減税だとか、一時的な対処療法のようなもので取り組んだ場合は、その時点では何とか一つの効果をあらわすかもしれませんが、長いスパンで考えてまいりますと、まただめになってきた、まただめになってきたというようなことがあらわれてまいります。
したがいまして、私は、やはり企業の減税、企業の活動を活性化するための政策、そういうものを行っていって、それが結果的には経済全体の設備投資に、あるいはそれが回り回っていって個人の所得の増加につながり、それが消費につながってくるということでありまして、その原点からまいりませんと消費の拡大というものはあり得ないのではないか、特に近ごろの一番の問題は雇用だというふうに思っております。
今度の年度末から始まりまして、今各社の決算の発表などのときに必ずリストラの再建計画というものが大きく出てまいります。その際に必ず出てくるのが人員の削減というものでありまして、人員削減が今別に大手を振って歩いているとも言えませんが、それが当然のことのような印象というのは、これはやはり何といってもこれから先の雇用に対する不安感というものが出てまいっております。
ですから、この雇用不安をなくするということになりませんと、幾ら減税してもそれは必ず貯蓄に回っていくということになるわけでありまして、そういう全体の総合的な、今突然のお話でございまして要領を得たかどうかわかりませんが、私は、そういう意味では企業活動の活性化ということを一つ中心に置いた景気対策というものを考えていかなければならないのではないか、現状は非常に深刻であるというふうに思っております。
○原口委員 大変御丁寧に御答弁いただきましてありがとうございます。おっしゃるように、一時的なびほう策ではこの経済というのは立て直せないというふうに思います。
私も松下幸之助さんに育てられましたけれども、一軒一軒、月に三百万というノルマをいただいて電気製品を売って歩きなさいということでございました。企業の実態あるいは消費の実態、現場からの声を一番大事にし、今大臣がおっしゃったように、一時的な減税ではなくてむしろこれを恒久化する、あるいは法人税の減税、企業の活動を思い切って活発化するような施策というのが今求められているというふうに思います。
そこで、本法案の特に特許法の改正につきましては、今まではアンチパテントという考え方、つまり経済成長を、キャッチアップの時代は余り知的財産権なんということを持ち出さないで、みんながさまざまな情報を共有化することによって効率よい経済をつくっていこう、そういう考え方でございましたが、今度は違う。金融のビッグバンも起こり、そしてこれからは情報の分野でもビッグバンが起こってくる、金融の分野ではもう金融によるエンクロージャー、金融による囲い込みというものが行われようとしています。私は、情報についても情報による囲い込みというものが行われてくるであろう。そのときに一番大事なことは、経済構造改革をする上で大変大事なことは、この知的財産権をしっかり守るということだというふうに思います。
そういう意味で、今回通産省そして特許庁が大変意欲的に取り組んで法改正をされた、しかし、これは最終ゴールではないんだ、時代の変化の要請にこたえてこれをまた修正をしていく。私もこの工業所有権審議会の報告を隅から隅まで眺めまして、知的所有権を守っていくためにはさまざまな抑止、これが大事なんだということをいろいろなところで書かれている。
そういう中で御質問させていただきたいと思いますが、昭和三十四年の全面改正により確立した工業所有権制度というのは、時代の要請にこたえつつさまざまな改正が行われてきたわけでございますが、この制度の果たしてきた役割、それは一体何だったのか。そして、今回の大幅改正によって、侵害し得の現状に対してどのように対応しているのか。
そして、先ほどの渡辺委員の質問の中でもお答えになりましたが、三倍賠償の導入など、実現できなかった改正案というのもございます。私は、そこになぜ実現できない理由があったのか。民法七百九条の不法行為、この規定との関係でまだまだそこまでいかないのだという議論もあったというふうに伺いますが、私は、強い知的財産権の保護、広い知的財産権の保護をうたう上ではここは必ず盛り込まなければいけないところじゃないかというふうに思いますが、御所見を特許庁にお伺いしたいというふうに思います。
○特許庁長官 現在の特許法は昭和三十四年、今から四十年前につくられたわけでございますが、これが果たしてきた役割は、戦後の経済成長にとって非常に大きなものではなかったかと思っております。いろいろ企業の方が戦後の復興に当たって工夫をしていくということで、改良を重ねて今日に至ったという意味では立派な役割を果たしてきたと思っております。
ただ、今新しい時代に入ったわけで、御指摘のような新しい情報が大事になってくる、技術が大事になってくるときに今のような状態でいいのかということから今回の改正法の議論が始まったわけでございますが、確かに日本においては損害賠償額が低い、あるいは損害賠償の裁判に時間がかかるというようなことで、侵害し得じゃないかということが言われておりまして、これでは創造的な技術開発が進まないということでございますので、今回の改正に当たりましては、新しい知的創造社会に向かっていい仕組みをつくろうということで取り組んだわけでございます。そういうことで、適正な賠償額を認定するとか、あるいは刑事罰も強化いたしまして侵害を抑止するということに大きく踏み出したわけでございます。
しかしながら、御指摘のように、例えば三倍賠償、こういうものの導入については、いろいろ今までの日本の民法の原則とかその兼ね合いから、依然として、今のままでいいのかどうか、さらに入れるべきかとか議論をさらに続けることが必要だということになりましたので、今回は導入に至らなかったわけでございます。
ただ、いずれにせよ、御指摘のとおり、時代とともに特許制度も変えていかなければいけないと思っておりますので、今後とも、現在の御指摘も踏まえまして、各方面からの御要望につきましては真剣にこれを検討して見直しを加えていきたいと思っております。
○原口委員 今御答弁いただいたように、やはり時代の要請に刻一刻こたえていかなければいけない、非常にビビッドな役割を持った役所であるということを御認識の上、法改正についても柔軟な態度をとっていただきたい。私は、これは通過点である、大変大きな決断であり、大変大きな御努力であり、そうであったということは素直に評価をした上で、ただ、まだこれも通過点であるということを申し上げたいというふうに思います。
また特許庁では、業務の効率化を図るために大体三百億円程度を計上してコンピューター化を図っておられます。他の国に先駆けてデータベース化して情報処理のスピードを速めた、これは大変結構なことでございますが、特許等の工業所有権のような重要な分野については、思い切って次なる重点的な投資をやるべきだというふうに思います。
例えば、この間、委員長初め視察をさせていただきましたが、特許の審査、そういったものを多くのエキスパート、人に頼っている。現在審査業務の効率化のためにコンピューター化を図っておられますけれども、もう次なる審査業務の効率化に対して新たな投資を計画をしていく段階に来ているのではないか。例えば推論コンピューターなどの先進的な技術を駆使したコンピューター技術を導入して、さらなる審査の早期化、効率化を図っていくべきではないかというふうに思いますが、大臣並びに特許庁の御所見をお伺いします。
○特許庁長官 特許庁の仕事につきましてはコンピュー夕ーを使って相当業務を処理しておりまして、世界の中でも本格的にコンピューターを使っているという意味では日本が一番進んでおります。さらに、日本の行政官庁を比較いたしましても、出願人の方がコンピューターによって公式の文書を出せる、あるいはそういう出願人の方へコンピューターによって通知ができるということで出願人の方にも喜ばれている、こういうことで相当進んではいると思っておりますが、今御指摘のとおり、これで十分なわけではございませんで、いろいろな技術開発が進んでまいりますと、出願の内容もどんどん複雑になっております。また、大変深い、あるいは複雑なものになってまいりますと、人間がコンピューターをさらに使うことが、的確な判断をするということにとって必要かと思っております。
今御指摘の推論コンピューター、こういうものにつきましても、出願の内容から自動的に必要なキーワードを選択的に抜き出して、これを過去に関連する文献等抽出してやっていくということになれば、審査の質も上がりスピードも上がるということも考えられますので、そういう御指摘を受けて、一層またコンピューターの利用を進めてまいりたいと思っております。
○通商産業大臣 ただいま御説明申し上げたとおりでございますが、基本的には、今後とも、出願人の利便性の向上ということ、あるいは負担の軽減という問題、業務の効率化というものに資するようなコンピューター化にしっかりと引き続き投資をしていかなければならないと思っておりますし、同時に、推論コンピューターなどの先進的技術を利用した審査業務の早期化、効率化を行うために思い切った取り組みをしてまいりたいというふうに思っております。
○原口委員 大臣、前向きな御答弁ありがとうございます。
ただ、この特許庁の予算、大体九百億円ぐらいだと思いますが、これは収支相償と申しますか、いわゆる特許料やさまざまな手数料によって賄われている。そうすると、重点的な投資をしたいと思っても、今回、特許法の、本法案の改正によって大体二十九億ぐらい収入減が見込まれ、一方で、そのことによる効率化やあるいは便利になったということで、それ以上の収入の増も見られます。しかし、この特許庁の予算の枠の中でやれること、三百億円の枠、例えばコンピューター投資の部分の中で、枠でやれること、これは大変限られているのではないかというふうに思います。
財政構造改革ということで、きょうはその視点でもってお話をしたいのですが、財革法のさまざまなキャップがあることによって、本来だったら一番投資をしていかなければいけない、そういう分野についても私たちはさまざまな制約を課されてしまっている。
総理にも、先日質問をさせていただいたときに、カナダの行政改革を例に挙げまして御質問させていただきました。思い切って削る分野、これは政府歳出の中で不透明な部分、本当に国民の生活、国民のウイッシュリストから離れた部分、このことについては思い切り削減をやらなければいけない。しかし、私たちが大事にしなければいけないこういう経済の成長分野については、逆にふやさなければいけない。一律何%かのカットをする、キャップをはめる、このことは、私たちはやってはならないことではないか。
後で文部省の方にもお尋ねをしますが、国立大学、研究を一生懸命やりましょうということで、研究費をたくさん上げていただいている。しかし、実際には、さまざまな研究の周辺の部分、私も一時学校に残ろうという決断をしたことがありましたけれども、実際に学校に残ってみると、自分が助手やあるいは助教授、教授になっていく段階で、本来の研究とは全く違う、雑用と言っては言葉が過ぎるかもわかりませんが、そういったものがたくさんある。日本の若い人たちはそういったものに嫌気をして外に行っているのではないか。工学系の大学あるいは工学系の学部離れというものが叫ばれて久しいわけでございますが、一つは、そういったところに構造的な欠陥があるのではないかというふうに思います。 私は、今大臣がお答えになりましたように、この特許庁予算というその中、特別会計の収支相償の中だけではなくて、その外側から思い切った投資をする、このことが大事だというふうに思いますが、再度大臣の御所見をお伺いいたします。
○通商産業大臣 委員のおっしゃるとおり、これからの将来の、二十一世紀の日本の産業をリードするということになりますと、技術開発研究というものが一番重要なウエートを占めてまいります。
そういう意味で、財政構造改革を推進する中でも、今の科学技術、環境、情報通信等の経済構造改革の調整措置というものに対して、平成十年度の予算におきましても、前年を五%上回る科学技術振興費を計上するというようなめり張りのある予算配分を行っているところでありますが、今後とも、やはり経済活力を維持向上させるという意味、また経済構造改革を行うという意味でまいりますと、こういう技術開発についてのめり張りのある、ウエートを置いた予算というものを、さらに将来においても取り組んでいかなければならないと思っております。
○原口委員 知的財産権については、これから二十一世紀の日本の経済政策、経済構造改革のまさに一番重要な部分であるということを御指摘させていただいて、そして、今大臣がお話しになりましたような積極的な取り組みをお願いし、TLOの方に移りたいというふうに思います。
私は十数年前から、地元におきましても、ハイテク研究会という、佐賀大学の皆さんと御一緒させていただいて、産業界の皆さん、それから行政の皆さん、そして科学技術分野の先生方と一緒にさまざまなテクノロジートランスファーができないかという研究会を月に一回ずつ開いてまいりました。その中で、例えば海洋温度差発電、これは佐賀大学の上原教授がやっておられるものですが、これを企業に応用できないか、企業の廃液の温度差を利用して発電ができないか、そういうさまざまな実際のテクノロジーのトランスファーというものをつぶさに見てまいりました。
ただ、その中で一番私たちが障害になるなというふうに思ったのは、それぞれの分野の人たちの言葉が通じないことであります。私たちが例えば法律の用語、この用語を示してみても、科学技術の皆さんには何が何だかわからない。あるいは科学技術者の皆さんがこういうシーズがあるのだとお話しになっても、それが企業家にとってはどういうメリットがあり、どういうマーケティングをしたり、あるいはその産業が開いていくためにチャンスなのかということがわからない。まず言葉の問題が非常に大きくのしかかりました。同じ日本人ですからそれが通じるだろうというのは、大変甘いことでありました。 また、これは別の省庁でございましたが、ホ−ムケアサポートシステムというものを構築しよう、新しい情報通信によって、家庭にいながらも、リハビリや医療相談やあるいはさまざまな情報のやりとりができるようにということを構築しようということで、国においても過去企画をされました。私もその下書きをさせていただいていたときに特に感じたのは、ドクターの言葉、お医者さんの言葉と、それから通信技術を担っておられる皆さんの言葉がミスマッチをする、そこの橋渡し役がだれもいない、その両方の技術に通じている人たち、いわゆるコーディネートをする人がいないということでございました。
今回の法律は、大学に眠っている、休眠している特許、それを民間企業にトランスファーする、これは大変大事なことだというふうに思います。法案の十二条から十四条の中で、大学にあるパテントを移すのですよという話をされています。先ほど質疑の中で、大学にある特許の中で、大体八五%は教授個人が所有しているということでございましたけれども、残りの一五%は国が所有している、国の財産であるわけでございます。
この国の財産については、これは通産省の方にお伺いしたいのですが、大体私たちが持っている財産、どういうものがあるのか、あるいは幾らぐらいなのか、その財産というのは国民の財産でございますから、きっちり保全できるのかどうか、その辺についてどのようなお考えを持っておられるのか、御質問させていただきたいというふうに思います。
○工業技術院長 お答えいたします。
通産省工業技術院関連の国立研究所が現在所有している特許権の数でございますけれども、七千六十八件でございます。それから、出願中の数が二千三百八件。
それで、財産として、例えば金額的にどのくらいかというのは非常に難しゅうございますけれども、例えば現在まで特許の使用料として最大の金額、これはイソメラーゼ技術に関連する特許でございますけれども、累積で十四億円でございます。
その次、二番目でございますが、これは液晶ディスプレイに関連する技術でありますけれども、これは、例えば累積で七億円という特許料の収入を上げてございます。
○原口委員 国有になる一、二割程度の権利については、これは普通財産として大蔵省の国有財産課が所管することになっているというふうに思います。ただ、その中で、実質的には各省庁で管理しておるわけでございますが、そこには専門のスタッフもおらず、いわゆる知的財産権が大事だというけれども、私たち国民が持っている知的財産権、この保全あるいは管理というのは、まだまだ前の時代の発想でやっているのではないか。
国立大学のさまざまな知的財産権がトランスファーされるのはいい。だけれども、それを民間企業に売り渡すときに、例えば国鉄ですとJRになる、電電公社だとNTTになる、そのときには、NTTの株の売却益ということで国民に戻ってくる財産があったわけでございますが、知的財産権、特にこういう特許については、それの保全、あるいはトランスファーのときに幾ら国民にお戻しになるのか、そういったことについてもきっちり押さえておかなければいけない。ただ眠っているから、その技術については民間にお渡ししますよということでは、国民にとって一つの大きな損失になってしまうのではないか。このことはやはりきっちり指摘をしておかなければいけない。
財政構造改革のときもそうでございましたけれども、国の借金については皆さんおっしゃる。国と地方の借金が五百兆円にも及んで、国が大変ですよということはおっしゃる。ところが一方で、国が幾ら財産を持っているのか、国がどれほどの力を持っているのか。ネットの債務とグロスの債務では大幅に各国と違います。グロスの債務では日本は大変な借金国でありますけれども、ネットの債務として見れば、他国に比べてむしろいい方である。こういったことについてもきっちり議論をした上で、知的財産権のトランスファーをやっていくべきであるというふうに私は思います。
そこで、文部省にお尋ねをしたいというふうに思いますが、民間などの一部の資金の円滑な導入というもの、あるいは拡充というものを図っていく必要があるというふうに思いますが、文部省としてはどのようにお考えなのか。
そして、あわせてお尋ねをしますが、これは我が党の伊藤委員の質問の中で、国立大学の先生がベンチャー企業の経営者になりたいと思っても、経営には参加することはできません。今回のTLO法の法案の中でもそのことについてはまだ道をあげていません。この質問に対して、堀内通産大臣はこのようにお答えになっています。「新規産業の創出を強力に推進する立場から、国家公務員法の特例規定を盛り込む必要性を含めて関係各省庁と今検討を進めているところでございまして、あきらめているわけではございません。」という御答弁をなさっています。私は、これは大変大事な御答弁だというふうに思いますが、文部省の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
○文部省学術国際局長 二点お尋ねがございました。
一つは、大学の研究条件に関連して、民間の資金の導入の点でございます。大学の研究条件を改善するということにつきまして、もちろん公的資金の拡充を図るということも大事でございます。国立大学の経費の充実、それから私立大学の三千億近い助成の充実、これは従来からの懸案でございまして、これにつきましてはこれからも努力していかなければならないわけでございます。
もう一つ、民間からの資金導入ということもこれまた重要でございまして、このため、かねてから、国立大学の場合ですと、奨学寄附金というような形で年間約五百億円程度の寄附をいただいておるわけでございまして、これが大学の教育研究の活発化のために大変役立っておるわけでございます。こういうことにつきましては、私どもとしても大いに推進してまいりたいというように考えておるところでございます。
また、税制面におきましても、平成七年度から共同試験研究促進税制を創設いたしましたし、また、今年度から学校法人の取り崩し型基金への寄附金の全額損金算入が認められるということになったわけでございまして、これらさまざまな制度を整備することによりまして、民間の資金が円滑に大学の研究条件改善ということのために活用されるように考えておるところでございます。
それから、二点目でございます。
国立大学教官の兼業の問題でございます。先ほどの御質疑にもございましたように、昨年四月から、民間企業の技術指導というようなことのために勤務時間外で兼業するということについては許可をするということに改めたわけでございまして、先ほどもお答え申し上げましたように、約千件程度その兼業許可があるわけでございます。
先生の御指摘は、それをさらに進んで、例えば今回御審議をお願いしているTLOの役員でありますとか、あるいはTLOに限らず一般の、例えばベンチャー企業等の役員として経営参加するというような形での兼業ができるかどうか、それをどう進めるのか、こういうお尋ねでございます。
何分にも、公務員の服務あるいは公務員の倫理というようなことにも関連するわけでございまして、また、かたい言葉で申しますと、いわゆる全体の奉仕者性でありますとか、いろいろな論点がこれにまつわって出てくるわけでございます。十分検討に値することであろうかと思いますので、今後とも検討いたしたいとは思うわけでございますが、どちらかと申しますと、やはりTLOにつきましての検討というものが先立つのではなかろうかというように考えておるわけでございます。
○原口委員 その中で、このTLOの趣旨を生かすためには、私は、この法案の第十二条の中で、「当該研究成果に係る国有の特許権若しくは特許を受ける権利又は国有の実用新案権若しくは実用新案」云々、こういったものの移転事業を行う者は、文部大臣に申請して、その事業が適合しているかどうかの認定を受けることができるというふうなことが書かれています。
これはストックオプションのときも議論をしましたが、私たちはこの発想をもう転換するときに来ているのではないか。何でもかんでも国が認定をして、国のお金でもって産業を育てていく、これはアメリカのTLOを一つ参考にしているのですが、この中で見落としているものがある。それはNPOの存在であります。一回私たちのお金を国税に納めて、そこで国がすべてに目配りをして産業を育成するという、もうこの形そのものが終わりを告げてきている。
そうではなくて、民間から民間、寄附金の控除をやる。さまざまな企業がいきなり企業化できるわけではありません。その過程においては、NPOという非営利事業、非営利集団をつくって、その中でさまざまな試行錯誤をして、これは企業化できるというものが初めて市場に出ていく。あるいは、株式会社やさまざまな営利集団になっていく。その過程をやはりつくらなければいけない。
この国会でNPO法案が通りましたけれども、まだそこの部分に対する寄附金の条項は弱いと言わざるを得ない。ビル・ゲイツやさまざまなハイテク関連企業の皆さんも、最初はNPOというふ卵器の中で、これは本当にやれるのかどうかという試行錯誤の時期を過ごしていることを考えますと、私は、こういう認定作業についても、できるだけ迅速に、そして、国が何でもやるんだという発想をもう捨てなければいけないというふうに思うわけでございますが、政務次官並びに文部省のお考えをお尋ねしたいというふうに思います。
○文部省学術国際局長 今回の法案のTLOの機能を期待されたとおりのものとして立ち行かせていくためには、すぐさまこれがペイするような形で動くというのはなかなか難しいということでございます。したがいまして、これはむしろ通産省の方からお答えいただくべき事柄かと思いますけれども、公的な助成を通じてでもこのTLOの育成を図っていくということがまず必要なことだということで、今回お願いしているところでございます。
もとより、これが期待されたとおりに動き始めまして、大学からの技術が民間にトランスファーされ、そのトランスファーされたものに基づいた果実というものが、再びTLOあるいはさらにそれを通じて大学あるいは研究者の方に還流していくというサイクルが非常にうまく機能していくということになりますれば、多分、公的な助成がどうこうということを心配しなくてもいい場合が出てくるかとも思うわけでございますが、とりあえずのところ、やはり立ち上げるためにはこういう措置も必要であろうというように考えているわけでございます。
○通商産業政務次官 委員おっしゃいますように、あらゆる分野において官といいますか、政治というか政府が関与する、こういうことが改善されていく、これこそまさに経済構造の改革ということの原点ではなかろうか、このように私どもとらえまして、鋭意努力しているところでございますので、なお一層の御指導と御助力のほどをお願い申し上げます。
○通商産業省産業政策局長 事務的に少し補足させていただきます。
国立の試験研究機関が持っている特許につきましてTLOに譲り渡すときに、この十二条の認定と申しますのは、通常ですと特許を維持するために特許料等を払わなければいけないというわけですが、国有の特許を譲るときにはそれを免除するという、従来の特許制度の中では非常に著しい例外的な厚遇を与えるわけです。そういう厚遇を与えるにふさわしい組織かどうかということはやはり国が責任を持って認定しませんと、むしろ責任が持てないということかと思います。
TLOそのものをつくるのは法律上何ら制限はないわけでして、だれでも自由につくっていいわけです。ただ、特許料を免除してもらうのにふさわしいものかどうかというのは、それぞれ文部大臣あるいは各試験研究機関を所管する大臣が認定をする必要があるという仕組みでございます。
○原口委員 補足していただかなくてもわかっていることなので、最後のは蛇足だったのかなというふうに思います。
今回のTLOの法改正で、私たちは、研究者の自由が広がるのだ、この立場からやはり議論をしていかなければいけない。ある意味では、これによって逆に大学の、特に国立大学の研究が企業の下請になるのじゃないか、そういう御心配をする向きもあります。しかし、そうではなくて、大学の皆さんにとってもさまざまな資金や情報の流入、その風通しがよくなる、その自由を獲得できるのだという方向から議論をしていかなければいけないし、していきたいというふうに思います。
また、知的財産権ということでさっき特許の方のお話をしましたが、これを担保するためにもやはり最も大事なものは、その侵害が起こったときのトラブルシューティング、これをどう迅速に行うかということでございます。
司法制度に対して、あるいは特許庁の審判に対して、これを迅速にやっていただきたい、あるいはもっともっと司法の仕組みを強化してほしい、この意見は至るところから出ておるわけでございます。通産省の御意見、そして、きょうは法務省もお見えいただいておりますが、特に知的財産権の保護、その侵害が行われたときにどのように解決していくのか、その解決策、制度の拡充についての御所見をお伺いします。
○特許庁長官 特許庁では特許の審判を担当しております。審判について速やかに結論を出さないと侵害問題に対応できないのじゃないかという御指摘でございますが、私ども、御指摘をそのとおりというふうに痛感するわけでございます。そういうこともございますので、審判を速やかにするということで迅速化に心がけてまいりたいと思っております。
同時にまた、その結果が多くの国民の皆さんに影響を与えますから、インターネットによって審判の結果を出すということを始めました。これも世界的にも非常に画期的なことという評価をいただいておりますが、こういうことによりまして、侵害問題に特許庁としてもきちんと対応していきたいと思っております。
○法務省司法法制課長 御説明申し上げます。
規制緩和を初めといたします社会のさまざまな変化に伴いまして、国家の基礎を支える司法の果たすべき役割というのは今後一層重要になると考えております。法務省におきましては、このような観点から、社会の種々のニーズにこたえるため、例えば法曹人口増加のための法案を提出させていただいたところではございますが、今後とも、国民的見地に立ちまして、司法の機能の充実につき適切な方策を講じ、積極的に新しい時代の要請にこたえてまいりたいと考えております。
また、侵害訴訟について先生お尋ねでございますが、私の承知いたしておりますところでは、この四月から東京地裁におきまして、特許関係と申しますか、知的財産権の専門の部を裁判所におかれても増設しておられるようでございます。裁判所におかれましては、適正迅速な審理と裁判が行われますよう、今後とも事件動向を踏まえつつ適切に対処されるものと思っておりますが、法務当局といたしましても、これに十分に協力してまいりたいと考えているところでございます。
○原口委員 質疑時間が参りましたので終わりますが、東京高裁で判事十名、調査官九名、そういう陣容でなさっている。私は、立法府として、司法府に対してもしっかりとこのことを、立法の実現性、立法の趣旨を担保する意味でも、こういった知的財産権に対する司法の充実ということを強く求めまして、私の質問にかえさせていただきます。
ありがとうございます。
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