沖縄及び北方に関する特別委員会

平成12年8月4日(金曜日)

○沖縄及び北方問題に関する特別委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。

○原口委員
 民主党の原口一博でございます。
 沖縄の諸般の問題について御質問をさせていただく前に、まずこのサミットにおいて大変な御尽力をいただきました皆さん、そして御協力をなさった九州、沖縄の皆様お一人お一人に心から感謝の誠をささげたいというふうに思います。
 また、当委員会、大変タイトな予定でございますが、下地理事初め委員長の御協力をいただいてこうして開くことができました。やはり国会の基本は議論でございます。その議論の場をきっちりとって、そして、沖縄北方問題という二十世紀を締めくくるに大変大事な時期に差しかかっているこの地域についての振興策、そして北方四島の返還ということについて前向きの議論をさせていただきたいというふうに思います。
 さてそこで、沖縄開発庁長官にお伺いをしたいと思いますが、先般の沖縄でのサミットを総括して、どのように評価されているのか。サミットが終わり、また沖縄にはその前と同じ暮らしが戻ってきたわけでございますが、ある意味では、沖縄振興策についてはこれからがまさに本番、サミットを受けて、どのような県民の暮らしを、そして基地のない安心な暮らしを築いていくのか、整理縮小を築いていくのか、こういったことが私たちの喫緊の課題でございますが、サミットをどのように総括されているのか、まずお伺いをしたいというふうに思います。

○内閣官房長官 委員御指摘ございましたサミットの評価ということから先に申し述べさせていただきます。
 小渕前総理が万感の思いを込めて決断、決定をされました九州・沖縄サミットでございますが、二十一世紀において一層の繁栄、心の安寧、世界の安定を目指すということについて非常に多くの議題、もう最近は感染症から麻薬まで含みます、もちろん貧困の撲滅等々、特に途上国との対話も事前にやりましたので、非常にサミットを経るごとに議題が多くなっておりますが、そういうものについて、G8の首脳がフリーディスカッションもワーキングディナーという形でやりまして、非常に活発な議論をなさったのではないかと評価しております。
 その結果、一、二を挙げれば、G8のコミュニケ、特に二十一世紀の世界のある意味では大きな繁栄のかぎを握ると言われているITに関する憲章、沖縄憲章というものを出していただいたり、また平和という問題では、中東和平やコソボ、その他バルカンの問題もございましたが、我が国に関係の深い朝鮮半島の平和、これを後押しする朝鮮半島情勢に関する南北首脳会談を受けた特別声明などが採択をされました。
 沖縄の地より、本当に二十数万が亡くなられたあの地から、二十一世紀に向けた力強い平和のメッセージといいましょうか、明るいそういうメッセージを発信することができたのではなかったか、こう思っております。
 長くなってはいけませんが、今回の場合は初めての地方開催でございましたけれども、特に県民の方々の熱い心といいましょうか、本当にすばらしいホスピタリティーというものが、これはなかなか東京ではああいう雰囲気にはならなかったかなという感じがいたしますが、そういうおもてなしに県を挙げて御努力いただきまして、各国首脳もあるいは報道陣まで含めまして本当にすばらしかったという御満足、喜びを伺ったところでございまして、本当に感謝をしたいと存じます。
 また同時に、それがまさに、世界の目を沖縄に、沖縄の心を世界にという思いが実現をした、沖縄の文化や歴史を世界に発信することができたのではないか、このように考えております。そのような意味でも成功であったのではないかと思っておるわけであります。
 同時に、基地の整理、統合、縮小の問題につきましても、日米首脳会談等々を通じまして取り上げさせていただいたところでございますし、昨年十二月の閣議決定に基づきまして、SACOの完全実施はもとより、軍事態勢、兵力構成のことにつきましてもこれから日米間で誠心誠意話し合っていく、そういうようなことにしていきたいと思っています。

○原口委員 今大臣がお話しになりましたように、沖縄のホスピタリティー、本当に私も心から敬意を表したいと思います。また、その中でクリントン大統領が平和の礎で演説をされ、相次ぐ米軍による事件、事故、このことについてもしっかりと触れられた。私はそこで幾つかのフレーズ、大事なメッセージが我が国に対してあるいは沖縄の県民の皆さんに対して発せられているというふうに思います。
 ここでは、サミットに幾らかかったとかあるいは何のメッセージも出なかったとか、もうそんな話をする気はございませんで、むしろ前向きに、その中に込められたメッセージを私たちがどう受けていくかということを議論させていただきたいと思います。
 その中で特に私が関心を持ちましたのは、いわゆる沖縄イニシアチブ、クリントン大統領の方から提言がありました。沖縄の県民の皆さんをハワイの東西センターに、大学院ですが招いて、新しい太平洋の時代におけるビジネスや教育を施す、その基金をつくりたい、そういう提案があったことは、これは大変大事なことだというふうに思います。戦後ハワイには五万人の、今現在五万人の沖縄出身の皆さんがお住まいでございますが、まさに基地を抱え、そして、さまざまな文化の融合を図る、そのハワイと沖縄との関係は大変密接であります。また人々をいやすという意味からも大きな成果だというふうに思います。
 私は、ちょうど二十一日にイースト・ウエスト・センターの、このクリントン大統領の原稿、沖縄イニシアチブのもとを書かれたリチャード・モリソンさんとお話をさせていただく機会をいただきました。まさに民族や宗教、国家という枠を超えて多くの人たちが共通の問題を話し合い、あるいは多くの人たちが共通の課題を勉強し合い、そういうものを提案をしたのだということでございましたが、問題は、琉球大学創立五十周年にちょうど当たったわけですが、そのときにこういうプログラムを提示されて、私たちがこのプログラムに対してどのようなかかわり方をしていくのか。大臣は情報産業についても大変多くの勉強をされている大臣でありますけれども、どういうふうにこの世界のビジネスの中で通用する人材をつくっていくかということは、我が国にとっても沖縄県にとっても大変喫緊な課題、大事な課題でございますが、このクリントン大統領のいわゆる沖縄イニシアチブの提案について、どのようにとらえて、そして私たちはどうこたえていくのか、そのことについての御所見を伺いたいと思います。

○内閣官房長官 まさに平和の礎、県民も含めて二十数万お亡くなりになる、同時にまた米兵もそこで戦死なさる、その名前も一万数千。米兵だけではないかもしれませんが、外国の方の戦死者の名前も刻まれている。これだけの大規模なある種の墓碑銘は国際的に見ても珍しいのではないかと思いますが、その礎の前で大汗をかきながらクリントン大統領が発表されたこのイニシアチブは、私自身も見ていて本当に感動した次第でございます。
 今、原口委員が位置づけなさいましたように、まさに二十一世紀に向かいます、この日米両国が協力をして、沖縄の将来を担う国際的な人材の育成のみならず、世界を担うといいましょうか、そういう人材の育成を支援する計画である、こう位置づけていいのではないか、かように考えております。
 政府としても、そういう意味で、今後の振興策あるいは教育のあり方、交流のあり方を考える上でも、関心深く見守ると同時に、やはりそれにまた呼応するような努力も続けてまいりたいと思っています。
 最後のお尋ねでございますけれども、情報通信のことにお触れになりましたが、実は、ITというものは、一つのハードだとか機械だとか言われていますが、機械の方でいえば、一九四六年にコンピューターができてもう半世紀以上もたっておるわけで、そういう意味ではITなんというのも最後の段階に来ている。そうではなくて、やはりそこに載せられるコンテンツ、情報ですね、それをいかに高度に、知的に利用していくか、あるいは共生のかぎにしていくかというところが一番大切な問題、部分なんだろうと思っています。
 そういう意味では、交換のスピードだけではなくて、その情報の分析、評価あるいはシミュレーション、そういう技術が求められているわけでありますし、何よりも、そこに込められた情報の持つ意味をお互いに正しい交流をしていく一番の土台にしていくということも求められていくのであろうと思いますから、ハワイのイースト・ウエスト・センターで、そういう見地からの研究なり実証なりあるいはまた積み上げなりして、その中でまた、米側にも、あるいは沖縄、日本側にもそういう有為な人材が育っていくということが非常に大切なことだ、こう考えておるわけでございます。

○原口委員 モリソン所長は私に、EBI構想による奨学金を小渕東西センター奨学金という名前にしようじゃないかという御提案をされました。亡くなった前総理について、与党、野党問わず、どれほど多くのことをされてきたかということを考えると、これも一つの考えだというふうに思います。
 このビジネス構想は四つの構成からできています。教育トレーニング、実践的教育実習、教員交流、援助。ただ、これはアメリカだけの奨学金であってはならない。両国政府がやはりしっかりと手をとり合って、両国の民間企業もお金を出し合って、さらにプログラムを拡大していく必要がある。それこそ東と西との文化の交流、そのシンボル的なものにすべきだというふうに考えておりますが、御所見をさらに伺いたいと思います。

○内閣官房長官 ついこの間クリントン大統領が発表された構想、EBI構想でございますので、正直、こちら側の政府部内で、日本側がそれに対してどうするかという検討の詰めは、まだ完全に詰まっておりません。
 しかし、私個人として思いますのは、やはり今後振興策を考える上で大変大きないい方向の一つとして、十分、参考というよりも、一つの発想としては土台にしていく部分がある、こう考えておりまして、そういう方向で努力をしたいと思っています。

○原口委員 前向きのお答えをいただきました。私は、もうこの委員会で何回も申し上げていますが、やはり沖縄の問題は対立軸で考えるのではなくて、戦後あの大変な時代を超えられた沖縄県民の皆様、その思いを日本国全体でしっかりととらえていく、そのことが政府にも国会にも求められているというふうに思います。
 ただ、平和の礎での発言については、一部、いろいろな報道や沖縄県民の皆様のお話を聞くと、やはりこの沖縄の米軍基地から発した飛行機によって、武器によって、その正義はともかくとして、戦後また多くの方々の命がなくなっていることも事実でありますし、また、サミットが終わって、あの爆音が戻ってきたことも事実であります。
 嘉手納基地の周りの方々にお話を伺うと、同じF何とかという飛行機でも、米軍の飛行機の爆音とそして自衛隊のそれとは同じに聞こえないのですと。それはなぜか。私たちが主権の及ぶ我が国の中に住んでいて、そのことをいかんともしがたい。長い間、七五%の基地の集中ということを許してきた。このことからすると、一体沖縄の基地というのは何なのかということを原点に返って私たちは議論しなければならないというふうに思います。
 今度、ポスト三次振計に向かうわけでありますが、三次振計のあり方についても、私は、基地がここからここまで返還されるからその跡地利用をどうするかという考え方、それもあるでしょう。しかし、まず沖縄全体のグランドデザインを考えて、そして、不要になった基地については撤収をすべきだし、あるいは兵力――SACOには兵力の問題についてはやはり触れられていません。SACOが確実に実施されることが当面の目標だという政府の見解は私どもわかりますが、しかし、それだけで済むのか。十五年の使用期限をきょう議論する気はございませんが、私はむしろ、こういう目まぐるしい世界情勢の中では、定期的に兵力について討議をする場所をつくっておく必要があるのではないか。それはSACOというものについても大事だけれども、それ以外のものについても、例えばマリーンが、海兵隊がこの沖縄にこれほどの数いなければいけないという論拠はどこにあるのか。
 今回、いわゆるホスト・ネーション・サポート、思いやり予算というものについても初めてメスが入ったということが報じられています。これはどういうわけで入ったのか、そして基地の整理縮小についてどのようなスタンスで臨むのか。まだ外務大臣はお見えになっていませんので、総括政務次官、お話を伺いたいというふうに思います。

○外務政務次官 政府といたしましては、在日米軍駐留経費負担が日米安保体制の円滑かつ効果的な運用にとり重要な役割を果たしていること、及び、一方で同経費負担の一定の節約合理化が必要であることを十分に念頭に置いて検討を行ってきたわけでございます。
 そこで、結果的には、現行協定と同様の枠組みを維持しつつも、一定の節約合理化策を導入することで基本的に意見の一致を見ましたのが、今委員の御指摘のあった結果でございます。
 また、私どもとしましても、SACOの合意の実現に向けまして全力を尽くしていく決意でございます。

○原口委員 初めてそこにお座りになりましたから、突っ込んだ議論をこれからさせていただきたいのですが、海兵隊は、兵員数にして在沖米軍の六三%、施設面積にして七五・五%を占めている、このことはやはり見逃せない事実であります。しかも、外務大臣が在沖米軍の綱紀粛正措置について、平成十二年七月十日、異例の外務大臣コメントを出される。繰り返される事件、事故、その多くが海兵隊によって起こされている。私は、この海兵隊の沖縄駐留の主な理由というのは一体どこにあるのか、そのことについても真正面からもう議論をしなければいけない。
 私は、これは私の考え方が正しいのかどうか、私自身の考え方なんですが、この在沖の米軍が、米軍の世界戦略の中の約半分をカバーするパワープロジェクションのプラットホームになっている。沖縄から世界のすべての半分をカバーする、これがある限り、整理縮小という言葉が躍ってみても、実際にそれが現実のプログラムとなると、なかなか難しい。
 沖縄の基地ができたときに、朝鮮半島、大変な状況でありました。衆議院が解散する前もこの委員会で申し上げましたけれども、沖縄県民の皆さんは平時においても有事態勢を、しかも、海外の駐留軍を平時においても受け入れている。そこから議論を発想しなければいけないのではないかということをずっと言ってまいりました。
 私は、沖縄海兵隊の駐留の主な理由、一つは、沖縄の地理的な条件がある。また、これは海兵隊からすると、血であがなってきた、自分たちがあがなってきた島である、そういう思いがあるのかもわからない。あるいは、海兵隊は日本の再軍備をウオッチしてきた、そういう側面もあるのかもわからない。私はここに、パワープロジェクションの中に、沖縄の部隊は体に例えると手や足に当たる、筋肉や頭脳は本土にあるわけです。
 昨年、一昨年とさまざまなアメリカの識者の方々と議論をしました。マイク・モチヅキさんやマイケル・オハンロンさん、彼らはオーストラリアにこの海兵隊があっても、あるいはグアムに、ハワイに引いても、これは十分成り立つのだという議論をしていました。今回、私が議論をさせていただいたアメリカの多くの方々も、オーストラリアというのは結構難しいかもわからないが、グアムやハワイという選択はこれからの状況によってはあるのかもわからない、そう言う人たちが出てきているのも事実であります。
 私は、ここで結論を言ってくださいということを申し上げているのではありません。そうではなくて、平時においても、皆さんが戦争のない平和なこの日本に暮らしながらも、沖縄県民の皆さんはまるで有事のような態勢を長い間強いられてきた、この認識を外してはならないということを申し上げたいと思いますが、外務政務次官、それから、これはぜひ沖開の大臣にも御所見を伺いたい。沖縄県の基地がどういう位置づけなのかということを押さえなくては、これからの振興策や、整理縮小策の議論のもとが違ってくる。ぜひお二人に御所見を伺いたいというふうに思います。

○外務政務次官 認識の共通する部分とそうでない部分があったかと思いますが、私は、やはり米軍の日本における存在というのは、日本の安全のみならず、アジア太平洋の地域における平和と安定に大きな意味を持っているという前提に立っております。また、そういう意味では、沖縄に所在する各米軍施設・区域は、日米安保条約の目的達成に重要な役割を果たしているというふうに考えます。
 ただ、今後のいろいろな情勢の変化に伴いまして、米軍のありようということは、もちろんいろいろ協議をするべき問題であろうかと思いますし、また特に、沖縄に大変な御負担をいただいているという痛みは、私たちはしっかりと感じなければいけないわけでありまして、その意味で、SACOの最終報告をまず着実に実施をすることが最善の道ではないかというふうに考えております。

○沖縄開発庁長官 大変大事なお尋ねであろうとは存じますが、クリントン大統領が足跡を減らすという表現を使われました。このことについて、沖縄の人々が、自分たちの思いを受けとめたものだ、そういうふうに歓迎しておられる。今後、二人で二十一世紀の平和のために協力していきながら、この沖縄の人たちの気持ちにこたえていきたい、こう実は日米首脳会談で日本の首相は言ったわけであります。言葉は何とでも言えると言えばそうかもしれませんが、しかし、大事なのは、首脳間でそういうフリーな話し合いの中で本当に共通した認識を持つことが大切なのだろうと私は思います。
 その意味で、今回、大統領が沖縄へ来て、現地の状況も肌で感じられ、そして、これから日米両国で共同宣言や、さまざまな今日までの経緯の中で、今委員が触れられました国際情勢を少しでもいい方向にする外交努力の面でも、お互いに協力をしていく。あるいはまた、沖縄にあるこの兵力構成や、あるいはまた軍事体制についても、このサミットの共通体験をスタートにして、また二十一世紀に向かって議論していくということは、ありとあらゆる場でこれから続けられていくべきなのだろう。首脳会談のたびに日本側は取り上げておりますし、各級レベルでの議論もそれを取り上げているわけでございます。
 しかし、国際情勢の変化というのはなかなかそう簡単に一刀両断で断ずるわけにはいかない。そういう意味で、あらかじめ特定のケースだけを想定するということはできませんけれども、もとへ戻れば、少なくともそういう協議を日米間でこれからも誠心誠意続けていく、そのまた新たな出発点にはなっているのではないか、このように考えております。

○原口委員 大統領は、フットプリント、そういう言葉を使われて、足跡を少しずつ減らしていく、あるいはプレゼンスを減らしていく、こういうこともおっしゃったようでございますが、やはり私たちは、海兵隊の撤収を可能にするためには、米国政府に対して、グアム以東に海兵隊を後退させるという政治的な選択も、これは将来の日米関係を考えたときには大変大事なのだというプログラムを示していく、このことも大事なのだというふうに思います。
 私は、言葉だけが沖縄の痛みや沖縄の基地整理縮小というようなことで躍っているとはとても思いません。政府においても一生懸命なさっている。沖縄県においても、副知事さんがここに当選してこられましたけれども、県においても頑張っていらっしゃいます。しかし、具体的なプログラムなしには、それはやはり進まないのだということを申し上げなければいかぬ。
 また、アジアについても、今回の南北朝鮮半島の対談を見ていますと、やはり一つの大きな時代が幕をあけた、このことは確実に言えると思います。アジアについては、やはり私は、アジア全体が平和になるためには、まだ四つの大きな超えるべき課題を持っているというふうに思います。
 一つは、冷戦的な思考。右か左か、保守か共産主義か何主義かという、まだそういう思考がある。第二は、戦前の日本のさまざまな帝国主義に対する感情的な反発。第三は、今申し上げました南北朝鮮の問題。第四は、中台関係。中台関係については、やはり見逃せない、この問題は大変大事なところだというふうに思います。
 そういう意味でも、私たち日本がどういうスタンスでこの中台の問題について臨むのか、そこをはっきりさせなければいけない。アメリカのように、台湾アクト、台湾が武力によって侵攻されたときには何をやるかという国内法を持っている国。それと、我が国のように大戦のさまざまな多くのものを、遺産を処理しながら、戦後をまだ乗り切らなければいけない、そういう国とはおのずと対応が違うのだというふうに思います。
 そこで、さらに論を進めますが、私は、ではこの間のサミットを挟んだ沖縄県民の皆さんの状況はどうなったのか。沖縄の企業の倒産率、自己破産率、失業率、経済状況はどうなのか。また、沖開公庫の改正法、公庫法の改正をさきの国会で私たちは議論をさせていただきましたが、金融をめぐる状況は一体どうなっているのか。
 ここは大変大切な問題でございますので、今の状況についてつかんでいることを御公表をいただきたいというふうに思います。

○内閣官房長官 沖縄県におきます最近の企業の倒産とか経済状況、あるいは金融をめぐる状況についてお尋ねでございます。
 沖縄県における負債総額一千万以上の企業の倒産件数は、平成十二年に入りまして前年を上回って推移しておりますが、ピークは四月でございまして、それからは漸減しているという状況でございます。
 平成十一年の自己破産件数については、千六百八十三件、前年比一五%増というふうになっております。
 六月の完全失業率は、前月に比べて〇・二ポイント改善という状況になっておりまして、しかし、依然として八%という引き続き高い水準にあるわけでございます。
 そんなことで、経済状況は、特に雇用面において厳しい状況が続いておりますが、七月に発表された日銀短観の沖縄の分と申しましょうか、沖縄地域の日銀短観における企業の業況判断は、四期連続でよいという方向になっておりまして、よいという企業の割合が悪いという企業を上回っている、そういう状況になってきておりまして、先行き拡大する見通しが示されております。
 そういう意味で、全体としては緩やかな改善、これは日本全国と同じようなことを言うわけでありますが、しかし一方で、三次振計の総点検結果として取りまとめました「沖縄振興開発の現状と課題」においては、観光・リゾート産業には確かに成長が見られるわけでありますが、依然として生産部門が弱い、あるいはまた、財政による需要の依存度が高いなど、自立的発展の基礎条件が完全には整備されていない、こう認識をしておるわけであります。
 このため、例えば沖縄振興開発特措法ですね、平成十年の三月に改正をして、自由貿易地域制度、御案内のとおり、情報通信産業振興地域制度、観光振興地域制度というものを創設するなど、昨日も二地域について審議会から答申をいただきまして、この答申に基づいてこれから指定させていただこうと思っておるわけでありますが、そういう制度を創設するなどいろいろな施策を講じておりますし、引き続き今後においても、ポスト三次振計の検討の中で、自立的な発展というものが沖縄県経済できますように鋭意検討を進めてまいります。

○原口委員 自立的な発展ということで、そのとおりだと思いますが、幾つかの数字を点検してみると、完全失業率、四月が七・四、五月が八・二、六月が八・〇。全国は、今大臣がおっしゃったように少し下がっているにもかかわらず、沖縄の失業率というのはもう八を超える失業率。有効求人倍率は当然その分低いわけでありますが、五月などというのは〇・二八、三月〇・二五、六月になって〇・三二ですから、全国のもう約半分しかない。
 このことは、私たちは六兆を超えるお金をつぎ込んだ、その中でやはりお金の使い道についてもしっかりと検証しなければいけない。
 けさたまたま「九州はひとつ」という会議がございまして、与党の有力な政治家の方がごあいさつをされて、その中で、例えば高速道路をつくるにしても、地元の企業がそこに入るのは一〇%にすぎない、全部中央でお金を決めてきて、そしてつくるのも中央の人たちで、税金もまた中央に返っていく、こういう事業はもう改めるべきだということを、私と約半世紀近くお年が違う方がおっしゃっていました。正しい考え方なんだと思います。白保政務次官、うなづいていただいていますが。
 私どもは、例えば十六本の公共事業基本計画についても、これを一本にまとめて、そして用途を限定しないで、地域にそのまま交付すべきだ。ただ、交付するときには今のままの数字とは言えない。たとえ三割落ちても、自分たちの地域を自分たちの頭で考え自分たちの手でつくることによって、今中川大臣がお話しになったような本当の自立した経済をつくることができるんじゃないか。公共事業一つとってみても、十六に分かれています。本当は沖縄県はもっと下水道をやりたい、そう思ってみても、枠が決まってしまっている。日本全国で構造改革の議論がされていますが、早晩そのような形になってくるんだというふうに私は思います。まずそれを沖縄県の中でやってごらんになってはいかがかというふうに思います。
 特に、先ほどのあのイースト・ウエスト・センターのモリソンさんのお話ではありませんが、ITというものは時間や地域というものの障害を一気に超えることができますので、ITを利用したテレメディシン、遠隔医療に力を入れる。沖縄県の特色に配慮した振興政策があるはずだというふうに思いますが、中川大臣の御所見を伺いたいと思います。

○内閣官房長官 おっしゃるとおり、全国平均を相当上回る水準で完全失業率が推移しているということ、とりわけ若年層においてこの厳しい雇用情勢になっているということは、やはり労働力人口の伸びに比べて雇用吸収力が弱いというために雇用機会が十分確保されていないということであろうと存じます。
 今いろいろな御指摘がございましたが、観光・リゾート産業というものは、確かに、先ほど申したとおり、一つのリーディング産業としての地位を確立しつつあるんだろうと、また、していかなければいけないだろうと思いますが、同時に、新しいリーディングあるいはトリガーになる産業として情報通信産業というものが挙げられることは、確かにそのとおりであろうと存じます。
 製造業というのは、その振興を図るためにさまざまな諸施策を講じたんですけれども、我が国自身の産業構造が、例えば東南アジアだとか南インドだとか、どんどん生産拠点が海外に出ていく、その中で企業立地等々も新たなものが十分に進展しないというのが過去の振興計画の中での実績だったんじゃないかとこう思います。
 そういうことで、そういう意味での沖縄の特性を生かし得る産業として、今二つ挙げられたようなものをこれから十分柱に据えながら取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
 ただ、いま一点、委員御指摘の、それぞれの市町村に公共事業なども、十六の区切りでなくて、全部もう渡してと、こういうことになりますが、この御指摘もわからなくはないんですが、事沖縄に関しましては、現地に総合事務局が置かれまして、そして、一体となって中央省庁の機関が全部そこにいて、県の御要望を聞き、市町村の御要望を聞いて、その中で調整をしながらやっているわけでございますから、私は、これは考えてみると、全国四十七都道府県の中では沖縄地域に、こんな中央の縦割りじゃなくて、差し上げて、そして、その中で地元の声を聞きながらそういう調整の予算組みを、あるいは事業推進をしているんではないか、そうもとれるわけでございます。
 したがって、それだけで問題が解決するかというと、それだけではない、もっと別の仕組み、人材の育成も必要でございますし、あるいはやはり、特性を生かすというさらなる資源の開拓というものもしていかなければならぬでしょうし、さまざまなことを今の御質問で感じた次第でございます。

○原口委員 たくさんの公共事業を沖縄県が消化する、そのこと自体が雇用の下支えをしている、このことを否定する気はございません。しかし、結果として大変高いコスト、私たちも那覇の再開発事業をいろいろなところで調査させていただきましたが、一般の市民の方々がどうしてこの土地を買って家を建てることができるのだろうかと疑問に思うようなところがたくさんございました。伺ってみると、別の公共事業で移転をしてきた人たちがここに住むのですというお答えで、びっくりしたわけであります。
 私は、沖縄県の経済を見るときに、基地の負担だけではなくて、この多くのさまざまな公共事業がなされたことによって、それが自発的というものではなくて、むしろ中央からの振興策ということで来る、このことによって生ずる高コスト体質ということについてもしっかりと目を向けなければいけない。だから今すぐ切りなさいということを言っているのではありません。そうではなくて、やはりみずからがみずからの足で立つ、このことに移行するための施策というものがぜひ必要だというふうに思います。
 あと、北方の問題に移る前に一つ確認をしておきたいのですが、先ほど申し上げたように、今後、アジアをめぐる国際情勢がドラスチックに変わる可能性がある中で、沖縄の基地問題について、一年ごとに、あるいは二、三年に一回、日米間で協議する場、これはもうSACOができているからそれで終わりだというのではなくて、そういう場を積極的に提示していくべきだというふうに思いますが、外務政務次官の御所見を伺いたい、確認をしておきたいというふうに思います。

○外務政務次官 そのように定期的に話し合う場を設けるべきだというお話でありますけれども、これまでもあらゆるレベルで沖縄の基地の整理縮小の問題につきましては米側と協議をしてきたわけでありまして、今後もそういうレベルで緊密に協議をしていきたいというふうに考えております。

○原口委員 緊密に協議をしていく、これもやはり言葉だけではなくて、整理、縮小、統合を果たすためにも、まず、私どもがしっかりと国民に責任を持つためには、そのプログラムをこちらから提示する必要がある。
 もう冷戦は終わりました。とはいえ、中台の関係等、逆に手を緩められない問題もたくさんあります。ですから、そういう状況を見ながら、しっかりとパートナーシップを深めていく、こういう協議の場をとっていただきたい。
 外務大臣が少しおくれられるということで、もう一つ沖縄の問題について、普天間飛行場の移設について伺っておかなければいけません。
 今後の取り組みを進める上での考え方、基本的なスケジュール、これに関連して、移設先飛行場は軍民共用空港というようなことが言われているわけですが、民間空港部分の需要の予測、民需はどのように見込んでおられるのか、このことについても伺っておきたいというふうに思います。

○内閣官房長官 普天間飛行場代替施設につきましては、昨年末の閣議決定で、軍民共用空港を念頭に整備を図る、こういたしたところでございまして、これから、代替施設の工法や具体的な設置場所、その検討を含めて基本計画の策定を行うことにいたしておるわけであります。
 その策定をする場といいましょうか、その策定をしていくために、我々政府と、それから沖縄県と地元地方公共団体との間で協議機関をつくるという方針でいるわけでございます。その協議機関で協議をして、基本計画をつくっていこう、こういうことであります。
 その協議機関でございますけれども、昨年十二月の閣議決定以来、いろいろ今調整している最中でございます。本当にできるだけ早く立ち上げてまいりたいと考えておりまして、そういうことで、今、県とそれから関係自治体と調整をさせていただいているという状況にございます。
 軍民共用空港のいわゆる民需の部分、民間機の部分の需要の問題をお尋ねでございますが、これは正直言って、今まだこの協議機関の立ち上げで大車輪になっているところでございますから、その協議機関で、これから沖縄県や地元自治体のお考えを十分拝聴してまいらなければならぬと思っております。
 いずれにしても、できるだけ早くそういう作業を始めてまいりたいと思っています。

○原口委員 この問題については、また別の角度から別の機会にお尋ねをして、きょうはあと、北方四島の返還に対する問題についてお尋ねをしたい。
 この数日間の北方四島返還問題について、私たちの国は大変大きな岐路に差しかかっていると言っても過言ではありません。それはどういうことに起因するのか、そのことを議論する前に、きょう私はここにロシアの、ロシア語で書かれた「変わる日ロ関係」、これは日本の皆さんがお書きになって、そして日本とロシアとの間、ソ連との間に、どういう領土をめぐる問題があって、それをどのように解決していけばいいか、両国間の友好、親善、それから平和にいかに資するかということを、これはロシア語で書かれています。日本語で書かれたのはここにございます。私は大変な努力だろうというふうに思います。
 戦後、この返還を求めて多くの皆さんが党派を超えて頑張ってこられたことを大変多とするものでありますし、これが一歩も後ろに下がることはあってはならない。この委員会でも、国会でも何回も決議をしてきたわけであります。
 そこで、続大臣にお伺いしますが、北方四島返還に対する啓蒙活動、これは所轄大臣として大変熱心にやっていただいていますが、北方四島、特に四島の島民に対する活動をどのようになさっているのか。
 それから、これは外務省にお尋ねをしますが、やはりロシア国内に対しても、しっかりと私たちは日本のメッセージを出していかなければいけない。国際法と正義に基づいて、四島の帰属の問題というのは、ロシアの民主主義が逆に国際社会の中から試されている、そういう問題だというふうに思うのです。こういう啓蒙活動をしっかりとやっていくべきだというふうに考えますが、大臣並びに政務次官のお考えを伺いたいというふうに思います。

○総務庁長官
 国内の啓発活動につきましては、地域における各種啓発行事の開催を支援し、二月の七日の北方領土の日には、北方領土返還要求全国大会を官民協力のもとに開催するなど、北方領土返還要求運動を力強く推進しているところでございます。
 今後とも、運動を支えている多くの民間団体などと連携を密にしながら、今御指摘ございましたように、啓発活動をさらに積極的に展開をしてまいりたい、こういうふうに思います。
 また、北方四島在住ロシア人との間におきましては、平成四年度に開始いたしました北方四島との交流事業を通じ、昨年度末までに延べ六千五百人が相互に訪問することにより、日本及び日本人に対する親近感が醸成され、領土問題への理解も深まるなど、相互理解の増進を図っているところでございます。この交流事業のさらなる充実を通じまして、北方領土問題の解決のために環境整備に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。

○外務政務次官 おっしゃるように、日ロ関係のさらなる進展、平和条約の締結のためには、両国民が領土問題についての認識を深めること、特にロシアの国民の方に正しい認識を持っていただき、両国民間の幅広い交流と、交流を通じた相互理解の促進及び信頼関係の強化が大事であると私も考えます。
 今、続大臣から話がありましたように、政府としてもさまざまな交流の活発化を図ってきたわけでありますし、それとともに民間レベルの活動、交流につきましても、これまでも側面支援を行ってきておりますけれども、今後とも一層充実させなければいけないと思います。
 こうしたさまざまな分野における取り組みを通しまして、領土問題に関する両国民、なかんずくロシア国民の認識が深まるように、いろいろな具体的な御提言も参考にさせていただきながら取り組んでいきたいと思います。

○原口委員 これは、ロシア語では日ロ平和条約締結への道しるべということで、「変わる日ロ関係 ロシア人からの八十八の質問」ということで、ロシアの上下両院の全議員を対象に、それからロシアの全国の図書館ということで、約四千冊が配られたということであります。編者の安全保障問題研究会、私たちも多くの皆さんがそこで勉強しているわけですけれども、やはりこういう地道な、一つ一つ問題を解決していく。
 昨年の夏、当委員会でロシアを訪問させていただいて、ペテルスブルグの資料館に伺ったときに、ロシア側からこの北方四島の帰属に対する資料を私たちに開示をされるわけであります。私たちが、やはり国際法と正義に基づいて、これほど民主主義が前に進んだと実感したことはございませんでした。正直申し上げて、そういう資料が私たちに、当委員会の委員に開示をされるなどということは、申しわけない、言葉が過ぎるかもわかりませんが、夢にも思っていませんでした。
 それほど理解が進んでいるこの時期に、私は政府に対しては、一つ残念な指摘をしなければならない。それは、政府・与党の実力者が、平和条約の締結と北方四島の返還とを並行して行うのだというような発言をされて、これは新聞報道しかございませんから、私たちはどういう発言をされたのか、その真意がわからない。ただ、その報道に基づいて、予算委員会でも、あるいは本会議でも、あるいはきょうの安保の委員会でも御質疑がされたそうであります。
 私は、御発言をされた野中幹事長は、何も北方四島の返還を後回しにしろということなんて言っておられないと思うのですが、外務省のホームページを見ていると、野中幹事長の御発言に対して事務次官が記者会見でお答えになっていらっしゃいますが、私どもこの問題にかかわってきた人間としては、どのような御発言の真意だったのかということを一回確かめなければいけないので、政務次官、今お知りになっている範囲で結構ですから、野中幹事長、与党の大変な実力者が御発言になったものが、私は、マスコミでどうもゆがんで伝えられているところが多いのじゃないか。真意をやはりここできっちり確認をしていく、このことが大変大事だと思いますので、どのような御発言で、外務省としてはこのスタンスに揺るぎがないということをぜひお答えいただきたいというふうに思います。

○外務政務次官 二十一世紀に向けまして、日ロ関係をどのように発展させていくかにつきましては、日ロ両国の中でいろいろな考えがあるのは、もちろん当然でございます。私は、種々の考え方が表明されますことは、日ロ関係を発展させていこうという熱意のあらわれでありまして、御指摘の野中幹事長の発言につきましても、東京宣言を踏まえた上で、そのような文脈の中で受けとめ得る発言だというふうに政府としては認識をしております。

○原口委員 東京宣言、これは、当時のエリツィンさんと我が国の総理、細川さんの間で交わされたものでございますが、大体五つあったと思います。
 日ロ平和条約締結をもって両国関係は完全に正常化される。平和条約を早期に締結すべく交渉を継続する。平和条約の必要条件は、日ロ両国における過去の遺産の克服である。過去の遺産とは一体何だ。過去の遺産、これは四で、過去の遺産の克服とは、いわゆる北方四島の帰属問題の解決である。五、平和条約交渉に当たっては、歴史的、法的事実に立脚、両国の間で合意された諸文書、法と正義の原則を基礎とするということで、ここに「日露間領土問題の歴史に関する共同作成資料集」、ここまでできているわけです。
 ですから、今政務次官がお話しになったことで、私は非常に安心をいたしました。与党の幹事長が東京宣言というものを踏まえた発言なんだということで、私は、一部の皆さんに少し誤解があるのではないかというふうに思います。ロシアはいろいろな国に対して領土問題を抱えているということも、何かの新聞でどなたかがおっしゃっていたのを聞きましたが、果たしてロシアはいろいろな国に対して領土問題を抱えているのでしょうか。いかがですか。

○外務政務次官
 ロシアにつきましては、いろいろな領土問題はあるにせよ、これはそれぞれ性質が違うものでありまして、一概に申し上げられる問題ではないと思います。

○原口委員 いや、そうじゃないと思いますよ。この北方四島の帰属の問題ほど大きな問題を抱えていないのです。旧ソ連については、バルト三国であるとか――私たちも行きましたよ、エストニア、リトアニア、ラトビア。あるいは中国との間でも大変な国境画定の問題があった。その多くはもう解決しているのです。それで、ソ連からロシアになって、まだほかにないとは言いませんよ、だけれども、一番の問題はこの四島の国境の問題なんです。
 これは、法と正義に基づいて、我が国にその主権があるわけですから、何も私たちが日ロ平和条約、この平和条約の中身そのものが、北方四島を私たちの国が本来主権を主張しているとおりに帰属させる、このこと以外にほかはないのです。今の答弁では、ちょっと私、後ろからアドバイスした人もあれなので、これ以上言いませんけれども、そのことを確認しておきます。
 それで、領土問題を条約交渉から切り離す分離論と受け取られた人たちが、例えばこれはある新聞ですが、パノフ駐日ロシア大使は大歓迎だということをおっしゃっているわけです。そうではないのだ。私は、大事な交渉を前にして、事細かな手のうちを見せてくださいなんということを言っているのではないのです。そうではなくて、外交交渉に臨むに当たっては、そのスタンスは、原則はこうだということが揺らいでいるかに見えてしまうと、もう交渉ができないだろうということを申し上げているのでありまして……(発言する者あり)いや、だから、細かなことを言っているのじゃないのです。(発言する者あり)
 委員長、まだ私が発言中で……。
 大事な政治家の方がこうやってお話しになるということは、与党と政府の間で意見が違っているんじゃないですか。(発言する者あり)いやいや、違うと今おっしゃったから言っているのです。今の答弁と違うと、国会で私に答弁されたものと違うと今おっしゃったから。とすれば、統一見解出してくださいよ、政府・与党と統一見解をね。
 私たちは議院内閣制なんです。もう言うまでもない。(発言する者あり)与党も野党もないのです。(発言する者あり)
 ちょっと委員長、静かにさせてください、質問中ですから。
 私は、この件に関しては、ぜひ東京宣言を踏まえてしっかりと交渉に、この原則を後ろに下げないのだということを、今の政務次官の御答弁で私納得しているのですが、外務大臣、今お見えになりましたが、ロシアとの領土の交渉、このことについて東京宣言を踏まえてしっかりと交渉をする、このことを、森総理も外務大臣もほかの委員会でもお話をされていますが、確認をしておきたいというふうに思います。

○外務大臣 政務次官からもるる御答弁を申し上げたと思いますが、もう九月の三日にはプーチン大統領御訪日で、日ロ首脳会談が開かれるわけでございます。この日ロ首脳会談におきまして、あらゆる問題について率直に、そうして十分御議論をいただく、しかも難しい問題も避けて通らないということを、先般沖縄におきます日ロ首脳会談でも両方の首脳が話し合っておられます。
 そこで、私どもは、これまで二〇〇〇年をめどに、つまり二十世紀に起きた問題だから二十世紀じゅうに何とかしてこれを片づける、つまり二〇〇〇年をめどとして問題を解決しようということを話し合ってきているわけでございますから、この場面ではできるだけ問題が解決するための努力をしなければならないと思っております。
 我々が問題に直面をして真っすぐこれと対応をしていくわけでありますが、今もお話がありますように、日ロ双方にさまざまな提案があっていい、さまざまなアイデアが出ていいのだ、そういうさまざまな提案やさまざまなアイデアを踏まえて話し合いをしていただくということが重要だ、それも重要なことだというふうに我々は考えているわけです。
 しかし、我々の思い、希望、それからこれまで歩んできた道のりを考えれば、我々にとって大事なことというものはもうはっきりわかっているわけでございますから、それはこれまでにも橋本総理がおっしゃった、あるいは小渕総理がおっしゃったさまざまな提案あるいは合意、宣言、そうしたものは当然森総理の頭の中にもあって、そして話し合われるだろうというふうに思っているわけです。
 余り一つのことにとらわれるということではにっちもさっちもいかなくなるということもあるかもしれませんが、しかし、頭の中の整理としては、これまでの双方首脳の合意とか、そういったものはやはり頭の中に整理されて入っているということを私どもは考えているわけでございます。

○原口委員 私たちの頭の中にある大事なものというのは、領土の問題なんですよ。
 私は、例えばいろいろなアイデアがあっていいということであれば、この「ロシア人からの八十八の質問」ということの中にもこういうものもありますよ。「北方領土問題の解決義務を盛り込んだ平和友好協力条約を約束の二〇〇〇年までに結び、領土問題の解決は別の条約で行う、とのロシア側提案の方が現実的ではないか?」これも一つの考え方。あるいは「領土問題では日ロ両国間の隔たりが大きすぎ、とても二〇〇〇年までに問題を解決できるとは思えない。だから一歩前進をはかる中間条約は考えられないだろうか?」これで本当にいいのだろうか。
 平和条約の中身というものは、それそのものが領土問題の解決なんですよ。ここを前提にしない平和条約、私は交渉のフリーハンドを奪うなんということを思っているのじゃありませんから、そうじゃなくて、しかし原理原則はこうだよということをしっかり言わないで、あるいは国民の皆さんにも、今五十年やってきて、半世紀やってきて、ここでもう二〇〇〇年が近づきましたから、いやこの辺で妥協しますよなんということは、とてもあってはならない。
 私は、ある方にお話を聞くと、牽制球にひっかかっているのじゃないかと。野中先生がというのじゃないですよ、そうじゃなくて、今言ったような議論が牽制球にひっかかる議論である。とすれば、私たちが今一番必要なことは、私たちのスタンスはこうだ、ここは変わらないんだということをしっかりと言うことではないかというふうに思いますが、外務大臣の御答弁を伺いたい。

○外務大臣
 大事なことは、政府・与党はきちっと一体となっていかなければならないというふうに思っております。そして、少なくとも私どもは森総理と野中幹事長との間に意見のそごがあると思っておりません。十分にお二人はそれぞれのお考えのものを持って、どういう交渉に臨むかということはもうお二人で十分相互の理解ができておりますから、そこは余り御心配をいただかなくて大丈夫だと私は思っております。
 むしろ問題は、先方との間にどういう話がどんな形で進むか。ここはいろいろ考えてみますと、どこにウエートを置いて話をするかによって話もやはりいろいろ変わってくる部分もあるわけでございまして、その辺のところはもう私が申し上げるまでもなく、これまでの積み上げというものがあるわけですから、そうしたことは総理の頭の中の整理がついているというふうに私は理解しております。

○原口委員 与党と政府の間の整理もそのようについているということですね。東京宣言に基づいて交渉に当たる、これでいいですか。

○外務大臣 これは交渉の前でございますから、ひとつこれ以上申し上げることはお許しをいただきたいと思いますが、私は議員の御心配はないと申し上げていいと思います。

○原口委員 大臣が来られる前に、与党の大事な政治家、私が尊敬する鈴木前大臣から、答弁を訂正するような御発言があったものですから。
 私は、やはりこの問題はしっかりととらえなければいかぬ。領土の問題は切り離せない。
 ロシアが今いろいろな国と領土の問題で困っているか。もうソ連の時代とは違うわけです。領土問題を日本との間で解決していないことによるロシア側の不利益、このことをやはり私たちはしっかりと主張しなければいけない。日本との間で領土問題を解決すれば、私たちはもっと大きな地平を、お互いの共通の平和の地平を見ることができるんだということをしっかりと確認をしなければいけないというふうに思います。ボールは我が国の方にあるのではない。国際法と正義に基づいて本来あるべき姿に返すということが大事だというふうに思います。
 これはもう全然違った質問をいたします。
 先ほど申し上げた「ロシア人からの八十八の質問」の中に、領土問題では日ロ両国の隔たりが大き過ぎてとても二〇〇〇年までに問題を解決できるとは思えないから、一歩前進を図る中間条約を考えられないか、旧ソ連が提案した一九七八年の日ソ善隣協力条約、こういったものがどうかという人もいるわけですけれども、こういう提案に対してはどう思われますか、外務大臣。

○外務大臣 こういう交渉というものはそのときそのときの国力でありますとか国際情勢というものも考えなければなりませんから、その当時それが非常に高い評価があったとしても今はそうでないということもあると思うのです。
 私はやはり、少なくとも善隣友好条約というようなものは、両国間が平和条約を結んだに等しいような状況、あるいは平和条約を結んだ後に友好善隣とか、そういうことがあった方がより適切なのではないか。そういうものが一切なくていきなりそういうことになっていけるかな。私は、ちょっと詳細は今申し上げかねますけれども、今議員のお話をここで伺うと、印象としてそういう印象を持っております。

○原口委員 ありがとうございました。
 これで終わりにいたしますが、やはり原理原則をしっかり踏まえた交渉というものを要求いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○沖縄及び北方問題に関する特別委員長
 これにて原口一博君の質疑は終了いたしました。