予算委員会

平成13年2月16日(金曜日)

○予算委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。

○原口委員 おはようございます。民主党の原口一博でございます。
 質問に入る前に、先日殉職された自衛官のみたまに心から御冥福をささげるとともに、御遺族にお悔やみを申し上げたいと思います。そして、一刻も早く、えひめ丸の行方不明の皆さんが御無事で見つかりますように、お祈りさせていただきます。
 官房長官が途中でお出になるということで順番を少し変えますが、まず防衛庁長官にお尋ねをします。
 二月十四日、ロシア空軍機による領空侵犯があったということを伺っていますが、それはどういうものなのか、お尋ねをいたします。

○防衛庁長官 お答えを申し上げます。
 御指摘の件は、平成十三年二月十四日、昼の十一時五十九分から十二時二分にかけまして、北海道は礼文島北方において、国籍不明機四機が我が国領空を侵犯し、うち二機は、十三時十分ごろ、ロシア空軍のツポレフ22バックファイア二機と判明をいたしました。また、同日十四時三十六分から十四時三十九分にかけまして、ツポレフ22と判明した二機が再び、二回目でございます、北海道礼文島北方において我が国領空を侵犯したものでございます。

○原口委員 ちょうど、イルクーツクでの日ロの首脳会談、そういう日程が上がるか上がらないかのときに、こういう領空侵犯が行われる。前回の領空侵犯が平成七年の三月であることを考えると、極めてこの事態は重い。しかも、この領空侵犯の事案を地図にして持ってきていただきましたが、礼文島の上を、TU22と言われる二機は二回通過をしている。
 防衛庁の方から、年度の緊急発進回数も、そして緊急発進回数の国別の割合もいただきました。それはどういうふうになっているのか、防衛庁長官、お尋ねを申し上げます。

○防衛庁長官 今回の件についても緊急発進をさせていただいたわけでございますが、御質問の緊急発進回数の国別の割合を申し上げます。
 平成十二年ということで申し上げますと、ロシアが約七〇%、中国が約五%、台湾が約五%、その他が約二〇%となっております。

○原口委員 緊急発進回数についても、やはりロシアの七〇%という数字を裏づけるように、北部航空方面隊の発進回数が圧倒的に多い。こういう状況だということを、まず皆さんと情報を共有しておきたいというふうに思います。
 その中で、今、日ロ交渉をされておられるわけでございますが、外務大臣、昨年首脳レベルでも五回会談が行われた。これは近年にない会談であって、そしてそのこと自体は私は多とするものであります。外務省の皆さんが大変な努力をされ、大臣を中心に精力的に交渉を行われたその結果だというふうに思います。
 ただ、幾つかお尋ねをしておかなければいけないことは、暮れの外相の会談、あるいは九月、そういう中でさまざまな御確認をなさっています。その中で、私がどうしてもわからないのは、一九五六年の日ソ共同宣言、これも確認をするということも両国でお話があったかに聞いておりますが、それは事実でございましょうか。

○外務大臣 一九五六年の日ソ共同宣言は、御承知のとおり両国の首脳が署名をして、両国がそれぞれ、日本では国会において承認しているわけでございまして、これは両国でもう決まったものということになっていて、これについてとやかく言う必要は全くないものだというふうに私どもは考えております。

○原口委員 なぜこんなお話をするかと申しますと、あそこでなぜ平和条約が結ばれなかったか。もうこれは皆さんにお話をする必要はない。我が国は、その後の東京宣言あるいはクラスノヤルスク合意、そして、橋本大臣がいらっしゃいますが、川奈での提案、そういう中で、我が国固有の領土である北方四島、この問題を解決して平和条約に臨むという大原則をそこで確立をして交渉に当たってこられたわけでございます。
 ところが、昨年ぐらいから与党の中で二島返還論というものが一定の高まりを見せてくる。一体日本というのはどういうメッセージを持っているのか。先日、私も樺太、サハリンの方へ行ってまいりましたけれども、実際に先方の皆さんとお話をすると、日本側のさまざまなメッセージが正しく伝わっているのだろうか、その危惧を大きく抱いたものであります。
 外務大臣にお伺いしますが、東京宣言で確認をされたように、我が国固有の領土である北方四島を返還し平和条約を結ぶ、このことについて今も政府の立場は変わらない、こういうふうに理解をしてよろしいでしょうか。

○外務大臣 日ロ交渉におきます四島の返還に対する我が国の態度、姿勢は一貫しておりまして、何らの変更はございません。
 昨年暮れに、私、ロシアを訪問いたします前に総理大臣、そして橋本担当大臣とも十分打ち合わせをしてまいりまして、そのときにも私は、ロシア側に、万が一、二島の返還のみで日本がよしとするのではないかというような間違ったメッセージ、あるいは間違ったイメージを持っているとするならば、そうしたことはないということをはっきりさせた方がいいということも打ち合わせでいたしまして、私は、ロシア側に対して、そこは明確に申し上げてきております。

○原口委員 しっかりとした、揺らぎのない御答弁をいただいたというふうに受け取ります。
 実際に、ロシア側も大きく変わっている。七十年間のいわゆる古い体制が壊れ、この十年間で大きく民主化をしています。先日お会いした国境画定委員会の委員の中のお一人も、法と正義を大変重んじる検事出身の州議会議員でいらっしゃいました。そういう状況が今ロシアに起こっている。
 これは、二島返還ということで功を焦るのではなくて、今外務大臣がお話しになりましたように、じっくりと法と正義に基づいて両国の信頼関係を構築する中で返還の悲願を達成していく、こういうことが最も大事であるというふうに思いますが、外務大臣の御決意を伺いたいと思います。

○外務大臣 先ほど御答弁を申し上げたとおりでございますが、そうした我々の基本的な主張を実現するために、政府・与党一体となって、何としてもこの我々の主張を先方に納得させる、我々の主張に合意するように努力をしようということで全力を挙げているところでございます。

○原口委員 そのためには、国内外のこの問題に対する理解、国民の協力というのが本当に欠かせないわけでございますが、実際に日ロの間のさまざまな、橋本・エリツィン・プランを初め多くの問題にかかわってこられた、そして北方の対策の担当大臣であられます橋本大臣にも同じような御質問をさせていただきたい。
 どのような形で進むのが望ましいのか。もちろん、外務大臣が所掌であるということはよく存じ上げています。存じ上げている上でお尋ねをするのと、そして、担当大臣としてどのような国内での啓蒙活動あるいは運動を考えていらっしゃるのか、この二点についてお尋ねを申し上げます。

○沖縄担当大臣 明日、私は久しぶりに北方領土の見える場所まで行こうと考えております。そして、北方対策担当大臣としての立場でこれを見るのは初めてでありますが、過去に何回か現地も踏んでまいりました。その上で、今だんだん関係者が寂しい思いをしておられるものをどうすれば熱意を持ち続けていただき、また一般の国民にも関心を持っていただけるのか、苦慮いたしております。
 しかし、四島返還を求めるという日本政府の姿勢には、先ほど外務大臣から御答弁がありましたとおり、何ら揺らぎはございません。そして、もし現地でそうした点に御不安が出ておるようであれば、改めて私からもそうしたことを申し上げたいと思いますし、関係者に私どもができる限りの努力をしているという状況も御説明をしたいと考えております。
 その上で、去年は実は私はそれをする時間がなかったのですけれども、ロシアのメディアの中心の人々、編集局長クラスの方々に私は何回かモスクワに参りましたときにお目にかかり、日本の考え方、そして実態の内容、そうしたものを説明する努力を繰り返してまいりました。なかなかそれがロシア国内に反映しないという悩みはございます。あるいは、青少年交流、スポーツ交流等の機会を私自身もつくってきましたけれども、本当に実態が知られていないというのが実感であります。
 それだけに、そうした地道な努力をできるだけ私どもとしては続けながら、総理、外務大臣の外交交渉の足場を少しでも確保していきたい、そうしたことに努めてまいりたい、そのように考えております。

○原口委員 実際に北方四島は今大変な、例えば生態系だけとってみましても、汚染の問題で我が国固有の種が失われる、そういう危惧もございます。ただ、その中で両国が、文化やあるいは学術やそういった交流をする中でパートナーシップ、交流を深めていく。そして、この問題はひとえに、法と正義に基づいて、ロシアの民主化が問われている、こういう問題であるというふうに思います。
 次に、外務省の機密費の問題についてお尋ねをいたします。
 四日間質疑がございまして、すべての議事録を精査するわけにはまいらなかったわけでございますが、その重立ったものをひもといてみても、一体この松尾さんに渡ったお金が何だったのか、そしてそれがどのように使われたのか、これが、官房長官あるいは外務大臣、そして内閣の官房職員が総理と一緒に出ていったとき、外務省の職員が出ていったとき、他省庁の職員が出ていったとき、それによって答弁が随分揺れている。あるいは馬の頭数についても、四頭になってみたり、五頭になってみたり、一体これはどういうことなのか。中井委員に答えられたことと佐藤委員に答えられたこと、それと平岡委員に答えられたことが違う。これは、なぜこんなふうなことが起こるのか。議論が大変散漫になり、散逸をしてしまう、このことを心配しています。
 官房長官、もう一回整理をして、一体松尾さんに渡ったお金は何だったのか、そしてそれは幾らで、どのような性格を持つお金だったのか、お答えをいただきたい。
○内閣官房長官 松尾元室長に渡したお金は、内閣官房職員の規定分の宿泊費と内閣官房職員、外務省職員及び他省庁職員の宿泊費差額であります。
 松尾元室長在任期間中の内閣官房職員の規定分の宿泊費は、平成七年度から十一年度分で約二千八百万円であります。宿泊費差額は内閣官房の報償費から支出されており、松尾元室長に渡した額は約九億六千五百万円であります。
 以上、以前にもそのように答弁いたしております。

○原口委員 同じことを外務大臣にお尋ねを申し上げます。

○外務大臣 松尾元室長は、内閣官房職員につきましては宿泊費規定額及び宿泊費差額を、外務省同行者については宿泊費差額を官邸からお預かりしていた。
 内閣官房職員の宿泊費については、松尾元室長が一括してホテルに支払った。
 外務省職員分については、当初は松尾元室長が宿泊費差額を各人に支給し、各人が個別にホテルに支払っていた。その後、松尾元室長が外務省の所管部局より宿泊費規定額も預かり、官邸で受け取った宿泊費差額とあわせて一括して支払う方法が比較的多くなってきた。

○原口委員 他省庁の職員についてはどうですか。それは外務省としては、五億四千五百万が、宿泊費の差額として松尾さんが官邸から取っていった、こういうお金で、他省庁ですから、ほかの省庁に聞かないとこれはわからない。ただ、外務省が可及的速やかに出されるとされた旅費、各職員へ支給された、これは幾らですか。

○外務省官房長 お答え申し上げます。
 外務省の支払いました宿泊費規定額は、平成七年度から平成十一年八月までの総理の外国訪問に要した外務省の宿泊費規定額の総計約九千三百万円でございます。
 なお、平成六年度以前につきましては、会計関連文書の保存期間が、これは五年でございますけれども、過ぎておりますために記録が残っておりませんので、算出し得ませんでした。

○原口委員 これだけのお金が、個人一人でどうやって、今外務大臣がお話しになったように、差額宿泊費分は各職員に手渡しているときもあればホテルに一括払いもする、どうしてこんなことができるのだろうか。聞けば聞くほど疑問でなりません。
 そして、きのう外務省の方々と御議論をさせていただきましたが、それを上司が知らなかった、あるいは、今その元上司にも聞き取り調査を外務省の方でなさっているそうでございますが、そこで明らかになっていることはどういうことですか。

○外務省官房長
 松尾元室長の所属しておりました要人訪問支援室の直接の上司は総務課長でございますけれども、松尾元室長在任中の総務課長全員には聞いております。そこで明らかになっておりますことは、既に調査報告書で出ておりますように、チェック体制の不備ということだと思います。

○原口委員 副大臣にも命じられて、さらなる調査を外務省はされているということを漏れ聞くわけでございますが、どのような調査をだれに行っていらっしゃるのですか。

○外務大臣 私から、政治主導で内部調査をさらに継続しようということで、調査委員会の長に、すなわち調査委員長に荒木副大臣を任命いたしました。荒木副大臣は、引き続き内部の関係者からの聞き取りをしております。これは、今飯村官房長から御答弁申し上げましたように、かつての松尾元室長の上司等から聞き取り調査をいたしております。

○原口委員 今この時点でわかっていることはどういうことですか。

○外務省官房長 さまざまなお調査を行っておりますので、結果について随時外務大臣に御報告申し上げるということでございますけれども、私ども、どうしてこういったチェック体制に不備があったかということでございますけれども、一つの体制上の不備の背景といたしましては、要人訪問室長に対する指揮系統の不明確さがあったのではないかというふうに考えております。
 と申しますのは、平成二年に新設されました要人外国訪問支援室は、外務省の組織構成としては官房総務課のもとに置かれているわけでございますけれども、実際の総理の外国訪問支援業務を遂行するに際しましては、この訪問を主管する部局課との緊密な連携のもとに動いていたということでございまして、指揮系統が総務課長のもとに統一されているとの認識が当事者にやや薄かったのではないか、こういった不備は、私どもが今まで調査している中で一つ出てきております。

○原口委員 その聞き取り調査をなさっている中で、上司の方々が松尾さんが扱っているお金、このお金についても随分議論があるわけですが、とにかくお金としておきます、このお金が、今御報告がありましたように、官房報償費であるという認識はあったのですか。

○外務省官房長 宿泊費の差額といたしましては、官房報償費という認識はあったと思います。
 他方、この支払いにつきましては、これまで御説明申し上げておりますように、クレジットカードで支払っているとかあるいは現金で受け取っているとか、そういうことについては上司は承知していなかったというふうに理解しております。

○原口委員 きょう朝報じられたところでは、会計の責任者の皆さんたちは官房報償費であることも知らなかったということが流されているわけでございますが、当時の官房総務課、会計の責任者皆さんがそういう認識ではなくて、ちゃんと松尾さんが官房報償費をそういうことに使っているんだという認識があったというお答えでいいですね。

○外務省官房長
 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、体制上の不備がございましたので、直接の上司そのものは、その差額が内閣官房の報償費から来ているという認識はなかったというふうに理解いたします。

○原口委員 直接の上司そのものが何のお金を扱っているかわからない、こういうことがあるんでしょうか。さっき答弁されたことと真反対のことを今言われたわけですが、どちらが正しいんですか。

○外務省官房長
 大変に失礼いたしました。後に申し上げた方が正確でございます。

○原口委員 本当にこれは大事なことなんですよ。なぜかというと、再三再四、これは松尾さん個人の犯罪だということをおっしゃっているわけです。しかし、本当にそうなんだろうか。私たちは立法府として、今内閣から御説明いただいている、外務省から御説明いただいているのは、本当にそうなんだろうか。松尾さんはここで何の抗弁もしていません。何のことで告発されたかということも、皆さんからの言を信ずる。そうすると、ひょっとすると、立法府のこの予算委員会という大変重大な委員会の委員の一人として、本当はこの個人を大きな組織が追い詰めているんじゃないか、そのことさえも疑われるような今の答弁だと言わざるを得ない。
 内閣の方に伺いますが、官房長官、秘書官、いわゆる機密費の管理をされるわけでございます。当然、松尾さんが内閣官房の方に来られたら支出をする人がいる。その支出に決裁を与える人がいる。もちろん、その最終責任者は官房長官でございますが、事務方の最高責任者は当時どなたですか。

○内閣官房長官 通常、出発日の数日前に、外務省から内閣官房の担当窓口に宿泊費についての見積書が届けられ、担当窓口から見積書を受け取った首席内閣参事官は、この見積書に基づいて必要経費を内閣官房長官に説明し、そしてその指示を受けて担当窓口を通じて外務省要人外国訪問支援室長に手渡していたのであります。
 担当窓口というのは、外務省との連絡調整を担当している内閣事務官でございます。内閣事務官併任の内閣総理大臣秘書官付でございます。

○原口委員 担当窓口についてはこの間御答弁がありましたから存じ上げていますが、今お話しになった方々、私が手元にいただいた資料によると、平成四年から七年の間が現在の厚生労働省顧問をされている方、それから七年から十年、この間の首席内閣参事官が現在の環境事務次官、それから十年の一月から十三年の一月までが今の内閣大臣官房長という形になっています。この方々は、その証明書、明細書があればそのまま出金をされていたのか。少なくとも松尾さんの上司の決裁といったものがなくてどうしてこんなことができるんだろうか。そこの点については何をもって決裁をしていたのか、お尋ねをしたいと思います。

○内閣官房長官
 宿泊費差額の支出につきましては、在外公館を擁し、現地の情報に精通している外務省との役割分担ということでもって事務処理を行ってきております。これは外国のことでございまして、そういうことについて内閣官房として十分な状況というものは把握していない、そうなりますと、やはり外務省にお願いするしかない、こういうことでやってまいったわけでございます。

○原口委員 先ほど外務省の方は、指揮に当たるのはその当時の官房総務課長だ、だからここの決裁が要るはずなんですよ。それもないものが、では、どうやって個人が、松尾さんは昔からこれをやっていらっしゃるわけじゃない、あるときにこのことが彼の仕事になった。とすれば、個人だけでこんなふうなことができるわけがない。内閣官房との間でしっかりとした意思疎通がなければ、あるいは上司の決裁がなければあり得なかった事件であり、事案だというふうに思います。
 この三人の当時の首席内閣参事官、この方々についても事情を聞いていらっしゃるんでしょうか、官房長官。

○内閣官房長官 事情は聞いております。

○原口委員 そうすると、何をもって決裁したとおっしゃっていますか。明細書だけで決裁をするんですか。そんな簡単な官房報償費なんでしょうか。

○内閣官房長官 先ほども申し上げましたけれども、現地情報に精通する組織として外務省が、訪問団の現地拠点となる宿泊の宿舎の確保、そしてこれに伴う必要な宿泊費の見積もりなどを、実務面の支援業務として行っているということであります。

○原口委員 こうこうこういう決裁が来たから出しますということを、これほどの、今申し上げました、それぞれ枢要な位置に今おられる方々ですよ。この責任者の方々が、技術的なことはわかります、その方が現地の状況に精通をされている。ところが、そこに付与されている書類があるはずですよ、上司の決裁だとか。そういうのもなしに、こういうことが起こるんだろうか。
 一義的には外務省で、さっきお話しになりました、指揮系統がはっきりしなかった。これは本当でしょうか。九七年に注意をされているんでしょう。本委員会の中でも、るるお話がありました。きょうはそれを一々お話をしません。ということは、一回注意を喚起されていて、どうして上司が官房報償費から来ているということを知らないということが言えるんですか。松尾さんのこの在任期間中の上司全員が知らない、そう理解していいですか。

○外務省官房長 お答え申し上げます。
 これは何回も申し上げている点でございますけれども、松尾元室長は、平成五年の十月の室長就任以降、宿泊費についての見積もりの作成から支払い、精算までの事務を、上司の決裁を得ることなくすべて一人で取りまとめていたのが、まことに残念ながら実態でございます。

○原口委員 まじめに答えるように委員長の方からも御注意をお願いしたい。

○予算委員長 官房長、先ほどから答弁が変わったりしておりますので、正確に、明確にお答えするように要請しておきます。

○原口委員 ありがとうございます。
 九七年に注意をされている。九七年も松尾さんはこの職にあったんじゃないですか。

○外務省官房長 お答え申し上げます。
 二点ございますけれども、一つは、松尾元室長は九七年にはこのポストにおりました。
 それからもう一つは、九七年に注意をしておりますのは、これとは全く別件でございまして、それは松尾元室長ではございません。

○原口委員 それはまた、前々回で質問した人たちの質問をもう一回繰り返すことになって、この官房機密費であったということは、上司が知らないということ自体が説得力を何も持たない。
 それでは、角度を変えてお尋ねをしますが、松尾さんが室長になったときに、官邸に対して官房報償費をこういうことに使えるというふうに決裁をしたのはだれですか。

○外務省官房長 これも調査報告書に出ている点でございますけれども、決裁を得ることなく彼の業務が始められております。

○原口委員 今本当に大変な御答弁をされているんですよ。検査報告書にそう書いてあるとおりに、上司の決裁なく、一外務省の職員が官房に乗り込んでどうしてこんなことできるんですか。私たちの国というのは、そんないいかげんな国ですか。
 官房長官、今の御答弁でいいんですか。内閣官房というのは、だれの決裁も得ない人が来てお金をくれと言ったら出すんですか。とてもじゃない、こんな予算は審議できない。官房長官、お答えください。

○内閣官房長官 報償費の使途として、これは適切であるということは何度も繰り返して述べたところでございます。
 そして、今回のこの問題については、外務省の要人外国訪問支援室が行っていた経理面での支援について、外務省として責任持ってチェックすべきであるということであったと思います。にもかかわらず、この元室長が上司の了解を得ることなく単独で処理していたことをチェックできなかったという、そのことに起因する問題であるというふうに私は思っております。

○原口委員 九三年、彼が室長になったときに、そのときのことを簡単に想像してみればわかりますよ。例えば、私でもいい、室長になる、だれかがその権限を付与しなければ、官房の中に入るなんということはできないでしょう。
 今外務省は告発をされて、我が国始まって以来、官邸の中にも司直の手が入るかもわからぬ、こんな異常な事態を起こしているんですよ。今みたいな答えでは納得がいかない。もう一回御答弁をお願いします。

○内閣官房長官 このやり方は、松尾室長が担当する以前から行われていたというように承知しております。

○原口委員 今、大変な、大事な御答弁をされました。
 ということは、松尾個人の犯罪であるということをおっしゃっているが、これはその前にもこういうことは行われていた。それは外務省も御存じだったわけですね。いや、横領をしていたということを言っているんじゃないですよ。差額の補てんを、官房に行って、そしてお金をもらってくる、しかも上司の決裁もなしにやれということをやっていたんですね。いかがですか、外務大臣。

○外務大臣 この仕事は、総理が外国を訪問されるときに、内閣官房から外務省に対して、例えばアメリカへ行く、あるいはイギリスへ行くということを内閣がお決めになって、アメリカへ行くことになったからそのための準備をしろという指示が内閣から来るわけですね。その指示を受けて、支援室はそのためのホテルの準備、アクセスの準備その他について現地と連絡をとって、このホテルはどの程度のレートです、アクセスはどうなっていますということを確認して、そして見積もりをつくってお届けをするということから始まっているのだというふうに思うんです。
 したがって、松尾元室長といいますか外務省の作業は、まず内閣からの外国を訪問するという決定といいますか指示があって、それを受けて作業をするということになっているわけでございます。

○原口委員 質問にお答えになってないわけですけれども、どういう作業をしていたかということは今お答えいただいたわけですが、官房長官がお話しになりましたように、松尾さんの前も同じようなシステムをとっていたんですね。イエスかノーか、答えてください。

○外務省官房長 松尾元室長の前は主管部局、地域局が差額補てんを官邸から受け取っておりました。ただ、それがいつから始まったかは確認できません。

○原口委員 もう本当にいいかげんにしなさいと言いますよ。上司の決裁もなしに、そしてそれがいつから始まったかも確認できないようなことで、どうやって公金の支出を私たちチェックできるんだろうか。本当に物すごいことを皆さんおっしゃっているんですよ。聞いている方も、どこの国の国会でお話を伺っているんだろうかと。
 ことしからいわゆる政治主導ということが始まって、党首討論もイギリスを見習って始まりました。しかし、私たちがその中で魂を入れるためには、本当にこの改革の実を上げるためには、イギリスの中には、ある方がおっしゃっていましたが、どんなことがあっても内閣に入らない、バックベンチに座って議会人としての本分を全うする、そういう三権の、しかも最高機関としての議会人の本分、これをしっかりと守った人がいて、それが内閣をきっちりチェックをしているから機能がするんだと。
 今お話しになったようなことを野呂田委員長を初めとするこの委員会で是とできるでしょうか。とてもできない。いつから始まったか、そしてだれの決裁でそれが行われてきたのか、上司はなぜそれを知らなかったのか、明確に出してください。

○外務大臣 私から申し上げさせていただくならば、いつからこういうやり方があったかと言えば、総理が外国を訪問するということがあれば、必ず内閣は外務省にそういう指示があるわけでございますから、その数の多い少ない、それからどのぐらいスムーズにやれたかどうかということは別にして、内閣と外務省が一体となって総理の外国訪問を支えるわけでございますから、総理が外国訪問をされるようになってから、しかもそれがかなり数が徐々にふえるようになってからは、これが一つのパターン化してきたということを言っていいと思うんです。
 したがって、それはいつからかといえば、もう五年とか十年とかというものではなくて、もっとずっと以前から、総理が外国を訪問されるとなれば外務省がロジスティックの分野でもこれをバックアップするというのは当然の仕事であって、それはいつから始めたということを明確に今申し上げられないという官房長の答弁も御理解をいただきたい。
 ただし、それをさらに組織化し直して支援室というものをつくったのはいつかと言われれば、それは御答弁を申し上げておりますように、たしか平成二年に支援室をつくって、つまりそれを組織的に一つの室に集めて、そこが、総理の外国出張についてはこの室が全部ロジスティックの支援をするということになったのは平成三年からでございまして、そして松尾室長がその室長になったのは平成五年からであるということは申し上げていいと思うんです。

○原口委員 上司の決裁がいわゆる指揮系統の中でなくて、そしてそれもずっとその状況が続いていたからこういう事案が起こったんですよね。しかも、今は外務省だけが言われているけれども、出す方も、明細だけで本当に出していいのか。
 会計検査院に伺います。会計検査院は、差額であったということも御存じなかったということでは、松尾さんの上司とほとんど同じだ。これまで独立機関として公正な行政をチェックされてきた会計検査院の歴史の中で、とても残念な事案だというふうに思います。今まで検査院はどのような検査をされていたのか。何をもって検査の書類としてきたのか。そして、今回の事態に対する検査ももう行われました。いつ公表されるのか、それはどういう細目でやっているのか。額を言ってくださいとか使途を言ってくださいと言っているんじゃありません。上司の決裁書も何もないようなもので事が進んでいる、このことが不思議でたまらない。
 そして、口を開くと松尾個人が悪うございましたということだけれども、私は、委員長に再度お願いをしますが、一方からだけ聞いていたのでは全くわからない。ここは、松尾さんにここに来ていただいて、本当に外務省や皆さんがおっしゃっていることが実態に合っているのか、あるいは松尾さんが何をやったのか、このことをしっかりと立法府の責任として国民に説明する義務があるというふうに思いますので、理事会でお諮りをください。

○予算委員長 わかりました。

○原口委員 検査院、いつまでに公表されますか。

○会計検査院長 現在、事実関係及び原因についての究明を行っております。この究明に基づきまして、公表の可否、時期、内容等について検討していきたいというふうに考えております。

○原口委員 それには時間を区切るべきですよ。少なくとも私たち国会に対する説明、国会に対する説明というか、国民に対する説明ですね。
 私たちは、今、大事な予算を審議しています。九州の中でも、電気をとめられて、ろうそくの火が燃え移って亡くなったという中学生の悲報もあります。そういう中で、私たちは、さまざまな改革のあるいは問題解決の中身を議論しなきゃいけない。しかし、それがこの前段で、内閣そのものの信頼が、政治そのものの信頼が今大きく揺らいでいる。それを復権させることが、与党、野党問わず、私たちの務めです。
 期限を区切ってほしい。望むらくは、今月中に、中間報告でも結構ですから、お出しになりますか。

○会計検査院長 会計検査院としては、最大限の努力をしたいと思います。その意味で、できる限り早急に結論を出して御報告したいというふうに考えております。

○原口委員 私は、今そういう簡単な意味でおっしゃっているんじゃないと思うけれども、抽象的な言葉ではとてもここは引き下がるわけにはいかない。
 実際にこの予算でいいのか。本当だったら減額が必要なんじゃないのか。あるいは同じようなことがまた起こるんじゃないか。個人の犯罪ではなくて、組織としてやっているんじゃないか。それを松尾さん個人に矮小化しているんじゃないか。そんなことまで考えなきゃいけない。
 在外公館に行くと、しっかりと日本の、私たち国民の利益を背に背負って頑張っている人がたくさんいますよ。ほとんどがそうです。その中で、こういう残念な事件は早く解決をしなきゃいかぬ。予算審議の妨げにもなる。今月中に出すというお答えを下さい。

○会計検査院長 今回の事件に即しまして、内閣官房の報償費について、その執行の事実関係及びその管理体制、それについて、法律的な観点から違法、不当がなかったかどうか、また、執行体制が、適正に執行されるように行われていたのかということを明らかにして、その上で対応を考えていきたい。
 その点については早急にそのような作業を実施していきたいということでありまして、いつまでにという形では私申し上げることができませんけれども、早急に作業を終了したいというふうに考えております。

○原口委員 少なくとも、だれの決裁でどういう出金が行われていたか、このことぐらいは出していただかなければ、本予算のこの項目についての判断の材料が私たちはないんです。それは、野党だけじゃなくて、与党もないと思いますよ。
 私は、完全なものを出してください、そんなことを言っているのではありません。中途で、これが中間報告でも結構ですから、しっかりと出してくださいということを申し上げているわけです。
 委員長にお願いをいたしますが、後で理事会で諮って、この会計検査院の中間報告、この時点での中間報告を、一定の時期を御協議いただいて出すようにお諮りいただきたいというふうに思います。

○予算委員長 理事会で相談いたします。

○原口委員 最後に、この項の最後ですが、官房報償費に対する差額の補てんがいつから始まったのか。官房長官、外務大臣、お二人にお聞きしたい。いつからこの差額の補てんは始まったんですか。

○内閣官房長官 先ほど外務大臣から答弁がございましたように、首脳外交が始まった、総理の海外出張が始まったというときから行われていたのではないかと思いますけれども、正確な開始時期というのはわかりません。

○外務省官房長 私ども、会計書類の保存期間が五年でございますので、いつから差額補てんが始まったかということについては正確には申し上げられません。ただ、相当以前から行われていたというふうに現時点ではお答えするしかございません。

○原口委員 もう聞けば聞くほどわからぬ。これはまた別の機会にお尋ねをしますが、今ここで明らかになったことは、いかにずさんで、しかも責任がないお金がこれほど多くのことに使われていたかということがわかったわけです。私は、これがはっきりするまでは与野党で協議をして、本予算については減額あるいは凍結も含めて、私たち立法府としての態度を、このいいかげんな内閣に対して示さなければいけないというふうに思います。
 あと時間がわずかになりました。
 環境大臣そして農水大臣、今、諫早湾干拓事業あるいは有明海の漁業被害、とても深刻な状況です。ノリの漁業者は、もう一回同じことが起こればもう立ち直れない。実際にあのノリをお口に含んでお食べになりましたけれども、私は、過去の環境調査あるいは今回の調査、早急に行われるべきであるというふうに思います。
 しかも、谷津農水大臣がくしくもおっしゃっていただいたように、海のことは漁民に聞け、私たちも多くの漁民の皆さんに伺いました。そうすると、潮位が一メーターも上がった。防災だとおっしゃるけれども、福岡や佐賀の、あるいは熊本の潮位は、二十センチも三十センチも、場合によっては一メーターも上がっている。あるいは今までなかったようなプランクトンが出ている。
 しかも、総理は九月の中ごろまでには調査の結果を見てということをおっしゃいますが、有明海は、四月、五月、六月がいわゆる有明海に住む生物の産卵の時期であります。私は、予断を持たずに調査をし、そして漁業被害と漁民の再建に向けての対策を練られるべきだと農水大臣に強く求めて、御決意を伺いたいと思います。

○農林水産大臣 今般の有明海のノリの不作は、昨年に比べまして六〇%以下の生産量となっておる。私は、深刻にこのことについてはとらえているところであります。
 そういう中から、今お話がありましたように、ノリの網入れが九月下旬、十月に入るということでありますから、できるだけ早く三者委員会を立ち上げまして、そして、この調査を徹底的にやってもらって、できるだけ早くこの調査結果、中間でも結構ですから出していただいて、その対策をしっかりやっていきたいというふうに考えております。

○原口委員 諫早湾は有明海の中でも最も美しい海であります。そして、そこは有明海の子宮であり、そして腎臓でありました。干潟の生物がいかに多くのものを捕食し、そして微妙な生態系の中でそれが保たれていたか。
 ここに、これは魚釣島の現在の状況でございます。生態系が大きく破壊をされている。これはなぜか。一九七八年に持ち込まれた二頭のヤギ、これによってこれほど、もう海岸線がほとんどヤギに食われてなくなっている。これもそうです。これは父島です。父島で繁殖しているヤギ。
 本当に私たちは微妙な生態系の中で、そして自然を相手にしている人たちはそれを尊重しながら日々の営みを行っていらっしゃいます。有明海は一潮でカキの葉一枚といいます。干拓事業が前から宿命づけられてきたところです。しかし、それを、今回のように一挙にやる、そしてかくも無残に干潟を壊す。私は、水門をあけて調査をすべきだと思います。
 そして、環境大臣にお伺いしますが、包括的な、生態系を守る、こういう法律それから施策をやるべきだ。一回こうやって生態系が失われてしまうと、戻るためにどれほどの時間がかかるかわからない。これは、そこに住む生物だけではなくて、私たちの暮らしやあるいは私たちの生きるそういう環境の中にも大変な被害をもたらす。環境大臣に生態系保護のための決意をお伺いして、私の質問を閉じたいと思います。

○環境大臣 委員おっしゃられましたように、干潟というのは、水質の浄化機能ですとか、それから渡り鳥が渡来するとかいう機能を持っておりまして、そこにすむ生物あるいはそこに立ち寄る生物の微妙なバランスの上に成り立っている生態系でございまして、その機能を保全するということは非常に重要なことだというふうに考えております。
 そういう、一度そこに変化が加えられた生態系をいかに保全するかということについては、一部ヨーロッパ等で議論がなされているわけでございますけれども、そのやり方については、環境省も非常に関心を持っておりますが、今の段階ではまだ研究が必要だというふうに思っております。

○原口委員 この予算に百億の諫早湾干拓事業の継続がのっていますが、水門をあけるとなれば、ここは一時凍結をしてでも有明海の海を宝の海に戻す、そういうことが政治に求められている。私は、大臣の御勇断をお願いし、質問を閉じたいと思います。
 ありがとうございました。

○予算委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。