予算委員会

平成15年2月21日(金曜日)

○原口一博 民主党の原口一博でございます。
 きょうは、名古屋刑務所における平成十三年十二月発生の特別公務員陵虐致死事件、以下、十二月事件と呼びます、あるいはホース事件と呼びます、この事件についてだけ伺いますので、明快な答弁をお願いしたいと思います。
 先ほどの質疑の中で、所長の責任において虚偽の報告がされたというのであれば、これは日本の行刑行政、これを揺るがさんばかりの報告をしたということでございますので、委員長、理事会で協議をいただきまして、当時の所長をこの委員会にお招きいただきますように要請をいたします。

○予算委員長(藤井孝男) 理事会で協議いたします。

○原口一博 さて、事実について聞いてまいりますが、この十二月事件については、被害者は、何分このような辱めを受けていたのか。そして、先ほどからの質疑にありますように、一人ではこれはできない。七十メーターもホースを引っ張っていって、そして高圧の水を当てる、指で十一センチまで傷をつけるなんてことは、常識でもってもできないわけです。何分放水されていたのか。そして、十一センチの傷がついているにもかかわらず、どうして自傷の疑いありという鑑定書になったのか、これが二点目。三点目は、その鑑定は行政解剖によるものなのか、司法解剖なのか。それを明らかにしていただきたいと思います。

○法務省刑事局長
 まず、最後の質問でございますが、司法解剖でございます。
 本件逮捕事実によりますと、本件の態様については、被疑者は、本件被害者に対し、懲らしめの目的で、その必要がないのに、消防用ホースを用い、臀部を露出させてうつ伏せになっている同人の肛門部を目がけて、加圧した水を多量に放水する暴行を加えて、直腸裂開、肛門挫創の傷害を負わせ、よって、同月十五日午前三時一分ごろ……(原口委員「一言だけお願いします」と呼ぶ)はい。ショック死、細菌性ショックにより死亡するに至ったとされております。
 その直腸裂開につきましては、司法解剖の結果、肛門から約十一センチの部分にできたと承知しておりますが、受刑者に対し何分間放水したかなどの実行行為の具体的態様につきましては、その危険性や違法性はもとより、被疑者の動機や犯意にもかかわる極めて重要なポイントであり、まさに現在、鋭意証拠を収集して事実関係の確定に努めているところであり、明らかにできる段階にありませんので、現時点ではお答えをいたしかねることを御了承いただければと思います。もとより、本件捜査が終了した段階で、再度御質問があれば、可能な範囲でお答えをいたしたいと思います。

○原口一博 重複を避けていただきたい。なぜならば、限られた時間の中でこの質疑をしています。聞いたことだけ答えてください。
 なぜ指で十一センチもの裂傷を負わすことができるのか、これについては全く答えていません。そして、当初から、司法解剖であったということは、これは、事件性をもうその当時認識していたということの証左ではないでしょうか。
 委員長、お願いを申し上げまして理事会で承認された資料を、一から九まで一遍にお配りさせていただきたい。
 法務大臣、資料の三をごらんになってください。これは、大臣の閣議後記者会見の概要、これを抽出したものでございます。平成十五年二月十二日と平成十五年二月十四日でございます。これは、法務省からいただいた資料を、委員の皆様にわかりやすく見ていただくために私が下線をつけたものでございますが、この資料、間違いございませんでしょうか。

○法務大臣(森山眞弓) 相済みません、ちょっと先生のおっしゃいました最後のところがよく聞こえなかったのでございますが。(原口委員「この資料は閣議後記者会見の資料ですね。あなたがおっしゃった資料ですね」と呼ぶ)はい、さようでございます。

○原口一博 委員の皆様にここの会見の概要は訂正することございませんね。
 「大臣の方には、その事件そのものについては、報告はあったのでしょうか。」「詳しい話はありません。」こう言い切っていらっしゃるわけです。そして、資料三の二、これは先ほど御答弁がありましたが、「私が聞いたのは、逮捕されたという、つい一日、二日前の時点でありまして、それまでは全く知りませんでした。」記者が繰り返し聞いています。「大臣には全く報告がなかったということですか。」と。「はい。」「矯正の中で独自にやっていた調査の報告には、その件については含まれてなかったのだろうと思います。」つまり、報告はなかったということを指摘しているわけです。これは事実ですね。

○法務大臣(森山眞弓) そのとおりでございます。

○原口一博 さて、この委員会が紛糾をしたのは大臣答弁についてでございました。
 つまり、資料の一の一にわかりやすく、法務省の皆さんがこの事案についての時系列を出していただきました。これは資料一の一です。
 ここで幾つか聞いてまいります。
 最初、日にちもついていない、そういう資料でございましたので、理事会でお願いをして日にちを入れていただいたんですが、平成十四年の十二月二十四日、名古屋地検が本件司法解剖鑑定書を受領しています。つまり、この時点では、この十二月事件については、先ほどお話をしましたように、もう亡くなった、あるいはもう殺されたと言っていいでしょう、その疑いがある時点から司法解剖に付し、十四年十月二十四日ころには事件性があるという形で名古屋地検に司法解剖鑑定書を送っていたのではありませんか。違いますか。

○法務省刑事局長 監獄内、いわゆる刑務所等の施設内でお亡くなりになりますと、監獄法によりまして検察庁に通報されることになっております。それがいわゆる明らかに犯罪死でないと思われる場合には、刑事訴訟法で司法検視をしなければならないことになっております。そこでその犯罪性が、明らかに犯罪死でないことがわからなければ、司法解剖をすることになっております。
 したがいまして、司法解剖はしなければならないのでございまして、その司法解剖を依頼いたしますと、これは裁判所の鑑定処分状によりまして依頼するわけでありますが、その鑑定書が送付されるということになるわけでありまして、その鑑定の結果、犯罪死でないことが明らかになれば、それはその点で終了いたします。
 本件の場合には、自傷によるのか他害によるのか判然としない鑑定書でございましたので、他害の疑いがあるものとして捜査を継続したということでございます。

○原口一博 いや、私が伺っているのは、十二月二十四日ころ名古屋地検が受領している。もうこの段階で犯罪性の疑いについて認識があったか否かということを聞いているんです。

○法務省刑事局長 十四年の十月二十四日ごろ受け取ったという時点でございますね。したがいまして、これは先ほど申し上げましたように、その時点でこういう内容の鑑定書をいただきまして、当時既に九月の事案の捜査をしておりましたことから、それとの関連で、これも他害の疑いがあるかもしれないという観点から捜査を継続しようとしたわけでございます。

○原口一博 つまり、この時点で他害の疑いがあるかもわからないと法務省は思っていたわけであります。
 さてそこで、今回問題になった大臣の答弁であります。
 資料五をごらんになってください。これは平成十四年十一月二十九日の森山法務大臣と社民党の阿部委員との答弁です。ここで阿部委員は二つのことを明確に聞いています。つまり、四十三歳、先ほど年齢がわかりましたけれども、病気や基礎疾患などない人がなぜ二日で腹膜炎で亡くなられたか、これを大臣に明確に聞いています。これに対して答弁をされていますが、きょうの質疑の中では、それに対する答えは欠落をしていた、二日前に逮捕されたのでそっちの方を答えてしまった、こういう御答弁でございましたが、これは正しいですね、法務大臣。

○法務大臣(森山眞弓) おっしゃるとおりでございまして、ちょうどこの時期、その前に事件が相次いだものですから、そちらの方に頭がいきまして、おっしゃることについて明確に私の方から御説明申し上げることが欠けていたということを反省しております。

○原口一博 まさにそれは後づけの答弁ではないかというふうに思います。ここで医療についてしっかり聞いているわけでありまして、そして、そのことについても大臣はお答えになっています。
 私は、納得がいかないということで理事会でもお話をしましたが、資料の七をごらんになってください。これは、二月十八日、ここにいらっしゃる委員は、まさに目の前でつい先日聞いていらっしゃいましたから皆さんも覚えていらっしゃると思いますが、また阿部委員との答弁であります。資料七、この前には、つまり、十二月事件の答弁について大臣に質問をしているんですが、大臣はこのように答えていらっしゃいます。「この事件は、先ほど来申し上げておりますように検察の」云々、ここは同じです。そして「したがいまして、」云々「私が先生の御質問に対してお答えいたしましたときも、そのようなつもりで申し上げたわけでございます」。つまり、この十八日でも大臣は、私が今問題にしている十二月事件について答えているんですよ。この議事録も、つい先日の議事も、大臣は、いや、これも欠落だとおっしゃいますか。

○法務大臣(森山眞弓) 今おっしゃいましたのは先日の議事録からのようでございますが、阿部先生にお答えいたしましたのは、昨年の十一月二十九日に御質問になったときのことを申し上げたわけでございまして、それは資料五になるわけでございますね。そこの中で書かれておりますように、私といたしましては、この十一月二十九日の時点では、今問題になっている事件についてはいわゆる事件性がない、自傷行為であるという可能性が強いという印象を受けておりましたものですから、それよりも、その前に、十一月二十五、六日でしたか、ございました事件の方が重大であり、法務省としては非常に責任も重いと考えまして、そのことを申し上げるのに一生懸命だったわけでございます。

○原口一博 もう聡明な皆さんは、今のだけで大臣の答弁の矛盾にまたお気づきだと思います。二月十八日、まさに阿部委員は十二月事件について聞いているんですよ。そして、そのときの私の十二月事件についての答弁はこういう意味でしたということをここで再度大臣はお話しになっているんですよ。五月事件や九月事件についてはお答えになっていないんですよ。
 私は、委員長、国会での答弁がかようにくるくる変わる。なぜさっき事件性について認識をしていたかと聞いたのは、これは、この名古屋刑務所ぐるみの隠ぺい工作があった、そして虚偽の報告がされた、それだけでなくて、法務省もこの事件性についてはもう十月の時点で疑いを持っていた、にもかかわらず、国会に対しては全然別のことを言い、そして、大臣も知っていたんだけれどもそれを隠していたのではないか、そう思われるような答弁だから聞いているわけです。今の答弁では納得できません。前も読みましょうか。阿部委員はまさに十二月事件を取り上げて、十八日ですよ、きょう二十一日、三日前に、あのときはどうだったんですかと聞いているんです。この答弁も間違いですか。

○法務省刑事局長 先ほど御説明しましたのは、名古屋地検が他害による犯罪の疑いがあるものとして捜査を始めたということでありまして、前から申し上げておりますように、我々がそういう報告を得たのは十二月でございまして、大臣に報告したのは一月三十日ということでございます。

○原口一博 大臣に明確な答弁をいただきます。

○法務大臣(森山眞弓) 二月十八日の阿部先生の御質問に対するお答えというのは、私といたしましては、今読み直してみますと、これは大変私自身が混乱している状況の中でお答えしたように思います。大変、そういう意味では申しわけなかったと思うんでございますが、前の十一月の答弁について精査する暇もなく御質問をいただいたものですから、このような言い方になっているというふうに今理解したようなわけでございますが、私の実情といたしましては、先ほど来申しておりますように、十一月の時点では、ほかの事件のことについて謝らなければいけない、おわびしなければいけないということでいっぱいでございまして、そちらの方に力点があり、この事件については、他害性あるいは犯罪性はないというふうに印象を強く受けていたものですから、言及しなかったということでございます。

○原口一博 全く、これはちょっと理事にお願いをしたいのは、詰めれば、その答弁は誤解をしていたと言われるんであれば、事実を追っかけられませんよ。
 資料五をごらんになってください。ここであなたは完璧に、捜査というお言葉を使っていらっしゃるんですよ。しかも、医療についても触れていらっしゃるんですよ。ほかの件については、これは医療は問題になっていないんです。なぜなら、逮捕されているからです。もうこれは暴行だということを、五月の事件、九月の事件は暴行で、その容疑で逮捕された後なんですよ、十一月二十九日というのは。まさに大臣の答弁は、後から出してきたものを、それで糊塗をし、そして国会答弁を乗り切ろうというつじつま合わせの姿勢だと言わざるを得ません。納得のいく答弁をお願いします。

○法務大臣(森山眞弓) 同じことを繰り返して申し上げることになってしまって、まことに恐縮でございますけれども、私のその当時の認識といたしましては、十三年十二月の事件については、他害性あるいは犯罪性がないというふうな可能性が濃いということを、印象を受けておりましたものですから、十一月二十九日での御質問をいただいたときの心境といたしましては、その直前に起こったほかの事件二件について謝らなければいけない、おわびしなければいけないということでいっぱいであったものですから、そのような説明あるいは申しわけになってしまいまして、そういう意味で、誤解を招くような言い方であったとすればまことに申しわけなく、それはおわび申し上げたいと存じますが、今の御質問に対するお答えとしては、今申し上げるような私の、そのときの事実の確認ということをもう一度申し上げるほかないわけでございます。申しわけございませんでした。

○原口一博 それだったら十八日に、これはもう通告して質問しているわけだから、訂正することはできるわけですよ。十一月二十九日にやって、それから何回も何回もほかのところで、ちょっと官僚の方、呼んでもいないのにあれなんですけれども、私は全然納得がいかない。
 あなたは、自傷を受けたという、これはだれから報告を受けたんですか。

○法務大臣(森山眞弓) 自傷であるということを報告を受けたのは、矯正局からでございます。

○原口一博 その矯正局長から受けたのはいつでございますか。そして、どこでどのように受けられましたか。まず、いつだけで結構です。(発言する者あり)

○予算委員長(藤井孝男) 御静粛に願います。

○法務大臣(森山眞弓) 平成十四年の十月下旬に、福島瑞穂議員に提供をいたします資料を説明を受けまして、そのときに矯正局長から、本件について、自傷行為によると思われる腹膜炎で死亡したものであるということを、名古屋刑務所から報告があったという説明を受けました。

○原口一博 私は、後からこうやってつじつまを合わせたものは、きょうは阿部委員の質疑に対してだけ出しました。ほかにもいっぱい破綻しています。数十ページあるいは数百ページにわたるものをゆうべ読みました。私はやはり、法と正義、道理と人権が問われているときに、後から糊塗をするような答弁、これはいかがなものかというふうに思います。
 資料の八、これは新聞報道より抜粋したものでございますが、情願について伺いたい。
 今まで情願を、この情願制度というものを大臣はいつお知りになり、そして何件ごらんになったのか、そしてそれはいつなのか、教えてください。

○法務大臣(森山眞弓) 情願制度についていつ知ったかという御質問でございますけれども、これは何年何月というまでははっきりと今申し上げかねるんですが、昨年の秋かあるいは夏ごろだったかと思います。
 その後、そういう制度があって、それは大臣に向かって直接訴えたいという方が手紙を出すものだということを聞きまして、そういう手紙が来ているんですかと聞きましたら、それは幾つも毎日のように来ておりますということでありますので、それならば大臣が直接見るべきなのではないかというふうに申しましたところ、それまでの十年、二十年近いルールの結果、非常に重要なものは最終的には大臣に見せるけれども、基本的に矯正局長の机の上で処理をされて、大事なものは事務次官にも見せ、さらに大事なものを大臣に見せるという仕組みでありますということを聞いたわけでございます。
 私は、それでは、全部とは言わないけれども、幾つか重要なものだけでも見せてもらったらどうでしょうかということを何度かやりとりをいたしまして、その結果、ことしのお正月、一月ごろでしょうか、少し具体的に見たいということで見せてもらうことになりまして、昨日少しまとめて、一月の後半一週間ぐらいの間に来たものを見まして、たしか十通か二十通あったかと思いますが、昨日はそれを見まして、非常に印象を受けたわけでございます。

○原口一博 資料九をごらんになってください。監獄法の施行規則です。情願書は封をして大臣に行くものであって、そして、これは速やかに対応しなきゃいけないものなんです。
 あなたはたしか、私の記憶では、法務大臣をなさったのは今回が初めてではないと思います。違いますか。(森山国務大臣「初めてです」と呼ぶ)初めてですか。それは失礼しました。何か別の大臣でしたか。失礼しました。
 しかし、先ほどお話を聞いてみると、今までの大臣の慣例で、これは一回も見られていないんですよ。これはあなただけじゃない。そして、外に対して訴えをしようとした、そういう人が、まさにその訴えを中途で遮られ、あるいは遮られるどころか、訴えようとした瞬間にまた暴行を受ける、こんな事件も起こっているんです。
 日米の地位協定の改定案を民主党が出したときに、アメリカの友人たちからは、日本は人権が刑務所で守られないからこの法律は受け入れられない、そんなことを言われました。何をいわれもないことを言われなきゃいけないんだ、とてつもないことを言っているんだと私はそのとき思った。そして反論しました。しかし、このような状況を見ると、他国からそんなことを言われて反論する材料を私たちが持ち得ないんではないかという危惧さえ持ちます。
 大臣、これまでどうしてこういう情願が無視をされ続けてきたのか、そして刑務所における人権の徹底がなぜ行われてこなかったのか。そして、これは二年かかって出ていますね、この事件。これまでにもたくさんこういう声なき声が抹殺されたんではないかと思いますが、全容解明に向けてどのように努力をされるのか、お尋ねを申し上げます。

○法務大臣(森山眞弓) 私は、今申し上げましたように、以後この情願について全部私が目を通そうということを決めております。事務局の方々の中には、数が多いので大変ではないかといって心配してくれる人もございますが、数が多くてもまず見るということが重要であるというふうに思いますので、そのようにこれからやっていきたいというふうに考えます。必要に応じて副大臣や政務官も手伝ってくださるということでございますので、必要なときはそのようにお願いしようと思っていますが、私は、自分としては、これをぜひやっていきたいというふうに決心しているところでございます。
 それによって刑務所の中の、おっしゃるようなさまざまな問題を自分の目で読み、見ることができますが、その結果、必要だと思うことについて改善方を指示することもできますので、これを読むということは非常に重要なことだと考えております。

○原口一博 それを今お気づきになったためにたくさんの命や人権が侵害をされたということを指摘しておきます。
 私は、この情願一つとってみても、また、先日、矯正局長がここで大きな声を張り上げて、そして予算の委員をまさに威嚇するかのような答弁をした。これは、国会で、始まって、半世紀ぐらい前にそういう記録があります。今までなかったようなことです。大臣に対する報告も、矯正局からどれぐらい上がってきたか一覧表にして出してくださいと言うけれども、今に至るまで上がってきていない。これはどういうことなんでしょうか。
 私は、大臣の責任はとても重いと思います。国会の答弁で、今私が申し上げたことでも混乱があるわけです。どのように責任をおとりになるのか。そして、だれをいつの時点でどう処分し、これには大臣がおっしゃったように調査が必要だと思います。しかし、これはもうずっと前から調査はされているんです。私、議事録を見て、なぜ今ごろこういう話を、今ごろだったら本当は調査報告書が上がってきて、改善が全省に向けて、あるいは全刑務所に向けて指示されていなきゃいけない、そういうときであるにもかかわらず、情願をごらんになったのはついこのごろ、そして改善を指示されるのもついこのごろ。これでは法務大臣としての責任を果たしてこられたとは言えないんじゃないでしょうか。
 大変きついことを申し上げて私も恐縮でございますが、大臣としての責任をどのようにおとりになるのか。これから一生懸命頑張りますという答えでは、なかなかそれは国民が納得しないんではないか、そう思いますが、いかがでございましょうか。

○法務大臣(森山眞弓) 大変、情願等につきまして行き届かなかった点がありますのはまことに申しわけなく、深くおわび申し上げたいと存じますが、その反省の上に立ちまして、いろいろな事件の再発防止について全力を挙げて努力していきたい、これが私の務めであるというふうに考えております。
 また、この一連の事件に関する関係者、責任者、現場の人々、その他を含めて十分な調査をした上で、その責任を追及し、処分もしていかなければいけないというふうに考えております。

○原口一博 私は、これが名古屋刑務所ぐるみ、あるいはどこの現場で口裏合わせをして、そして刑事局、検察から来たときにどのように答えるか、そんなことも報じられています。いや、これが名古屋刑務所ぐるみだけでなくて、法務省本庁の皆さんがこれを御存じであって、そして隠ぺい工作を、似たようなことをやられる、こんなことは絶対ない、私は国民に対して信じてもらいたい、そのように思います。しかし、そのためには外部の人を入れて、そして公正な調査をいつまでに、そして立法府に対してどのように報告をされるのか、このことについてお尋ね申し上げます。

○法務大臣(森山眞弓) 昨日、この問題を受けまして、行刑運営に関する調査検討委員会というのを省内に発足させました。これは関係の責任者を主としてメンバーにいたしたものでございますが、ここで問題の整理をいたしまして、それをベースにいたしまして、さらに民間の方を中心とする懇談会を設けて、その皆様方の厳しい御意見をちょうだいして、改善、改正のための方針にしていきたいというふうに考えております。
 この内部の行刑運営に関する調査検討委員会は、三月中には、少なくとも今年度中には基礎をつくりまして、それとほとんど同時ぐらいに民間の方を交えました懇談会をスタートさせて、その上で、できるだけ早く結論をいただくというふうに努力していきたいと考えております。

○原口一博 私はそれでは不十分だと思いますよ。
 外務省を引き合いに出したら外務省の皆さんに申しわけないけれども、捜査がスタートをし、そして疑惑がここで、国会で追及されている間でも中間報告を即出しているわけですよ。そんな、懇談会に意見を聞くなんて悠長なことできますか。私は、大臣のこの問題に対する危機意識の薄さ、それがこの弛緩につながっていると言わざるを得ない。今の答弁では納得できない。もう一回お答えいただきたいと思います。

○法務大臣(森山眞弓) 省内の調査検討委員会というのは、委員会という名前ではございますが、省内で発見し得るさまざまな問題を整理するというのが仕事でございます。それとほとんど同時に、できるだけ早い時点で民間の方の懇談会を発足させて、それをもとにできるだけ早く結論をいただきたいというのが私たちのつもりでございますが、今の先生の御指摘もございますので、できるだけ早く実現するように努力いたしたいというふうに思います。

○原口一博 もう時間が来ましたので、あと一点だけ伺います。
 平成十五年一月末の刑事局長から大臣への報告、これは文書で行われたのか。その内容については先ほど漆原委員の質問に対して答えられましたから、どのような形で行われたのか、それだけお尋ねします。

○法務省刑事局長
 文書を作成いたしまして、それに基づいて説明をいたしました。

○原口一博 その文書を、これは秘密会でも結構です、委員長。どのような形で大臣に報告をされ、そして大臣の指示がどのように法務省に伝わっているのか、このことについても、今回の事件は大変大きな疑問を残した事件です。ぜひそれを理事会で御協議いただきますようにお願い申し上げます。あるいは、法務省が今出せるというんであれば、出してください。

○法務省刑事局長 まず、内容を簡単に申し上げますと、項目につきましては、第一が死亡者の身上について、第二が死亡日時について、第三が死亡に至る経緯及び死亡後の経緯について、第四が捜査状況についてとなっておりまして、第三の死亡後の経緯におきまして、司法解剖の結果が詳細に記載されておりますが、このメモに推認される犯行状況についての記載はなく、結論部分である第四におきましては、名古屋地方検察庁においては、本件事案の事件性の有無について、上記鑑定結果について専門家に検討を依頼するなどして、慎重に検討しているところであるとされております。
 そういう内容の文書をつくりましたが、中には捜査の機微にわたることもありますので、できますれば、この程度で御勘弁願えればと思っています。

○原口一博 どこに捜査の機微にかかわるものがあるか、それはわかりません。しかし、私たちは、この行刑運営に対する責任、そして国民の信頼、これが問われているんだということをお話をし、そして死亡鑑定書についても、私は、しかるべきときにこの真偽についても、本当に死亡鑑定をした当該医師が、あるいはどこで自傷の疑いというふうにできたのか、そのことについてもいずれ明らかになるものと思います。
 これで質疑を終えます。