
■ イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会 |
平成15年6月27日(金曜日) |
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| ○イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員長(高村正彦) 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。 ○原口一博 おはようございます。民主党の原口一博です。 法案について、逐次お尋ねを申し上げます。 その前に、我が国は湾岸戦争のときにお金だけ出して、そして汗も血も流さないというようなことを言う政治家がいますが、それは全く間違い。外務省の御協力で、手元に、青年海外協力隊及びシニア海外ボランティアの皆様の海外での活動、この十年間だけでも二十名の方々、とうとい同胞の命が失われています。日本は、憲法の要請に応じて、その中で、最大限の、そして世界最大級の貢献国であるという前提のもとで、きょう、質問をさせていただきます。 まず、なぜ今この特措法なのか、大きな政策転換があるんではないか、現行法でイラク国内に派遣できない理由は何なのか、法的な根拠を問いたいと思います。 我が国は、この間、小泉総理は、今、イラクに踏み入れることは法律ができない限りできないということを明確におっしゃいました。そして、クロフォードでの会談、このことについて、そこで何を総理がおっしゃったか。周辺国への自衛隊派遣を検討しているというふうに言ったんだ、PKO法を周辺国では使えるんだ、これを使って貢献するんだということをクロフォードではおっしゃったというふうに総理はお答えになっているんですが、官房長官にお尋ねを申し上げます。 クロフォードでの会談は、いろいろなところから漏れ聞くところによると、韓国軍以上の人員を出してくれ、つまり、千人以上出しますよということをおっしゃったのか、そんなことは言っていないのか。末松議員がブッシュさんの会見を引きましたが、ブッシュさんの会見を見てみて、これは、周辺国のロジスティックス支援というのはどこを読んでも読めない、イラクに対するフォースの支援というふうにしか読めないんですが、この点について、内容がどうだったのか、そして、イラクへの支援をそこで言ったことはないのか、改めてお尋ねをします。 そして、防衛庁長官に、現行法でイラクに自衛隊が踏み入れることができない理由、そして、PKO法のどの条文で周辺国で自衛隊がやれるのか、その二点について、二つずつお尋ねをします。 ○内閣官房長官(福田康夫) 五月二十三日のクロフォードの日米首脳会談におきまして、小泉総理が、自衛隊の出動、これをブッシュ大統領に約束をしたとか、今千人規模とおっしゃったけれども、これは全く根拠のないことでありまして、小泉総理の言われたのは、これはあくまでも、現行法に基づいてできることは今すぐでもやろうということで考えております、そのことによってイラクの復興に少しでも役に立つようにしたいんだと。 イラクの国内に行くことは、特に自衛隊が行くことについては、これは現行法では許されていない、こういう観点から、周辺国において活動しよう、こういうことを申し上げたのでありまして、しかし、今後、イラクの状態を見ながら、実際に自衛隊がイラクに行って活動するかどうか、そういうことについては今後の検討課題であるという程度のことは申し上げたかもしれぬけれども、しかし、イラクに実際に自衛隊を派遣するといったようなことをその場でお約束をした、こういうことはございません。 ○防衛庁長官(石破茂) 私からお答えするのは必ずしも適切かどうかわかりませんが、PKO法でできるかできないかというお尋ねかと存じます。 PKO法で規定をする業務として、人道的な国際救援活動への協力、これはできます。しかし、現在、イラクにおいて、国連PKO自体が展開をいたしておりません。そもそも国連PKOが展開をしておりませんので、本法案で規定をいたしております安全確保支援のような活動は行い得ないということでございます。これはもう非常に形式的なお答えで恐縮でございますが、そういうようなお答えになろうかと存じます。 ○原口一博 官房長官に確認をしておきますが、なぜこの質問を申し上げたかというと、いわゆる国際的な二国間、しかも重要な同盟における約束をされてきたとすれば、それは履行の義務があるだろう、約束がないのであれば、私たちは約束がないことを前提に議論すればいいから、私は伺ったわけです。 それから、防衛庁長官、これは長官に伺うより外務大臣に伺う方が正しいんでしょうかね、PKO法のどの条文が使えるか。周辺国への自衛隊派遣をPKO法でやるというふうに総理がおっしゃったから防衛庁長官に伺ったわけです。その条文は何ですか。――もうきのう二時に通告しているんです。 ○内閣官房長官(福田康夫) では、私からお答えしますけれども、具体的に、法律でいえばPKO法、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律、この法律の三条の二号に「人道的な国際救援活動」、こういう項目がございます。この規定に基づいて自衛隊が行うことは可能であるということでございます。 ○原口一博 さっき、防衛庁長官、PKOは展開していませんね。展開していないけれども、いわゆるPKOの本体業務ではなくて、周辺国には、今おっしゃった三条の人道的な支援ということが現行法でもできるということでよろしいですね。 ○防衛庁長官(石破茂) 失礼いたしました。イラク国内においては展開をしていないということで申し上げました。 ですから、周辺国での活動につきましては、今、官房長官からお答えがございましたとおり、PKO法第三条第二号、ここで読むことができるということでございます。 ○原口一博 これは、今、私たちも、この法案についてどういう姿勢をとるかということを鋭意議論しているので、その前提となることでございますのでお尋ねをしました。 自衛隊の出動ないし海外派遣には、今まで、慎重であった方がいい、十分な歯どめがあった方がいい、そういう姿勢がございました。私は、安全保障のレジームというのも随分変わってきたであろうと。今まで、あいまいであること、仮想敵をつくらないこと、そして、緊急事態法制をつくることだけでも、これでも敵をつくるんだなどという議論があったわけですが、冷戦が終了した今、私たちは、そういうスタンスよりも、はっきりと自分たちの意思を示していくこと、その上で、しっかりとした合意に基づいた歯どめをつくっていくことが大事だというふうに思っています。 そこで、外務大臣に伺いますが、委員長にお願いを申し上げまして、資料を一枚お配りさせていただきたいんですが、お許しいただけますでしょうか。 ○イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員長(高村正彦) はい、どうぞ。 ○原口一博 お手元は、予算委員会の理事会に政府から提出をされた、平成十五年二月十四日の、いわゆる国連決議に関する統一見解でございます。統一見解でございますというふうに私は申し上げましたが、実は、これは統一見解ではなくて、統一見解を提出するのは不適切であるという理由がここで述べられたわけであります。 そこで、外務大臣に伺いますが、私の理解が間違いでなければ、外務省は、国際的な法規あるいは国際的な取り決めを解釈し、そしてそれを国民にしっかりと伝える義務がある、そういうふうに思いますが、間違っていないでしょうか。 ○外務大臣(川口順子) まさにそれが、外務省が日々努力をしていることの一つでございます。 ○原口一博 外務省設置法、この第四条の五において、今外務大臣がおっしゃったように、「条約その他の国際約束及び確立された国際法規の解釈及び実施に関すること。」これが所掌事務できっちり書いてある。そして、その後の四条においても、「対外関係事務の処理及び総括を行うこと。」としっかり書かれているわけです。 ところが、皆さん、お手元に配らせていただいた、この統一見解を提出することは不適切であると考えると。三カ月前に政府が、私たちが六七八、六八七の根拠について、法的な解釈について、何回もここで議論をしました。それはなぜか。今回のイラク戦争の大義がどこにあるのか。それは、大量殺りく兵器、破壊兵器が見つかるか見つからないか、これも大事なことですが、どこに国際法の根拠があるのかということをぎりぎりに詰めていったわけです。その答えが、この平成十五年二月十四日の答えなんです。つまり、この場において、「決議六七八、六八七に係る政府見解を文書の形でお示しすることは必ずしも有意義とは考えられない。」だから見解を出せないんだというふうに言っているわけです。それが、三カ月後に、今回の法文の中にしっかりと。 イラク戦争に対する姿勢は、政府の姿勢と私たちの姿勢は違う。しかし、復興に対する姿勢はほぼ同じだと思う。その中で、わざわざ私たちが、国会が求めたにもかかわらず、これは野党だけ求めたんじゃないです。予算委員会として求めたものに対して、それは出せないと言っておきながら、どうしてここにこういう法文が書けるのか、私には不思議でならないんです。整合性のある説明をいただきたいと思います。 ○外務大臣(川口順子) 思い起こしていただきますと、これは二月十四日という日付ですけれども、あのときは、この二番目の黒丸のところに書いてありますように、我が国としては、新たな安保理決議が最も望ましいと考えていた。平和的な努力の解決が可能であると思っていた。そのために、国際社会が懸命になって、みんな、それぞれのやり方で努力をしていた。そういう時期であります。 我が国として、これも今まで何度も国会でお話をさせていただきましたけれども、その時期、日本の発言力が国際的に影響力を与える、そういう国になっている日本が、これによって武力行使が可能であるということを、我が国自身が平和的に解決をしようと思って努力しているときにそれをお示しするということは必ずしも有意義であるとは考えられない、そういうことであります。 それはここに書いてあるとおりでございまして、「我が国が安保理決議がない場合に軍事行動が行われることを前提に、その法的根拠について見解をお示しすることは、」途中飛ばしますが、「外交努力に鑑み不適切」と考えます、そういうことでお話をしたわけでございます。これは、そういう二月十四日という時点においての、当時の状況で考えたときの判断であったということでございます。 その後の展開で、我が国としては、六七八、六八七、一四四一ということで武力行使が可能であるということもお示しをし、そして、武力行使がもうどうしても避けられなくなってしまった時点で、そのような解釈といいますか、安保理の決議に基づいてそういうことが行われたということについて述べさせていただいたということです。 ○原口一博 委員長は外務大臣もお務めですから、今の答弁がいかに頼りないものか、委員長もおわかりになるかもわかりませんが、私は、私たち立法府の責任というものと外務大臣のスタンスとがやはり少し違うなと思います。 私たちは、同盟国としてのアメリカのパワーの正当性、パワーの行使の正当性についても十分吟味して、それが正当であると思うのであれば、それを根拠づけてしっかりと国民に伝える必要がある。また、立法府に身を置く人間の一人として、私たちの第一の責務は、これは大臣、よく聞いていただきたいんですが、すべての人が理解でき、すべての人々にとってその意味合いが同じであるような、異論を挟む余地のない明快なルールを設定する、そのためにこの立法府があるわけです。そして、国際法についても、国論をさまざまな方向に国民の皆さんとの対話によってまとめていく義務がある。そのときに、あの時点においては六七八、六八七に係る政府見解は出せないというのであれば、国民は、何をもとにやっていいのかわからない。 確かに、最後の努力が行われていました。私は、そのことは理由にならないのではないかと。時期的な問題によって解釈が変わる、あるいはその解釈に対する表明の仕方が変わる。では、何をもって国際法と正義を同定できるのか。その同定できる唯一の機関である外務省が、ここで答えを留保している。このことが、その後の日本の国論を大変わかりにくくしてしまった。 リチャード・ホルブルックさんは、フォーリン・アフェアーズだったと思いますが、ドイツもフランスも、安保理決議一四四一に同意したときに、第二の決議を求めないことを了承していた、だが、米英が第二の決議を求めたために世界的混乱を起こし、とめどもない悪循環を起こした、これはホルブルックさんの意見ですね。ですから、これは本当かどうかわからない。 しかし、私たちは、今ここに、一四四一、六七八、六八七、では、六八七のどこにそういうことが書いてありますか。そして、そのときに大臣は、一四四一が武力行使の根拠にならないということを私たちに答えられましたか。一四四一だけで武力行使の根拠になるかどうか、そこはどう答えられましたか。 ○外務大臣(川口順子) どの時点でお答えをしたかということは覚えておりませんけれども、一四四一それ自体で自動性を持っていないというふうには申し上げております。 それから、先ほど委員がおっしゃった件ですけれども、当然に、外交当局という立場というのは立法府の立場とは異なる部分があるわけでございます。外交当局が一言言うことについて、まさにみずからの外交努力の足を引っ張るようなことをしてはいけない。もし説明が矛盾をしているということであればこれは問題でございますけれども、外務省としては、理論的には矛盾をした説明はずっと申し上げてはおりません。 ○原口一博 ここで詰めておきますが、一四四一の中に、イラクが自由な査察を認めなければ、イラクは重大な帰結に直面するとされています。 では、立法府と政府で立場が違うんだとおっしゃいますが、この重大な帰結というのは外交用語だと思いますが、具体的に何のことですか。 ○外務大臣(川口順子) 重大な帰結というのは重大な帰結であって、その時点で、具体的にこれが重大な帰結であるということを一つのことに限って言えるということではないと思います。 ○原口一博 やはり答弁になっていないんですね。重大な帰結というのは、具体的に軍事力の行使をいうんですよ。だから、軍事力の行使も含んだものをいうから、この一四四一を根拠にイラクが、きのうもおとといも外務大臣はお答えになりました、最後のチャンスを生かすことができなかったから、この一四四一を根拠に重大な帰結が生まれたんだ、そういう解釈じゃないんですか。そう言わないと私は整理がつかないと思うんですが、いかがでしょう。 ○外務大臣(川口順子) 一四四一におきまして、一四四一は、イラクが六八七に違反をしているということを言っているわけですけれども、そして、依然として犯しているということを決定した文書でありますけれども、そこで言ったことは、「申告書における虚偽の供述または省略並びにいかなる時点においてであれイラクがこの決議の履行及び実施のための完全な協力を行わないことは、イラクの義務の更なる重大な違反を構成し、」後、続きますけれども、構成するということを言っております。 それで、さらに一四四一において、いろいろ言った後で、「その文脈において、同理事会がイラクはその継続的な義務違反の結果、深刻な結果に直面すると繰り返し警告してきていることを想起する。」というふうに書いてあるわけです。 ○原口一博 非常に情けない思いがします。私たち、国会の中で、与党でも野党でも限られた時間の中で審議を尽くそうとしているんです。その中で、今条文をお読みになっただけです。それは何回も私も読みました。この重大な帰結というのが、つまりは軍事力の行使も含んでいるというふうに解釈しなければ、一四四一が六七八、六八七までさかのぼって、そして効力を発生することにならないんですね。 六八七についても、これはイラクがクウェートからの撤退と大量破壊兵器の破棄ですが、ここで、「重大な結果を招く」と書かれているのは一行しかないんですよ。これは、イラクが化学兵器の使用を認識し、また、イラクによりこのような兵器が重ねて使用されれば「重大な結果を招くことを確認し、」というふうに書いてあるんです。 だから、私は、なぜこんなことを国会で議論するかというと、戦争というものが国際法と正義のどこに基づいて行われたのかということが常に確認されていかなければ、今回私たちが、今、自衛隊を派遣しようとしていますけれども、その大義も、その一番最初、一丁目一番地に書かれていることが揺らぐから言っているんです。いかがでしょう。 ○外務大臣(川口順子) 御質問が漠然としていて、何をお聞きになりたいのかよくわかりませんけれども、一四四一において、これは今までもかねがね申し上げてきていますように、六八七、六七八と、六八七が違反を決定されているわけですから、その場合、六七八に戻る。これは御説明を、論理的にはということで申し上げてあります。 それで、六七八には必要な措置をとることができるというふうに書いてあるわけでして、何が必要な措置かということについて、武力行使を含み得るということは、これは前も御説明をしてきたとおりであります。 したがいまして、私が御説明をしてきたことが何らかの矛盾を持っているということであれば当然問題がありますけれども、その当時、我が国としては、平和的な解決が可能であると信じ、そのためのまた努力を一生懸命にしてきたわけでありますから、その時点において、そのために何を日本として国際的に言い、国際的にしていくかということに非常に、これが外交努力であったわけです。 それで、国際的に何を言うかということは、我が国が外国に向かって言うということだけではありませんで、国内で我が国が何を言うかということも含めて、それは我が国の態度であるということであります。 それで、そのときに武力行使はあり得ないということを仮に述べていたということであれば、あるいは、その一四四一、六八七、六七八という論理的なつながりが存在し得ないということを述べていたのであれば、それは問題であったかもしれませんけれども、そういうことを全然申し上げていない。それは、論理的にはそういう可能性はあるということも申し上げているわけです。 ○原口一博 何で資料をわざわざ配付したかというと、六七八、六八七に係る政府見解は示せないとおっしゃっていたから言っているわけです。そこをエポケーしておいて、しかも質問が漠然としていると。私ははっきり聞いています。一四四一の中に書かれている重大な帰結というのは軍事的行動も含むんですね、そうでしょうかと。それはイエスかノーかでしょう。 ○外務大臣(川口順子) 説明をしてきていないとおっしゃいますけれども、この一番最初の黒丸のところで言っているのは、安保理決議六七八、六八七の規定ぶりについての理論的な説明、並びに九八年の米英による云々云々、やりとりについては、答弁したとおりである。また、安保理決議一四四一において決議六七八、六八七が引用されており、これらが現在も有効であるという点については答弁をしているというふうに書いてあるわけでして、きちんと説明をいたしております。 ○原口一博 その後の法的な解釈を聞いているんです。理論的説明はされましたよ。しかし、それは理論的説明であって、この六八七によってどうして軍事力が行使できるかというのはおっしゃっていませんよ。だって、ここで政府見解、文書の形で示していないわけです。ここで混乱したんですよ、堂々めぐりで。そして、一四四一についても全くお答えにならないじゃないですか。一四四一の重大な帰結というのは、具体的に軍事力の行使を含みますか、含みませんか。 ○外務大臣(川口順子) 今の御質問は、その当時も、それからつい先ほどもお答えをしましたけれども、六七八において必要な措置をとることができるというふうに書いてあって、それが武力行使を含み得るというのは国際社会としての考え方であるということは申し上げたばかりです。 ○イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員長(高村正彦) 川口外務大臣、もう一度、一四四一、六七八、六八七、その関連における考え方を示していただきたいと思います。 川口外務大臣。 ○外務大臣(川口順子) 含み得ます。 ○原口一博 含み得るんですよ。だから一四四一の中で、これでやれたわけなんです。それが皆さんの解釈なんです。しっかりとそこを示すことが私はもっと早くに必要だった。そのときに、外交努力をやっているから政府見解を文書の形で示すことができないなんということをやってしまうから、わけがわからなくなる。 これはまた後の質問者に詰めていただきますが、では、実際、この戦争でイラクの人たちは――きのう、夜、ニーズを出していただいた、これは、官房長官、正直感謝を申し上げたいと思っています。しかし、これは最終の形ではない。もっと深掘りしたものを出していただきたい。 ニーズというふうにおっしゃいますけれども、では、実際にイラクの市民の方々はどれぐらい亡くなったんですか。そして、イラクは半分が子供たちですが、子供たちはどれぐらいの子供が父親や母親を亡くしたんですか。 ○外務大臣(川口順子) イラクの民間人の死亡者数ですけれども、これは六月十日発表のAP通信の独自調査ということですが、少なくとも三千二百四十人ということになっております。 ○原口一博 子供たちはどうなんですか。それはAP通信という通信社の調べでしかわからないんですか。いわゆるCPAが活動をしている。CPAはそれを把握はしていないんですか。 ○外務大臣(川口順子) 現在入手可能な一番詳しい資料ということでAP通信のを引かせていただきまして、現在の時点でCPAがこれ以上詳しい数字を、内訳も含めて把握しているということはございません。AP通信の独自調査の今申し上げた数字、これが一番詳しい数字であるということです。 ○原口一博 とても残念な答弁だと思います。 実際にだれに何を届けるか、その中で最も惨禍に見舞われた人たちが何人いるか、そして、最も弱い立場の人たちがどういう状態にあるかもわからないで、ここで議論をしている。調査団の人たちが大変な、危険な地域にも、あるいは思いをされながらやってこられた、そのことを私は多とする。しかし、そのこともわからないで法律をつくっていく、その恐ろしさを今の答弁で禁じ得ません。 国際的武力紛争の一環として行われるオペレーションは現在進行中なのではないかという疑義を私も持っています。そして、終戦あるいは停戦の合意の相手である当事者をレジームチェンジという形でミサイルで攻撃して破壊をするというやり方は、これまでの戦争と全く違う形態です。ですから、合意がどこにあるのか、そして、いつ停戦になるのか、終戦になるのか、それもわからない。 きょうは内閣法制局長官にお見えいただいていますので、この間の質疑の中で、集団的自衛権がこの法案の中で惹起されるではないかという委員からの指摘がありました。具体的に集団的自衛権の問題が惹起される。私が眺めた中では、私にはわからなかった。あるとしたらどこなのか。私は、強いて言うんだったら、集団安全保障の問題がこの法案の中で議論をされるというのはあるのかもわからない。しかし、ここは内閣の法律の姿勢をきっちりただしておきたいと思いますので、法制局長官の見解を伺いたいと思います。 ○内閣法制局長官 ただいまのお尋ねでありますが、集団的自衛権というものにつきまして、従来から申し上げておりますところでありますが、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利というふうに考えております。 今回の法案は、第一条に定義するイラク特別事態を受けて、イラク国民それから国際社会のいろいろな努力や取り組みに対して我が国が主体的かつ積極的に寄与することを目的としておりまして、人道復興支援活動及び安全確保支援活動を行うことを内容としているものであります。 したがって、今回の法案につきましては、その目的、内容とも、集団的自衛権と関係のあるところは、法案の内容自体についてはないものと考えております。 ○原口一博 ありがとうございます。 集団安全保障の中で議論をしていく問題についてはお触れになりませんでしたが、そこについても触れてください。 ○内閣法制局長官 集団的安全保障と申しますのは、国際法上、平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為が発生したような場合に、国際社会が一致協力して、このような行為を行った者に対して適切な措置をとることにより平和を回復しようとする概念でありまして、国連憲章にはそのための具体的な措置が定められていると従来から申し上げております。 今回の法案は、先ほど申し上げましたとおり、イラク特別事態、第一条に定めておりますが、これに向けたイラク国民の努力あるいは国際社会の取り組みに対し、我が国が主体的、積極的に寄与することを目的とするものであります。 この場合、イラク特別事態そのものは、第一条に引用しました関連安保理決議に基づきまして、集団的安全保障措置として国連加盟国により行われた武力行使がその直接の契機となってはおります。しかしながら、今回の法案は、このような事態を受けて、各国に、イラクに対する人道復興援助及び安全、安定への貢献に対する措置などを求める安保理決議一四八三に基づきまして、国際協調の精神のもとに我が国も相応の貢献を行おうとするものでありまして、ただいま申し上げましたような集団的安全保障措置に我が国が参画することを内容とするものではございません。 ○原口一博 集団的自衛権の問題も集団安全保障の問題も、もちろんこのイラク戦争そのものは集団安全保障の枠組みだと今答弁されましたから、我が国が行う行動については二つとも議論の外であるということでございます。 ここであえて伺っておきますが、集団的自衛権を保持しているが使用できないという政府解釈をずっととられていますが、この根拠はどこに基づいているんでしょうか。憲法の要請があるとすれば、どの文章、どの条文なのか、あるいは国際法の何なのか。どうぞ。 ○内閣法制局長官 憲法上、我が国が集団的自衛権を行使できないと考えております理由でございますが、憲法九条一項、これは、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」それから第二項で、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と規定しております。 政府は、従来から、このような文言を持つ規定のもとにおいても、外国の武力攻撃によって国民の生命、権利が根底から覆されるというような急迫不正の事態に対処しまして、国と国民を守るための、やむを得ない、必要最小限度の範囲で実力を行使することまでは禁じられていないと解しております。 ところで、集団的自衛権と申しますのは、先ほど申しましたとおりでございまして、我が国に対する急迫不正の侵害に対処するものではございませんで、他国に加えられた武力攻撃を実力で阻止するということを内容とするものであります。我が国が主権国家である以上、国際法上このような権利を持っていることは当然であると考えておりますけれども、先ほど述べたような個別的自衛権の場合と異なりまして、憲法九条のあのような文言のもとでは、この行使が容認される、許容されるということにその根拠を見出すことはできないのではないかと考えてきている次第でございます。 ○原口一博 持っているけれども憲法九条が行使を容認していないという解釈ですね。私は、この問題について、非常に深く議論をしていかなきゃいけない問題だということをここで指摘しておきます。 さて、また特措法に戻りますが、テロ特措法のときには武器の輸送を認めていませんね。これは修正の中でそれが入ったわけですけれども。きょうはテロ特措法については議論をしませんけれども、テロ特措法で武器の輸送を認めていないにもかかわらず、今回のイラク特措法において武器弾薬の輸送業務といったものを排除していない、これはなぜですか。 ○防衛庁長官(石破茂) 先生御指摘のように、議員修正によりまして、テロ特措法におきましては、外国領域における武器弾薬の陸上輸送を行わないことにいたしました。 一方、本法案に基づきます安全確保支援活動は、イラク国内における安全及び安定を回復するために行われる国連加盟国の活動を支援するために我が国が実施する医療、輸送、補給等、武力の行使に当たらない活動、当然のことでございますが、武力の行使に当たらない活動をその内容としておるわけでありまして、武器弾薬の輸送それ自体は、憲法が禁じております武力の行使というものに当たらないものでございます。そしてまた、この地域は非戦闘地域になるわけでありますから、一体化という問題も生じない。非戦闘地域においてしか行わないということは、きのうも答弁を申し上げたとおりでございます。 したがいまして、基本的に戦闘が終わっているイラクの中で、イラク復興のための国際社会の取り組みに寄与することを目的としておりますので、あえてこれを外すということの必要性、これが認められないということでございます。 きのうもお答えをいたしましたように、私どもが仮に武器弾薬の輸送を行うことがありましても、それは起点も終点も非戦闘地域でございます。ですから、当然、武器弾薬の輸送ということそれ自体は武力の行使ではございません。そして、非戦闘地域において行うわけでございますから、一体化という問題も生じないわけでございます。したがいまして、この法案におきましてそのことを排除していないという理屈でございます。 ○原口一博 やはりそこにはかなりのフィクションがあると思うんですね。非戦闘地域であれば、武器弾薬の輸送というものが、武器弾薬そのものの需要というものが、輸送の需要というのがそれほど出るわけではない。テロ特措法には抜かしておいて、わざわざここに書き込む理由というのは、私は、ここはよほど詰めて議論をするべきだということだけ指摘しておきます。 さてそこで、これまで英米兵の命が失われています。よく数だけで言われていますけれども、外務大臣に伺いますが、現在、アメリカ軍、イギリス軍、この亡くなった方々、どれぐらいが襲撃で亡くなっていますか。そして、亡くなった場所はどこですか。襲撃をした相手はだれですか。 ○外務大臣(川口順子) 五月一日以降の数字でして、アメリカ軍で亡くなった方は四十七件五十六名ということですけれども、そのうち襲撃で亡くなった方は十七名。それから、イギリス軍でいきますと、死者総数十名で、襲撃で亡くなった方は六名ということになっています。 それで、場所ですけれども、それぞれの方について死亡した理由あるいは場所、ございますけれども、もし必要でしたら十七名の方についてそれぞれ申し上げますが、まとめて申し上げることはちょっと難しいと思います。 ○原口一博 時間を節約していただいてありがとうございます。 襲撃による死者が発生した場所はイラク全域にわたっていますね。プロットしていただきましたら、北部のところだけはない、いわゆるクルド人の居住地域だと思いますが。あとはほぼイラク全域で襲撃が起こっている。そして、今外務大臣がお話しになりました、米兵十七名、そして英兵六名のとうとい命が失われています。 こういう状況の中で自衛隊を派遣するということについては、具体的なニーズと業務についてやはりきっちり基本計画に書き込んで、そして、私は、本来であれば、この法案と一緒にある程度の骨格を示していただきたかった、あるいは、これは示すことができるのではないかというふうに思うわけでございます。 昨晩出していただいたニーズというところで、医療、補給、移送、施設などの分野で人道的なニーズがあると。その中で、実現可能性があると規定される業務の例として現地のニーズを聞いてみた。イラクの国内外での人員、物資等の輸送ということが輸送業務の中で書かれています。これは具体的にどういうことですか、防衛庁長官。 ○防衛庁長官(石破茂) これは、きのうの与党の報告にも空輸のニーズということが挙げられておりました。 現在検討しております、これは、先ほど冒頭委員が御指摘になりましたように、PKO法に基づきまして、例えて言えば、ヨーロッパのいろいろな地域からアンマンまで空輸してそこに集積するというようなことを行うということが想像されます。しかし、それは集積しただけでは仕方がないのであって、それが人道支援の物資としてイラクの中に必要であるということになりますと、それをイラク国内に輸送するということが考えられます。それは、やはりPKO法ではイラク国内には入れないのでありまして、この法案によってそういうようなニーズを満たすことが可能になるというふうに考えております。 空輸で申し上げればそういうことでありまして、他に、本当に子細に、ニーズがどれぐらいあるかということを把握しておるわけではございません。しかし、空輸については、明らかにそういうニーズがあると考えております。 陸上につきまして具体的にこのようなニーズがある、それは当然非戦闘地域でやらねばならないわけでありますから、そこについて確たるイメージをお示しすることは、現時点ではなかなか困難かと考えております。 ○原口一博 もう一点、補給についても出していただきました。 補給業務のイメージとしては、イラク国内における水の浄化、補給、配給、関連する輸送手段も含むということでございますが、イラクの人道復興支援にかかわる各国軍隊の派遣の状況からすると、こういう同種のことをやっている国というのはどれぐらいあるのか、そして、これは具体的に何を意味しているのか、ここについても、この一行だけではよくイメージがわきませんので、ぜひ教えていただきたいと思います。 ○防衛庁長官(石破茂) 同種のことをやっている国がどれぐらいあるかにつきましては、済みません、ちょっと調べさせてください。 ただ、私どもが持っております水を浄化する能力というのは、かなり際立ったものだという認識をいたしております。これはもういろいろな災害等でその能力というものは評価をしていただいているわけでございます。 そして、与党の調査団の御報告の中にもありましたように、そのニーズが明らかに存在をしている。不衛生な水を飲んで、まさしく委員がおっしゃいますような、子供たちあるいはお年寄り、そういう方々が病気になっている状況がある。そうしますと、他国の能力をさらに凌駕すると申しましょうか、そういうような我々のニーズは存在しているというふうに考えております。 それが具体的にどうなるかというのは、これは、例えばチグリス、ユーフラテスという川から引くのか、あるいは、委員も御案内かと思いますが、バグダッド市内には、バグダッドに特定するわけではありませんが、沼のようなものがございます、それで、どのような形でやることが一番イラクの市民の健康というものを守るためにふさわしいのかということをさらに検討していくことになります。 ○原口一博 私は、国会との関係でも、やはり、政府がお決めになった基本計画に基づいて二十日以内に国会に承認を求めるということで自衛隊を外に出すのではなくて、これも事前の承認を、本当にそれでいいのかといったところをやはり踏み込むべきだという意見を強く申し上げておきます。 そして、昨日の我が党の大畠議員の質問に対して、いわゆる武器使用というのは、これは何を持っていって、何は持っていけないということが法によって決まっているものではございませんと。携帯する、自衛隊が持っていく武器ですね、それは何に制限があるというものでもない、日本国の自衛隊というのは制限されたものしか持たせないんだということは誤りなんだということをおっしゃいました。 これは、自衛隊の持っていく武器が無際限に、法の根拠によらずに持っていけるということをおっしゃったんじゃありませんね。言葉は、これは聞くと、何でも持っていけるんだというふうに大変誤解をする人がいると思いますので、訂正されますでしょうか。 ○防衛庁長官(石破茂) それは、みずからを守るために何が必要なんだということにおいて、当然持っていくものは定まるということだと思っております。そしてまた、憲法が予定をしております武力の行使に当たらないということは当然のことでございます。 しかし、では、みずからを守るためだったら何を持っていってもいいのかということになりますと、それはそういうことにはなりませんわけで、これは例えば、そういうような、何として特定するわけではございませんが、極端な例で申し上げますと、戦車なぞを持っていかねばならない、そんなことだとすれば、それはもう既に戦闘地域なのであります。そういうところにおいて私どもが活動するということはございません。 本法案上、明示的な規定があるわけではございませんが、具体的には、現地の治安情勢、自衛隊の部隊等が実施することとなる対応措置の内容などを総合的に勘案いたしまして、自衛官が有する専門的知見を踏まえまして、必要なものを政府として基本計画において定めることになるわけでございます。 ですから、委員おっしゃっていただきましたように、何でも持っていける、そういうことを申し上げたわけではございません。それはおのずから、おのずからそこには自分を守るために何を持っていくのかということは定まってまいりますし、それを基本計画において定めるということになるわけでございます。仮に、何でも持っていけるというような誤解を与えるといたしましたらば、これはおわびをして訂正させていただきます。 ○原口一博 自衛隊法の八十七条と九十五条に定められたこの範囲において、警察比例の原則と申しますか、いわゆる自分たちの身を守るために携帯が許される武器が決まるというふうに理解をしております。 さて、もう時間が迫りましたので、私はこの法文の中で、八条の六のところは、逆に反対解釈ができるようなものを、「自衛隊の部隊等が対応措置として実施する業務」、つまり、「戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備」を含まないとする、こういう明示をしたことに大変危惧を覚えます。逆読みをすることができますから、これ以外は何でもできるということになってしまう。 あるいは、劣化ウラン弾に対する政府の姿勢についても、私ははっきり抗議を申し上げておきます。一九九六年の人権委員会小委員会で、法的拘束力はない。しかし、アトピーだって、原因がわからないけれども、苦しんでいる人はたくさんいるんです。劣化ウラン弾による白血病被害というのは想像を絶するものがあると幾人もの人たちが言っている。 そこに対して幾ら劣化ウラン弾が使われたかわからない、そして、影響はないと言っているなんということでは、私たちのこの活動が本当に人道支援の名に値するものなのか。そして、政府がきっちりと説明責任を果たして、もし自衛隊が派遣されるということになれば、その方々の健康も守れるのか、そのことについてきっちりと議論を、審議を詰めてやるべきだということを申し上げまして、質問を終わります。 ありがとうございました。 | |