
■ イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会 |
平成15年7月1日(火曜日) |
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| ○原口一博 民主党の原口一博でございます。 各調査団の皆様に、まずお礼を申し上げたいと思います。 そして、与党、野党の違いは、やはり治安とそれから具体的なニーズ、ここが違いますので、この二点に絞ってお尋ねをします。 まず、真っ先にイラクに入り、そしてこのイラク戦争が始まる前からもイラクで定点観測をされてきた、平和の使者であります首藤議員に伺います。 この政府から出された「実施の可能性があると想定される業務の例」の中に、「イラク国内における水の浄化・補給・配給」といったものが書いてあります。果たしてこれは自衛隊でなければできないものなのか。そして、実際にイラクにはどのようなニーズがあるのか、まず一点お尋ねをしたい。 二点目は、各国が確かに軍を出していますが、どうも国内には、いわゆる軍を出す、自衛隊を出すことの方がより有効で、国際貢献としては高いんだというような、これは、ある意味では、一種誤解に基づくような議論がされている向きもございます。国際社会の中で、イラクに軍を出している国々がどういうロジックでイラクの復興にかかわっているのか、実際に現場に行かれた立場からお尋ねをいたします。 それから、末松参考人に、この中で具体的な自衛隊のニーズというのはなかなか見つけ出しにくかった、そして治安についても、この戦争は、ある日イラク軍が軍服を脱いで市中に戻ったような戦争でございまして、先ほど参考人からございましたように、ファルージャでの衝突がきっかけとなって、またさらに治安が悪化するというような御報告がございましたが、治安の現況について。 以上三点についてお尋ねを申し上げます。 ○参考人(首藤信彦) 原口委員の御質問にお答えいたします。 まず、水の浄化でございますけれども、水の浄化というのは、別に自衛隊だけが得意としているものでもございません。皆さん、余りお気づきにならないかと思いますけれども、例えばガソリンスタンド、ここでいろいろ水を使います。そこで油なんかが入るわけですね。それを実は簡単な装置によって純化して、リサイクルして使っていたりするんです。ですから、今、水の浄化というのは、そうした一般生活用水、例えば洗濯をしたりいろいろしたりするそういったレベル、これは中水と言ったりする場合もありますけれども、そういった水とかはもう簡単につくれるわけです。 さらに、では紛争地で水はどうやって獲得しているかといいますと、これは逆浸透膜、リバースオスモシスというんですけれども、電気さえあれば、水に圧力をかけまして、逆浸透膜というものを使って、それはちょうど、皆さんが、要するに水道のカルキが臭いとかなんとかいって水道のあれにつけるのがありますが、あれと同じような仕組みなんですね。ですから、実はそれで簡単に、塩分も、それから塩分以外のいろいろなものも取れるわけです。 ですから、紛争地ではどうしているかというと、それは今までもう幾つもいろいろな紛争地がありまして、NGOでも物すごい巨大な浄水装置を持っていまして、それが二十四時間体制でどこへでも飛べるようになっているんです。特にMSF、国境なき医師団などは、本当に、本部があって、二十四時間でそういうものを運べるようになってくる。 ですから、そういうものでつくりまして、それを、巨大なゴムの水まくらみたいなものでございますけれども、そこに大量に入れまして、それでいろいろなところに置いておく。それを孤児院とか病院とかで使うということです。 では、自衛隊の持っている浄水装置はどうかというと、これは戦場で使うための装置なんです。ですから、弾がびゅんびゅん飛んでくるところで、ひょっとしたら浄水車に弾が当たるかもしれないということで、防弾もしている。それから、水タンクに弾が当たっては水が流れてしまって役に立たないので、それも防弾してある。そういうことで、非常に装甲の張ったものをやっているんですね。ですから、小規模であって、余り大きいとねらわれてしまいますから、例えば自衛隊が持っている自走式のものだと大体五トンぐらいですね。 しかし、実際、皆さん、市中を走っているとごらんになるように、散水車というのは巨大ですね。ああいうものがむしろ今必要となってきて、現実に、パレスチナで水が足りませんけれども、日本がODAを使って出しているものは、そうした巨大な水タンクの車だということです。 ですから、自衛隊の水処理とか水の運搬というのはあくまでも戦場で使うというものであって、今、戦争が終わった段階では、ほとんど必要のない、むだなものだということであります。 それからもう一つは、今、確かに各国が軍隊を出しております。先ほどの委員の方から、CPAは世界の国がみんな支援しているということをおっしゃっていましたけれども、そうじゃなくて、例えばフランスとか中国、ロシア、安保理の五大国のうち三カ国はそこに今参加していないんです。 では、軍隊をたくさん送ってきているじゃないか、偉いなというふうに考えられる方がおられるかもしれませんが、それは誤解でありまして、多くの参加している国は、残念ながら、日本のように設備もなければ、お金もなければ、JICAのような組織もない。とりあえず何かできるとしたら、お金もないけれども唯一あって余っているのは軍隊だということで、まず軍隊を送っているということなんですね。 ですから、たくさん軍隊を送っている国はありますけれども、それを我が国の場合と並列に並べることはできない、私はそういうふうに考えております。 ○参考人(末松義規) 自衛隊のニーズについてお話がございました。 自衛隊を派遣するときに、ニーズの観点からいえば幾つかあるんだろうと思いますけれども、一点は、自衛隊に能力があるかどうかというところがあると思います。例えば機雷の除去、地雷の除去、こういったことは、ニーズはあるにはあったんですが、どうも、やはり自衛隊としてそこは余り習熟をしていないという状況でございました。 それから、では、民間にできるところは任せることがいいんじゃないかという話でございましたので、その観点から、例えば自衛隊でよくやっている橋の補修とか道路の補修とか、そういうことはどうだろうという話がございました。そうしたら、今、民間の専門家、イラク人もたくさんいますので、それを使って、失業している人たちを使ってくれればありがたいというような話がございました。 それから、先ほど杉浦先生の方で言われました、例えば空港で、絶対安全な地域で、そこで水をという話がありますけれども、むしろ、それであれば、例えばバグダッドの水道施設、これを根本的にきちんと強化してやればいいんだ、これも民間でできることだろうというお話がございましたし、また、いろいろと考えたんですね、C130でヨルダンからバグダッドまでシャトルすればいいんじゃないか。一機大体二十トンぐらい運べるということでございました。それもどうかなと思ったんですが、そうしたら、例えば、私は、国境、行った方は皆ごらんになっていると思いますけれども、数百台、数千台の二十トントラックが毎日毎日往復をしているわけですよ。彼らをどんどんもっと使ってあげればさらにこれはいいのかなと。 だから、自衛隊でしなきゃいけないといったときに、ちょっと安全面は、やはりそこで考えてきたら大きなネックになる。 二番目の質問に移りますけれども、治安については、先ほど申し上げましたように、安全面、治安の面で、今失業している軍隊あるいはいろいろな公務員も含めて、こういった人たちがいつ物取りになるかわからない非常に厳しい現在の状況ですし、六十名前後米軍も戦争が終わってから死んでおりますし、そんな状況を考えると、やはり厳しいだろうなと思っております。 ○原口一博 今お話しのように、イラクに入りますと、皆さんお気づきのように、ほかの中東諸国と違って、チグリス、ユーフラテス川があって、かんがい施設があって、水自体はあるんです。しかしこれが、長年のインフラ整備のおくれによって使える水が少ない、あるいは汚染をされている。 そこで、杉浦参考人にお伺いします。 やはり水の問題、これは大事な問題です。攻撃によって水の施設が壊されたのか、それとも、新たに二十万人の皆さんがお見えになって、その人たちに対する水の供給がないのか、あるいは別の原因によって汚染されているのか、その辺はどのようにお考えなのかというのが一点。 もう一つは、大幅な修正を九名の皆さんで議論されたということでございます。大変率直な、杉浦先生らしい御正直な御報告だったと思いますが、どの点が一番、皆さんの与党の団の中で違いがあったのか。この二点を杉浦参考人に伺います。 それから、今川参考人、緒方参考人、特に子供の視点で調査していただいたことを非常に大事に思います。五百万人の皆さん、子供たちをいかに学校に戻すかということ。特に劣化ウラン弾の影響について、私もずっと、このイラクに入ってみて、かねてから主張をしているところでございます。きのう外務大臣は、まさにコソボの例を引いて、九九年にコソボ紛争は起こるんですが、二〇〇一年の報告でもってこれは影響ないというようなことをおっしゃいましたが、果たしてこれでイラクの国民が納得できるのか。 そして、これは最後になりますが、首藤参考人に伺います。 文化のことについてはどの調査団もお触れになっていません。アイデンティティーというか、米軍のイラク攻撃によって、博物館が襲われて、メソポタミア文明、まさにイラクの人たちが最も大切にしているもの、それさえも略奪を受けたというのは、これはとても大きなことだと思いますので、このことについて皆さんはどう思っていらっしゃるのか。 以上、たくさん聞いて大変申しわけありませんが、杉浦参考人の方からまずお伺いしたいと思います。 ○参考人(杉浦正健) まず、水の問題でございますが、水道、浄水場から送水管等の施設は、空爆ではやられていないみたいですね。これはもう投資不足、ともかく根本的に全部やり直さないといけないぐらい投資不足であったということのようです。しかし、これもこれから本格的な復興をさせて、もちろんCPAも国連も全力を挙げて、下水もありますけれども、下水もひどい状態でしたが、やっていくということでございますが、これは復旧に相当時間がかかると思います。一年かかるのか二年かかるのか、専門家が調べないとわかりませんが、お金も時間も要るという認識でございます。 首藤先生がおっしゃいましたが、自衛隊が当面、水の浄化、供給、配給をやるというのは物すごく期待されているんです。これは国連の諸活動においても、軍の関係者、給水は期待されているという面もあります。クウェートから運んでいるらしいんですよ。クウェートから運んでいるうち、半分ぐらいは水だというんですよ。それは本当にひどい状態で、これは自衛隊の機器を当面持っていってつなぐ、あわせて本格的な水道機能の回復を図っていくでしょうけれども、機能を回復すればもう引き揚げればいいわけです。 それから、NGOが本格的に入って、何ら治安等に万一の心配がないという状況になればNGOに任せられるときも来るかもしれませんが、丸裸のNGOがまだやれる状況ではないと思います。きちっとこの機能を守らないと、ちょっとふたがあきますとすぐ、ともかく政府がない状態ですから、強奪の対象になるという状況は一方でございますので。 それから、一般的にインフラが不足していますから、自衛隊のように、食糧から何もかも自分で賄える、電気も発電もできますよ。今、電気はしょっちゅう停電ですから、一般の機械を動かすといったってとても大変じゃないでしょうか。自衛隊の場合は、自家発電機で電力を起こして、それで水を浄化するということですから、当面、半年、一年ぐらいは有用ではないかというふうに思いました。 それから、修正点はあらゆる面に及びましたが、一番議論したのはやはり治安です、治安についての認識。人それぞれ違いますから、各党とも違うと同じように、私どもも、この表現でいいだろうか、やはりこの方が適切じゃないだろうかという、治安の部分、ほかの面もありますが、一番議論して、これだけよくまとまったと思います。 以上でございます。 ○参考人(今川正美) 先に劣化ウランの方をちょっと申し上げて、あと、子供の関係は、よろしければ山内参考人の方にと思います。 劣化ウラン弾のことは先ほどもちょっと触れたんですが、私が先般の委員会で川口外務大臣とやりとりをしたときに、外務大臣の方は、米側の報告による限り今回は使ったとは言っていないだとか、あるいは、仮に湾岸戦争とかコソボでも使ったにしても影響はほとんどないだとかという報告をうのみにするんですかということで非常に私は憤慨したんですけれども、現にNGOの皆さん方が既に支援活動に入っています。 そうすると、一番懸念すべきことは、治安の状況もあるけれども、それ以上にやはりイラクの人たち及び自分たちの健康状態だということで、先ほどの藤田参考人は、現実に撃ち込まれたというところまで特定して、ガイガーカウンターで明らかにこれはウラン弾だということを特定しているわけですから。やはりこれは我が国政府が、特に先進国の中でも放射能被曝ということに関して非常に医療技術も高いし、詳しいわけですから、ぜひ政府として責任を持って調査団を派遣して、そして米側とも十分協議をしながら、安全なところ、ウラン弾が使われたかもしれないところというのをきちっと区分けしないと、私は自衛隊派遣には反対でありますけれども、自衛隊を派遣しようがNGOを派遣しようが、やはり非常に危険だと思います。イラクの国民の皆さん方は、言っているように、長く放置すればするほど、使われたと見られるところでずっと溶け込んでいって地下水に流れ込んでいくという問題がありますから、これは、どの地域は安全とか安全でないというふうにはならないと思っています。 私はこの問題を非常に深刻に受けとめていますので、政府の責任できちっとしていただければというふうに考えます。 ○参考人(山内惠子) 急遽時間をいただきまして、ありがとうございます。山内惠子です。 これは学校なんですけれども、ユニセフの支援も来ない学校でした。(写真を示す)この前に戦車がありましたので、治安のために学校を監視しているのかと思いましたら、これは病院のためだそうですけれども、子供たちが近寄って大変危ないのでということでバラ線を張っているので、今は子供たちは行っていません。ここにいる親たちは、治安のために親たちが子供の送り迎えをしている。しかも、この日は進級試験がある日だったので、一時間ごとに入っていく子、帰ってくる子がいるので、親はこれを待っている状況でした。 これはユニセフの応援のない学校ということで、本当に貧しい学校だったと思いますが、私は、戦前、十二月のところを一週間、戦後も見てきましたが、やはり湾岸戦争以降の経済制裁の悲劇も相当あると思います。先生方は無給で働いていて、二千ディナール、三千ディナールというお金は、紙幣も古いものでもらってしまったので、今は使えない。しかもそれは、ホテルでとったスパゲッティを二皿食べればなくなるような金額、それも使えないそうですけれども、こういう状況です。 戦争前の子供たちは二部制で、小学校十二クラスあれば、一クラスは午前中、午後はもう一つの一クラスということで使っているそうですから、学校の支援というのは私たちがやれることだと思います。そういう状況に今あります。 以上です。 ○参考人(首藤信彦) 原口委員には貴重な問題を指摘していただいて、本当にありがとうございます。恐らく、原口委員もイラクへ行かれて現場で調査されたときにそういう視点をもし述べられたら、イラクの人たちは本当に、ああ、日本人は問題がわかっているんだ、やはり戦後の苦しい時期を乗り越えてきた日本人だなと、本当にイラクの人は感激したと思うんですよ。 というのは、我々はみんな、何といいますか、電力がないとか水がないとか食糧がないとか医薬品がないとか言っていますけれども、やはり一番ないのは、文化とか音楽がないこととか、そういうものなんですね。要するに、自分たちが大事にしているものが失われてしまったということがやはり非常につらいわけですよ。 そして、アフガニスタンで、民主党も早い時期に復興のためにいろいろなことをやりましたけれども、その一つの中に、アフガニスタンの伝統音楽、タリバンが破壊し尽くした伝統音楽を回復させるというのがありました。非常に高く評価されました。 同じように、やはりイラクの人たちは、自分たちを、イラクというよりはむしろメソポタミアの民として位置づけています。ですから、人類発祥の地であり、ギルガメシュ伝説に見られるように、環境問題もすべて自分のところから始まったんだ、こういう視点なんですね。そういうところで、彼らが一番大事にしている博物館が荒らされたということは、大変大きな問題だと思います。 それからもう一つ、文化だけではなくて、宗教もそうなんですね。例えば、最近南部でイギリス兵が殺された。その理由の一つに、どうも、隠している武器を探すために犬を使ったんじゃないかということが言われているんですね。犬は、アラブ社会の中でこれはもう非常に忌み嫌われているものなんです。それが、例えば男性が入ることでもタブーなところに、犬が、不浄な動物が入り込んでくるということがまた一つの大きな問題を生み出したんではないかと言われています。 それから、もう一つ非常に大きな問題としては、今までフセイン政権という、どっちかというと西欧化を目指し、世俗化を目指していた政権がなくなった後に、各地で、今まで抑えつけられた伝統文化、伝統的価値観、伝統的宗教、宗派というものが一斉に立ち上がってきているということです。 この視点が忘れられているわけで、これは治安の問題とも非常に密接に関係があるんですけれども、例えば南部においては、禁止されていたシーア派の儀式というものが今また復活してきました。つい最近でも、私も行ったナジャフのアリの廟のところで、小さな廟ですけれども、二百万人が集まって、要するに、胸をたたいてシーア派のしぐさをするわけですけれども、それをやったというふうになっています。 ですから、今後、原口委員御指摘のとおり、このイラクの復興、そして私たちが何をするかという点において、この文化の問題というのは避けて通れない重要な問題であると考えております。 ○原口一博 与党の中でも治安についての違いがあったということで、やはり法案の中にしっかりと、武器使用基準やさまざまな問題についてもしっかり議論を詰めていかなきゃいけない、このことを指摘させていただきまして、質疑を終わります。 ありがとうございました。 | |