イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会

平成15年7月2日(水曜日)

○イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員長(高村正彦) 原口一博君。

○原口一博 民主党の原口一博でございます。
 冒頭、法制局長官に、先ほどの答弁を少し詰めておきたいと思います。
 イラクにおいて他国の軍隊が野盗を掃討している、そういうものに対して我が国が支援をすること、これは憲法が禁じている武力の行使と一体となる行為とならないというお答えだったと思いますが、それでようございますでしょうか。

○内閣法制局長官 繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたとおり、憲法で問題としておりますのは、国際紛争を解決するための手段としての武力の行使でございます。したがいまして、野盗等、盗賊団に対します実力の行使は、そのような意味での、憲法が問題といたします武力の行使には該当いたしません。したがいまして、それに対しまして支援を行いましても、憲法九条との関係で、武力の行使をしたとか、あるいは他国の武力の行使と一体化したとかいう評価は生じないものと考えております。

○原口一博 私は、集団的自衛権について、その解釈が云々というのはこの間お話をしました。しかし、今のは大変大きな、踏み込んだ御発言ではないかというふうに思います。
 というのは、相手が野盗であるか何か、今わかりますか。バース党の残党が野盗をやっている、あるいは、やりながらテロ活動をやっている。まさに今、イラク人による暫定統治機構もできていない。CPAが、つまり、よその国の人たちが統治をしている。こういうときに我が国がその支援ができるというのは、どういう支援ですか。武器弾薬を供給するという支援ができるということですか、それとも、一緒になってそこと戦うことができるということですか。

○内閣法制局長官 それは事実認定の問題でございまして、法解釈といたしましては、まさにそれが国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為なのか、あるいは、そうでない、単なる治安維持のための活動なのかということで区分される、できることを前提としての議論をいたしているわけでございます。

○原口一博 単なる治安維持の活動である、つまり、国際紛争の一環として行われる武力行使でないということであれば、我が国は、では、武器弾薬をそこに供給することも、あるいは、今、後段の質問にはお答えになっていませんが、一緒になって戦うこともできるんですか。

○内閣法制局長官 いわゆるこの法案の二条三項の非戦闘地域という認定ができる状況でございましたら、そこにおいて、そこまで武器弾薬を輸送するということもこの法案では排除しておりません。
 それから、そこで戦えるかどうかということでございますが、それは、武器使用につきましては、十七条で、いわゆる自己保存のための自然権的な権利という範囲内でしか武器使用はできませんので、積極的な意味での戦闘行為は、それはできないということでございます。

○原口一博 いずれにせよ、これは後で議事録を精査して、こういうことがあるから、まさに武力と一体化とみなされない、そのおそれがないということを、私たちは、一定の歯どめの中でずっと議論をしてきました。
 私は、外交政策でいうと、きのうの参考人からあったように、ロープロファイル、つまり、さまざまな厄介事にはかかわらない、だから、積極的に紛争に巻き込まれることを事前に避けていくというこれまでの安全保障政策の、これまでですね、姿勢は、私は正しかったと思います。しかし今、それが今後どうあるべきかということは、これはまた別の問題です。私は、それだけでは済まない問題があるだろうと私個人は思っています。
 しかし、今の解釈は、法制局長官の解釈は、今までの私たちが国会で議論してきたことと大きな違いがある、そういう解釈になってしまうんじゃないかという危惧を感じます。私たちは、さまざまなオペレーションに対して、法と正義に基づいて、やはり一定の抑止を持って、そして法の支配の中でやるべきだ、このことを申し上げます。
 さてそこで、この修正のいろいろな話の中で御苦労された中谷さんや中川さんには大変な敬意を表したいと思います。しかし、私は、官房長官、非常に残念でした。私たちがさまざまな修正をまとめている中途に、御党の幹事長が記者会見をされて、こちらから修正を持ちかけるんだったらそれは受けましょうと、まさに政局絡み、自衛隊や国際貢献という大切な問題を拙速に記者会見をされたことを、非常に私は残念でした。
 そして、きょうここに、これはバビロンの門なんですが、一昨年衆議院の予算委員会で視察をさせていただいたときに、これはバビロンの門、メソポタミア文明、その前の大変な文化の施設ですが、これはフェイクです。つまり、イラク人にとって一番大事な文化の象徴なんですが、これはベルリンにあります。
 つまり、私たちは、今回、与党、野党の調査団が行かれて、さまざまな報告をされました。与党、野党で違う点は二つありました。一つは治安の状況の認識、もう一つは復興支援のニーズ、この二つが違ったんですが、私は、まさにこういう文化と伝統に対する配慮がなければ、真の復興はあり得ないと思います。アイデンティティー、自分たちの大切にしている文化や、これは第二次世界大戦のときですから今回ではありません、しかし今回のイラク戦争でも、やはり博物館から大切な文化財が散逸をしてしまっている、そこに対する無配慮が大きな国際問題にもなりました。
 私たちは、復興支援を論ずるときに、官房長官、まずお尋ねをしたいのは、やはりイラクの国民の伝統と文化、あるいは歴史、そして誇り、そこに最大限の配慮をしながらやるべきだというふうに思いますが、官房長官の御所見を伺いたいと思います。

○内閣官房長官(福田康夫) イラクの復興、何でもやればいいんだという話ではない、アプローチが大変大事だろうというふうに思います。ですから、その辺は、十分なる配慮を持って、また十分なる調査を事前にして進めていかなければいけないことである。そしてまた同時に、その調査の中には、アラブの人、イラクの人がどのような考えを持っているかということをよく聴取というか調べた上でということもあろうかと思います。
 今、私どもは、自衛隊の活動といったようなことでいろいろと議論をしているわけでございますけれども、いずれ安全性が確保されるという状況が来れば文民の支援もしなければいけないと考えておりますし、我が国が自衛隊の活動というだけに集中しているわけではない、このことはひとつ御理解をいただきたい。
 その中には、例えば、文化のことについても触れられましたけれども、一四八三の決議の中に、文化に対する、文化財保護ですね、この必要性の強調、こういうものが入っております。これはまさに、私は日本が主張したことが取り入れられたんだというようにも思っておりまして、決して、自衛隊の活動ということで強調されるような、例えば軍服を着た、いかめしい、銃を持った、そういうふうなイメージだけでない、自衛隊もそういうふうな形でないものをいろいろと考えていかなければいけない、そんなふうにも思っております。

○原口一博 長い伝統と歴史を誇るアジアの我が国であるからこそ、世界に対して、イラクの伝統や文化、あるいはその国民のアイデンティティーについて、そこに対する配慮が、言えるものがたくさんあると思いますので、今の答弁を前向きに受けとめておきます。
 それともう一つは、私が非常に心配しているのは、小さい人たち、子供たちのことです。私は専門が心理学なので、暴力にさらされた子供たちがどういう心理的な状況になるかというのは、これは物すごく深刻なものがあります。暴力にさらされた子供たちは、力に頼ることを覚えます。暴力に対する逆の、反作用を起こしてくる。
 私は、外務大臣にお願いをしたいのは、何人亡くなったかというのはAP通信の数字が出ておりましたけれども、実際にどれだけの方が亡くなって、そしてどういう子供たちが親を亡くし、そしてどういう子供たちの心理的な状況なのかというのは、もっとCPAなり我が政府としても配慮をしていただきたい、このように思います。
 さてそこで、具体的なニーズで一番きのう調査団から大きかったのは、やはり水のニーズでございました。「実施の可能性があると想定される業務の例」の中にも、イラク国内における水の浄化、補給、配給というものを出していただいています。それから、国連が出したものにもウオーターネットワークのリペアということが書いてある。それから、ポンプ施設の、五十一のリハビリテーションというようなものがるる書いてあります。
 そこでお尋ねですが、この今回のいわゆるイラク攻撃によって、もともとイラクというのは水が豊富なところです、しかし、それが今汚染されたのか、あるいは、さまざまな施設が今回の攻撃によってダメージを受けて、そして早急な復旧の必要があるのか。水が汚染されて、あるけれども飲めないというふうに防衛庁長官はおっしゃいましたけれども、それはなぜなのか。
 そして、これは、水というのは最も喫緊なニーズでございますが、今もう他国の政府は入っている。我が国だって、自衛隊こそ出していませんが、今でももうオペレーションしているわけです。ですから、先ほど佐藤委員は大変すばらしい質問をされましたが、最後のところだけは、我が国が乗りおくれたというのは、これは私は違うと思う。現在でももうオペレーションをさまざまな復興人道支援の部分でやっているという前提のもとで質問をしているわけですが、他国の軍隊ないし他国の政府で水のリペアをやっている国、これはどこですか。

○外務大臣(川口順子) 順番に、いろいろな国がいろいろやっておりますけれども、例えば例を挙げさせていただきますと、ニュージーランド、イラク南部で浄水、電力等の一般施設整備をやるということに決めて、これは派遣を決定した国でございますので、恐らくまだ行っていないというふうに思います。それからカザフスタン、これは水の採取及び地雷撤去作業を予定等々でございます。

○原口一博 私は、これは調査団の報告にもありましたとおり、三十年間に及ぶインフラに対する非常な無配慮がもたらしたもので、一気に今出てすぐ何ができるという話ではない。むしろ、水のイラク全土に対する計画を立てて、そしてそこにどのような貢献が各国できるのかということで、地道に長期間かけてやっていく話なんではないかというふうに思いますが、官房長官いかがでしょうか。

○内閣官房長官(福田康夫) 復旧復興という言葉がございます。復旧というと、今とりあえず緊急な対応をしよう、復興というと、それよりも、今委員おっしゃったような完全なるインフラ整備というものを目指して全国的な展開をするといったようなイメージと私は思っておりますけれども、今は復旧というその段階ではなかろうかと思います。
 とりあえず、何とか衛生的に問題のない水をどうやったら供給できるかとかいった、そういう喫緊の課題に取り組むべきときだろうというふうに考えております。

○原口一博 お答えのとおりだと思います。
 このレポートを見てみると、国連のヒューマン・アピール・フォー・イラクという、これは六月に出たものですけれども、ニーズアセスメントをしています。略奪によって水を浄化するための塩素がとられちゃった。だから、塩素がないから、長官がおっしゃるように浄化できない。それから、上水管に穴をあけて水泥棒をやって中途で水を抜くから五割しか行かない。こういうことは緊急のニーズですね。しかし、私は、これでもって、では三カ月後も同じようなことが起きているかというと、それはないと思うのですね。そのことをここで指摘しておきます。
 それで、今回私たちは修正案、午後、その趣旨を説明すると思いますが、少し法的なところで詰めておきたいと思います。
 資料を、委員長、お許しいただいて、二枚お配りをしていますが、まず一つは、最もやはり私たちが危惧をしているのは、武器使用規定、これをどう考えるかということでございます。
 防衛庁からいただいた資料がこの「武器使用規定」、法的な性格、比例原則、危害許容要件、それから現場性・職務性、現場性、防護対象という形で、割とわかりやすく書いてあります。
 そこで防衛庁長官にお尋ねをしますが、今回の法案で、いわゆるテロ特措法のときに定めた武器使用規定、これを大きく変更しているところはないというふうに思いますが、いかがでございましょう。

○防衛庁長官(石破茂) おっしゃるとおり、基本的に大きく変更はいたしておりません。

○原口一博 では、与党、野党で、使用規定を緩和しなければ、このまま自衛隊を出していいのかという議論がされていますが、この議論は、防衛庁長官、どのように思われますか。

○防衛庁長官(石破茂) 例えばPKOですと、国際的なアコードというものがございますが、しかし、それぞれ、PKOを行われる国によって違う場合がございます。そしてまた、そこにおいて参加いたします国がどのような権限を持つかというのは必ずしも明らかになっておりません。
 そういうことを前提にして申し上げますと、今回のような場合に、では国際標準、これが国際標準ですよというものがきちんとありまして、それと日本の武器使用基準というものがかけ離れているという概念は、なかなか私は成り立ちにくい概念なんだろうと思っております。
 問題は、私どもが持っております自己保存のための武器使用、もちろん武力の行使に当たってはならないわけでございますが、その内容がいかなるものであるかということを精査をいたしまして、では、それを超えてまでやらねばならないものとは何なのだと。
 例えば、任務遂行を妨害する行為に対して武器使用ができるというふうにしなければならないという御意見もございます。しかし、そのときに、自分の身にも危害がなく、あるいは持っている装備品、九十五条を適用されるような範囲においてもそういうような危害がなく、にもかかわらず任務遂行が妨害されているというのはどういうものなのか、それに対してまで我々は武器を使用するということが求められているのかということをぎりぎり考えてみましたときに、私どもが持っていきます武器あるいは与える権限、それが国際標準から大きく外れており、結果として隊員の身を守ることにおいて不完全だというふうには私は考えておりません。
 これは庁内でも本当に何度も何度も議論をいたしました。それが本当に隊員の身を守るために不完全なものであるということであれば、それは本当にもっと議論しなければならないことだと思いますが、私が何日も何日も、何時間も何時間も議論しました結果といたしまして、隊員を守るために十分な権限というもの、国際標準からかけ離れていない権限、仮に国際標準というものを想定したといたしましても、そのようなものだとは思っておらないところでございます。

○原口一博 この法律の第五条において、今の武器使用基準も含めて基本計画の中に盛り込む、そして、この基本計画は「遅滞なく、国会に報告」と、ここは報告になってしまっているわけですね。
 私は、この表にありますように、比例原則、これが一番なんだと思うんです。比例原則というのは、相手が持っている武器に比例してこちらもと。だから、私は、そこがこういう報告で本当にいいんだろうか。
 今、何日も何日も議論を庁内でしたというふうに、まさに正直におっしゃいました。私たち国会は、本当にこれでいいのかというのを、目の前で、具体的なものについて、もちろん限界はあります、相手があることだから、何を持っていく、かにを持っていくなんというのは、そんなオープンなところで議論をすべきでないという話もあるかもわからない。しかし、この比例原則のみで武器使用規定、ほかにもありますけれども、やるのであれば、私は、基本計画に定める、この基本計画そのものを国会に出して、そして、防衛庁の中と同じ精度で議論をしろということを言ってはいません、しかし、少なくとも私たちが、国民の命を預かるその責任を持った立法府が、国民に対して、ある一定の条件を持って、ある一定の情報を持って説得できるだけの議論をしてなきゃいけない。そこは防衛庁にお任せするよということで本当にいいんだろうかというふうに思いますが、防衛庁長官、御所見を伺いたいと思います。

○防衛庁長官(石破茂) それは、正直申し上げて、原口委員のおっしゃることも、私は一つの議論としてあるだろうと思っています。
 しかし、この比例原則というものも、よく御理解をいただいているか。委員がよく御理解なことは、私よく存じておりますが、国民の皆様方に比例の原則というものをきちんと御理解をいただくという努力、そしてまた、何を持ってもいいんだと誤解を与えるような発言をしました、これはおわびを申し上げたところでございますが、それは自分を守るために必要なものということでありまして、おのずからそういう制約はかかるわけでございます。
 相手が例えば四のものしか持っていないのに自分を守るためとはいいながら十のものを持っていっていいわけじゃないんだ、比例の原則というのはそういうものではないんだということを御理解をいただきました上で、国会の御承認というのを実施の可否にかけておるわけでございます。
 ですから、私は、この比例の原則というものはどういうものなのか、そして、あくまでこういう比例の原則のもとにおいて持っていくものは定めるんだよということを国会において御確認をいただく。
 まさしく委員御指摘のように、何を持っていくんだということは、その現場現場に沿ってみなければわからないことでございます。そして、向こうが四のものしか持っていないのに、こっちが七や八のものを持っていっていいわけはないのであります。そこのところを御理解をいただければ、私は、シビリアンコントロールというものはきちんとかかるというふうに考えております。
 それだけでは十分ではないのだ、もっときちんと示せという委員の御指摘は御指摘として、私は、議論としてあるだろうと思っておりますし、それを真っ向から否定するつもりもございません。しかし、政府としては、私が今申し述べたように考えておるところでございます。

○原口一博 危害を与える主体がやはり決定的に変わってきていると私は認識をしています。つまり、従来の紛争の当事者というようなことではなくて、相手はやはりレジスタンス、彼らから言うとレジスタンス、私たちから言うとテロ、つまり、自分の中に自爆装置を持ったテロリスト、そこに対してどのように身の安全を、自衛隊員の安全を守るかという議論はきっちりしておかなきゃいけないということを指摘しておきます。
 それからもう一つ、これは、自衛隊派遣を、私は、今回は、後に述べますが、暫定政権ができて、そことのPKO法が発動して、その中で考えればいいという議論です。
 だけれども、自衛隊派遣をする、この中で、やはり自衛隊員の地位あるいは身分に対して法的な担保が要りますね。つまり、地位協定あるいは口上書あるいはMOU、覚書といった、そういうものがなければいけない。相手国の意向やさまざまな、国会がそれにどうかかわるかということも含めて、私たちは、ここでまだそこは議論をしていません。
 ここに派遣の条文を入れるからには、地位協定についても、これは、相手、暫定政権はありませんから今のCPAとやるのかわかりませんが、どのように今準備をされているのか、どのような協定をつくろうとされているのか、それは地位協定のようなものになるのか、覚書のようなものになるのか、そこはどうですか。

○外務大臣(川口順子) おっしゃるように、この法案が成立をした暁に外国の領域に自衛隊員を駐留部隊として派遣をする場合に、我が国は、任務の円滑な実施のために、受け入れ国との関係で自衛隊員の法的地位を確保する必要があります。
 その具体的な内容及び形式、口上書なのか何なのかというふうにおっしゃいましたけれども、これについては、受け入れ国側の意向やその期間の長さにもよりますので、今の時点で、一概に、これである、あるいはこれとこれ以外はないとか、そういう形では申し上げられないということであります。
 それから、相手側について、CPAというふうにおっしゃいましたけれども、イラクにおいて、現時点では当局がこれに該当をすると考えられます。すなわち、おっしゃったようなCPAから法的な地位を確保するということが考えられるわけです。

○原口一博 私はやはり、地位協定的なものをつくるんであれば、それは、今のいわゆるイラク人にとって外国人によるCPAではなくて、この審議の中で、今月中にもイラクの暫定政権ができる見込みだというような御答弁もございました。私は、CPAではなくて、イラクの暫定政権、ここと結ぶべきだというふうに思います。
 というのは、我が国も、私は三年前に日米地位協定の改定案を法文化して出させていただきました。日米地位協定というものがどれだけ、沖縄県だけではなくて、多くの人たちにさまざまな改定の議論を、必要を起こさせているかわかりません。私は、このことを確認したくて、今の法的な担保の問題を申し上げたわけでございます。
 そこで、もう一枚の紙をごらんになってください。これは内閣府の国際平和協力本部事務局からいただいた紙でございます。先日の我が党の平岡議員の質問に対しての政府統一見解というものなのかもわかりません。
 つまり、あのとき私たちはどのような質問をしたかというと、今の現行のPKO法でイラクの外の国に対して自衛隊を派遣することができるか、その派遣の根拠は何かということでございました。その答えをもう一度、ここに出していただいていますが、外務大臣からお答えをいただきたいというふうに思います。――ごめんなさい。内閣ですね。済みません。

○内閣官房長官(福田康夫) ここに、先ほど委員が指摘されましたこの紙にございますけれども、要するに、この内容なんです。
 現在、政府が協力を検討しておりますWFP、これは世界食糧計画でありますけれども、そのWFPなどの国際機関等の活動というのは、これは、イラク国内外の被災民のための人道救援物資を機動的に活用できるようにするために、あらかじめヨーロッパなどからイラク周辺国まで輸送して集積をしておく、こういう考え方に基づく活動と承知しておりまして、このような活動というのは、国際平和協力法上、イラク国外でのみ行われる一つの人道的な国際救援活動、こう言うことができるわけでございます。
 このケースについては、人道的な国際救援活動にかかわる国際平和協力法三条二号の当該活動が行われている地域の属する国にイラクは含まれていないため、イラクからの受け入れ同意というものを得ること等は不要でございまして、イラク周辺国からの受け入れ同意等の要件を満たせば人道的な国際救援活動のための業務を行える、こういうふうな考え方になっております。

○原口一博 法制局長官に伺いますが、いわゆるPKO五原則、活動が行われている地域の属する国の同意があること、これはまさにイラクに対する支援でございまして、イラクの暫定政権はないわけですから、その同意はありません。それから、その国が紛争当事者である場合には停戦合意があること、これも停戦合意はありません。なぜならば、ピンポイントでその人たちをけ散らしてきたからです。
 法制局長官に法文上の解釈を伺いますが、イラクに暫定政権が現在ありません。これは事実の認定ですが、その中で、我が国は本当に、当事国の同意なしに他国にその国への国際救援活動をすることを目的に自衛隊を派遣することができるのか、法制局長官にこの解釈を伺いたいと思います。

○内閣法制局長官 お尋ねの国際平和協力法でございますが、三条二号で、人道的な国際救援活動が行われる場合に、我が国としてはそのために同じ条文三号の国際平和協力業務を実施しようとするとき、それにつきましては、それぞれ当該活動が行われる地域の属する国、すなわち受け入れ国の同意が必要と法文上されております。
 したがいまして、その人道的な国際救援活動なり国際平和協力業務なりの内容をどうとらえるかという実態の問題でございますけれども、私ども承知しているところでは、現在、内閣府が中心となって検討されておりますイラク周辺国への人道救援物資の輸送という活動は、イラク国内、国外の双方に所在する被災民のための人道救援物資をヨルダンなどのイラク周辺国まで輸送し、集積しておくという人道的な国際救援活動が現に世界食糧計画などの国際機関や国連加盟国によって実施されていることを踏まえまして、我が国としても、このような国際活動のうち、イタリア及びヨルダンの間などの人道救援物資の空輸を分担することとして、それを国際平和協力業務として実施するという内容のものと聞いております。
 このようなWFPなどによる人道的な国際救援活動も、それから、そのための我が国の国際平和協力業務の実施も、イラク国外で行われるものでありますれば、今の法三条二号の当該活動が行われている地域の属する国の当該活動が行われることについての同意も、六条一項二号の当該活動が行われる地域の属する国の当該業務の実施についての同意も、イラク国から得る必要はない。
 要するに、その活動なり業務なりが行われる国においてそのような同意が得られればよいということになろうと思います。

○原口一博 つまり、この救援物資の受け入れ国、これはイラクなんですね。イラクですね。ジョルダンではありません。ジョルダンがそれを必要としているわけでもなく、ジョルダンだけ出しちゃいけませんが、ほかの例えばイランだったり周辺国が必要としているわけじゃない。必要としている受け入れ国は、まさにイラクなんです。そのイラクの同意が必要でないというのはどういうことなのか、この法の趣旨に反するんじゃないでしょうか。そうであれば、そこの国が紛争で政府がない、あるいは受け入れがない状況で、私たちは勝手に自衛隊を派遣して周りの国に救援物資を運ぶことができることになるんじゃないですか。そんなことをPKO法は想定しているんでしょうか。

○内閣法制局長官 このPKO法で、先ほど申し上げましたような同意を必要とするとしております立法趣旨は、これは、その人道的な国際救援活動なり我が国の国際平和協力業務が受け入れ国の理解と協力を得て安全かつ円滑に実施できるようにすることを担保するために要求されている措置でございます。
 それで、結局、先ほど申しましたように、今回の国際救援活動なり国際平和協力業務なりの実態をどうとらえるかという問題でございますが、私どもが承知しているところでは、今回輸送されます物資につきましては、具体的なニーズが別途把握された上で、最終的に、イラク国内外に所在する被災民のために活用されるということになっておりまして、国際平和協力法を所管しております内閣府によれば、それは、現在の輸送活動とそれぞれの今後行われる配分活動とは別々の活動として認識できるものであるということでございますので、先ほど申し上げましたような答弁になろうと思います。

○原口一博 だから、そこの、別々として認識できるというところがおかしいんですよ。まさに受け入れ国というのはイラクであって、それを自分らの勝手な解釈によって変えていくということは大変問題があると思います。
 それでは、お聞きしますが、イラクに暫定政権ができるという御答弁。私たちは、一刻も早いイラクの暫定政権を求めているわけです。暫定政権が七月にも、憲法の制定も含めて立ち上がる、そのことを私は望んでいます。しかし、その見込みであるという答弁もございました。
 法制局長官に伺いますが、イラクに暫定政権ができ、そして、そこの同意があれば、私たちはPKO法を発動して、そしてPKO法によって自衛隊を派遣し、そして、今ここで議論をしてきたような活動、水のニーズだとかそういったことをすることができるんじゃないでしょうか。PKO法の発動要件は満たされるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

○内閣法制局長官 今後、設立されることが予定しております暫定政権あるいは暫定政府なるものが、国際平和協力法上の受け入れ国というものとして認識、解釈、評価ができるかどうかという問題でございまして、ちょっとこれは実態、国際法の問題がございますので、確定的なことを申し上げることを私は差し控えたいと思います。

○原口一博 いや、法制局長官が国際法でも確定的なことが言えないんだったら、私たちは何ができるかわからないじゃないですか。いかがですか。

○内閣法制局長官 その暫定政府なるものの性格、それから、どのような設立主体をもってどのような構成でできるかということがまだ決まっておりませんので、先ほど申し上げましたようなことを申し上げたわけでございまして、それが形成される過程で政府部内で検討されて結論が出されることになろうと思います。

○原口一博 さっきは実態と法解釈で、それは実態の解釈のことですよとおっしゃって、今、私は法解釈を聞いているんです。イラクの暫定政権が、イラク国を代表とするまさに受け入れ国、活動が行われる地域の属する国、あるいはこれに準ずるその代表であるというふうに法的にみなされたとして、そこの同意があれば、そういう前提を私はつけているわけです。その前提のもとでPKO法を発動できるんじゃないですかということを伺っているんで、何も事実の解釈を聞いているわけじゃありません。

○内閣法制局長官 御質問のような、実態がそのように推移いたしまして、国際平和協力法上の受け入れ国であるという解釈ができるような段階になりましたら、その受け入れ国の同意というものは、その暫定政府の同意をもってそのように評価できるという実態ができることになると思います。

○原口一博 できるんですよ。だから、何を申し上げたいかというと、こういう今までの法的な枠組みを、私は、やはり自衛隊派遣については一定の原則が必要だと思います。ですから、石破長官とも何回も議論をしました、接ぎ木をして今やっていくような、もとを変えなきゃいけない。だけれども、戦後ずっと過去の総括が行われずに、官僚機構は、過去について総括をしないで、それは全部正しいことになっているから、接ぎ木に接ぎ木をして、法的に詰めていくと、さまざまな欺瞞があるわけです。
 そのことを前提に申し上げると、今回のことで最も議論が分かれたのは、きのうの与党の調査報告、杉浦先生は非常に正直にお答えになりましたが、治安についても、与党の中でも、与党の訪問団の中でも分かれた、意見が分かれて修正するのにえらい大きな努力が必要だったということを正直に述べていらっしゃいます。そして、治安の状況を見てみると、ファルージャでの五月二十七日の衝突、これは、米軍の発砲によって、随分やはりそれから変わっているんです。
 そして、ここの委員会での議論は、戦闘地域と非戦闘地域、戦闘員と非戦闘員が本当に分けられるのかという議論でした。法的に言うと、防衛庁長官がおっしゃるように、憲法の要請から、戦闘地域と非戦闘地域を分けて、そして非戦闘地域で活動させるんだということでしたが、実態をいろいろ議論していくと、本当に分けられないんじゃないか。これは、法的なところでは整合性があっても、実態となってみると、ほとんど分けられない。
 だから、さっき佐藤議員がお話しになったような、基準を示してくれ、もっとあいまいでないものを示してくれということになったわけで、これが、仮想現実、余りにも法的な憲法の要請をもとにつくられた仮想現実であって、現イラクの状況、この治安が安定しない状況とかけ離れているとすれば、この法律によって無理無理出すよりも、PKO法の中で、当事国、しっかりとしたその同意があり、そしてイラクの人たちが納得をしていく中で、仮に我が国の自衛隊が出るんだったら出て、そしてイラクの国民を代表する人たちに受け入れられながら水の問題やさまざまな問題を活動する方がよほどいいんではないか。
 ここで、一カ月、二カ月、拙速にこの法律でもって出すということが、私たちには、質疑の中でそこが詰まると思っていました。質疑の中で、戦闘地域と非戦闘地域は明確に分けることができるんだということをある意味では期待もしましたが、しかし、どうも質疑を深めれば深めるほど、私たちには、確信として、それを多くの国民に説明できるだけの確信にまでは高まりませんでした。
 私は、防衛庁長官、ここのところについてぜひお答えをいただきたいのは、PKO法で、先ほど法制局長官は、イラクに暫定政権ができてそこからの要請があればPKO法を発動できるというふうにおっしゃいましたが、それは、政府の姿勢として、そういうことを考えるあるいは検討する、あるいは、いや、もうそれは必要ない、この法律があるから大丈夫だというふうにおっしゃるのか、政府の基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。

○防衛庁長官(石破茂) 御指名でございますので、私から答弁申し上げます。
 仮定に基づきまして、イラク国内において我が国が国際平和協力業務、PKOを行うことが可能かどうかについて、確定的な判断を述べることは差し控えさせていただきたいと存じますが、暫定政権が成立した場合を含めまして、PKO法上の要件が満たされるかどうかにつきましては、当該暫定政権の態様等を総合的に勘案して判断することになるだろうということだと思います。ですから、その暫定政権なるものがどんなものなのかということにもよるのだと思います。
 確かに、委員御指摘のように、それができてからでもいいじゃないか、今、無理やり新法をつくってまで急いで行く必要がどこにあるんだということかもしれません。ただ、調査団のお話を聞いてみれば、本当に今すぐ、この間、あるテレビで見たのですが、本当に地獄のようだと、バグダッドは。これから夏になる、酷暑の季節になる、水はない、いろいろなインフラは破壊されている。今まさしく、きょう、あす、今週、来週に何千、何万という人が病気になるかもしれない。水がなくて本当に苦しい思いをしているかもしれない。まさしく今出さねばならない。憲法の範囲内においてそれを可能にする法律をつくる、そしてそれを派遣するということにも私は意義があると考えております。

○原口一博 やはりそこで、ダブルスタンダードとは言わないけれども、イラクの周辺国については、イラクの暫定政権がないにもかかわらず、PKO法で派遣をしようとしている。イラクの国内については、暫定政権がどういう性格になるかわからないからPKO法は今のところ適用を考えていないと。私はこれはなかなか、いわゆるブーツ・オン・ザ・グラウンドと言われたから自衛隊を出すんだというふうに私は思わない、しかし、今、説得のある御説明をいただいたというふうにはとても思えません。
 時間が迫りましたので。アメリカはイラク復興予算の計上というのを出しています。二〇〇三年の四月十二日、二〇〇三年度戦時補正歳出法案、HR一五五九というものを出していますが、外務大臣、これはどういうものですか。

○外務大臣(川口順子) 手元に資料はございませんけれども、米国として、イラクの復興のための予算、これを補正する必要があったという認識で行ったのではないかと考えます。

○原口一博 歳出総額七百八十五億ドルの補正予算を、アメリカは二〇〇三年の四月十二日に決めています。この法案、私たちは全部を賛成じゃないけれども、もしこの法案の中で想定されている基本計画をやる、あるいは水のインフラをやるということになると、相当大きな予算の裏づけも必要であるというふうに思いますが、官房長官、この予算の問題について、私たちは法案を審議していく過程で、どれぐらいコストがかかり、どれぐらいそのことについて私たちの国民の御負担を求めなきゃいけないか、このこともあわせて議論しておかなきゃいけない。この予算について、どのような御方針をお持ちでしょうか。

○内閣官房長官(福田康夫) 正直申しまして、対応措置を今これから決定しようというところです。その前提として法案を審議いただいている、こういう状況でございますので、どのぐらい予算がかかるかということを今申し上げられるような状況ではないということであります。
 しかし、いずれにしましても、法案ができ、そして対応措置を決めるということによって出てくる必要経費、これについては当然のことながら確保しなければいけないことでありますから、適切なる対応は当然とってまいりたいと思います。

○原口一博 なぜアメリカのその予算を伺ったかというと、七百八十五億ドルは大きなお金なんですね。これも、アメリカの議会のさまざまなものにアクセスしてみると、一次的な経費だということを言っています。この後また追加の予算計上をしてくるんだと思います。我が国も、これほどのことをやるんだったら恐らく補正で予算計上されるんだろうな、そういうおつもりが、予備費でやれるような話ですかということを詰めておきたくて伺ったわけでございます。そこはいかがですか。

○内閣官房長官(福田康夫) どのぐらいの規模になるかということを、予備費の中で対応できるか、それともそれを超えるようなことになるのか、これは今ちょっと申し上げるわけにはいかないので、その段階でまた御検討いただきたいと思います。

○原口一博 そういうことも含めて、基本計画やあるいはさまざまな問題を国会との間で詰めてやっていくという姿勢をやはり堅持していただきたい。予算についてはまた別の機会に質問させていただきます。
 きょう、中東和平で新たな動きがございました。パレスチナとイスラエルの間の声明が出た、これは新しいロードマップの大きな第一歩だというふうに思います。このイラクの問題も中東の安定と和平ということを抜きには議論ができない、我が国はここに積極的に関与をしていくべきだということを申し上げておきたいと思います。
 そこで、劣化ウラン弾について、コソボでの報告、これ私、昨晩いただいて、斜めに読んだので、全部読めたとは思えないけれども、一九九九年に起こったコソボ紛争のいわゆる劣化ウラン弾における健康被害が調査をされて、それが影響なしというふうにこれは言えないんじゃないですか。
 いろいろなところを見てみると、劣化ウラン弾は地表で散逸したというようなことも書いてあり、あるいは、長期にわたる健康被害については、これは、特にウランの同位元素というのは、遺伝子あるいは胎児、そういったものを傷つけるわけで、たった一年そこらのもので、これでウラン弾についての影響はありませんでした、そういうふうにはどうやっても私には読めなかった。
 外務大臣、これは今川議員も指摘をされておりましたけれども、やはり唯一の被爆国として、イラクに行くと、どれほど怨嗟の声があったかわからない。実際に、障害を持った子供たち、小児白血病で目の前で亡くなる子供たち、私、目の当たりにいたしました。この劣化ウラン弾について、私は、日本が積極的に調査をし、そして、このことについてもその調査を、何年もかかるその調査を待って対応するというのではなくて、実際に起きている病気に対しては、小児白血病やさまざまな、いわゆる放射性物質に対する、そのがんについても積極的な貢献をすべきだ、今川議員のおっしゃるとおりだと思うんですが、いかがでございましょうか。

○外務大臣(川口順子) この国際機関の調査、これは、委員がおっしゃいますように、九九年のコソボ紛争の際に、がん、白血病が発生をしたということで、劣化ウラン弾との関係が疑われて、調査をWHO、UNEP等でしたということであります。
 それで、その報告自体は、環境や健康への害がほとんどなかったというふうにされているわけですけれども、国際的に確定的な結論が出されているとは承知しておりませんので、したがいまして、政府としては、今後の国際機関等による調査の動向を引き続き関心を持って注視をしていくということを考えているわけです。
 それから、イラクの子供たちへの支援、これについては、我が国としてのイラクに対する人道復興の中で医療関係ということも入っているわけですから、そういうことの一環として、具体的にどこで何をするかということの細目はまだこれからですけれども、いずれにしても、医療面での人道復興支援ということは考えております。

○原口一博 私は、日本が本当に主導権をとって、そしてこの問題について積極的に世界をリードしていく、この姿勢が必要だと思います。
 国連安保理のさまざまな決定あるいはその権能についても、三月二十日のあのイラク攻撃で大きな亀裂もありました。新たな世界平和の秩序をどう構築していくかということについて私たちはさらに議論を詰めたいと思います。
 ありがとうございました。