国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会

平成16年4月23日(金曜日)

○国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員長(斉藤斗志二) 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。

○原口一博 民主党の原口一博でございます。
 今回、人質が無事救出されたことを、皆さんとともに喜びたいと思います。そして、今、政府の報告にもありましたとおり、関係各位、協力していただいた皆さんに感謝の誠をささげたいと思います。
 また、逢沢総括副大臣、御苦労さまでございました。大変な中を危機を乗り越えてこれた。我が民主党も、藤田代議士を中心に現地の対策本部を立ち上げて、さまざまな情報収集あるいは働きかけをやってまいりました。国民の安全を守ることに与党も野党もない、そういう観点から今回の解決を喜びたいというふうに思います。
 さて、冒頭、総務副大臣、御苦労さまでございます。今回のイラクでの日本人人質事件について、数点、確認をしておきたいと思います。
 総務省として、放送局に対して、今回の人質事件のさまざまな報道あるいは取材等について、指導あるいはお願い、要請、調査などを行われたのか否か、その事実関係を教えてください。

○総務副大臣(田端正広) お答えいたします。
 総務省として、今回のイラクの日本人人質事件に関しての指導、要請、そういったことについては、放送事業者に対して特段行っておりません。
 以上でございます。

○原口一博 人命にかかわる問題でございますので、人質の命にかかわるような単独の取材だとか、あるいはそういったことについても自粛を要請するということはなかったわけですね。お答えください。

○総務副大臣(田端正広) 放送事業者に対して、今回の事件が起こった後に、NHKあるいは民放各局に対して、緊急事態を受けて、日本人記者の現地での状況についてどうなっていますかということを電話で念のために確認させていただいた。それは、過去に、イラク戦争が始まったときでしたか、現地における日本人記者の状況を掌握しているのかといったような御質問等がありましたことから、そういうことをさせていただきました。

○原口一博 それは、外務省が邦人の安否と申しますか、いわゆる邦人援護をするという観点からの調査とはちょっと違いますね。どういう目的でもってなさったんでしょうか。

○総務副大臣(田端正広) 目的ということとは別に、過去にそういうことが御質問があったものですから、今回もまたそういうことが議論になるかなということで、日本人の記者あるいは現地の特派員の状況、各社どうなっていますかということを電話で問い合わせさせていただきました。
 これは、別にそういう意図的なことは全くありませんで、単なる日本人の現地における状況ということで、念のためにということでさせていただいたわけでございます。

○原口一博 念のためにと言いますが、外務省がそれを、どこにどれぐらい邦人がいらして、安全が守られているかということをなさるというのはわかりますけれども、目的についてもよくわからず、これは、数人、こういう証言がありました。出過ぎたことをするな、さまざまな報道については注意しろと。
 その内容にかかわるようなことまでコントロールがあったとすると、これはゆゆしきことでございますので、もうこれでほかの質問に移りますのでお帰りいただいて結構でございますが、やはり、危機の状態のときに、何を、どこに、どのように要請していくかということは、きっちりとしたマニュアルがあって、そして、のりを越えない対応というものが必要であるということを指摘して、副大臣、どうぞもう結構でございます。次の質問に行きたいと思います。
 人質問題については達増議員が後で詳しくやっていただくと思うので、私の方は、まず、今回のイラクの特措法に基づく今の現状がどうか、先ほどお話がありましたけれども、まさにファルージャでは大変な戦いが行われていて、今の報告の中には、米軍がサドル師の身柄を拘束する、そのためにはあらゆる軍事オプションを保持する旨をキミット准将が述べられたということでございますが、サドルさんというのはシーア派の有力なグループであって、シスターニさんと並ぶ有力な方であるというふうに私は考えていますが、こういう停戦状態というものがまだ実現しない中にまさに泥沼化していくイラクで、今、何が必要なのか、あるいは、何を一番私たちは危機として回避すべきかということの観点から少し議論をしたいと思います。
 今、一番まずいのは、この間、ワシントンに参りまして、防衛庁長官、さまざまな人とお話をしましたが、今のワシントンの雰囲気は、もう第二のベトナムになってきているんじゃないか、そして、大統領選挙を控えてイラクの問題自体に触れることに政治的には非常に嫌がる雰囲気が出てきているという報告もありました。
 その中で、無責任な撤退ということが米軍によって行われるということは、過去なかったとは言えません。ここで、幾つかの国が撤退を表明して、そして、イラクが軍事攻撃を受けた後の民主的なプロセスに移行する過程でまさに力の空白あるいは秩序の混乱だけが深まるということは、私たちが最も恐れることであります。
 その中で、イラク特措法は二つの柱を持っていました。一つは、皆さんがよく強調される人道復興支援活動、もう一つは、安全確保活動でございますが、今までどのような安全確保活動をどんな国になさったのか、なさっているのか、お尋ねを申し上げます。

○防衛庁長官(石破茂) 安全確保活動につきましては、先生御案内のとおり、人道復興支援と並びまして一つの柱となっております。これは、輸送機によります空輸、人を運んだり、また物資を運んだりいたしております。武器弾薬を運ばないということは申し上げているとおりでございます。
 これの内容、つまり、どの国のどのようなものを運んだのかということにつきまして、これは混載をいたしますので、それはコアリションの中でA国、B国、C国、この国のものだけということで決めるわけではなくて、混載をいたしております。荷物の内容も混載をいたしておりますので、このことをきちんと、どこの国のものを、どれだけ、どのぐらいということが申し上げられない。また、安全確保支援活動でございますので、そのことが他国のオペレーションの中の支える一部となっておる部分もございます。
 したがいまして、トータルといたしまして、いつからいつまでどのようなものというような、このことにつきましての公表は、区切り区切りでいたしますが、詳細につきまして申し上げられないということを御理解いただきたいとお願い申し上げる次第でございます。

○原口一博 そこが私には余り理解できないんですよ。
 先ほどテロ特措法の中で御報告がありましたとおり、これは閣議決定で延長を決める。そのときに、あれは予算委員会でございましたか、求めまして、どの国にどれぐらいの給油をなさっているのかということで、それを開示していただきました。
 それをいつどのようにやったかなんということまで、私は聞く気はありません。だけれども、少なくとも、テロ特措法に基づく活動というのはいわゆるテロリストを掃討活動しているところに対する我が国の支援でありまして、今回は、戦争が終わって、皆さんのおっしゃることによるとですよ、戦争が終わった後のさまざまな治安維持活動にかかわったり、さまざまなオペレーションをしているところに対する支援だというふうに理解をしておりまして、皆さんがおっしゃるところによるとですよ、片っ方で、掃討作戦をやっているところに対してはその国々の一つ一つの数字が出てきて、どうして今回の輸送航空隊による輸送活動実績、せめて国別にどれぐらい出したかというのは出すべきじゃないですか。

○防衛庁長官(石破茂) 先生の問題意識はよく理解できるところでございます。
 これは先ほども申し上げましたが、コアリションに基づきまして調整をするわけですね。どの国がどのようなものを運びたいか、どの国がどのような輸送能力を持っているか、いろいろなことにつきまして制限がございます。何も我が国だけではございません。ほかの国も、この地域とか、こういうものを運ばないとか、そういうようなものがあるやに聞いております、詳細は存じませんが。それをコアリションの中で調整して、最終的に、どの国とどの国の、どの国のどのようなものとどのようなもの、どのようなものをこのC130でAからBまで運んでくれというふうなことに相なります。
 そうしますと、先生御指摘のようなインド洋における活動は、我が国の艦船が油という単一のものを補給しておりますわけで、アメリカに対して何回、何リットル、イギリスに対して何回、何リットルということが本当に申し上げられるわけでございますが、今回のものにつきましてはそれが申し上げられない。技術的に可能かどうかは、先生が御指摘のような、インド洋における活動と何が違うのかという問題意識は私も強く持っておりますが、それが技術的に極めて難しいというふうに現段階では承知をいたしておるところでございます。
 それと、加えまして、先ほど申し上げましたように、他国のものも含んでおりますので、人道支援の場合でありますとこれはまた可能になる場合がございますが、安全確保支援活動の場合になりますと、もちろん武器弾薬は運んでいないわけですが、他国のオペレーションの一環をなすものでございますので、このこともなかなか申し上げられないという一つの遠因ではございます。

○原口一博 なかなか苦しい答弁ですね。
 海幕長にも来ていただきたいということで、今大臣がおっしゃったコアリションについて少し議論をしたいと思っていまして、やはり脅威の対象が変わってきた、非対称性の戦争ということがよく言われています。そういう中で、テロとの闘いで、今、アフガニスタンですと六十カ国ぐらいの海軍がやっている。そういう中で、我が国は、そのコアリションというか、その外側なのかな、独自の法律で補給支援という任務を付与されて、そしてインド洋に展開しているわけですけれども、そのコアリションについて、どういうコアリションがこれから必要なのかということを私は防衛庁長官と議論したい。
 この間、外国人特派員協会で、古庄海幕長が講演をされていて、集団的自衛権についても、そのコアリションとの関係で言及をされているんです。
 こうおっしゃっています。
  将来、他国の海軍と仮に同じように国際社会のために寄与するためには、いろんな問題を解決しなければならないと思っております、特に集団的自衛権の問題でありますとか、あるいは一緒に訓練をどことでもできるシステムとか、情報を共有するとか、そういう大きなことから、これから国がいかに解決して、国のため、あるいは世界のため寄与するかということが、将来、世界の海軍と同じような任務を付与されると予想できる我々にとっての課題であろうかと思っております。
というふうに明確におっしゃっています。
 この認識は防衛庁長官も同じですか。

○防衛庁長官(石破茂) さまざまに議論をされておる中の一つの、ある意味で古典的な、伝統的な、そういうテーマだとは認識をいたしております。
 そのことについての価値判断というもの、これは、政府として、集団的自衛権というものは必要最小限の範囲を超えるのでこれを行使することができないという立場には変わりはございませんし、海幕長も、政治的な発言をするつもりは一切ないし、現状において不都合があるとは認識していないということも、先生のお手持ちの議事録といいますか、講演録といいますか、そこに書かれておるとおりであろうと思っております。
 つまり、今、インド洋でやっておりますものは、アメリカが自衛権の発動ということでやりました。ヨーロッパあたりは、これに対して集団的自衛権ということで、NATOで初めて集団的自衛権というものを使っておるわけです。それは、アメリカが自衛権を行使している、ほかの国は集団的自衛権に基づいてやっている、こういう関係に立っております。
 それでは、私どもが洋上で補給を行っておりますことは、これは自衛権に基づく行為かといえば、そういうものではございません。日本国が個別的自衛権なり集団的自衛権を行使しているということではなくて、武力の行使でもございません。
 したがいまして、現状において何らかの不都合があるというものではございませんし、コアリションを今後展開していきます上において、それが決定的な支障になるとは認識をしておりません。
 他方、私が冒頭にクラシックなというふうに申し上げましたのは、例えばリムパックというものをどのように行っているかということについて、これは、我が国は合衆国との集団的自衛権、我が国は集団的自衛権を行使できるわけではございません、私どもは個別的自衛権としてやっておるわけでございますが、しかし、あそこは日本とアメリカだけではなくてほかの国も参加をしている、では、そういう場合にどうなのだというような、いろいろな技術的な問題というのはあろうかと思っています。
 それは、将来的な課題として、これは政治の場において御議論をいただくことでございまして、私どもとして現状において何か不都合があるというふうに認識をしていないというのは、海幕長も私も同じ認識であります。

○原口一博 その外国人記者クラブの講演の後、古庄海幕長は、二十日の記者会見で、こうおっしゃっています。「今後の問題点として多分こういうものが浮き上がってくるのではないかということで、集団的自衛権もその一つになるのではないかということで話をしました。」と。
 だから、今現状が問題があるかどうかというのは今の大臣の認識と多分同じだと思います。だけれども、そういう認識なのかという技術的なところでどうなのかというのは、やはり本人から聞かないとわからないんです。
 私は委員長にお願いをしておきたい。
 国会の統制、国会のコントロールというのは一体何なんだろうか。かつて防衛庁の前身の時代には、国会に職員の皆さんが来ていただいて議論があっています。現実に即して、そしてそれに向かって、法制度やさまざまなものがどのようにあっているのか、そうではない、未来に向けてどうなのかということがきっちり議論されないといけない。
 現場の人たちの意見を国会のどこでも聞く場面がなくて、それでもって議論をするというのは、きょう、さっき事態特でも大臣はお答えになっていましたね、自治体との協議会も自衛隊の職員の皆さんの間でふだんから頻繁の意思疎通をしていくんだという答弁をされていました。国会ではそういう場面がないわけですよ。そのことは与党、野党関係なく、私たちは現場で、別に戦争をしに行く部隊ではないわけですから、その人たちが今の法律に沿ってどうかということはちゃんとやらなきゃいけない。
 ぜひ委員長にお願いをしますが、海幕長御自身から現状の今のお考えをお聞きしたいと思いますので、理事会でお諮りいただきますようにお願いいたします。

○国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員長(斉藤斗志二) 先ほどの理事会でもお話がございました。与野党間で協議が相調わないというような状況でございましたので、それぞれの党にお持ち帰りいただくということで、先ほど話が済みました。

○原口一博 記者会見で、こうおっしゃっているんです。「解決しなければいけないというのは、つまり海幕長御自身としてはいずれかの段階で認めるべきだという……。」つまり、集団的自衛権をいずれかの段階で認めるべきだという御意見なんですね、そういう問いに対して、海幕長は、こう答えています。
  当然ですね。そうでなければ、まあ、もちろん今の法体系の中で任務が決められればその中で我々がやるわけですけれども、それでは国際的に十分な活動ができないということは、もうこれは皆様方の周知のとおりだと思っております。
と言い切っていらっしゃるわけです。「当然ですね。」、将来は集団的自衛権を行使するというのは当然だとまで言っているわけですね。
 この認識は、大臣、同じですか。

○防衛庁長官(石破茂) それは講演ではなくて、記者会見のものでございましょうか。翌日の記者会見で海幕長がそのように発言をしておるということも、私は読んでおります。同時に、その講演において、これは個人的な発言だということも言い、そして会見におきましても、個人的な発言だということを申しておるはずでございます。
 つまり、現状において不都合があるか、それはもう現状において不都合はない、我々は与えられた法の中でやることは当然のことであり、政治に対して物を申し上げるようなつもりも全くないということも、海幕長は明確に申し上げておるところでございます。
 将来的にどうなのかということは、それは、いわゆる冷戦期の構造と、今の、何が相手がわからない、そういうテロにおける環境と、いゆわる国際的な、特に海上における状況というのは変わってきた、あるいは将来変わり得るということがあるのだろうと思っています。
 私どもといたしまして、もちろん私も、そして海上幕僚長も、海上自衛隊、全自衛隊、今の政府の解釈に従うということは当然でございますし、この中で、与えられた法に基づいてきちんとしたことをやる、これは当然のことでございます。
 将来的に、いろいろな環境が変わり得るときに、日本として何が本当に日本の独立と平和、国民の生命と財産を守ることに資するものになるのかということは、政治の場において御議論をいただくことであり、それは私ども逃げているわけでもございません。それについて話すのがおまえの仕事じゃないかと言われれば、それはそういうような御見解もあるでしょう。しかし、今、憲法調査会においていろいろな御議論がなされ、御党においても、また自由民主党においても、憲法についていろいろな議論がなされている。
 それは、まさしく今の憲法、今の法律に基づいて活動する、これが当然の我々行政府と、その立法、まさしく法律をつくるという権能をお持ちの国会における権能、立場、それはおのずから違うものだと思っております。私どもは、今の憲法の解釈、今の与えられた法、それにのっとってベストを尽くす、そういう立場でございます。

○原口一博 大臣、今までいろいろな場面で議論をしてきましたので、聞いたことだけ答えていただきたいんです。
 記者会見では、講演を離れて、そして別の設定でそう答えているわけですから、やはり本人に来てもらわないとこれはなかなからちが明かぬなと思います。
 こう言っているんです。さっきの脅威の変化について、「将来的にこれだけいろいろな状況が変化している中で、脅威が変わっている、」これはこのとおりだと思います。そして、さっき大臣がおっしゃった脅威が「あるいは多様化している、世界じゅうの海軍はコアリションに向かっている、そういう情勢の中で必然として出てくる問題」、これが集団的自衛権の問題だ、そういうふうに「認識しているということで発言しましたので、政治的に物申すということなどはみじんも考えておりません。」と。
 「政治的に物申すということなどはみじんも考えておりません。」というのは、これは矛盾なんですよ。そんなことは申しているわけですよ。政治的なイシューなわけです。論点が分かれてきているわけで、それを現場の人がどのようにとらえているのか。これからコアリションの中に本格的に入っていく、そのことが脅威に対抗できる一番の道だと思っていらっしゃるわけですね、恐らくこの文面を見ると。
 そこで、いわゆる政治の中で、集団的自衛権は持っているけれども行使できないという、このことについては、集団的自衛権は認めるべきである、行使も認めるべきであるということを当然だとまでおっしゃっているわけで、これは、幾ら最後に「政治的に物申すということなどはみじんも考えておりません。」なんて言っても、おっしゃっているわけです。争点になっていることをずばりと言っている。
 私は、それが悪いとは言っていないんですよ。むしろ、現場からしっかりとした意見を上げていただいたのかもわからない。ちょっと前の国会だったら、これで紛糾するでしょう。しかし、私は冒頭なぜ物を申したかというと、現実に向かってどっちかという判断をしなきゃいけない、それを現場で担っている人の意見を聞かないといけない、たまたま今まで現場でさまざまなオペレーションをしている人たちはそれこそそういったことをおっしゃらなかった、あるいはおっしゃる環境になかった、それがおっしゃった、おっしゃったんだったら、それはどういう意味ですかということをぜひ聞きたいと思って、大臣に質問しているわけです。
 いかがですか。今まで過去何年も大臣とはこの問題について議論をしてきましたが、認識の違いはないと思いますが、いかがですか。

○防衛庁長官(石破茂) また余計なことを答えるなとおしかりをいただいたら申しわけないんですが、コアリションって何なんだということについてやはり一つの認識を持つべきだと私は思っているんです。
 これは条約に基づくものではない。ある意味でフレキシブルな対応であり、権利義務というものを伴うものではないというコアリションというものはどういうものなのだろうか。そして、自衛権というものが、必ずそれがベースにあるものなのか、そうではないのか。
 コアリションとは何なのだということについて、これは私、議論を逃げるつもりで申し上げているのではありません。これからはコアリションだというときに、コアリションとは何なのかということについて一つの認識の統一を持ちたいと思っているのでございます。これが自衛権と密接不可分かといえば、必ずしもそうではない場合もあり得るだろうというふうに考えておりまして、先生が御指摘になりました情報の面においてどうなのかということもございます。
 認識は一緒なのかということについてお尋ねでございましたので、集団的自衛権につきまして、私は、政府の一員として今までの解釈に従うということは当然であるということ、そしてもう一つ申し上げれば、これも前に委員に答弁したかもしれませんが、集団的自衛権が認められないからだめなんだという議論と集団的自衛権なんかとんでもないという議論は今まで交わったことがなかったかもしれないと思っているのです。
 私は、集団的自衛権は必要最小限の範囲を超えるので保有はしているが行使はできないという中にあって、では、どこまでできるんだということ、そこはきちんとしたいと思っています。それは、憲法の解釈、そして法律に従うことは当然ですが、本当にここまでできるのかできないのかということをきちんと詰めませんと、これはなかなか国民の生命や財産、国の独立と平和を守るという義務を履行したことにはならないと個人的には思っております。

○原口一博 ちょっと苦しいですよね。コアリションって、では何ですか。
 それから、集団的自衛権は、どこまでできるかとおっしゃいますけれども、行使できないわけですから、それはゼロサムなのか、それとも、どこからどこまでが個別自衛権で、そこから先は集団的自衛権になりますよ、こういう議論をやらないと中身がないと思います。どうぞ。

○防衛庁長官(石破茂) 訳しようがないんですが、コアリションというのは。それを有志連合と言うとますます何だかよくわからなくなってしまいますのでコアリションというふうに言っているわけですが、一つは、条約に基づくものではない、それから、権利義務を伴うものではない、そして、一つの指揮命令系統によって動くものではないというふうに理解をいたしております。
 そういうコアリションというものがこれから先どういうふうになっていくのか、こういう今までなかった形態というものを我々はどう理解したらいいのか、そういうようなことについて認識の一致を見たいということで申し上げました。コアリションもまだ人口に膾炙した言葉ではございませんし、これがコアリションだということは、もちろん、国連憲章上、定義づけられているものではございません。そういう意味で、コアリションとは何なのかということについて認識の一致を見たいというふうに申し上げました。
 それから、集団的自衛権について、ではどうなんだという御指摘でございますが、例えば、イージス艦を出しますときに、どうなんだというお話が随分昔ございました。これは、イージス艦を出す、そしてまたデータリンクによってつながることは集団的自衛権ではないかという御議論もございました。
 しかしながら、それはそうではないのだという整理をいたしたはずでございます。それは、今までは、どうもそういうようなことはとてもいかぬねという話でありましたのが、きちんと整理をしましたときに、情報の共有、そしてまたデータリンクシステム、11か16かは別にいたしまして、データリンクシステムを使って情報の共有をするということは集団的自衛権とは別の問題であるというような整理をいたしました。
 どれが集団的自衛権に当たらないものなのか、集団的自衛権に当たるということは私どもやってはいけないことでございますので、何が集団的自衛権に当たらないかということは、一つの例を挙げればそういうようなことだったと思っております。それが、保有はしているが行使はできないという政府の立場を変えるものではございません。

○原口一博 だから、海幕長は、ここで、将来的には集団的自衛権の行使ということに踏み込むべきだと明確に言っているわけです。それは、外国特派員協会だけでおっしゃったのだったらあれだけれども、そのときには個人的な意見と断っていますが、翌日は、これは記者会見ですから、記者会見でやっているものを個人的な意見とは言えないわけで、ここまで言っておきながら――内容が悪いなんて一言も言ってない。だから、それは現実から見てどうなのかということをここで聞かせてほしい。
 防衛庁長官、伺いたいんですが、長官は制服組の人たちとも意見交換をなさっていますね。私たち国会は、それをやる場というのは、この国会の、つまり委員会という場ではなかなかないわけです。それは、政治の判断をする人間が判断のもととなる現場の人たちの意見をこの国会の場で直接聞けないということなんですね。私は、これは改めた方がいいというふうに思うんです。防衛庁長官の見解を伺います。

○防衛庁長官(石破茂) これはもう――個人的な見解などをこんなところで言ってはいけませんね。ごめんなさい。
 集団的自衛権の行使を、やり方はいろいろございますよ。政府の解釈を変える、あるいは一つの法律をつくる、あるいは憲法を改正する、いろいろなやり方はございましょう。しかしながら、それを決する権能を持っているのは、それは行政府なのかもしれないし、立法府なのかもしれない。それは、憲法の解釈を変えるだけでいいんだという説に従えばこれは行政府という話になりましょうし、そんなことでは、しょっちゅう内閣がかわるたびにそんなに解釈を変えられてたまるかよということになればそれは立法府、いろいろな議論がございます。私は、どれが正しいと言っているわけではございません。
 しかしながら、いずれにいたしましても、それは防衛庁なり制服組なりというものが物を申し上げるという性質のものではないと思っております。はっきり申し上げておきますが、それは、国会という場において、制服組としてこういうことであるということを申し上げるということはするべきではないと私は考えております。
 他方、議論がございますのは、軍事専門家としての、つまり、私もオタクとかなんとかいろいろ言われますが、きちんと自分で武器を使い、やったことではございませんので、それをあれこれ申し上げましても、それは専門家に聞かなければわからない。これは、軍事ではなくて、科学でも何でもそうなんだと思っています。そういう場合に、軍事専門家としてどういうことなのかということを求めることは、それはあり得るという御議論もこれはございます。
 同時に、たとえそのような軍事専門的なことでありましても、例えばイラク特別委員会のときでも議論をしておることでございますが、それを公にするということによって、兵器の性能あるいは使い方について公になることが我が国の国益に反する場合はどうなのだという御議論もあって、これは、合衆国において、委員が一番よく御案内のことでございますが、合衆国において、軍人が物を申すときには、それは本当にきちんと、政策の判断にしても、外へは出ないねというような、そういうようなバリアといいますか、システムといいますか、それもあるわけでございます。
 そのような御議論もあろうかと私は考えておりまして、その中でどういうふうにあるべきなのか、それは議会で御議論をいただき、先ほど委員長がおっしゃいましたように、各党にお持ち帰りをいただいて、私は、きちんとしたことが、国会で政治が責任を持って申し上げるべきものだというふうに考えておるわけでございます。

○原口一博 今の大臣の御答弁であれば、大臣は、この海幕長を解任するか、呼んで事情を聞かないといけないと思います、政治の判断をしているわけですから。
 今、大臣は、他国の例では、そういうものについて、クローズドした中でいろいろな議論を交わす、自由な議論を交わすと。これは大事ですよ。しかし、ここではどうですか。ここまで言っているんですよ。
 これは二十日の記者会見です。
  例えば集団的自衛権の認められない国の海軍として、そこから、信頼関係という意味で損なわれるものというか、そういうことを感じる瞬間がありますか。
  答 それは当然、現場に出ればあると思います。例えば練習艦隊で世界じゅうを回っているときに、何かあった、海賊行為を目の前で見た、そういう場合にじゃあどうするかとか、海軍として行動ができない、それは国内法でそういう任務が全くありませんし、規定されておりません
 現行でも不都合があると言っているじゃないですか。集団的自衛権がないことによって信頼関係が損なわれるとまで、ちゃんと言っているんですよ。これはまさに、政治イシュー化したさまざまな問題についての判断をここで下しているじゃないですか。大臣がおっしゃっている、国会との間で制服組といろいろな中で議論をする、それは外に漏れないように議論をするということじゃないじゃないですか。これは記者会見で、海幕長としての記者会見をしているわけですから。
 私は、今の大臣の答弁では納得できません。いかがですか。

○防衛庁長官(石破茂) 海賊云々の話は、それは必ずしも集団的自衛権に直結するお話だとは思っておりませんし、現状で今まで不都合があったというふうな認識も私は持っておりませんし、そのような報告も受けてはおらないところでございます。
 それは、将来的な課題としてどうなのだということを、もちろん、政治に物を申してはいけないということは自衛官すべてよくわかっておることでございます。政治へ物を申してはいけないというのは、シビリアンコントロールに反してはいけないということに置きかえてもよろしいわけでございます。そのことも十分認識の上で、個人的な見解として言っておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、政治の場で専決的にというか、政治の場しか決め得ないことだと思っております。
 ですから、それを自分が決めるとか、こうあるべきだとか、そういうことを申したとは思っておりませんが、そのように委員が、委員というよりも、多くの、一部の、どちらでもよろしいのですが、方々がお感じになるということは好ましいことではないというふうに思っております。
 しかし、そのことは海上幕僚長自身も、個人的な見解であり、政治に物を申すつもりはないということもよくよく認識の上で申しておることでございますが、今回のこと、また私もよく考えてみたいと思っております。

○原口一博 大臣は普通、もっとシャープな答えをされますよ。非常に論理明快。だけれども、今のはわからない。どう考えたって、政治的な発言をし、そして、この記者会見の個人的な、これは閉ざされた中のあれですから、この中で自由な議論をするというのは百歩下がってまだいいでしょう。しかし、完璧に踏み込んでいるんじゃないですか。シビリアンコントロールと言うのだったら、国会に来て、まさに今の論点を、そのシビリアンコントロールをあなたはどう思っているのかということを聞かないといけないんです。
 今、大臣は、片っ方で御自身の中の相矛盾するような感情と闘っていらっしゃるのかもわからない。私は、オタクだと全然思っていませんよ。技術の形、それをきっちり研究するというのは大事なんですよ。大事だけれども、研究するだけじゃなくて、そこでオペレートしている人たちから聞かなきゃいけない。しかし、そのオペレートしている人たちがまさに政治の領域まで踏み込んで発言してくること自体、私たちのシビリアンコントロール、まさに国会のコントロールから外れるんじゃないですかということを言っているわけです。いかがですか。

○防衛庁長官(石破茂) 私がいつもこれを申し上げ、あるいは委員もどこかでお耳に入ったことがあるのかもしれません。シビリアンコントロールというのは、軍事の専門家である軍人、私どもの場合には自衛官でございますが、それと、法律や予算の専門家である官僚というものがいて、それがそれぞれの専門の領域においてきちんと意見を述べ、そしてそれを、国民に対して直接責任を負い得るという一点において、その上に立っている、上という言葉を便宜使いますと、政治家が決断をするのだというのが民主主義、シビリアンコントロールであるというふうに私は理解をいたしております。それがどちらが欠けてもシビリアンコントロールというものは動かない、そういう認識に私は全く変わりはございません。
 それがわからないで、よきに計らえということであれば、それは結果として、政治家は責任を負えばいいのかもしれませんが、不幸になるのが国民であるということだとすれば、それは政治の使命を果たしたことにはならないというふうに深く認識をいたしておるところでございます。それは、今は、委員もお気づきと思いますが、防衛庁の中におけるシビリアンコントロールという意味で申し上げました。
 議会におきましてのシビリアンコントロールにつきまして、私が今ここできちんとした発言ができるような立場にはございません。それは本当に、私自身も安保委員会などに籍を置いておりますが、いろいろな議論をいたしました。しかし、本当に何が院におけるシビリアンコントロールの姿なのか。原口委員には原口委員のお考えがあろうかと思います。これは、逃げるわけでも何でもなく、この委員会においては、すべての方が、どうすれば一番よくなるかということをお考えなんだろうと思っています。
 院における、あるいは委員会におけるシビリアンコントロールとは何なのかということについて、それは御議論を賜らなければいけないし、政府としてもそれを謹聴しなければいけないというふうに考えております。

○原口一博 だから、院におけるシビリアンコントロールを、私たちが、それこそ防衛庁長官をトップにする、本当は総理ですけれども、そこのシビリアンコントロールがどうきいているのかというのをチェックする上でその議論を今しているわけです。それをチェックさせてほしいということを言っているわけです。
 もう一つは、防衛庁の中におけるコントロールも本当にきいているのか。二段でチェックをしなきゃいけない。
 だから、この海幕長は、明確に、将来的に集団的自衛権は認めるんだというふうにおっしゃっている。(発言する者あり)認めるとおっしゃっているんです。中谷筆頭、隣でやじしないでください。その認識は、シビリアンコントロールの長である防衛庁長官と同じですか。

○防衛庁長官(石破茂) 将来のことはわかりません。現状において、それは、集団的自衛権につきましての政府の解釈、これに従いまして私はやるということを申し上げているわけでございます。

○原口一博 だから、そこがもうずれているわけです。将来的には必要だと言っている人と将来についてはわからないとおっしゃっている責任者とではずれているから、どうしてずれるんですかということを延々とこの質疑時間を使って聞いてきたわけで、ここまで来れば、本当のシビリアンコントロールを達成するためには国会の意思がどこの辺にあるかという議論をしておかなきゃいけないから、ぜひ古庄海幕長にはここにお見えいただいて、今の大臣の答弁と――大臣、将来はどうなるかわからないなんというのは、私たちは、予見すべき価値、十年、二十年、三十年、そういう中でさまざまなパースペクトを立てながら、どの段階で何をやるかというのを準備しなきゃいけないんですよ。こんなことを防衛庁長官にお話しする必要は全くないと思う。将来の長期計画に従ってどのような脅威にやっていくか。防衛は一日じゃ成らないわけですから、だから、まさに将来に対することをここで議論しているわけです。
 きょうはイラクの問題について入る時間がありませんでしたけれども、逢沢総括副大臣にひとつ要請をしておきたいと思います。
 一つは、国連児童基金のベラミー事務局長は、二十二日、イラク中部ファルージャの戦闘に言及して、四月に入って百二十人の小さい人たちが殺害されている、戦闘などに参加する勢力に対して、国際人道法に基づき子供と戦闘員を分けなさいということを言っているんですね。
 百二十人ですよ。戦争は終わったと皆さんおっしゃっている、その中で、小さい人だけでどうしてこんな数の子供が亡くならなきゃいけないのか。どのように認識されていますか。

○外務副大臣(逢沢一郎) 原口先生から、今、ファルージャの状況についてどういう認識を持っているかとの御指摘がございました。
 十一日以来、停戦が順次更新をされています。本格的な停戦を私たちは期待いたしているわけでありますけれども、部分的なあるいはまた時間を区切った停戦というものが随時重なってまいりました。しかし、二十一日には、部分的ではあると承知をいたしておりますけれども、再び撃ち合いがあった。また、キミット准将が記者会見をなさったわけでございますけれども、武器の引き渡しが思うように進まない、そのことにアメリカはアメリカの立場で不満を表明している。そういう非常に緊張が高まっているという状況を大変憂慮いたしております。
 今、子供さんが百二十人死んだ、これはユニセフでございますか、ここからの報告ということをお伺いいたしました。また、六百人以上の民間人が亡くなった、そのような報道があることも承知をいたしておりますが、公的機関による正式な発表の数字とは私ども承知をいたしていないわけでございますが、しかし、ユニセフという責任ある国際機関の発言をなさっておられることでございます。そのことをしっかり重く受けとめ、真実がどこにあるのか、そのことはしっかり外務省としても引き続き情報を集めてまいりたい、そのように思っております。
 いずれにいたしましても、話し合いによりこのファルージャの緊張が緩和をされる、事態が鎮静をする、そのことのために努力が継続をされることを期待いたしております。

○原口一博 もうこれで終えますが、イラクの子供たち、イラクの人たちのためにということで自衛隊を派遣しているわけでしょう。その間にどれだけのとうとい命がなくなっているのか。
 それから、人権についても、私は、この人質事件についての政府の、逢沢副大臣は、現地でこういう会見をされています。まずは人質になった人たちの健康上、精神上のケアが大事だということを何回も何回も言われています。私は、それは立派な見識だと思います。
 しかし、国内にいた人たちは何と言っているか。まさにたくさんの傷を負った人に全く配慮なしに、人質の自己責任か何か知らないけれども、そういったことを言い、追い詰めていくこの態度、こんなことは一国の首相がやるべきことではない。一国の責任ある政府がやるべきことではない。
 逢沢さんが現場で頑張られたのはよくわかりますよ。しかし、その中で、あの感情に任せた発言をして多くの信頼を傷つけている。こういうことについては人権上大変問題があるということを指摘して、質疑を終えます。
 ありがとうございました。