参議院内閣委員会

平成16年5月27日(木曜日)

○参議院内閣委員長(和田ひろ子) 障害者基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○参議院議員(岡崎トミ子) おはようございます。
 先日、議員立法提案者の皆さんがそろってテレビの特別番組にお出になっておられました。一時間半拝見させていただきました。皆さんの御苦労ですとか、これから目指すべき方向ですとか、それぞれ議員の皆さんの思いも聞かせていただきました。本当に御苦労さまでございました。
 それでは、質問をさせていただきたいと思いますが、まず第三条で基本理念が定められて、第三項で「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。」というふうに書いてありまして、差別を禁止するということが書かれております。これは大変大きな第一歩だと思っております。これを具体的に施策につなげるときにこの趣旨が損なわれないようにしなくてはなりません。
 現に、障害を理由とした権利利益の侵害が施設や作業所やあるいは雇用の場というところで様々な形で問題となってきました。肉体的な虐待、不当な雇用条件など目に見える被害、また権利侵害の禁止というのは当然だと思いますが、もっと広く差別の概念というのをとらえていきませんと、この条項の意義は限られたものになってしまいます。
 そこで、お伺いいたしますが、ここで想定しております障害を理由とした権利利益の侵害とは何か。あわせて、第一項、第二項が示す理念を踏まえて、この第三項に込められました提案者の思いを伺いたいと思います。原口議員にお願いしたいと思います。

○原口一博 冒頭、たくさんの議員の皆様のお力でこの議員立法の改正というところに至りましたことをお礼を申し上げたいと思います。
 その上で、この第三条第三項の規定でございますが、障害者の権利というのは、これはだれかから与えられたものではございません。元々、自然権的に持っているその権利、この権利を保障するんだと。特に、この三項の規定は障害者の権利利益を侵害する行為を明確に禁止するものであって、権利利益の侵害行為の典型として障害者を差別することを例示しているものでございます。したがって、例えば就労についての障害者を健常者と差別し扱うことは当然に禁止されますし、また社会通念上明確に権利性を認められているとまで言えない事実上の利益についても差別を禁止するものでございます。これを明示した点で大変大きな成果あるいは意義があるというふうに思います。
 例えば、スウェーデンにサムハルという施設がありますが、一人一人の、この法律の中で小規模作業所の充実についても明記をしていますが、就労の権利、移動の権利、教育を選択する権利、そういったものをきっちりと保障していく、そのためのものであるというふうに御理解をいただければと思います。

○参議院議員(岡崎トミ子) ところで、障害者というふうになりますと、何か差し障りがあって、害がある、これは非常にマイナスな表現だということで、私は、松井議員が大変熱心にチャレンジドという言葉を広める、言葉だけでは実はないわけなんですけれども、そういう点について是非提案をしていこうということで意見が一致しました。それは、テレビの番組でも原口議員がチャレンジドということについて表現をされておりましたけれども、これは英語で言いますディスアビリティーとか、あるいはディスエーブルパーソンとか、ハンディキャップというふうに表現されているのが、余りにもマイナスの面が注目され過ぎてしまうので、アメリカで使われておりますのが十年ぐらい前からチャレンジドということなんですね。
 私は、このチャレンジドというのは使命とか課題とかあるいはチャンスを与えられた人ということで、挑戦者というよりは挑戦を与えられた人というような表現であると。本当に、私も聞いたことがある言葉ではあったんですけれども、これをもっと本当に前向きに広げていこうということは大事なことだと私は感じました。一言、原口議員、お願いします。

○原口一博 正に、岡崎議員おっしゃるとおりだと思います。障り害者と書いて障害者と、大変後ろ向きで、取り方によっては悲しい言葉でございます。
 ジョン・F・ケネディがチャレンジドをタックスペイヤーに、つまり神様から挑戦する課題を生まれながらにしていただいた人たち、あるいは生まれた後に様々な困難に立ち向かう人たち、そういう人たちということでチャレンジドという言葉を使っているというふうに思います。できないことが問題ではなくて、できることが大事なんだ、障害が問題ではなくて、それを、障害者の権利を保障することが問題なんだというふうに思います。
 岡崎議員が御指摘のように、正に私たちがチャレンジドという前向きの言葉で多くの施策を進めていくことが肝要であるというふうに思っております。

(省略)

○参議院議員(岡崎トミ子) 障害者個人が社会復帰をしていくときに、それぞれに対して訓練をする、あるいはサービスをしていくということから、社会が受容する体制を本当に今までよりも変えていかなきゃいけない、全体でもう意識を変えていかなきゃいけないというふうに私は是非内閣府にも他の省庁にもお願いをしたいというふうに思っているわけなんですけれども、この改正の趣旨として、差別、すなわち分け隔てのないこと、このことが大事だというふうに、重要なポイントと考えておりますが、教育面についても同じでしょうか。原口議員にお伺いします。

○原口一博 この法律の改正によって、医療、教育、労働、公共施設のバリアフリー、情報のバリアフリー等について、障害者の自立のための新たな規定が設けられることによって障害者の一層の社会参加が進んで、障害者の権利利益が更に拡充、拡大していく。
 正に、今委員御指摘のように、教育の現場、元々障害者御自身に教育を選択する権利がある。この地域において、自分のお住みになっている地域において、その教育を、様々な教育を積極的に選択していく、この権利をこの法律の中で読み込みたいということで協議を進めてきて条文に落ち着いたところでございまして、私たちは、正に権利を保障するためのこの法律でございます。
 また、付言させていただきますが、先ほどの差別のところでも、この見直し、五年以内の見直しと必要な措置というふうに書いておりますが、ここで、正に日本版ADAと申しますか、障害者差別禁止法、こういったこともこの法律の中で是非制定をしてもらいたいという立法者の意思として込めているところでございます。

(省略)

○参議院議員(岡崎トミ子) 是非検討を進めていただきたいというふうに思っておりまして、この教育のノーマライゼーションを言うのであれば、原則はすべての就学予定者に、小中学校通常学級に通知するということ、まずこの原則はすべての子供たちに与えるということで、例外として本人が、保護者があるいは希望するということであれば盲・聾・養護学校に通うことができるというふうにして、ここは原則例外というふうに、原口議員、見えますでしょうか、というふうな考え方を持っておりますけれども、これを念頭に入れて今後とも検討していただきたいというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○原口一博 正に、岡崎委員御指摘のとおりだと思います。
 障害のある本人が属する地域社会において、インクルーシブかつ利用可能な教育を選択することができる、こういう条件整備を一刻も早く政府に求めたいというふうに思います。
 つまり、権利の主体はだれなのか。それは役所でも何でもありません。権利の主体は障害を持って教育を受ける御本人でございます。ですから、この権利の主体がその権利を保障されるように条件整備を進めること。コミュニケーションの保障のための環境整備やいろんな環境整備があります。原則はノーマライゼーション、インクルーシブ、そしてその上で様々な選択がまた別にもあるというふうに考えております。
 また、この法律で中央障害者施策推進協議会、この中もいわゆる当事者の意見、障害を持ったお一人お一人の当事者の御意見が反映するように、半数以上はそういう皆さんで委員が占められるようにということを期待して立法したものでございます。
 以上でございます。