
■ 本会議 |
平成16年11月4日(木曜日) |
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| ○衆議院議長(河野洋平) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。鈴木康友君。 〔鈴木康友君登壇〕 ○衆議院議員(鈴木康友) 民主党の鈴木康友です。 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ提出及び政府提出の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案につきまして、法案提出者、関係大臣に御質問させていただきます。(拍手) 自由で公正な競争は、新しい知恵と市場を生み、活力ある産業をはぐくみ、経済を成長させる原動力となります。しかしながら、全国各地に蔓延する官製談合に代表されるように、我が国は、先進国に類を見ない規制・談合体質を温存しています。バブル崩壊後の失われた十数年、いまだ低成長の続く中で、自己責任原則に立脚した規律ある市場経済社会を築くことは、日本再生にとって喫緊の課題です。 競争を促す政策にとって最も大切なことは、官が支配する癒着行政から、民間の活力を引き出す市場政策への転換です。市場監視、行政監視のシステム構築が求められる中、独占禁止法を柱とする競争政策の確立が不可欠であり、政府、民主党ともに、この国会に独占禁止法の改正案を提出しました。しかしながら、政府が今般提出した改正案は、法案作成の過程が不透明であるとの指摘を受け、最終案が固まるまでに迷走を続けてきました。 独占禁止法は我が国の経済、産業のあり方を大きく左右する経済の基本法であり、そこが経済憲法と言われるゆえんでもあります。四半世紀ぶりの大改正と言われる今回の改正に当たり、それぞれの改正案がいかなる哲学、理念に基づくものなのか、さらに、それによって目指すべき経済社会の姿はどのようなものであるのかをまず明確にしなければなりません。また、改正の前提として、先進国の中で最悪とも言われる談合社会を築いてしまった責任の所在も明らかにすべきです。官房長官、民主党の法案提出者に答弁を求めます。 次に、今回の改正の柱となっている独禁法の措置体系である違反事業者に対する課徴金についてお伺いします。 政府はこれまで、課徴金の根拠について、違反事業者による不当な取引による利得、すなわち不当利得を剥奪するためと説明してきました。現行法では、大企業の製造業の場合、その商品、事業の売上高の六%を課徴金の算定率としています。政府の改正案では、この算定率を大企業の製造業で一〇%に引き上げておりますが、景気の低迷が長引く中で企業の利益は全体として減少する傾向にあり、明らかに不当利得の幅を超えています。課徴金の根拠はいつから制裁に変わったのか、あるいは不当利得の剥奪という根拠のまま数字だけを引き上げたのか、それとも根拠不明の改正なのか、官房長官にお伺いします。 現行の独禁法は、独禁法違反事件の対象法人に対して課徴金と刑事罰が併科されるという、先進国に例を見ない二重処罰の構造を温存しています。 政府案においては、課徴金と法人刑罰併科の際には、前者から罰金額の二分の一の額の控除を認めることとしていますが、なぜ二分の一を差し引くのか、根拠が不明です。これで課徴金と刑事罰の関係が調整できると考えているのなら、理解に苦しみます。理念なき改正の妥協の産物としか受けとめられません。憲法で禁じている二重処罰を今回の改正で公式に認めたのでしょうか。仮に二重処罰でないとすれば、なぜ三分の一でなく二分の一なのか、官房長官の答弁を求めます。 民主党案では、性格のあいまいな現行の課徴金を改め、制裁との措置を明確にした上で、事業者の自己申告や法令遵守の度合い、繰り返し違反などに対し、柔軟に制裁金を減らしたりふやしたりする行政制裁金を導入するとしています。企業の捜査協力の度合い、法令遵守に応じた制裁金の減免制度も設けています。すべてにおいて中途半端な政府案と比べ、民主党案は、措置の体系について根本から見直す方向をはっきりと打ち出しています。新たな制度の効果について、民主党の提案者のねらいをお伺いします。 次に、官製談合の問題についてお尋ねします。 公正取引委員会と独占禁止法は、公共調達をめぐる談合、とりわけ官公庁が関与する談合の防止、抑止については、これまで全く機能していませんでした。独禁法違反事件の刑事告発権限は公正取引委員会のみに与えられているにもかかわらず、ほとんど告発されていないのが実態です。 先日、新潟地検が、新潟市の幹部職員と建設会社の社長を刑法の偽計入札妨害罪容疑で逮捕しました。この事件は、公正取引委員会が独禁法違反で調査していたにもかかわらず、刑事告発を見送った案件です。官製談合に対する公正取引委員会の機能不全は明らかです。 政府の独禁法改正案では、民間企業への制裁だけは強化されていますが、談合にかかわる官の側への厳正な対処が見られません。自民党と官製談合は表裏一体とも言われております。今回の独禁法改正を主導してきた与党自民党の姿勢は、談合社会から抜け出せないその体質を改めて浮き彫りにしています。また、かけ声だけは立派でも、内容のない制度見直しを繰り返す小泉政権の特徴が、ここにも如実にあらわれています。官製談合の防止に向けて抜本的な対策を講じる覚悟がおありになるのか、あるのならば、具体的な時期、その方策について官房長官にお伺いします。(拍手) 民主党案は、発注官庁職員の行為を申告した者には行政制裁金を追加的に二割減算すること、さらには官製談合防止法等の見直しについても附則に明記されており、政府案より大きく前進した案と受けとめています。捜査当局と公正取引委員会のあり方など、官製談合撤廃に向けた決意と取り組みについて、民主党の提案者にお伺いします。また、予算執行や公共調達制度全体のあり方についてもお答えください。 さらに、公共調達に限らず、産業政策の観点からも、独禁法を中心とする経済司法の役割は、今後一段と重要になります。そこで、公正取引委員会の体制の見直しなどの基本的な考え方をあわせてお答えください。 次に、審判手続の見直しについて御質問いたします。 現行制度では、課徴金の対象となる違反行為に対する措置は、排除措置勧告あるいは命令が出された後、課徴金納付命令が下されるという二段階になっています。さらに、排除措置勧告、課徴金納付命令は独立した別の行政行為とみなされているため、両者の審判手続は別々に行われています。 法の実効性を高めるためにも、公正な審判手続は不可欠です。しかしながら、今回の政府案では、排除措置命令と課徴金納付命令を同時に行うこととしており、これでは、審判手続を経ることなく、双方に効力を生じさせてしまいます。政府案は、現行の事前審判手続による慎重な行政処分方式を規制側の一方的な行政処分方式へ転換するものであり、改悪と断ぜざるを得ません。 したがって、政府案は一たん白紙に戻し、再度慎重に検討すべきと考えます。官房長官、民主党提案者のそれぞれの御所見をお伺いします。(拍手) 透明なルールを確立する上でも、開かれた議論が必要です。次に、改正に臨む政府・与党の姿勢についてお伺いします。 前回、昭和五十二年の大改正の際には、審議に二年以上の年月をかけ、最終的には五会派の賛成を得て改正案が成立いたしました。独禁法は経済の基本法、経済の憲法との認識に立てば、国会という開かれた場において、慎重かつ真剣な議論が必要です。 ところが、今回、与党の皆さんが質問に立たないというのは、どういうつもりなのでしょうか。あえて質問に立たないというのは、欠陥法案である政府案に対して、恥ずかしくて質問すらできないのではないかと判断せざるを得ません。今後、論戦の場は経済産業委員会に移りますが、与党議員の皆さんの真剣な取り組みを望みます。(拍手) 同時に、今回の改正の重要性にかんがみ、委員会においては、所管大臣の官房長官、経済産業大臣を初めとする関係閣僚全員の出席のもとでの審議を求めます。この点について、官房長官、民主党提案者の見解をお伺いします。 また、今回の改正案では、政府案、民主党案とも二年後に改正を予定しています。今回、意欲ある事業者にチャンスを広げる意味で、不当廉売の問題にも対処すべきでした。こうした積み残しの課題を含めた見直し作業は、今後、どこで、どのような手順を踏むべきなのか、民主党提案者の見解をお伺いします。 最後に、経済憲法である独占禁止法を真に二十一世紀にふさわしいものとするためには、国権の最高機関である国会の改革、そして何よりも政権交代が必要であることを改めて強調し、私の質問を終わります。(拍手) 〔一部省略〕 〔原口一博君登壇〕 ○原口一博 鈴木議員にお答えします。 民主党は、経済回復の足を引っ張り、そして我が国の経済を根本から腐らせている談合社会、これに終止符を打ち、古い依存と分配の政治、官僚社会主義、これを排除したい、二十一世紀にふさわしい経済憲法を確立すべく、独禁法改正案を提出いたしました。 ルールにおける競争が国際競争の本質になっています。私たちは、一刻も早く、確固たる戦略のもと、経済、司法の大改革に踏み出さなければなりません。趣旨説明でも申し上げたように、第一に、明確で公正なルール、そして第二に、透明な手続、審判、そして第三に、官製談合の撤廃、この三つを大きな理念といたしております。 私たちが目指す経済社会のビジョンでございますが、日本は今、官僚主導の保護主義、画一主義、そして、もたれ合い、癒着の構造が行き詰まり、時代の変化に対応できていません。構造改革というのだったら、ここが一番の構造改革ではないでしょうか。(拍手)旧来の思考と利権構造から抜け出せない旧体制を打ち破り、当面する諸課題を解決することによって、ゆとりと豊かさの中で人々の個性と活力が生きる、新しい経済社会を創造しなければなりません。 民主党は、だれもが創意工夫と努力で自分が選択する市場に参入でき、それが新しいビジネスを生み出し、経済発展と雇用を生む経済社会の構築を目指して構造改革に取り組みます。そのため、公正な市場のルールの確立を求めていきます。ただただ罰を重くすればいい、そういう問題ではありません。経済的規制は原則撤廃、自由と人間の尊厳を守る、この社会的規制は、私たちはしっかり保障をしていきたいと思っています。 市場ルールに基づいた自由、自己責任、透明性を原則とする経済への転換を図ります。企業が法令を遵守すること、コンプライアンス、これを支援することを経済政策の柱と位置づけ、独禁法の遵守、株式公開企業の情報開示、社内監査制度の強化、企業役員の責任の明確化などを支援する政策を講じてまいります。 鈴木議員の御指摘のとおり、先進国でも最悪と言われる、ぬえのような談合社会を築いてしまった責任の所在を明らかにすることも必要です。省庁の縦割り、政官業癒着の構造の弊害を乗り越えて、政治主導で大胆な改革に取り組む必要があります。 民主党は、これまで既得権益の構造から排除されてきた人々、まじめに働き税金を納めている人々、困難な状況にありながら自立を目指す人々の立場に立ちます。今独禁法の改正に際しましても、主権者、殊に納税者、そして消費者の視点でこの独禁法の改正に取り組んだことを付言いたしておきます。 続きまして、新たな制度の効果についての御質問でございます。 従来、課徴金制度は、不当利得の剥奪を論拠としてきたために、個々の事件の重大性、悪質性に対応できない硬直的、固定的な制度でした。他方で、刑事罰との関係があいまいなままで、接ぎ木的に法改正が繰り返され、実体は異質な経済法となっていました。その結果、違反行為に対する抑止力の効果は小さかったと受けとめています。告発指針が発表されて以来、七回の告発です。大きなカルテルや、あるいは談合といったものは見過ごされてきたのではないでしょうか。 課徴金を行政制裁金に改め、事件の重大性、悪質性の程度に応じて課徴金の額を加減算する仕組みとしております。結果として、最大、当該商品の売上高の二〇%の制裁金が科される内容となっており、悪質な事犯に対する抑制効果も大きいものと考えます。これは、消費者、納税者の要請にこたえるものです。 他方で、措置減免制度におきましては、政府案に盛り込まれていない調査への実質的な協力、独占禁止法違反を防止するための体制など、企業の法令遵守、コンプライアンスへの取り組みが課徴金の量定において正当に評価される制度を講じることとしています。 さらには、課徴金と刑事罰との調整方法につきましても、前者から罰金額の二分の一に相当する額を控除するという、あいまいで目的も不明な政府案と違って、行政制裁金から罰金額の全額を控除するという制度を盛り込みました。将来的には、事業者に対する制裁は行政制裁金一本にして、刑事罰は行為者個人のみを対象とする措置体系の見直しに筋道をつけるものであり、諸外国の独占禁止法とも整合性のとれたものであると確信しております。 新たな制度の効果についてとの御質問でありますが、以上の諸点にかんがみれば、私たちの法案は、重大かつ悪質な独禁法違反を抑制するとともに、他方で、独禁法を遵守する事業者の取り組みを支援するものになる、そういうふうに考えております。結果として、産業競争力の強化、中小企業、ベンチャー企業の新分野への参入を促進し、自由で公正なルールの確立に資するものと考えております。 よろしく御審議をお願い申し上げます。(拍手) | |