法務委員会

平成17年4月26日(火曜日)

○法務委員長(塩崎恭久) 次に、原口一博君。

○原口一博 民主党の原口でございます。
 冒頭、委員長にお願いをしますが、私、今の岩國委員の質疑を拝見しておりまして、財務金融委員会の筆頭理事としても非常に驚きました。現実の市場や実務とは全く乖離をした議論を当局がし、そしてまさにマーケットの力やさまざまな問題について認識をしないままに、この法改正が行われているということが明らかになったわけで、私、委員長と先般、きょう衆議院で採決をされました証取法の改正についても、たまたま塩崎委員長がその責任者ということでお話をさせていただきましたけれども、私はこのように認識しています。
 いわゆる株式、証券と会社、あるいは銀行、保険、そういったものが分かれていた時代の会社法と、公開基準やあるいはさまざまなステージのフィールドが出てきている今のようなダイナミックな時代の会社法の改正とは、おのずと違うんだろうというふうに思います。
 そこで、委員長にお願いをしますが、ぜひ、質疑の中で、実務のわかったあるいは実務に即した議事を進めていただきたい、そのように思います。
 その上で、法務大臣にまず伺います。ちょっと、今の答弁で非常に不安になりましたので、改正の理念について確認をしておきます。
 会社法は、我が国にとってもどの国にとってもそうですけれども、経済の重要なインフラなんです。それで、今回の会社法改正は、近時のたび重なる改正を踏まえて、経営の自由度を高める、こういう改正だというふうに私は思っています。現在求められている会社は証券市場と一体となった本格的な公開株式会社、こういう時代に、経済司法の将来に大きな変革をもたらすものが今回の会社法だというふうに考えています。
 そこで、基本認識だけ申し上げておくと、自由度が増すというのはいいんです、使える道具が多くなる。企業再編についても随分踏み込んだ改正案が出ていますね、あるいは種類株についてもいろいろな種類株の問題が出ている。道具はたくさん使えますよといったときに、私たちが、国会、つまり中央政府を預かる、それをチェックする立場として考えておかなきゃいけないのは、では、どの土俵で、何をメルクマールにしてチェックをしていくか。
 あるいは、市場の皆さん、一般の株主の皆さん、債権者の皆さん、会社の経営者の皆さん、働く皆さんは、何をもって予見可能性を高めながら、予見可能性というのは、ああ、こんなふうになるんだからここから先はやっちゃいけない、ここから手前はやっていいんだという、そこが大事だと思っているんです。
 法務大臣の基本的な認識を伺いたいと思います。

○法務大臣(南野知惠子) 会社法案におきましては、定款自治の範囲の拡大など、経営の自由度を高める方向で大きな改正が行われていこうとしております。
 このように、経営の自由度が高くなってまいりますと、経営者がどのような経営を行うかということについては、潜在的な株主を含めまして、株主によるチェックがより重要になってくるものと認識いたしております。特に、株式を市場で公開している公開会社におきましては、市場において会社のコーポレートガバナンスまたコンプライアンスなどについてチェックが行われ、市場からの正当な評価により適切な経営が行われることが非常に重要であると認識いたしております。
 そのために、会社について適正な情報開示が行われることが重要であります。具体的に、会社法案におきましては、内部統制システムの策定を義務づけ、その内容を事業報告書に記載することとした上で、これを株主や債権者に閲覧させることといたしております。
 なお、会社法制におきましては、公開大会社のみならず、中小企業が特色を生かした活動をして経済を支える基盤となることを考慮することも必要であろうかと思います。そのため、中小会社に組織上、運営上の自由を与えることも必要であろうと考えられております。

○原口一博 今般のさまざまな一連の出来事の中でも議論がされましたけれども、やはり、一体だれが議決権を持っているかというのは、これは大きいですね。だれに議決権が渡っているのか。
 そこで、これは当局で結構ですから、さっきの、岩國議員が質問された転換社債、これは無記名でいつでも転換できる、そういうものだと思っていますが、いつこれの株主というのが確定できるんでしょうか。

○法務省民事局長 組織法としての会社法の立場から見ますと、結局のところ、株主総会で一体だれが株主としての権利を持つかということが非常に重要でございます。そのために、会社法の定めるやり方というのは、基準日というものを設けまして、その基準日で株主を決める。そこで株主名簿というものに正式に株主が記載される、こういう格好になるわけでございます。

○原口一博 ということは、皆さんは、企業再編の手続をこの中で随分自由化はされていますけれども、つまり、今おっしゃる基準日まではだれが株主かということはわからないわけですね。そういう解釈でよろしいですね。

○法務省民事局長 企業の組織法上最も重要な株主総会における株主の確定という意味では、それがそうでございますので、最重要でございます。
 しかしながら、もちろん株主というものが単独株主権に基づいて書類の閲覧請求をするというような行為もございます。したがいまして、相対的な意味で、株主というものが基準日で全部決まるというわけではございません。

○原口一博 委員長は私が質問している意味がおわかりになると思いますが、多分、今の答弁者は私の意図が一〇〇%御理解いただけない。
 つまり、今、皆さんは株式市場のみ、さっき岩國委員がお話しになりました、市場というのはいろいろなところで、いろいろな段階で広がっている。それは、何も今までの会社法、いわゆる古い商法が想定をしていた株式市場だけではありません。
 今、株式市場の中のお話を局長はされていて、本当は、今、私が質問の材料に使っています転換社債のフィールドがあってみたり、ワラントのフィールドがあってみたり、それから他国で売買をされている。例えば日本を代表するトヨタさんの株がアメリカで売買をされている。では、そこの株主のアイデンティファイというのは、いつ、だれが、どこでやるのかといったことをやはり考えていかなきゃいけない。国際市場が広がり、そして商品の幅も広がり、フィールドも広がる中を包含的に考えた中での規制改革でないと、結果的に、何が起こるかというと、自由度を高めた分だけかえって混乱が生じる、そういう危惧があるというふうに思います。
 大臣、いかがでしょうか。大臣、そこは通告しています。

○法務大臣(南野知惠子)
 今、先生のお話でございますけれども、経営の自由度が高められてというような前段から始まりまして、その自由化がかえって混乱を生じさせる危惧があるのではないかというような観点からであろうかと思います。
 会社法案では、経営の自由度を高める一方で、コーポレートガバナンスやコンプライアンス、そういうものの観点からの規定を整備して、また、開示を充実させることとしておるわけでございます。
 まず、コーポレートガバナンスの観点からは、すべての株式会社において会計監査人制度を採用することができることとした上で、会計監査人の会社に対する責任について、新たに株主代表訴訟の対象とすることや、また、取締役の解任決議の要件を特別決議から普通決議に緩和して、取締役に対する株主の監督機能を高めることとしております。
 また、株主代表訴訟におきまして、株式交換によって株主でなくなった者がそのまま訴訟を遂行することを認めることともしております。
 次に、コンプライアンスの観点からは、すべての大会社において、会社の……(原口委員「質問の観点だけ答えていただければ結構なんです」と呼ぶ)

○法務委員長(塩崎恭久) 焦点を絞ってください。

○法務大臣(南野知惠子) はい。では、そういうようなところでございます。

○原口一博 やはり全く答弁がかみ合わないんですね。
 なぜかといえば、ダイナミズムの中で企業再編が行われているわけで、今回のライブドアとフジサンケイグループの問題についても、支配のあるところに責任が生じているのか、そしてその支配を、株という市場をもって支配しているのはだれなのかということが確定することが大事だったんです。それが、例えば貸し株で、SBIに、ニッポン放送ですか、その株が貸された。一体それによって議決権はどうなるのか、一体それによって支配と責任の関係はどうなるのか。つまり、今皆さんがお話しになっているのは、ステーティックな、年に一回、株主総会がありますね、そのときにこうあればいいですという、まだ時代がこれほど企業がダイナミズムに再編をしないときの法制を今説明されているわけです。
 私は、きょうはもうここにとどめますけれども、それで、これだけの自由化をしてしまえば何が起こるかといったら、結果的に混乱と予見可能性を低めるということが起こるというふうに思います。
 もう一つ。今回の会社法の中で、私ども金融の部門から見ていても非常に問題だなと思うのは、企業結合法制なんです。そのところをパスしている。企業再編については、どうぞ自由にやってくださいと。いや、そこは随分自由化された、私はそれがいけないと言っているんじゃないんです。再編後のルールについても改めておかないと。
 私は民主党の規制改革調査会の責任者をずっとしてきましたけれども、私たち民主党の規制の考え方というのはこうです。つまり、ファンダメンタルなルールについてはみんながわかるようにきっちりしておきましょう、そして、何かを変えるときには、変わらないものについてきっちり示しましょう。変えるというのは、変わらない、変えてはいけないことを明示することでもあるわけです。
 ですから、ぜひこれは、もうここで詰める時間はなかなか、また次の機会に譲りますけれども、今般の会社法制に企業再編の自由化が図られている中で、支配があるところに責任ありとの観点から、企業結合法制を、さらに結合した後のルールについて検討する必要があると考えます。これは法務省の中でも随分検討が進んでいたけれどもここには至らなかったような話も聞いていますが、なぜ今回、会社法案でその点の踏み込んだ検討が同時に出てきていないのか、そのことについて伺いたいと思います。

○法務委員長(塩崎恭久) 
寺田民事局長。

○原口一博 いやいや、これは大臣にです。通告のあるものは大臣。

○法務大臣(南野知惠子) 既にされたことについては省略いたしますけれども、これからの問題ということでは、企業結合法制に対する対応、これは国際的にもその手法及び内容はさまざまであるところでありますが、拙速な規制強化や制度の創設はかえって企業活動の妨げとなるおそれもありますので、検討を慎重に行う必要があろうかと思います。
 グループ経営の進展に伴う利害関係者の利益の適切な保護というのは、これは重要な課題と考えておりますので、今後とも、実務における問題の状況を勘案しながら、適切な方策について検討を進める所存であります。

○原口一博 いや、そういう答弁をされるんだったら、それをそっくりそのまま今回の会社法にお返ししますよ。だって、そうでしょう。拙速な企業再編の自由化をし、結果、では具体的に聞きますが、親子会社における親会社の取締役というのはどういう法的な責任を負っているんですか。
 今回、私たちの分野では、UFJホールディングスがその一〇〇%親会社であるUFJ銀行において、親会社の承認を得て、三菱東京フィナンシャル・グループに同銀行の株主総会の決議の一部に拒否権を与える内容の優先株式、これは黄金株というんですか、これを発行いたしましたが、この場合、親会社の株主としては、その取締役に対してどのような法的責任を追及することができるんですか。法務大臣に伺います。

○法務大臣(南野知惠子) 委員御指摘のような優先株式の発行に際しましては、発行会社である子会社の定款変更が必要でありますので、完全親会社の代表者が完全子会社の株主総会で定款変更を承認する必要があるということでございます。
 この場合、完全親会社の経営陣は、グループ全体としての資金調達の必要性、優先株式の発行が完全親会社の株主に与える影響などを適切に判断しまして、その特別決議における議決権の行使をする義務を負うこととなります。
 もし、合理的な理由もなく、完全親会社の完全子会社に対する議決権の効力を著しく弱めるような優先株式が第三者に発行されたことにより、完全親会社に損害が生じた場合には、完全親会社の株主は完全親会社の経営陣に対して完全親会社に対する損害賠償責任を追及するための株主代表訴訟を提起することができることとなると考えられております。

○原口一博 それは被害を与えた場合ですよね。
 ですから私は、今みたいな答弁だけでは、では、そこから先は司法でやりなさいといって、こういう企業再編法制の自由化を一気に認めることについては、よほど検討が必要だというふうに考えます。
 通告をしていないので更問いをしたいんですが、もう一つ、今回の会社法案で経営の自由度というのも高められているわけです。いわゆる事前規制から事後規制への転換が図られている。これは、私たち民主党も同じように主張をしてきました。だから、そこは是とします。
 ただ、現状では、きょう、理由もわからずに否決をしていただきましたけれども、日本版のSEC、それもできていない。しかも、金融サービス法も存在せず。事後的体制が的確に確立されない限り、ここもやはり、これは前に竹中大臣とも、別の委員会でしたか、自由というのは何かというと、法と正義のもとでの自由なんですよ。法と正義、ある一定のルールが守られている上での自由。きょう、私がこの委員会で強調したかったのは、その一定の枠は何なんですかと。今回の会社法の改正は、そのダイナミズムという枠も、それからチェックのところの合理性も、あるいは企業結合法制についてもパスをしてしまっていますね。そのパスをしてしまっている部分については詰めないといけないんじゃないか。
 ちょっと首をかしげられたので、きょう、一点だけ詰めておきたいことがあります。それは課徴金です。きょう、議員修正で証取法の改正修正案を全会一致で通していただきましたけれども、課徴金の性格をどう考えているのか。
 委員長のお許しをいただいて、私どもが委員長から提示していただいた、これは衆議院法制局ですかがおつくりいただいたペーパーを配付させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○法務委員長(塩崎恭久) はい、どうぞ。

○原口一博 もうお手元にありますね。

○法務委員長(塩崎恭久) あります。

○原口一博 一体、ここのところをどう詰めるか。
 法務省に伺いますが、憲法三十九条は、いわゆる刑事罰等の、二重の刑事罰を否定したものであって、行政的な措置との併科を否定したものではないというふうに思うんですが、これは刑事局ですか、お尋ねをしたいと思います。

○法務省刑事局長 法務当局が一般的に憲法の解釈について意見を述べる立場にはないわけでございますけれども、あえて、刑事手続の運用に携わる立場にある者として、課徴金という行政上の措置に加えて刑事罰を科すことの適否が裁判上争われた過去の判例等を踏まえて申し上げますと、当該課徴金の趣旨、目的、性格や金額、それから刑事罰や課徴金がいかなる事案について科されるのかという刑事罰と課徴金の役割分担などのさまざまな事項を総合的に考慮して判断されるものだ、このように考えております。

○原口一博 いや、その総合的に考慮してじゃどうしようもないんですよ。
 ここで、きょうは公取の皆さんにも、それから経産省の皆さんにも来ていただいていますが、あえて内閣法制局は呼びませんでした。
 内閣法制局は、先週の私の質疑に答えてこうおっしゃっています。「憲法三十九条後段は、同一の罪について、重ねて刑事上の責任を問われないというふうに規定しております。」これは私の理解と同じです。「ここで言う刑事上の責任とは何かということでございますが、これは基本的に刑事罰を想定していることは当然でございます。しかしながら、行政機関が科すものであっても、その趣旨、目的、性質等が実質的に刑罰と同一視されるようなものであれば、それはやはり憲法三十九条後段が規定する二重処罰の禁止、あるいはその趣旨に触れるのではないかというふうに理解しております。」内閣法制局はこう言っているわけです。
 図を見てください。今まで公取の皆さんは、あるいは経産省の、独禁法の世界では、不当な利得の簒奪だという説明をしていたわけです。不当な利得の簒奪だという説明の中にいる限りにおいては、行政上の抑止効果あるいは市場の損失、きょう私たちが審議をしている会社法というか、つまり経済活動全体の自由を侵してしまうような、信頼を根底から崩すような、例えばきょう財務金融委員会で採決をした証取法の継続開示義務違反のようなものについても課徴金は課せられないという、金融庁は結局そこで内閣法制局との詰めを失敗して、こんなルールですらできなかったんですね。
 「最広義の「利得(損失)」で説明可能か?」と書いてありますけれども、私はそれだけではやはり無理だと思います。抑止のため必要かつ合理的な金銭的賦課ということが、これは絶対必要だ。ところが、その右側に書いておりますように、ここで困るのは、刑事罰と近接してくるので、どこからどこまでが二重処罰にならないのかという問題が一つ。
 もう一つは、不当利得の簒奪という概念を中心に置けば、それでは不当利得の簒奪というのは一体何なんだ、不当利得というのは何なんだ。例えば有価証券報告書を、西武の事案のように四十年もうそを書いてきた。これによる利得というのは何なのか、計算できますか。逆に、計算できないことについては、いわゆる行政的措置は、抑止は働かないということであってはならないんじゃないか。私は、この辺のことをもうはっきりさせるときに来ている。
 このジレンマに陥らないために、私どもは、独禁法の中で行政制裁金という新しい概念を出してきたんです。つまり、不当利得の簒奪か、あるいはサンクションかもわからない。ぬえのような構造を持っている課徴金という中に迷い込んでしまっていれば、今回これだけの自由化が会社法の中で進もうという中で、市場のチェック機能が働かないんじゃないかというのが私たちの基本的な考え方なんです。大臣だったら賛成していただけると思うんですが、いかがでしょうか。

○法務大臣(南野知惠子) 大変難しい問題でございますので、しっかりと勉強したいと思っております。

○原口一博 それでは、経済産業省、それから公取にも来ていただいていますが、公取ももともとは不当利得の簒奪といったことに中心を置いた独禁法運用をされてきたと思いますが、随分そこのところは変わってきて、少なくとも、抑止のために必要かつ合理的な金銭的賦課、これが公取案の中にも、独禁法案の中にもあるのではないかと思うんですが、いかがですか。

○公正取引委員会事務総局経済取引局長 お答えいたします。
 独占禁止法上の課徴金制度は、カルテル、入札談合等の違反行為防止という行政目的を達成するために、行政庁が違反事業者等に対して金銭的不利益を課すという行政上の措置ということでございますが、従来のように不当利得相当額を徴収するだけでは違反行為の抑止のためには不十分であるということから、今般成立いたしました独占禁止法改正法では、不当利得相当額を上回る金銭を徴収する仕組みに改めたところでございます。
 したがいまして、課徴金制度は、今回の改正法によりまして、行政上の制裁としての機能をより強めたものではございますが、その法的性格は、今回の改正前後においても変わらない、違反行為防止のための行政上の措置という整理でございます。

○経済産業省大臣官房審議官 お答えいたします。
 独占禁止法の課徴金についてのお尋ねでございますが、私どもも公正取引委員会と同様に、この独占禁止法の課徴金の法的性格は、カルテルや談合等の違反行為防止という行政目的を達成するために行政庁が課する行政上の措置だというふうに考えておりまして、今回の改正によりまして、不当利得相当分に加え、再発防止的な意味合いを含むものになったというふうに考えております。

○原口一博 やはり、聞いている方が混乱するのは何でかというと、当初は不当利得の徴収という説明を放棄しながら、そして社会的損失の負担という概念を根拠に制裁できないかということを、そういう説明が維持されてきたんです。しかし、最終的には違反行為の抑止を全面的に打ち出した。きょう詰めておきたいのはここなんです。
 一体、制裁なのかわからない、行政的措置なのか、あるいはこの一番下の刑事罰なのかわからない。ここのところの整理がつかない限り、実効性のある市場の監視、あるいは日本の経済全体の牽引役であるさまざまな会社のコンプライアンスといったことも守れない。つまり、さっき、コンプライアンスとは何かという質問を、冒頭田中委員がしていましたけれども、そのためにも、どこからどこまでが何に基づいてだめなのかといったことを明示する必要があると思うんですが、その点については御納得いただけますでしょうか、法務大臣。
 生まれて初めて、通告したものしか質問しないというのが今回なんですけれども、それだけ議論をかみ合わせたいと思っているんです。
 もう一つ、これは経済産業省、わざわざ来ていただいていますので。
 米国企業が日本で株式公開を行う場合には米国の会計基準を使用することが認められている。ところが、日本企業が米国で株式公開を行う場合には日本の会計基準を使用することが認められていません。相互主義じゃないかと思うんですが、この点についてはいかがですか。
 私たち、会社法を審議する中で、何をスタンダードとするのか。片っ方でアメリカはそういったことができるのに対して、我が国はかの国に対してそれができない。このことについてはどのような認識をお持ちですか。

○経済産業省大臣官房審議官 先生御指摘のとおり、現在、証券取引法上、外国企業が我が国市場におきまして株式公開を行う場合に、金融庁長官が公益または投資者保護に欠けることがないものとして認める場合に、本国基準または第三国基準に準拠する財務書類により開示をすることが認められております。すなわち、アメリカ企業は、我が国におきまして株式公開を行う場合には、アメリカの基準に準拠したものでいいというふうになっているわけでございますが、一方、日本企業が米国市場におきまして株式公開を行う場合には、アメリカのいわゆるSEC基準に準拠した連結財務諸表の開示を求められているところでございます。
 私ども、この会計に関しましては、現在、こういった問題に対処するために、会計基準の同一化、いわゆるコンバージェンスというプロジェクトを会計の専門家の方々に進めていただいておるところでございまして、グローバルな経済活動が進む中で、グローバルな資本市場の活性化ですとか投資交流を促進する観点からも、こういったコンバージェンスプロジェクトに期待をするところ大でございます。

○原口一博 三角合併や、いろいろな敵対的買収、さまざまなお話が出ていますけれども、ルールのところで違うんですよ。ぜひこれは多くの同僚の皆さんにお話をしたいんですが、私たち国会議員がなすべきは、ルールにおける競争でしっかりと日本の国益を守っていくことだというふうに思います。
 今回の会社法の改正の中で、最後に指摘をしておきますが、私は、大企業、つまり世界に対して説明責任を果たすべき企業の会計基準と、一定の割合、ある範囲の中で説明責任を果たす会社の会計基準は、同一である必要は全くないと思っています。それをBISで横並びにしたために何が起こったかというと、結果、銀行の貸し渋りや貸しはがし、中小企業いじめといったことが起こっているわけで、私は、ぜひ、これはきょう最初の会社法の質問でこんな生意気なことを申し上げて恐縮ですが、ダイナミズムの中で、ルールにおける競争が競争の本質であるということを踏まえた会社法の改正を、与野党の枠を超えて、前向きに検討させていただきたい、このことを申し上げて、質問を終えます。
 ありがとうございました。