
■ 法務委員会 |
平成17年5月13日(金曜日) |
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| ○法務委員長(塩崎恭久) 次に、原口一博君。 ○原口一博 民主党の原口一博でございます。 通告に従って質問をさせていただきます。 話の流れからいうと、今平岡委員から指摘があったところでございますが、まず、根本的な法律の仕分け、それを教えていただきたいんです。 先ほどの七条副大臣のお答えはなかなか厳しいなと思います。というのは、金融庁はまさに証券等監視委員会のやることも、大臣は、それは直接は自分たちで何もできないんですというような非常に無気力なことを言いながら、そして金融庁は、その自分らの庭先の中でもう手いっぱいになっている。それに対して経済産業省は、ダイナミズムの中でいろいろなことをやっている。法務省、法務委員会の委員の皆さんはそうではないでしょうが、非常に静的な中で、なかなか法律が現実に追いつかないでいる。 まさに、どこからどこまでを市場でやるのか、どこからどこまでをこの会社法でやるのか、それから、どこからどこまでを省令委任にするのか、あるいは証取法やほかのところでいくのか。私は、委員長と昔、今もそうですけれども、議員修正やいろいろなことをやってきましたけれども、その中で特に思うのは、何をどの法律に委任するかということも大事なんですが、それで何をやるのか、ステークホルダーに対する最低の責任というのは何なのか、そして私たちがその法律の中に書き込むことは何なのか。 大臣に、今回の会社法のつくり方の基本をまず伺っておきたい。 今回の会社法では、さまざまな自由化や再編のツールや、あるいは種類株を中心とした自由化というものがあるんですけれども、法律で書く部分はできるだけ少なくしよう、あとはいろいろな市場やそういったところに任せていこうということでこの法律をつくっていらっしゃいますか。基本的な姿勢についてまず伺いたいと思います。 ○法務大臣(南野知惠子) この法案をつくりますに当たりまして、我が国の経済市場の活性化のためには、公正で汎用性のあるルールが必要であるということになると思います。 具体的なルールの作成に当たっては、やはり法的強制力を持たせる必要のあるルールについては法律をつくらなければならないというところであり、また、法律の委任に基づいて定められる政省令もルールを担うものである。政省令は、法律の委任に基づくものでありますので、法律と一体となって法規範を形成することになりますが、同じルールであっても法律で規定することが難しい技術的事項、細目的な事項あるいは機動的に対応する必要が見込まれる事項などを定めることになると考えております。 さらに、法律や政省令で定められた事項を具体的な事象に当てはめる際には、必然的に法令の解釈が必要になりますけれども、かかる解釈の部分を補い、経済行動を起こす際の予測可能性を高めるために、政府または関係者の創意により作成されるべきものがガイドラインであるというふうにも考えております。 ○原口一博 つまり私が聞きたいのは、デフォルトルール、わざわざ法律でなくて、自由に決めさせてほしい、自分たちでやれることは自分たちに任せてほしいというのが経済界や市場の要請ではなかったか。その要請を受けてつくったんですかということを聞いているわけです。 例えば、所在地についても、今までは本籍地のような発想で、それこそ行政区域が隣であるものしか認めない、そんなことは自由にさせてくださいよと。あるいは、欠格事由についても私たち修正の要求を出していますけれども、中小企業団体からすると、昔の、百年前からの考え方というのは、いわゆる倒産している人、破産をするということは非常に、社会的にはもう二度と起き上がれないというか、まさに破産法というものは社会から外へ出す、そういうものだったけれども、しかし、現行を見てみると、逆に言えば、自分の責任というよりも、むしろ社会的な事象の中で破産をし、そして、その中でもう一回復活をしなきゃいけない。 そういったことまで厳しくやられたのでは自由で再生可能な社会ができませんよということで法改正をしているんじゃないですか。そこはいかがですか。 ○法務大臣(南野知惠子) 今まで長い歴史の中で、今の法律を使ってまいりました。その使い勝手について、現在の経済情勢、国の情勢、そういったものに照らし合わせ、いろいろな方の御意見も合わせながら、使い勝手のいいものにしていこうということでございますので、先生のおっしゃることと同種類のことだと思います。 ○原口一博 私は何も使い勝手の話をしているんじゃないです。法の理念について聞いているんです。この法の理念について私たち確定しないと、じゃ何が証取法で、ここにはいわゆるストックマーケットの話はいろいろ出てくる、だけれども、じゃボンドマーケットどうするんですか、あるいは企業結合法制どうするんですか。 これは一番先に申し上げておきますが、もともと敵対的買収やいろいろなものについての制度をつくるのは、八〇年代のアメリカにおいては、コングロマリットディスカウントといいますか、要は、余りにもでかくなり過ぎて、そして、でかくなり過ぎてパフォーマンスが悪くなったものは買収のえじきになる、だからそれをさまざまに分割をしてみたり、さまざまな制度を、ライツプランもその中の一つで出てきたわけですけれども、やろうという反省から出てきた。つまり、企業結合法制を一緒に考える中で、ルール化を長い間かけてやってきた。 それに対して、我が国の今回の法改正は、私、委員長にお願いをして資料を配付させていただきたいと思いますが、よろしいですか。 ○法務委員長(塩崎恭久) はい、どうぞ。 ○原口一博 もうお手元に配られていますね。これはけさの三時に法務省からいただいたものでございます。この会社法で委任をしている政省令を挙げてくださいということを言ったわけです。膨大な、それこそ千条にも及ぶ法案ですから、委任というものが政省令にどう落とされているか、私たちはこの政省令の中身も精査しながら今いろいろな委員会では質問しているんです。ところが、きのうの段階では、何をどれぐらい政省令委任にしたかということもわからない。これだって条項だけですよね。 私は、これは委員長にお願いをしますが、政省令の中でも重要なのがいっぱいあるんです。私たちの七項目の要請事項に沿っていえば、例えば、一番最初のところもそうですね、八百四十七条も政省令に委任されている。あるいは百二十条、取締役の過失責任化といったところも政省令に委任されている。じゃ、それはどういう委任のされ方、政省令で何が書かれるかによって全然意味が違う場合がある。ぜひそこの方向を出していただきたいと思います。委員長、理事会で議論をしていただきたいんですが、いかがですか。 ○法務委員長代理(田村憲久) 理事会で協議をさせていただきたいと思います。 ○原口一博 この莫大な、これは三百以上ありますよ、数えてみると。逆に言うと、そこのところがわからなければ、現実にどうオペレートするかということが私たちにはわからないということを申し上げたいと思います。 さて、一つ一つ修正項目について、今まで委員がそれぞれについて聞いていきましたので、確認の質問をしていきます。 私たちは、今申し上げた八百四十七条一項ただし書き二号には問題があるということで、この削除を求めています。私は、この八百四十七条の一項ただし書き二号というものは外すべきだというふうに思いますが、法務大臣の御見解を伺いたいと思います。 ○法務大臣(南野知惠子) 会社法案八百四十七条一項ただし書き二号は、株主全体の利益を守るための制度である株主代表訴訟が、これによって会社の正当な利益を著しく害される等、逆に株主全体の利益を損ない、その制度本来の趣旨に反する結果となる場合に、このような訴えを許さないものとするため、実体的な訴訟要件を新たに法定したものである。 このような制度趣旨に反する株主代表訴訟につきましては、その訴えの提起が許されるべきではないにもかかわらず、従前の裁判例に照らすと、いわゆる訴権の濫用の法理で十分に抑止することができるのかに疑問があり、また、担保提供義務による抑止も不十分な状況にありました。したがいまして、会社法八百四十七条一項ただし書き二号は、株主代表訴訟の提起を萎縮させるのではないかとの危惧も一部にございますけれども、一号と異なる独自の存在意義がありまして、立法措置を講ずるべき必要性があると考えております。 ただし、二号の規定が十分に明確かなど、これまでの御議論には謙虚に耳を傾けてまいりたいと思っております。 ○原口一博 謙虚に耳を傾けるんだったら、削除してください。 わざわざこの二号をこう書く必要は全くない。何となれば、会社は、その買収の主体はだれがやるのか。買収の主体というのは、企業がやるんじゃないんです。株主がやるわけです。株主が買収の主体で、その株主の主権あるいは株主の権利の保障ということを市場の中心に持っていくとするんだったら、私はこの条項はあってはならないと思います。いかがですか。 ○法務大臣(南野知惠子) 先生方の御議論をまちながら考えていきたいと思っております。 ○原口一博 御議論をまちながらということですから、ぜひ私たちは、やはりここは濫用法理でやれる話なんですね。逆に言えば、もっと法で書き込んでおかなきゃいけないのは、市場全体の底を破るような行為なんですよ。市場全体を全部壊してしまうかのような行為。 私、今までの議事録それからきょうの委員会質疑、全部見ましたけれども、この間の中塚議員の質問に対する、たまたま合併対価の柔軟化ということで聞いているから、多分誤解の御答弁だったと思いますが、敵対的買収というのは、私はこれからふえるべきだと思うし、いや応なくふえてくると思います。 アメリカだと、長期と短期の金利差を利用して、それでもっていろいろなことをやっている。それは、今、長短金利の差は低くなりつつあるけれども、しかし、行き場を失ったような資金というのは、より高い投資性の、効果のあるところを目がけてやはり飛んでくると思うんですね。敵対的買収が悪いという議論は、もうここではなかったと思います。逆に言えば、経営をさらにパワーアップ、市場を強化するためにはこれは大事。 だから、南野大臣が中塚議員に対して、敵対的買収という中の合併、融和的な合併というのは、つまり定義違反だから、それはふえませんよということをおっしゃっているんですね。いいですか、それで。(南野国務大臣「それでいいと思います」と呼ぶ)お座りのままお答えいただいてありがとうございます。 とすると、今度、会社法の中で議論をしておかなきゃいけないのは、じゃ、敵対的買収の中でも、やはり日本の国家としてこれだけは許せない、これだけはあってはならないというものがあると思いますが、これは局長で結構ですから、例えばどういうものがありますか。 ○法務省民事局長 敵対的買収ということで一般的に言われるのは、会社にとって必ずしも同意できない、特に執行部にとって同意できない買収ということでございますが、一般的に、今原口委員がおっしゃったように、マーケットがオープンの、つまり上場されているような会社においては基本的にそういうことはあり得ることであって、なかなか何が敵対かということについての価値判断は、マーケットを所管するあるいは会社法制を所管する立場からは難しいかと思います。 ただ、これについてはいろいろな場面がございまして、例えばアメリカでございますと、私どもの承知している範囲では、特定の産業について、ある種の株主の構成が偏りができるということは適当でないという国全体としての考え方があり、そういうことの上に、例えば法律でもって、一定の構成の株主というものがそもそもその会社の株のある種の部分を占めるということを許さないという行政規制をしているところがございます。これは、私はアメリカと申し上げましたけれども、その他の国にもあり得ることでございまして、現に幾つかあるというふうにも聞いております。 我が国にも、実は、私どもの所管ではございませんけれども、外国為替管理法等のスキームにおいてそういうことも可能になるわけでございまして、言ってみれば、そういう産業保護ということが一つの敵対的買収に対する合理化する考え方としてあり得るだろうというふうに思います。 ○原口一博 だから、私は、そこのところの議論がやはり圧倒的に不足しているんだろうなと思うんです。 これは、ことしの三月二十三日、東京高裁の決定がございました。ニッポン放送による新株予約権発行の差しとめの仮処分決定。この中で東京高裁は、弊害のある敵対的買収ということで四つの類型をそこで挙げて決定をしています。 一つは、いわゆるグリーンメーラー。つまり、真に会社経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて、そして高値で株式を会社関係者に引き取らせる目的で株式の買い取りを行っている場合。私は、これは企業全体のセーフティーネットからいうととても厳しいと思いますね。 それから二つ目は、これもテレビで随分有名になりましたが、焦土化作戦。会社経営を一時的に支配して、そして当該会社の経営上の必要な知的財産、ノウハウ、あるいは取引情報や企業秘密などというものをその間にとって、そしてそれをグループ会社に移譲させるという作戦ですね。 この焦土化作戦というのは、あのニッポン放送について言われたから皆さんよく割と矮小化した議論をされていたんですけれども、我が国の国家戦略としたら、では、日本は何で食べているのか。日本はこれからどういう戦略をとるかといったら、これは小泉内閣もおっしゃっていますけれども、知的財産戦略ですね。ここのところが簡単に、自由にとられてしまうようであれば、我が国の存立そのものがもたないわけですね。ここについてどう議論をされたのか、あるいはどういうファイアウオールをつくっていくかというのは、私もこの連休中これを全部読みました。もう本当に目が真っ赤になりますよ。しかし、その観点というのは出てこない。 それからもう一つ。私どもは金融の方からきょうここに来させていただいていますから、会社経営を支配して、当該会社の資産を当該買収者やそのグループ会社の債務担保や弁済原資として流用する予定で株式の買収を行っている場合。これは、まだ不良債権処理の過程にありますので、私は財務金融委員会で朝銀の問題について取り上げましたけれども、今までの法制だけではこれはカバーできません。さっき外為法というお話がありましたが、外為法は日本の企業には通用しません。 それから、四番目に東京高裁が挙げているのは、会社経営を一時的に支配して、当該会社の事業に当面関係していない不動産、有価証券などの高額資産を自分たちの手にとるというやり方。これを不良債権処理で利用されたときにはもう目も当てられません。 銀行救済の預金保険法が発動していますから、つまり、私たちの予期せぬ国民負担をそこで生んでいくということになるわけで、ぜひ大臣、敵対的買収というのは私たちにとっては、市場にとっては大変いい。だけれども、今申し上げた少なくとも東京高裁が挙げているようなものについてはどこで担保するのか。私は、市場でやればいいという話だけではないと思いますよ。国家戦略を立てて政策的に、今局長がお話しになったお言葉をかりれば、行政的なさまざまなディレクションを与える措置が必要だと思うんですが、いかがでしょうか、大臣。 ○法務大臣(南野知惠子) 先生がおっしゃるように、ある意味では、そういうような防止策、対策ということも練っていかねばならないというふうに思っております。 ○原口一博 前向きの答弁をいただいたと思いますが、局長、法務省の中でそれはやらなければいけないということでしたけれども、やるという話でなかったので、検討いただけますか。 ○法務省民事局長 先ほど私が申し上げましたのは、国として絶対に譲れない部分ということで申し上げたわけでありますが、今委員がおっしゃったような、つまり、マーケットとして許せない部分、あるいは会社の関係者の権利を不当に侵害し過ぎるということで組織として許せない部分、さまざまあろうかと思います。それぞれの関係の省庁もおいでになるわけでございますから、私どもも十分にそれぞれの面を御協力して検討をしてまいりたいというふうに考えます。 ○原口一博 各省庁とよく検討して、少なくとも今の四つの問題についてはどのようにするかということを早急に出していただきたいと思います。 それから、これは確認答弁をしておきますが、法務省の皆さんも、今回、企業結合法制についてはやはり十分触れられなかったというふうに御認識があるかと思いますが、企業結合法制について、いつまでに整備をして国会に出そうというのか。皆さんからすれば、いや、今出している法制が一番ですよというのは、そういう答弁を求めているわけじゃありません。私たちも、これに協力して、よりよいものをつくれるというんだったらその方がいい。だけれども、金融の立場からすると、企業結合法制をどのようにするかというものがなければ、ボンドマーケットもストックマーケットも公正さを担保できないんですよ。ですから、企業結合のあり方というのはどうあるべきなのか。 独禁法を改正して持ち株会社というのを一気に入れましたけれども、しかし、コングロマリットディスカウントと何回も言いますけれども、親会社と子会社でもって利益相反するような場合もある。今回、利益相反するようなそういう取締役の行為については無過失責任ということを、唯一そこを残されていますけれども、そういう企業連結法制について検討をいつまでに加えるというのか、そのことを明確に伺っておきたいと思います。あるいは、そのめどについて。 ○法務省民事局長 これは、今まで商法中の会社編でございましたけれども、会社法についてはこれまでも毎年のように見直しをし、検討をし、それで改正法案を提出させていただいていたところでございます。 ただ、今回、会社法として一たんこういう体系ができたわけでございますが、その後、例えば企業結合法制について問題があるという認識は私どもも持っております。ただ、その問題の性質が、すべての会社にとって問題のある部分、それから公開会社にとって問題のある部分、あるいは上場会社にとって問題になる部分、いろいろな性質の問題があろうかと思います。特に上場会社にとって問題になる部分においては、私どもの手に余る問題でもあるわけでございまして、そこは当然関係省庁の方のお考えというものもいろいろとすり合わせをしてやっていかなければなりません。 したがって、全体としていつまでということはこの場でちょっと申し上げかねるわけでございますけれども、しかしながら、今後残された問題のうち一番大きな問題の一つという認識は持っておりますので、それなりの体制で検討はしてまいりたい、このように考えております。 ○原口一博 前向きの一定の答弁をいただいたと思いますが、大臣、法務省の中の検討でもやれることはあるんですよ。今回、会社法案の企業結合法制が欠落しているというのは複数の委員が指摘をしていますけれども、少なくとも多段階的株主代表訴訟を認めるべきだと私は考えていますし、民主党もそういう要請をしていますけれども、その問題について御回答をいただきたいと思います。 ○法務大臣(南野知惠子) では、少し長くなりますけれども。 我が国におきましても、近年、企業グループの形成が進展しておりまして、企業グループに関する適切な規制を行うという観点から、いわゆる企業結合法制の整備の必要性を唱える声があることは認識いたしております。今も局長の答弁にございました。 しかし、企業結合法制に対する対応は、一般的に、親会社の支配下にある子会社が、その子会社の株主や債権者等の利益よりも支配者である親会社やグループ全体の利益を優先するおそれがあるということに対しまして、どのような措置を講ずるべきかという観点から議論が進められているところでありますけれども、国際的にその手法及び内容はさまざまでございますし、これを法制化している国はいまだ極めて少ない状況であります。ドイツぐらいかなというふうなお話も聞いております。 我が国におきましても、グループ経営の進展に伴う利害関係者の利益の適切な保護は重要な課題であると考えておりますけれども、現時点におきまして、拙速な規制強化や制度の創設は、かえって利害関係者の保護に欠ける事態が生じたり、企業活動の妨げとなるおそれもあろうかと思いますので、今後とも、実務における問題の状況を勘案しながら、適切な方策について検討を進める所存であります。 なお、今先生がお話しになられました多段階株主代表訴訟は、親会社の株主に子会社の取締役に対する訴訟提起権を認めるというものであります。しかし、このような措置を講じることとした場合には、より一層親会社の子会社に対する支配力が強固なものとなりますために、子会社の取締役がその株主等の利益よりも親会社やグループ全体の利益を優先するという行動をとるおそれ、すなわち、企業結合法制の議論において問題視している事態をより深刻なものとするおそれもございますので、その導入については、さまざまな角度からなお慎重な検討を要するものと考えているところでございます。 ○原口一博 ちょっと見解が違いますね。では、親子上場というのを認めてはいけないんですよね、親と子を上場させて、そしてその親の利益を子につけかえてみたり、あるいはそういう支配が強まるというのであれば。では、大臣の認識では、それはこういう会社法でやるんじゃなくて、上場基準でやればいいとお考えですか。 ○法務大臣(南野知惠子) まだ方法は決めておりませんが、そのような検討も進めてみたいと思います。 ○原口一博 いや、通告にないことを聞いたからあれだと思うけれども、それじゃだめだと思いますよ。やはり企業結合法制、何もよそがやっていないからといって、よその二十年間やってきたような、アメリカが二十年間やってきたのに一挙に追いつこうとしていて、その根本のところはやはりコングロマリットディスカウントなんですよ。いろいろなものが一緒になって、そして利益相反の中で逆に弱っちくなっていく、それをどうするかということを会社法の根本の中で議論をしなきゃいけないと思っているんです。 ほかの省からも来ていただいたので、企業価値研究会、七条副大臣に。 私は、金融庁の中でも、ボンドとストックのマーケットの中で企業というのは一体どうあるべきなのか、その価値をどう高めるのか、あるいは、市場の底を突き破るようなそういうものに対しては何をやるのかというのを本気で研究する必要がある。私どもも、この間、東証の方と経済産業省の方に来ていただいて議論をしましたけれども、このガイドラインに沿って東証のルールを決めるとおっしゃっているんですよ。本当にそれでいいんですか。皆さんがまさに市場をチェックするところと市場の政策をつくっているんじゃないんですか。そこについての基本的な認識だけ伺っておきたいと思います。 ○内閣府副大臣(七条明) 今、企業価値研究会の問題、先ほどの平岡先生のときにも少しお答えをさせていただきましたけれども、私どもは、金融庁としては、企業価値研究会の企業価値防衛指針、ガイドラインと東証の市場基準とは、基本的な方向性は同じものではある。具体的には、東証が上場基準等を整備する際には、企業価値防衛指針、ガイドラインの内容のみならず、関係各方面との議論を踏まえて、市場開設者としての投資家保護ができている、検討されているというふうに思っておるところでございますから、基本的には方向性は同じではないか、こう考えているところでございます。 ○原口一博 いや、そう思うんだったら私は質問しないんですよ。 これは、百三十ページ、企業価値研究会の論点公開がございますよ。私、これを読んで非常に危機感を覚えたのは、いわゆる英国あるいは米国、企業防衛の手段が違いますよね。それに大陸法でも違う、EU指令も違う。これを読んでいると、何か足して二で割るような、そんなイメージなんです。私、それではとてもできないと思います。 今度の会社法の中も、さっき平岡委員が質問しました自己株式の市場売却、本当にしっかりとする市場監視の機関がなければ、さっきデラウエア法の話がありましたけれども、これはやはりSECという物すごい強いのがあるから、つまり、結果の責任のところで思い切り市場を守るという自分たちの自信があるからこれがやれるんですよ。 これも委員長がいるときに言って悪いですけれども、日本版SECというのをやはりきっちりつくった上で原則自由ということだったらわかりますよ。だけれども、インサイダー取引、株価操作、言いたくはないけれども、竹中大臣がETFなんという発言をして、みんなもうかるから買いなさいと。閣僚はみんな買ったわけでしょう。その後に、ある銀行をそれこそ株主責任を問わないで救済するんだったら、株は上がりますよ。国家的なインサイダーじゃないですか、一時的にそれで売り抜けて、そして大もうけをするというのは。 ここまで種類株やあるいは自己株式の市場売却というのを認めるのであれば、パラレルに市場の監視機能というものを強化するという、さっき強化されたと言っているけれども、それこそ有価証券報告書の継続開示義務違反だって、議員修正で開示義務違反に穴をふさいだんですよね。 ですから、もうそろそろ市場の自由、恐らくこれから、アメリカは年間七千億ドルを世界から集めないと回らない経済を持っていますけれども、どこかでアメリカの中にお金を呼び戻すという時期が来るかもわからない。あるいは、中国に対してたくさんの投資が行っているけれども、その投資が別に回ることもあるかもわからない。日本のROEはそれこそ四分の一ですか、あるいはPERも低いということをこの企業価値研究会は堂々と書いていただいていますけれども、だとするんだったら、どんどん資本を呼び込まなきゃいけない。 資本を呼び込むときに一番必要なことは、私たちがこの会社法でぜひ明確にしておきたかったのは、私たちは、今までの労使という、そういう関係の中で議論しているんじゃないんです。会社のいろいろな人たちが使い勝手がいいから、要望されたことを入れて、結果として市場全体の日本の価値を下げたらだめですよということを言っているわけです。そのことだけを私たちは今回強く言っているわけですね。 ですから、七条副大臣、ぜひ強力なSECをつくるということを考えられるべきじゃないのか、そのことに踏み切るべきじゃないか。これは、法務委員会でこういう質問をして申しわけないけれども、法務省がやる話じゃないですね。法務省も、これだけのいわゆる自由に向かったことをやるのであったら、それに対応するところが足りないということを自覚されるべきじゃないか。委員長に質問しちゃいけませんよね、日本版SECは必要ですかと。ですから、ぜひ副大臣にその決意を、決意だけで結構です。 ○内閣府副大臣(七条明) 今、委員長ということでございますけれども、私の方から御答弁させていただきたいと思います。 日本版SEC構想につきましては、各先生方、原口先生が日ごろからおっしゃっていただいていることはよく承知しているところでございます。 先ほど来、金融コングロマリット化の出現という形の中で、金融の担い手の統合やあるいは金融市場等が今融合あるいは横断的な流れが加速していることはもう事実だろうと思います。 こうした流れを踏まえて、金融行政当局に関して、銀行あるいは証券、保険の各分野を業態横断的に所管する、あるいは、企業検査、監督、監視、それらの分野についても、金融庁の現体制はこのような金融を取り巻く環境の変化に的確に対応した体制になっているものではないか。これはイギリスだとか、あるいはドイツだとか、アジアの韓国なんかを見ましても一元化を実現させているところと承知しているところでございます。 したがって、金融庁としては、日本版SECを創設して、証券行政部門を銀行、保険行政部門から切り離して以前のような形態別の体制に戻すことは適当でなく、現在の体制の方が適当であると考えているところでございます。 ○原口一博 もう全く、自分らが大蔵省にいたときの長い手を放すのが嫌だと言っているとしか聞こえないんですね。 私は、そういう状況であれば、委員長、答えたいですか。聞きますよ、どうぞ。まあいいです、基本的に政府との質疑ですから。 ぜひ、これは自民党さんの中にも私たちと同じような考え方の人は多いと思いますよ。つまり、行政のところが何もかも縛ると。だから、私は、今回の会社法の改正の根幹のところは非常に賛同しているんです。つまり、必要最低限のところを法に書きますよ、その後はどうぞ市場でやってくださいと。だけれども、国家として外せないところは検討していますかということをさっき質問したわけです。 もう一つ、法務大臣にお伺いしますが、銀行法、今度まだ金融庁は出してこられませんけれども、銀行法は郵政民営化法、今回のもっと厚いのを見ました、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備云々というものですね。これを読んでみると、銀行法の改正と、それから、どうもこの会社法の改正も前提としてつくられているようなんです。 それは法務大臣、何か省庁間の調整というのがございましたか。その認識についてどうですか。 ○法務大臣(南野知惠子) これは、郵政の民営化法案ということは、法文上は会社法案を前提として作成されているものと理解しております、法文上は。 ○原口一博 非常に何か禅問答みたいで、法文上以外では何ですか。つまり、この会社法の法文を前提に、いわゆる改正法を前提としているわけですね。 ○法務大臣(南野知惠子) これからつくっていこうとしているこの新しい会社法の法案の中で、そのやり方といいますか、法文上は会社法案を前提としているのが郵政民営化法案であるということです。 ○法務省民事局長 私どもの承知している範囲では、郵政民営化法案の中に、当然のことながら、今の郵政公社を株式会社にするという部分がございます。その場合に、現行法の商法における株式会社法の条文を引用してこの法律をつくることも可能ですし、今これからできます会社法案の条文を利用してこの郵政民営化法案の条文をつくることも、どっちもできることでございます。 ポリシーとしては特にこの会社法でなければできないことを用いて郵政民営化法案をおつくりになっているというふうには理解しておりませんので、どちらでもできることだろうと思いますが、実際にはこの会社法案の条文に沿っておつくりになっておられますから、そういう意味で法文上はと、こう大臣から申し上げたわけでございます。 ○原口一博 そのとおりなんですよ。 だから、今両方でもできると、郵政民営化。私はそれはどうかと思います。これはきょうここの主題ではないですから別のところで言いますが、少なくとも銀行法については改正しなければ、郵政民営化法はその過程において機能しないということだけ申し上げておきます。 経済産業省もお見えでございます。 今回の企業価値研究会について、ルール整備が必要ということ、つまり、ルールなき市場ということが何回も出てくるんですね。ところが、現行の商法でも何とかなるんだということが取ってつけたように出てくるわけです。本当なんでしょうか。 皆さんが考えていらっしゃるルールというのは、先ほど私は、法による、法に書き込むところは少なければ少ない方がいいという考え方を示しました、基本的な企業活動の自由については。どんな考え方で今まとめようとされているんでしょうか。 ○経済産業省大臣官房審議官 お答えいたします。 経済産業省といたしましては、現行の商法のもとでもいろいろな企業買収に対する防衛策の導入は可能であるというふうに考えておりますが、一方で、過剰な防衛策というのはやはりその企業価値を毀損してしまう。我々がこの企業価値研究会のメーンのテーマとしておりますのは、まさにこういった敵対的な企業買収によって企業価値が毀損されることのないようにしたいということでございまして、そのために、過剰な防衛策を排除することが必要で、そのためにこの企業価値研究会の検討を行っているところでありまして、この企業価値研究会で論点公開を出していただいておりますので、これをもとに、経済産業省としましては、法務省と共同しまして、公正な防衛策に関する指針を策定したいというものでございます。 ○原口一博 だから、私が伺っているのは、どこまでを法律でやって、皆さんは法律を所管されていないからガイドラインという形になるんでしょうけれども、基本的に、この条項を見れば、企業価値を損ねるのは過剰な防衛の方が大きいんだ、そして、その過剰な防衛については、これは証取法だけではやはり無理なんですね。いろいろなほかのルールもやらなきゃいけない、会社法も発動しなきゃいけない場合があるというふうに私は思います。 それで、これは法務大臣にも、それから経産省にも、あるいは金融庁にも伺いたいんですが、やはりルールの汎用化というのはとても大事だと思います。ルールの汎用化、つまりヨーロッパの中でも、イギリスと大陸法制をどうするかというのでEUの中でも物すごい議論がありました。資本が自由に動くためには、その地域のルールというのはできるだけ広い範囲で、汎用化している、あるいは共通化している方がいいわけでございます。 今後、少なくとも、今の敵対的買収に対する防衛策やさまざまな企業法制についての考え方は、私たちは、この企業価値研究会の言葉をかりれば、やはり四つ、五つ考え方が違いますね。その世界的なスタンダードというか、あるいはさまざまな企業に対するビヘービアをそろえていくという作業についてどのようにお考えになっているのか。 いや、それは当面、自分たちの国益に沿って、自分たちのシステムをもっともっと強化していくという考え方も一方であると思います。どのようなスタンスに立つのか、一般的に伺っておきたいと思います。法務大臣。 ○法務大臣(南野知惠子) 公正で汎用性のあるルールを作成する場合には、広く視野を持ちながら、世界におけるルールも参照した上で、我が国にとって適切なルールを作成することが必要であると考えております。殊に企業関係法令につきましては、国際性を意識すべきものと考えております。 ただ、他国の制度を無批判に受け入れたり、あるいは、ある国の制度とある国の制度を足して二で割ったようなものを作成するのではない、これは当然でございますが、我が国における他の法律の規定との整合性や、我が国独自の歴史、生活習慣また文化なども勘案しまして、真摯に検討することが大切であると思います。 そのようにして作成されたルールが、結果として公正で汎用性のあるものとなり、他国から見ても評価されるものになることが望ましいと考えております。 ○原口一博 そのためには、やはり目指す市場というか、目指す社会の総体的な理念というものが必要だということを申し上げておきます。 ちょっと時間が迫りましたので、財務省に伺います。 会社法案と税制というのは、ある意味ではセットで議論されるべき話だと思います。その税制との検討状況がどうなのか。それからもう一つは、私は、会社は株主のものであるというのであれば、一回利益に対して法人税で課税をしているわけだから、株主配当に対してまで課税をするということを株主の方から見れば、二重課税のところが必ずついて回ると思うんですが、そのことについて、基本的な御認識を政務官に伺いたいと思います。 ○財務大臣政務官(倉田雅年) 会社法案に対する税制の整備についてでございますが、これにつきましては、今後、関係各省から御要望が具体的に出てくるのではないか、こう考えております。財務省といたしましては、具体的な税制改正要望を受けた後に、新たな会社法の実施までの間に適切に対応していきたい、こう思うわけでございます。これが第一点でございます。 第二点目の御質問は、配当課税についてでございます。 企業価値云々という場合に、株主が企業を所有しているんだ、こんなような考え方から、二重課税というのはおかしいのではないか、こういう御質問ではないかと思うんですけれども、法人が負担する法人税というものは、まず価格設定、あるいは賃金、それから利潤の分配などとも関係をしてくるわけでございます。したがって、法人税の負担というものは、法人またはその株主のみならず、例えば労働者とかあるいは消費者、価格転嫁ですね、こういうものにも一部負担が帰着しているのではないか、つまり株主だけが法人税を全部負担しているというわけでもない。これが考え方でございます。 となりますと、では、法人税とそれから個人所得税との調整といいますか、今私申しましたように、株主のみが法人税を負担しているわけではないという観点に立ったとしても、先生のおっしゃるような二重課税的な要素が出ないではない。そこで、現在までいろいろと長年考えられてきたところは、法人税と個人税との調整をするために配当控除をする、こんな考え方であると思います。これについては、我が国のみならず諸外国においても同じような制度がある、こう考えている次第でございます。 ○原口一博 配当課税のことも存じ上げていますが、法人に課税をした上で個人の株主に配当課税をするという理由はやはり乏しくなってきていると思います。配当控除も少なくて、こうした観点から大胆な見直しが必要であるということを指摘だけさせていただいておきます。あとは財務金融委員会で直接大臣とやります。 それで、もう一回法務大臣に戻りますが、一般に会社のコンプライアンスあるいはガバナンスといったときに、日本の法制度は個人の責任が中心となっているんです。しかも刑事が中心となっている。そのために、今回のJR福知山線の脱線事故もそうですが、まさに会社として組織的に継続的な違反をする、それがなかなか外に出てこない。 きょう、私、専門が心理学なんですけれども、「ヒューマンエラーの心理学」というのがあるんですね。これはぜひ法務省に、法務省の中で個人の犯罪についてそれをどう防ぐかという研究機関はあります。しかし、組織的に継続的に誤った意思決定を安定的に行う傾向というのが、今の日本の会社組織のある意味では病理になっているんです。この病理を研究することをやっていただけませんか。 私は、この病理の心理学からいうと、ただただ罰を重くする、あるいはただただ命令系統の規定をするということだけでは、逆にやみが深くなっていくんです。そういう観点から研究をお願いしたいのが一点と、もう一つは、もう時間が来ましたからこれでやめますが、組織としての問題を改善するための法整備が必要なんです。今回の証取法の課徴金制度も、経済司法の大改革の中で私たちは行政制裁金というものを出させていただいている。 実は、恐るべき内部告発がこの間ありました。JR西日本の大阪からUSJまで行くのは、当初は十分だったそうですよ。つまり、すべての、もう思い切りスピードを上げて、ブレーキをかけて、それでUSJまで行った。ところが、それでがんがんに宣伝をしてきたけれども、もう耐えられなくなって十五分にしているということも出てきました。あるいは、部品の問題についても、国鉄時代から天下りをするためのものがあって、ペーパーカンパニーを二社通さないとそこの部品の会社に行かないんだそうですよ。つまり部品の会社からすると、二つ上で中間マージンをただの紙会社が取っているために、天下りのところが取っているために、粗悪品しか出せないというのを組織的にやらざるを得ないという状況。 こういったものに対して、私は、今の経済法制の中では根本的に対応できないというふうに思いますので、根本的な研究と、それから法整備についての検討を要請して、質問にしたいと思います。いかがでしょうか。 ○法務大臣(南野知惠子) 先生の今の御指摘は大変大切なことであろうと思います。企業の中にも、心理的な状況の中で会社をどういうふうに持っていくかという一番大切な部分、またそれが病理的な形になるということは、これまたマイナスということになろうかと思っております。そういう問題につきましても、今先生の御提言、勉強させていただきたいと思っております。 ○原口一博 これで質問を終わりますが、ぜひ、与野党慎重に審議をして、そしてよりよい修正を仕上げていきたいということを申し上げて、質問にかえます。ありがとうございました。 | |