2001年3月6日
原口一博国会通信(15)                         DIGITAL SYOKASONJYUKU

              不良債権処理と金融政策

 3月2日の予算委員会総括質疑において柳澤金融担当大臣と日銀の速水総裁を相手に基本的な金融政策の方向を議論しました。当日、株価は1万2千300円台と15年ぶりの最安値を更新しました。日銀は、2月28日に公定歩合を0.1%下げました。2月8日に次ぐ異例の追加利下げです。

 日銀にさらなる金融緩和を求める大きな声があります。ゼロ金利政策は、あくまで緊急避難措置です。金利が限りなくゼロに張り付いた状態というのは、「お金が失業している状態」です。これが長期間続き、資金の過剰流動性が際限なく拡大する事態は、異常な事態です。金融政策の弾力性そのものが長期に奪われていることこそを危惧すべきではないでしょうか?

 昭和7年の日銀の国債引き受けによってどのようなことが起こったか?日銀史に残る痛恨の事件を忘れていいはずはありません。日銀の独立性を破壊するような政治は論外です。「長期の国債を無制限に買っていくということは必ず後になって副作用が出てきて、救いがたい状態になる。」金融のアンカーとしての決意を尋ねた私に速水総裁は、明確な指針を示されました。

 不良債権処理も資産価値の下落により思うような成果が上っていません。逆に積み上がっているのが実体ではないかと推察します。この状態で柳澤金融担当大臣が不良債権のオフバランスシート化を打ち出しました。

私たちの不良債権処理は、(1)責任を明確に(2)公平公正に透明性を確保して(3)一気呵成に行うという原則に立つべきだと思います。

腐ったミカンが残りのミカンまで台無しにしてしまうように管理するだけでコストを発生し収益は生まない不良債権は、銀行の体力を奪うだけでなく経済全体の不透明感を悪化させます。主要行昨年9月末のリスク管理債権は約19兆、貸し倒れ引当金残高は、7.7兆円です。(金融庁発表)この引当金による間接償却を直接償却に変更するということがメデイアで流され言葉だけが一人歩きしているようです。

 いわゆる直接償却等と言っているのは、「オフバランスシート化」のことで、これには(1)不良債権の流動化(2)法的整理に伴う直接償却(3)債権放棄(4)部分償却が考えられます。資本注入行は金融健全化法により、不良債権処理の達成度合い、収益目標等の提出が求められます。当期利益とROEが著しく計画と乖離しているときに恣意性を排除した公正な基準で手続きが進められることが必要です。

 世界経済は米国の経済の急速な減速などにより不透明感を増しています。政治がなすべきことは、最悪のシナリオ・危機の可能性を一つ一つ潰していくことです。金融・財政政策の手幅が極端に狭まった今、危機回避が何よりも優先します。公正・公平な手続きを堅持して不良債権を処理する重要性が前にも増して高まっています。吹きすさぶ嵐を嵐とはっきり認識するところから日本経済の再生が始まります。

株価下落と自己資本比率(主要16行合算、単体ベース)
<12年9月末(実績)> → 日経平均株価:15.747円

自己資本比率=
 Tier1(23兆円)+ Tier2(18兆円)= 12.3%
  リスクアセット(333兆円)

        時価   簿価   含み損益
(注)株式  40兆円 37兆円 +3兆円


<試算(時価会計ベース)> → 株価が2割下落した場合
自己資本比率=
 Tier1(23兆円―5兆円×0.6) + Tier2(18兆円)
    リスクアセット(333兆円―5兆円×0.6)
                              =11.5%

       時価   簿価   含み損益
(注)   32兆円 37兆円 ―5兆円

試算では税効果を勘案し、含み損益のうち6割を
Tier1及びリスクアセットから控除。

  
金融庁提出 3月1日資料



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