2001年4月10日
原口一博国会通信(19)                         DIGITAL SYOKASONJYUKU

雇用政策

 失業率が高止まりして非自発的失業も100万人を越えるなど厳しい状況が続いています。

 私は2000年末、連合にお願いして「一人の人が雇用を失うとどれくらいの損失を被るか」試算をしてもらいました。

 これは政府支出のみの試算です。失業に伴う精神的な被害、家族の不安、社会に与える影響などを勘案すると莫大な損失を国全体が被ることが想像されます。特に日本社会のように「均質であることを重視してきた」社会において失業が増大することは、社会そのものの基盤が損壊する危険が増大することさえ意味します。

 「雇用を守るのは、一義的には中央政府(国)の責任」だと私達は考えています。

 外交・安全保障政策は平和に対する脅威のリスクを最小化する政策であるのに対して雇用政策は、経済・社会に対する脅威や損失リスクを極小化する政策だととらえているからです。


 グロ−バル化が急速に進んでいます。冷戦終結後、自由主義市場は拡大し競争が激化しています。市場規模が倍になり競争も倍になれば、企業などの経済主体の寿命は単純計算で4分の1になります。終身雇用を前提としていたこれまでの雇用制度を大幅に見直し、勤労者の移動を考慮に入れた政策へと改革していく必要があります。

 ストックオプション制度の導入など資本市場と労働市場の境界も曖昧になりつつあります。旧来の労使二元論的な図式がかつてほどの意味をなさなくなっています。

 逆に若年者や女性の新規雇用と既存雇用との間に相反する利害があり、両者を一律に論じられない事態が起こっています。「誰の雇用をどのように守るか」選択がせまられています。

 右肩上がりの経済成長時代の雇用政策も全面的に見直す時がきました。公益法人を通した雇用対策予算もスクラップあるいは透明化した上での再構築が求められています。ユニオンのあり方、ユニオンと政党との関係も整理された議論が必要です。ユニオンを利権団体と同一に論じる愚は、勿論避けなければなりません。

 勤労を「仕事」(WORK)ととらえるか「労働」(LABOUR)ととらえるか(ナンナ・アーレント:人間の条件)で雇用政策も随分変わってきます。働く人たちの声を大切にしながら、新規雇用創出政策を果敢に打ち出したいと思います。


失業のコスト(試算)

 50代でリストラされた年収680万円の労働者(4人家族、3人扶養)の場合

 <1年間分の公費及び保険料収入の変化等>

   1.雇用保険給付における国庫負担分         ⇒     30万円
       求職者給付(基本手当):7,080円×300日=212万円
       うち国庫負担分:212万円×14/100=30万円

   2.雇用保険会計からの残りの支出額          ⇒    82万円
       212万円−30万円=182万円

   3.失業による税及び社会保険料の減少分       ⇒  約63万円
      @ 所得税の減少分                    ⇒ 19.8万円
      A 住民税の減少分(2年目)               ⇒ 15.6万円
      B 社会保険料の減収分
        a)厚生年金から国民年金へ切り替え       ⇒   16万円
        b)健康保険から国民保険への切り替え減収分 ⇒ 約10万円
      C雇用保険料の減収分                  ⇒  1.9万円

合計(1+2+3)                  約275万円

                                                資料出所:連合


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