2001年5月28日
原口一博国会通信(28)                         DIGITAL SYOKASONJYUKU

  緊急経済対策関連法案質疑と政治構造

 5月25日本会議質問をしました。いわゆる緊急経済対策関連4法の質疑です。総理になった小泉さんとの初質疑で、闘志満々です。

 本来、小泉さんは、与党が4月にまとめた緊急経済対策に批判的な態度を取っていました。自由な市場、公正な競争を守ろうとする者なら露骨な株価対策とも思えるようなこの対策に反対するのが当然だと私も思います。

 総裁選挙一日前に当時政調会長だった亀井さんと小泉さんは政策合意を成立させます。対照的な経済政策の立場(真反対と言っても良いかもしれません。)なのに、総裁選挙での地歩を固めるために妥協したのです。これを腰の定まらないご都合主義とみるか、権力を手中にするための現実主義とするか論が別れるでしょう。これも小泉流の「喧嘩上手」なダイナミズムなのかもしれません。

 しかし、この政策合意により構造改革とはおよそ無縁の「緊急経済対策」が小泉内閣でも実行に移されることが決まりました。政策スタンスが曖昧になり、中味が不明確になったのです。

 ただ、ここで終わらないところが小泉流です。緊急経済対策の中で「筋の悪い」銀行株買取り法などの主要部分は議員立法にし、換骨奪胎したものを閣法にしたのです。議案上程されたCPペーパーレス化のための法案、株式の個人投資を促進するための租税特別措置法がそれです。

 質問も対照的でした。自民党政調会長の麻生さんは、こんなものでお茶を濁しては困る、きっちり緊急経済経済対策の約束を守ってくださいというスタンスで質問をしています。総需要を拡大することが景気回復に重要だというスタンスです。それに対して、民主党を代表した私の質問は、「構造改革なくして景気回復なし」というのであれば、経済における肥大化した政府歳出構造の大胆な改革こそ重要だという立場です。大胆な構造改革を行うためには、小泉内閣の政策スタンスをより明確にすべきで、古い政治経済運営からどれだけ自由になれるかがポイントです。改革へのダイナミズムを競いたいと総理に「宣戦布告」をいたしました。「改革」の中味を競い合う論戦の舞台が整ったことを正直に喜びたいと思います。

 小泉総理や塩川財務大臣、石原行革担当大臣の答弁は、とても丁寧なものでした。質問は10分が制約されていましたが答弁は、その3倍近く時間を費やしていただきました。これも麻生政調会長への総理答弁とは対照的です。

 それにしても「小泉内閣とは何」でしょうか?言葉のわかりやすさ、改革へのダイナミズムという小泉内閣の姿勢とは対照的にとてもわかりにくいのがその権力構造です。「自民党は変わらなければならない。」小泉内閣は旧来自民党政治の否定から出発しています。そしてそれを国民も民主党支持者さえも正しいと支持を送ります。熱狂的ともいえる支持率は、これまでの政治の否定に支えられています。しかし、その小泉内閣に国会において正当性を与えたのは、「否定」された古い体質を引きずった自民党です。否定をしているものが否定される対象を含む政治権力に支えられる。ここに小泉内閣のわかりにくさがあります。

 私達、民主党も戦略議論を整理しきれずにいます。小泉さんの主張する構造改革はかねてから民主党が主張してきたものですし、自民党政治の否定までもが一致するからです。小泉首相の国会答弁に拍手を送るのは民主党若手議員です。

 構造改革に反対する「自民党の内なる勢力」、構造改革に積極的な「野党第一党民主党」。ここにはっきりとねじれが生じています。権力の正当性を与えているものを否定しつつ、その権力のカウンターパートに競争のエールを送る、微

妙なバランスです。その上を巧みに政権運営を行う小泉さんのタフさ(したたかさ)が印象的です。

 しかし、このねじれはいつまでも続くものでしょうか?微妙なバランスは、些細な事象で崩れます。強力なリーダーシップのもと大胆に改革を断行しようと考えるならば、ねじれを解消して強力な政権基盤と「チーム」を編成する必要があります。それを解散総選挙で行うのか?政界再編で行うのか?どういうステップでおこなうのか?既存の政党の枠を超えた大胆な構想力と行動力が求められています。時代の歯車が急速に回り始めました。

 私達、1−3回生の民主党議員はいわゆる民主党ネイティブです。古い癒着構造から自由ですし永田町の論理とも無縁です。民主主義を再生させて、「日本の構造改革」を遂げることが、当面の私達のミッションです。一つのミッションが終われば国会から去ることも厭いません。この3年、じっくりと日本再生の政策作りに腰を据えて取り組んできました。提出しても提出しても否決される法案、どんなに素晴らしくても政策の中味ががメディアにも取り上げられることも多くはありません。しかし、私はこの3年で得たものには手応えを感じています。ネットワークとしての、あるいはチームとしての民主党。それが確実に成長しているからです。V−デモクラッツ、特に新しく当選してきた43人の衆議院議員、33人の参議院議員。その多様性と専門性、志と行動力に目を見張ります。

 今のところ小泉内閣の「チ−ム」の見えません。自分と自分の「チーム」を信じて邁進する者だけが真の「改革者」だと私は思います。



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