2001年7月7日
原口一博国会通信(37)                         DIGITAL SYOKASONJYUKU


              夢を建てる大工さん

                たんぽぽの家と匠の技


 佐賀県多久市多久聖廟南側の丘陵地帯。こんもりと茂った緑の森の中にたんぽぽの家があります。このたんぽぽの家(船津代表)はしょうがいしゃ(チャレンジド)の居場所です。「ハンディ」を持つ人も持たない人も、共に支えあい、地域で学び、誰でもが地域で暮らせる人づくりを目指して建てられました。一本一本の木材の運び込みから建築まで、全て市民の手で行われました。その中心となって活躍したのが「夢を建てる大工さん」納富和夫さんです。日本古来の匠の技を誇る宮大工の修業を師匠についてみっちりと身につけた納富さん。彼の手になる木々は次々と命を吹き込まれ力をみなぎらせます。一人一人の子ども達に愛情の限りを注ぐ納富さんの大らかさが建物全体を包みます。


 台風で倒れた木々を集めてくる人たち。コンサートを開いてカンパを募る人たち。それぞれの人々の希望がここに集まってきました。私もカンナ削り、木材運び、木材のくみ上げ(要するに力仕事)に参加する機会をいただきました。多くの人たちの夢が形になる感動を共有できたことは、なによりの体験でした。


 あれから5年の月日が流れました。先日、たんぽぽの家で行われたふれあいコンサートに参加しました。うぐいすやかささぎ、様々な野鳥の鳴き声と子ども達の歌がシンフォニーを奏でます。まさに森の音楽隊。みかん箱でつくられた座席はたんぽぽの家を支える家族の笑顔でいっぱいです。真新しい木肌の目立った5年前。木肌から飛び出す光が希望の歌をうたっていました。現在のたんぽぽの家は自然の森にしっとりと溶け込んでいます。木肌も落ち着いた色になり、日々の暮らしを静かに歌っています。小さな喜び、ささやかな発見、ともに生きる暖かさ。


 「できないことが問題ではありません。」「できることが大事です。」「誰かと比べたり比べられたりということとも無縁です。」「一人一人がお互いに支えあって希望を紡ぐことが大事です。」人が人であり続けるために大事なものがこの森の家にはそろっています。納富さんの夢がたくさんの夢を染め上げたのです。NHKも「夢を建てる大工さん」としてドキュメンタリーを放送していただきました。


 その納富さんから建築基準法改正問題について相談がありました。消費者保護の名目で改正された建築基準法では、施主に対する建築物の強度等信頼性の説明責任を求めています。一見するととても良い改正に見えますが、これが納富さんのような匠の技の伝承を奪ってしまうとのこと。強度計算等は大量生産のプレハブ型に向いていても、長年の勘と就業で磨き上げられた匠の技には馴染みません。一軒一軒を注文生産する大工さん。この無残な改正が不況とともに彼らの仕事場を減らしています。


 「移植されたよそものの合理性」が日本古来の匠の技を無残にも破壊していないのか。この無残な建築基準法改正は対した議論もなく昨年、全会一致で国会を通過しています。現場を知らない法改正の愚かさは、私自身にも向けられた反省点です。民主党政調で匠の技がどのように守られているのか、そうでないのか検証を行い、法改正に挑戦したいと思います。


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