2001年8月12日
原口一博国会通信(44)                         DIGITAL SYOKASONJYUKU

           予算委員会海外派遣 中東の経済とエネルギー事情

 予算算委員会海外派遣のために明日12日から26日まで中東諸国を訪れます。経済・エネルギー問題に関する調査が主目的です。

 7月24日には、イラクが同国飛行禁止空域を偵察中の米国U2機に対して地上のミサイル基地から同機をロックオンする(イラクは否定)という事態がおこりました。米国は、同ミサイル基地に対して先の8月7日、「報復爆撃」を加えたところです。

 米在日大使館からは、この時期にイラクを訪れることに対して問い合わせが来たそうです。調査団長は、野呂田委員長、副団長は久間筆頭理事。いずれも防衛庁長官経験者です。中東和平の問題について、外交・防衛の観点からも有意義な視察としていきたいと思っています。

 イランのハタミ政権は欧米・アジア諸国との「文明間の対話」、地域諸国との「緊張緩和」を強く打ち出しました。これにより欧州・アジア諸国や近隣諸国との関係改善が進展しています。ハタミ大統領の提唱により、国連は本2001年を「文明間の対話国連年」に指定したことも平和創造への大きな一歩でした。複雑な中東和平プロセスの鍵をにぎるハタミ政権の実情をつぶさに見てきたいと思います。昨年は、イランの元首級としても42年振りの訪日で「3年間で30億ドルの原油輸入代金前払いやアーザーデガン油田開発優先交渉権の獲得に関する合意等の成果があった。」とされていいます。日―イランの関係強化についても方向性を確認したいと思います。日本はイランにとって最大の貿易相手国の一つであり、特にイランにとって最も重要な輸出品である原油の最大の輸出相手国です。一方、イランは日本から、機械類や鉄鋼製品等を輸入。日本の対イラン輸入はその太宗が原油であり、我が国は総原油輸入量の約1割を依存しています。

 イラクは、90年のクウェイト侵攻以降、国連の経済制裁下に置かれており、物資流入が制限されているため、国民生活が大きな痛手を受けています。

 イラク国民の窮状に鑑み、96年末以降、国連の「オイル・フォー・フード計画」の下、イラク石油の輸出が再開されていますが現状がどういうものか実地調査をしてみたいと思います。昨2000年のイラクの石油輸出量は、約200万バレル/日(世界の全輸出量の約5%)で、年間石油収入は約180億ドルに達していますが、イラクは国連安保理決議に基づく国連の査察の受入れを拒否しており、制裁解除の見通しはたっていません。

 我が国の石油輸入の4分の1弱をサウディに依存しています。またサウディにとり我が国は米国に次ぐ第二の貿易相手国です。世界最大の石油埋蔵量・生産量・輸出量を誇るエネルギー大国(世界全体の埋蔵量の約25%、湾岸の約4割)であり、OPEC内最大の発言力を有する国。国際石油情勢の鍵を握る国であることは言うまでもありません。

 昨年の「原油高はサウディ王家の財政破綻を鑑みた米国の世界戦略によりもたらされたものである。」とフォーリンアフェアーズのゴーズ論文は指摘しています。GCC(湾岸協力理事会)諸国の盟主的存在として、湾岸地域で最大の穏健・安定勢力、湾岸安全保障の要であると共に、アラブ世界の指導的国家の一つです。指導者の考えを直接聞くことが出きれば幸いだと思います。

 トルコは、政府による財政赤字削減に向けた経済構造改革(民営化、社会保障制度改革、金融制度改革、税制改革)が順調に進められ、インフレ率も97100%から200033%まで低下、IMFの評価も高まってきていましたが、200011月、20012月に金融危機が発生、現在、IMF・世銀が中心になって財政支援を実施中です。この危機は、中小銀行の経営危機説や不正取引疑惑を機に国内流動性危機が発生してもたらされたとされています。

 現在、世銀副総裁だったデルビシュが国民的期待を担って経済担当国務大臣に就任。トルコ経済再建に向け、与党連合3党の合意を取り付けた「新経済プログラム」を発表。民営化、銀行改革等を推進するスーパー大臣として行動を開始しています。デルビシュ氏の改革に学ぶところ大だと思います。大臣はじめ経済スタッフとの議論ができればと楽しみにしています。

 トルコは、周辺諸国と領土問題等を抱えており、国家の安全保障及び統一と独立の維持が外交の主目標ですが領土問題をどのように解決しようとしているのか知りたいところです。

 ジョルダンは、産油国であり、めぼしい外貨獲得手段のない脆弱な経済構造であるため、恒常的な国際収支の赤字が続いています。この結果、公的対外累積債務は79億ドル(99年、GDP100%超)に達しています。ジョルダン経済の最大の課題は、外貨獲得産業の積極的育成による外国援助依存体質からの脱却です。アブドッラー国王は、自国の良質な労働力を活用すべく、情報産業に特に力を入れたいとの希望ですがどのように具体的な施策がとられているか調査したいと思います。

 ハシェミット王家は、元来、ヘジャーズ地方(メッカ、メディナ等、現在のサウディ紅海沿岸地域)出身であることも、現領土での国民の多数がパレスチナ出身者であることもあり、その政治的正統性が常に問われてきました。53年に19歳の若さで即位したフセイン前国王(3代目)も、「六日間戦争」(67年6月)におけるジョルダン川西岸領土の喪失、国家転覆を企てる勢いのあったPLOの国外追放(6710月)等の修羅場を体験しつつも、ハシェミット王国の維持に成功しました。イスラム主義勢力を取り込みつつ民主化を推進しています。19992月、53年以来ジョルダンを治めたフセイン国王が逝去、アブドッラー皇太子が国王に即位しました。同国王体制への移行は混乱なく行われ、ラワーブデ内閣の下、経済改革・社会改革が積極的に進められ、更に2000年7月には、リベラルな政治家としているアブー・ラーギブ内閣が成立、更なる経済、社会、教育等の改革が進められているところです。(情勢分析は外務省中東局のご協力をいただきました。)

 15日で14回飛行機を乗り継ぎ、中継地も含めるとパリ、アンマン、バクダット、リヤド、ドバイ、テヘラン、イスファファン、イスタンブール、アンカラ、カッパドキアの10の都市を訪れる行程です。高温の砂漠から政治と平和を見つめ直したいと思います。


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