2001年9月15日
原口一博国会通信(49)                         DIGITAL SYOKASONJYUKU

           米国同時多発テロ事件について

 アメリカの貿易センタービルや国防総省などに対して、航空機をハイジャックして、多くの乗員・乗客を乗せたまま突っ込むという同時多発テロが引き起こされました。民主主義に対する挑戦であり、人道に対する冒涜で、決して許されるものではありません。大きな衝撃と強い憤りを禁じ得ません。
 3月に訪米した時に、まさに今回の標的とされたペンタゴンで「仮想敵国が消滅しつつある世界の安全保障」について議論したばかりです。
国軍と国軍との間における有事のシミュレーションは、超大国アメリカのオペレーションの得意とするところですが、狡猾なテロリスト、狂信的なセクトに対する備えは、寧ろこれからだという問題提起をしました。ミサイルの拡散の危機にしても、「軍事独裁国家」の暴走に備えることも大切だが、自由の国に潜むテロリストが使用する小規模でも莫大な破壊力を持つ武器にどのように備えるかが問われていることを確認したばかりです。
 「追い詰められた人々」「狂信的な原理主義者」「人の命を命と思わない悪魔」に対して高度化した社会の内側は、意外なほどに備えを持っていません。安心を脅かし、憎悪を増幅させるこの愚挙は、憎んでも憎みきれません。犠牲になられた方々に哀悼の誠を捧げるとともに、アメリカ国民をはじめとする皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 民主党は、迅速に対策本部を立ち上げ、万全の対策をとるべく諸般の措置をとったところです。市民社会の安全と自由を守ることを再確認し、このような人道に反するテロリズムを根絶できるように行動していきたいと考えます。


 被害者への救援、支援。未確認者の捜索・救助。テロ根絶への強い意志と連帯の確認。危機管理の総点検。緊急を要する課題が着実に実行されなければなりません。安全保障面、経済・金融面でも高い次元の危機管理対応局面だと考えます。殊にかねてから警鐘を鳴らしてきたことですが原子力施設に対する危機管理を抜本的に検討する必要があると思います。

 「今回のテロは、イスラムとキリスト教社会との問題で日本は直接標的にされることはないだろう。」と評論家が言っていましたが、とんでもない誤解です。米国の世界戦略の重要な担い手となっていることを忘れ、その危険を無視した希望的な観測に過ぎません。政府にも直接指摘したことですが、今回も初動からの不手際が目立ちます。翌朝になった総理の記者会見や「報復への支持発言」に議論がおこっていますが、「邦人企業の邦人安否確認のみで、現地法人の邦人安否確認を怠ったのではないか?」国民の生命財産を保全するという基本を外した対応がされたのではないかいう懸念が払拭できません。

 翌日の東京株式市場は、平均株価が96,00円台に落ち込み、日銀が8兆円を超える資金を準備して流動性の確保をしたものの、13日も不安な動きを解消できませんでした。

 世界経済に対する打撃も大きな予測不可の部分を抱えています。米国経済への打撃も深刻で戻し税の減税効果も相殺される危険もあります。日本経済も「消費マインドのさらなる落ち込み、株価下落、国債金利の上昇、雇用のさらなる悪化と倒産、ドル安・円高」などを予想する向きが大勢のようです。厳しさを増す環境に追い打ちをかける事態となりました。

 今年5月のIMF推計では、原油価格が1バレル当たり5ドル上がると、日本のGDPをマイナス0.1押し下げ、ドルが対円、対ユーロで20%下がると、日本のGDPは、マイナス1.1%下がるとされています。

 今日、開催された予算委員会理事会でも、「高度な危機管理の必要とされる事態に突入した」という認識のもと、集中して議論する場を予算委員会で開催すべきだと主張しました。

 
14日のパウエル国務長官の会見では、イスラム原理主義者ウサマ・ビン・ラーディンを今回のテロの容疑者としてみなしていることを公式に認めました。その上で同長官は「組織、ネットワーク、さらに組織を保護、支援する者をすべて追及する」と述べ、軍事行動も含めた広範な対抗措置を検討していることを明らかにしました。米国議会も宣戦布告案を上程、ブッシュ大統領はテロ組織との実質上の戦争状態に入ったとの認識を主張しました。

 このウサマを庇護しているとされるのは、アフガニスタンを実効支配しているターリバーンです。(talib 学生を意味する)

 このウサマとターリバーンの関係は、米ソ冷戦下のアフガニスタン戦争を抜きには語れません。強力な米国の後ろ盾を得たイスラム原理主義者たちは、この「歴史的な聖戦」に勝利をおさめ、ソ連を打ち破りました。この敗北がソ連邦崩壊の契機となったことは周知の事実です。オサマは、この時、宗教的信念から豊富な資金をもとに対ソゲリラ戦を協力に支援しました。ロシアとイランの影響力排除、中央アジアのエネルギー資源確保から米国は今でも条件付でターリバーンを支持してきたという説もあります。


 「文明の対話の年、2001年」に、何故このような戦争が起ることになったのか?ウサマの生まれたサウジアラビア。湾岸戦争後の米軍サウジ駐留。イラクへの経済制裁、パレスチナの延々と続く紛争。憎悪が憎悪を生み、強力な武力による抑圧が、さらなるテロを生みだす背景となったという分析も成り立ちます。しかし、どんな理由があろうとも無辜の人を巻き込んだこのような卑劣なテロを正当化することはできません。国際法と正義により厳しく裁かれ、断罪されるべきだと考えます。

 これはイスラム教とキリスト教との戦いではありません。アラブと西側諸国との戦いでもありません。テロと自由との戦いであり、暴力による挑戦と民主主義社会との戦いであることを肝に銘じるべきだと考えます。

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