2001年11月23日
原口一博国会通信(59)                         DIGITAL SYOKASONJYUKU

                   規制改革に関する基本的な考え方

 規制改革プロジェクト・チームの取りまとめ役として「民主党の規制改革に関する基本的考え方」をここでもう一度確認しておきたいと考えます。現在、以下のような基本的な姿勢で取りまとめを精力的に行っています。

(民主党の規制改革の位置付け)
  民主党は、規制改革を我が国の社会構造改革や経済構造改革を進める上で主要課題と位置付け、民主党が理念として掲げる「自由で安心な社会」の実現をめざす上での必要条件として、積極的な規制改革の検討を進めてきた。これまで既得権益の構造から排除されてきた人々、まじめに働き税金を納めている人々、困難な状況にありながら自立をめざす人々(すなわち、「生活者」「納税者」「消費者」)の立場に立ち、不公正な既得権益保護の温床たる規制を抜本的に改革し、公正で公平な社会をめざす。

 自立した個人が共生する社会をめざし、政府の役割をそのためのシステムづくりに限定するために大幅な規制の見直しに取り組むものとする。


(検討してきた論点)
(1)いったい規制は何のために作られてきたのか。

(2)規制改革に関する論点は何か。

(3)そして日本の規制改革はどのような歩みを続けてきたのか。

(4)それを受けてどのような規制改革理念を打ち出し、どのような政策とプログラムを提示するか。


(規制の定義と起源について)
 規制改革の対象としての規制は、「一般に国や地方公共団体が企業・国民活動に対して特定の政策目的のために関与・介入するものを指す。それは、許認可等の手段による規制を典型とし、その他にも、許認可に付随してあるいは、それと別個に行われる規制的な行政指導や価格支持等の制度的関与などがある。」(第二次臨時行政改革推進審議会「公的規制の緩和等に関する答申」1988年12月1日)とされている。

 世界史的に規制をとらえると19世紀いわゆるレッセ・フェールの時代には人の作為、不作為を事前に禁止したり、義務づけることはなるべく行うべきでないと考えられていた。そして作為(不作為)によってもたらされた被害について損害賠償請求や刑罰という「事後的」救済措置による対処を原則としていた。しかし、このような事後的な方法には、

(1)危険がもたらす被害の対処に迅速性を欠くこと。

(2)経済活動が大規模化するにつれて法人が加害者となる場合が増加したが、法人には自然人には効果のある自由刑は適用の余地がなく、損害賠償等の救済でも実質救済にならない状況が出現したこと。(生命・健康の侵害)

(3)全ての人は法の下の平等を約束されてはいるものの権利行使を侵害された被害を個人 に委ねて司法のみで事後的に救済する方法は、非効率であるばかりか不公平・不公正を拡大しかねないこと。

 等の問題が発生した。


(規制の積極的定義)
 このような視点に立ち、他者に被害をもたらしたり社会に不利益をもたらす危険性のある行為を予め法的な禁止をかけておいて、当該危険を回避できる一定の条件を満たす場合に限り、その自由を回復させるという法制度が誕生した。また子どもや高齢者、女性、あるいは労働者など一般的に社会的弱者について、自由平等を実質的に担保するために強者となるものの「本来自由に属する行為」を規制する考えが生まれた。

 民主党は、社会的弱者について自由平等を実質的に担保するための規制や地球環境の保全のため環境負荷を軽減するための規制、知識社会を創造する基礎となる活発な知的活動の条件としての規制、人的・社会的インフラストラクチャーを整備するための規制、生活の安全を担保するための規制等、規制の積極的な部分にも留意した規制改革を進めることとする。


(民主党規制改革検討の進め方)
 民主党は、人間の尊厳を最も重視し、人間の可能性を信じ、学びによって互いを高め支えあう社会、全ての社会の構成員がかけがえのない尊厳が守られることをしっかりと実感できる社会を目指す。そのために積極的な規制改革を行う前提として、まず守られるべき価値、強固にすべき法制についての理念を明確にする。人権、雇用、環境、安全、医療、福祉等の社会的規制、人が人であるために守られるべき分野についての堅固なセーフティ・ネットを明確に提示する。(規制改革の第一分野)この分野での規制は、寧ろ強化であり、ここで目指すべきは公正・公平で安心な社会を築くための基盤づくりである。


 以上の前提に立った上で現行の日本の規制を考えた時に、「利権社会主義」ともいうべき既得権益を不必要に守るための規制の存在を無視することができない。弱者保護を名目にするものの、実際には「弱者の顔をした強者」が保護をされ、本来救済されるべき社会的弱者が置き去りにされている状況である。民主党は、一部の規制に守られた既得権者の手から主権者たる国民の手に真のセーフティ・ネットを取り戻すために、「社会的規制」とされてきたものについても積極的な見直しを行うものとする。(規制改革の第二分野 現在、検討している通信・医療・福祉・教育・雇用の重点的規制改革検討がこれにあたる。)

 人間の創意・工夫や努力が報われる社会を創造し、経済における自由を確保するためには、肥大化した護送船団的な行政を解体し、全ての経済的規制を見直す必要がある。ここで私達は「たゆまぬ自由化への意思」を追求し、市場や民間への分権化・経済規制のサンセット化を進める。競争至上主義に陥ることに注意を払いながら、NPOなどの市民セクターの基盤整備、産業の安心のインフラ整備等を重視した上で、積極的な規制改革を強力に推進する。(規制改革の第三分野=市場・経済的規制の改革)ここで私達が目指すものは公正な市場形成であり、全ての人に開かれた競争条件の確保である。


(民主党規制改革中間報告のとりまとめ状況)
 現在、第二分野(通信・医療・福祉・教育・雇用に特化)について規制改革の基本的考え方と案を提示し、民主党ネクスト・キャビネットに中間報告として提示し、各部門・PTから意見聴取をして、すり合わせの作業を進めているところです。

 また第一分野(社会的規制改革・強化の分野)、第三分野(経済的規制改革の分野)についても民主党ネクスト・キャビネットから各部門に今月中に論点整理をお願いしているところです。

 第一分野についての取りまとめは、12月上旬のネクスト・キャビネット承認を目指し、他の分野については今年度中の成案を目指したいと考えています。 



 DIGITAL松下村塾〜原口一博国会通信 メールマガジン登録
電子メールアドレス(半角):