2001年1月23日
原口一博国会通信(67)                         DIGITAL SYOKASONJYUKU

          NTT無利子貸し付け事業」

      −
 国債整理基金特別会計と国債30兆円枠 −


 景気悪化が進む中で、現行政府のいう「構造改革」を進めると「景気の一段の悪化」「不良債権問題の深刻化」を引き起こしかねないという指摘をしてきました。マクロ面での景気安定化政策と企業再編などの経済再建策とを組み合わせなければ、国民の生活や経済に与えるリスクを減殺できないと考えるからです。深刻な問題を経済・社会が抱える中、再びマクロの政策で失敗すれば、ミクロの改革が成功しないだけでなく、「さらなる景気悪化―地価・株価の下落―不良債権増大―金融危機」の悪循環が起ります。


 この危機を乗り切るためには、マクロの経済政策で明確な政策転換が必要ですが、実質的には「宣言なき政策修正」が政策失敗への総括なしに行われており、橋本内閣の財政構造改革の失敗と似た状況となっています。

 2001年度に4.8兆円の財政赤字を拡大させる予算を組み、さらに2002年1月に2.5兆円の国債整理基金特別会計受入金をもとに第2次補正予算提出したことは、これまでの政策方針が実質的に破綻したことを意味しています。

 そもそも国債整理基金特別会計とは、同会計法に基づき、一般会計及び特別会計からの繰入資金等による国債、借入金等の償還及び利子等の支払いに関する経理を一般会計と区分して行うために設置されているものです。

 政府保有のNTT株の売却益は、本来この国債整理特別会計に繰り入れられ、国債償還に回ることとなっていました。しかし、1987年「社会資本整備」の名目で、無利子貸し付け制度が発足しました。この資金には、Aタイプ(収益回収型:公共性の高い施設を建設、関連する事業の収益費で償還)、Bタイプ(補助金型:償還機関は10年、償還時に同額の補助金を交付して償還)、Cタイプ(民活型:日本政策投資銀行を通じて貸し付け)に別けられています。これを今回の法改正により、Aタイプについては、地方公社等に限っていたものを民間事業者まで広げ、Bタイプについては、補助事業のみであったものを直轄事業や施設費、「民間投資創出、就業機会の増大に資する」事業にまで拡大、CタイプについてもPFI事業を追加と大幅拡大しています。

 第三セクターの事業破綻と無責任な実態は、昨年の財務金融委員会でも指摘したところですが、この貸付資金が焦げ付いて出資自治体の資金援助(税金投入)が日本各地で問題となっています。Bタイプについても、1994年に建設国債を原資に一括償還され、以降凍結されてきたのは、同特別会計のバランスシートがこれ以上崩れ、財政規律が失われることを危惧したためだとされています。

 この凍結を解除させ、さらに拡大させることは、財政規律を損ない逼迫している地方自治体の財政をさらに追い込む結果となりかねません。


 今回の第2次補正予算の原資となったのは、このようなNTT無利子貸し付け事業資金であり、5年後には国債その他で償還しなければならないものです。新規発行国債30兆円枠が有名無実となっているばかりか、これまでの矛盾を拡大させる危惧さえも感じます。


 「具体的な数値として指標を掲げるのは重要なことです。しかし、粉飾された指標は有害以外の何者でもありません。」厳しい批判が政府財政演説に対する本会議質疑で行われました。

 国債枠30兆円の指標が、何故必要とされたか、その原点を考えれば、現下の状況は、「枠が守られた」と安堵する状況ではありません。


 問題を先送りすることは、矛盾を拡大させるだけだということを「失われた時」が教えています。



 DIGITAL松下村塾〜原口一博国会通信 メールマガジン登録
電子メールアドレス(半角):