2001年4月3日
原口一博国会通信(76)                         DIGITAL SYOKASONJYUKU

           国際競争力強化 −予算公聴会から−

 予算委員会審議の一部をご紹介いたします。石田公述人のご指摘に日本再生の大きな道標があるのではないかと私は、考えています。

 今年出ました「構造改革と経済財政の中期展望」、これは、二年程度のうちに財政構造改革、規制改革等々をやりまして、民間需要主導の成長が実現すると説明されております。しかし、率直に一国民として申し上げますが、筋道が見えないのです。国民は筋道が見えないことに不安を感じています。そういう国民は、何かあると小泉政権支持から離れていくかもしれないというふうな気がいたします。

 我が国の構造改革というのは着手が十年おくれただけじゃない。小泉改革では、国としての国際競争力回復という目標に絞り込まれていない。国であれ企業であれ、重点を絞らずに、よいことは何でもやるというのは、これは失敗の処方せん。企業の改革で失敗するのは必ずこれです。みんなが提案して気のついたことは全部やる。重点がない。
 あの日産リバイバルプランを見ればすぐわかりますけれども、目標は極めて明快、競争力を強化する。手段は二つ、コストカット、それから魅力のある商品を出す。コストカットは、仕入れをこうする、村山工場を閉鎖する。全部が一つの目的のために、ピラミッド形に明快になっているのですね。新車開発にフランス人、どこかのデザイナーを連れてくるとか、いろいろなことがありますけれども。これでマーケットも日産の社員もよくわかった、それで日産の構造改革はうまく成功したと私は理解しております。

 なぜ日本経済の再生でなくて、投資の場としての国際競争力強化かということを次にお話しします。これは結果が違うのです。二ページのおしまいに書いていますけれども、国際競争力を指導原理とした改革。これを指導原理としていろいろな改革を評価してまいりますと、例えば連結納税付加税などは出てくるはずがない。それから、先般の非常に複雑怪奇な証券税制改革などのようなことは、これはあり得ないです。
 それから、電力、通信、運輸などの産業のインフラでは、やはり日本は高いのですよ、国際水準の料金体系への引き下げが目標となる。道路公団の民営化、高速道路の凍結問題では、国内の陸運コストの引き下げが具体的な目標になる。トラック一台を十年間持つと、日本の業者が払う税金は三千六百万です。アメリカは六百万から千三百万、ドイツは九百万です。これは全部物流コストにはね返っているのですよ。日本の物流コストが高い高いといって日本の産業界から文句が出るというのは、こういうところにあるのです。だから、改革はこういうところを直していただきたいのです。

 それから、アメリカ型の住宅税制にすれば、これは私の持論なんですけれども、住宅投資をGDP比一、二%引き上げることになるのではないか。これらの措置は、みんな税収減になったり、財政負担増があります。優先度が低い支出を削減してこういうものを実行していく、それが構造改革ではないか。企業だったら、間違いなくこれをやります。
 次に、サービス分野なんですけれども、製造業が海外にシフトする、これはやむを得ない、必然だ、だからサービス産業で雇用を創出しようじゃないかという議論が非常に盛んです。私はサービス分野で雇用を創出するということを非常に重要だと思っています。だけれども、これに依存し過ぎる、期待し過ぎるのは危険だと思っています。

 まず、このサービス分野というのは、経済活動全体のインフラです。だから、これらのコストが高いまま、あるいは規制過剰なまま置いておくと、これは日本全体の競争力を下げてしまうということになります。
 それから、既にサービス分野は競争力がないものですから、どんどん海外に仕事が流出しています。事務処理や設計など、これは私、固有名詞を知っています、大企業ですが、設計はインド、事務処理はフィリピンに出ています。その分だけ日本の雇用が失われています。それから、年五兆円のサービス収支の赤字がありますが、三兆円は旅行収支です。日本の観光産業は効率が悪いのです。

 サービス分野での雇用創出で製造業の雇用減を吸収できるとは私は思えないのです。政府は五百三十万人とおっしゃっておられますが、例えばこの中で一番大きいのが家庭向けコンシェルジェ、何でもやります、百九十五万人。これは可能なんでしょうか。

 長期的に競争力が低下する製造業とサービスの輸出で将来の輸入を払えるか。残念ながら、円は基軸通貨ではないのです。アメリカのように赤字を垂らして払い続けるわけにはいかないのです。私は、構造改革というのは、やはりここまで見通してやっていただきたいと思っています。


 それで、私は、今の小泉内閣のジレンマというのは、今まで対症療法を重ねて根本治療を先送りした結果、金融財政政策がデフレを抑える余地を失った中で、かつデフレを伴う構造改革を進めなければならないということです。


 この袋小路、袋小路というのはムーディーズの表現をかりたのですけれども、これから脱出する方法は、私は、国としての国際競争力回復を指導原理として小泉改革を組みかえていただく、あるいはそれができないのであれば、新たな改革プログラムを策定するということだと思っています。


 そうしますと、先ほどの日産の改革のように、各分野の個別の改革が、競争力回復達成の手段として、その重要性と緊急度に応じて位置づけられます。緊急度の低いものは先送りすればいい、重要性の低いものは無視してもいいのです。そうしますと経済活動活性化への道筋が見えてくる。そういう文脈の中で財政支出が若干ふえるにしても、またそれが改革に結びつくものであれば、国民やマーケットはこれを肯定的に受け取るはずです。そうすれば、税制、年金、医療改革等への国民の支持も得られるだろう。私は、これこそ本来の雇用対策、デフレ対策だ、対症療法だけでは雇用対策、デフレ対策にならないと考えております。


 それからもう一点、実は為替が非常に重要なんです。この為替の安定というのは産業立地条件の非常に重要な一要素です。日本はずっとこれに欠けてきた。一ドル八十円というのを見た製造業の経営者が、今さら若干安くなったからといって日本に大きな設備投資をすることはありません。私、そういう人と話していますが、する気は全くないと言っています。必要なのは、円・ドルレートが安定する仕組みなんです。仕組みがあれば、そういうことも徐々に起きてくる。私は、これは、今アメリカは日本が復活してくれないと困っているわけですから、やはりアメリカに働きかけるべきだと考えております。


 公述の一部をご紹介させていただきました。内閣の支持率と不支持率が逆転して改革の道筋が不透明になりつつなる今だからこそ、もう一度石田公述人のお言葉を噛み締めてみたいと思います。

 http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KOKUMIN/www_search?SESSION=4069&EXEID=32&RESID=1&MSIE3=0&MACIEJAV=0&MACIE=1017816229



      
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