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2002年6月17日 原口一博国会通信(80) DIGITAL SYOKASONJYUKU 第23回日本・EU議員会議 −安全保障問題の議論―対話と多極化の模索− セッション1の議論の一部をご紹介いたします。EU側議員の発言の中に米国のユニラテラリズム(一国支配)を危惧するトーンが予想以上に強かったことが印象的でした。 (アンダーセン議長)「それではここで日本の議員の方、原口議員にマイクを渡したいと思います。原口先生がこの問題に関してのスポークスマンです。」 (原口)「民主主義を育み、そして新たな挑戦をしていらっしゃるEUの皆さん、そしてすべての暴力と戦う皆さんと一緒に、今日時間を共有できることをとても嬉しく思います。 私は日米の安全保障、そして米国経済の動向を踏まえながら、世界の現状と、今アンダーソン議長がお話になりました、イスラエル・パレスチナの問題をはじめとする中東問題、について、少し言及をしてみたいと思います。 (ビルマ・アウン・サン・スーチーさんの解放について) まず本題に入る前に、様々なテロとの闘いや(民主主義に対する抑圧)と私たちは勝利しつつあること。特にビルマにおいて、欧州の皆さんの大きなお力添えによってアウン・サン・スーチーさんが解放されましたこと。私達が自由と民主主義を育む上で大きな勇気を共有できたことを祝福したいと思います。 (もう一人の友人・米国について) まず米国の現状と動向でございますが、昨年私達はワシントンにおいて、様々なセッションでアメリカの友人達と次のような議論を致しました。年間5000億ドルを世界から集めないと回らないアメリカの経済、年間130兆円の国際を借り換えないと回らない日本の経済、その持続可能性が問われる年となるであろうということを、昨年私達は議論しました。 新しく誕生したばかりのブッシュ政権は、中国に対する「あいまい政策」をとっていたクリントン政権の姿勢を改め、日本重視の政策を出し、ラムズフェルド国防長官を中心に軍事評価について見直しを行っている最中でした。 「戦略核兵器の大幅削減」「いわゆるならず者国家からのミサイル攻撃、化学兵器攻撃、サイバーテロ、といったものにどのように対処をするのか」「様々な国家に対しての弱みを見せたくない、脆弱さを持つよりもパーフェクトな状態を望みたい」「しかし実際にこのオープンな社会のなかで、どういう形で脅威が現実となるのか」等ということを具体的に話し合いました。 私は昨年の8月、9月11日のテロの直前でございますが、中東を訪れる機会を得ました。その時に、イラクのアジーズさん(外相)、あるいは今回和平提案をされているサウジアラビアのアブドラ皇太子とも意見をかわす機会を得ました。アラブ社会に鬱積する沸騰せんばかりの不満に大きな危惧を抱いて帰国した矢先、9月11日テロがおこりました。 (これは、許されざる民主主義に対する卑劣な挑戦です。米国の友人達はひどく傷つき、世界は恐怖に陥れられました。)テロ以降FRBは5%もの利下げを行い、ブッシュ大統領は悪の枢軸国発言をし(アフガニスタン侵攻後の攻撃をも匂わせ)、そして一方で、この1週間新たな自爆テロといったものに、私達の友人は大変に神経を尖らせています。 (ユニラテラリズムに対する問題提起) 先日日本で行われた(日本・EU議員会議の)セッションの中でも、ユニラテラリズムについてどのように私達は考えればいいのかという問題提起が行われました。一つの大きなスーパーパワーが役割意識を肥大化させ、その中で私たちが危惧することはいったい何なのか、いや私達ができることはいったい何なのか、暴力の連鎖を止めるために必要なことは何なのかということを、議論していきたいと思います。 (米国経済のアウトルック) お手元に資料を、少し私は経済の安全保障という面から、実は明日のセッションにも関連しますが、米国経済の動きと財政出動ということを少し触れてみたいと思います。 お手元に7枚の資料がございますが、米国市場の動きを見ると、株価が一日に3%以上上がり元に戻るトレンドいうものが見て取れます。右側はナスダック、この98年から現在に至るトレンドでございますが、1930年以降、こういうトレンドは47回、典型的な弱気の相場、つまりアメリカ経済がいいのかどうかを確認して、ちょっとした良いニュースでも反応するという弱い相場の動きをしています。 特に1ページ目の左側をご覧いただくと、世界経済を引っ張ってきた半導体指数、これは私達世界景気の大きな牽引力となったものでございますが、これが現在非常に弱い状況になっております。特にフィラデルフィアのストック、エクスチェンジ、それからコスダック、これは韓国ですが、韓国は2000年の2月にピークがあって、あとは下がっています。それから、一つページをめくっていただくと、米国の国内最終需要でございますが、特にこの真ん中のグラフを見ていただくと、アメリカの消費中心の米国経済にとって最も重要な指標である米国の民間の最終需要というのが相当な勢いで落ちています。 私はこのことについて、やはり世界の安全保障、あるいは私達の新たな民主主義へのサポートといったものを考えた時に、これから経済がどのような姿をしているのか、特に世界第1位の一国でのGDPを持つアメリカがどのようになるかということについて、ここの指標はとても大切な、押さえておくべき指標だという風に思います。 2ページ目をご覧いただくと、これは米国の金融法人企業の内部資金と固定資本形成です。ちょっと専門的になりますが、これを見るとアメリカの企業は過大投資を続けてきて、キャッシュフローを超えて投資をされた部分、不足分は借金をしなければなりませんので、下の絵をご覧になるとキャッシュフローがいかに足りず、そして企業のバランスシートが極端に痛んでいるかということがわかります。私達の試算によると減資と過大投資によって1兆7000億ドルの資金が不足をしている。アメリカの製造業の稼働率は75%でございますから、これは事実上付加価値が落ちているにもかかわらず、右肩上がりに予想をしながら行動してきたということで、今私達が(その後遺症の)苦しみを味わっていますが、バブル期の日本によく似た動きであります。 もう一つページをめくっていただくと、個々に減資と過大投資、それから市場借入、つまりアメリカ企業のバランスシートが減資と自社株買い広角化経営が常態化しているということの数字をここにあげています。企業金融が逼迫してクレジットリスクが増しているということであります。もう一つの資料で皆さんに説明を申し上げると、5ページをご覧になって下さい。これは社債のデフォルト件数および金額でございますが、激増しています。800億ドルを超える大型倒産、そして社債と米国債との間に利回りが急激に拡大して、つまり何回も申しますが企業部門の金融がとてもタイトになっています。 こういう中で私たちの、もう一方の友人であるアメリカはどのような動きをするのか、最後のページをご覧になって下さい。ここに米国の財政収支をあげています。1980年代赤字で、90年代後半の黒字も今年度はマイナス1062億ドルの赤字の見込みであります。私達が注目をしているのは、今回のテーマであります、米国の安全保障、国防予算でございます。国防予算が昨年1940億ドルであったものが、今年3306億ドルの見込みになっております。小さい政府で経済を再生してきたアメリカが、ある意味ではアナウンスメントなしに、なし崩し的に大きな政府になるのであろうかという危惧をここに抱きます。 私達が忘れてならないのは、アメリカの経済が10痛む時には、輸出で今私達の経済は底を打ったという風に言われますが、日本の経済はもっと20痛みますし欧州の経済についても同じような懸念があるということ押さえなければならないということを思います。今アメリカで残っている消費バブルがはじけたときに民間部門の貯蓄率が上昇して2%から8%へ、これはアメリカの構造調整が本格化する時代に、ついても私達はリスクの管理を行っておかなければいけないドル不足の時代非常なドル高が来ることを心配するエコノミストもいます。 (日米関係について) ここで私たちはこの数年間、アメリカとの間で様々なチャンネルにおいて話をしてきました。フォーリン・アフェアーズ誌にプレジンスキーさんが日本の国のことをプロテクタリアット(保護国)という表現をお使いになりました。そのことは別にして、この十数年間アーミテージレポートにもあるように、日米の関係が(対話の失われた)古い夫婦のような存在になって、長い間会話がなかった夫婦がいざ困ったときに何も話すことがないという状況になっているという指摘がありました。まさに日米の関係がこのような状況になっているということを私達は、これが単なるレポートではないという認識を持って受け止めなければいけない。政治の高いレベルで欧州の様々な挑戦をなさっている皆さんとともに、スーパーパワーのアメリカに対してどのように、私達が世界の安全と、そして平和と民主主義を育むことができるのかということを話し合っていかなければいけないと思います。 今年、コロンビア大学のジェラルド・カーチス先生のご指導をいただいて、私達は日本版のステーツマンプログラムというものを立ち上げることに合意致しました。ともすれば日米の政治家は内向きで自らの国の外のことについて、議論をする機会を失ってきたわけですが、そういう機会をたくさん持とうというチャレンジを今行っています。 (中東問題について) パレスチナの中東の問題について若干のコメントをしたいと思います。アンダーソン議長がお話になったことに基本的に私は合意を致します。日本としてはパレスチナ支援として自治政府立ち上げのための行政経費支援、インフラ整備、学校病院の整備雇用創出支援事業など、これまで6億ドルに上る支援を実施してきました。私はバカア(ジョルダン)のパレスチナ難民キャンプにも訪れましたが、バカアの難民キャンプの入口、学校、保健施設の入口にはパレスチナの子供達と日本の子供たちが手をつなぐ、その大きな絵がかかっています。 この4月23日330万ドルの緊急人道支援を日本政府として決定したところであります。しかし、ここで私は一つ問題提起をしたいのは国際社会が対テロとの戦いとパレスチナ情勢をパラレルに当てはめて考えると状況を誤るということであります。国際法と正義に基づく和平が重要で、特に国連決議232、338の確認をしたオスロ合意、私達は一方が勝者で一方が敗者になってしまうゼロサム状態の闘いに一刻も早く終息を見なければいけない。そのためには、私達がこの問題に真正面から取り組んでいく必要があると思います。そこで中東諸国のリーダーと話して思ったことはアイデンティティへの侵害、「小さい人への侵害」は大きな暴力の連鎖を生むということであります。 自らが誇る文化遺産を他の国に略奪されたりした傷の深さを目の当たりにしました。またイラクは長期の経済制裁に苦しんでいますが、その中で子ども達に医薬品が回らないといったことがあってはならないと思います。劣化ウラン弾のあの湾岸戦争の時の影響についても小さくありません。私達は民主化への支援をするべきで、それはアンダーソン議長がお話になったように、銃でもって何かができるというものではないと考えます。 昨年イランのハタミ大統領が提唱をされた文明の対話の年でありましたが、私達がイランにうかがった時には政権を批判した28歳の女性の国会議員が26ヶ月の禁固刑を受けていました。イランにおいても、自らの民主主義を育んで、そして抑圧と闘おうという人達と、私達は連携をしなければならないと思っています。 サウジアラビアを訪問した時には国連の、先程申し上げた国連決議232、338に対する、「スーパーパワーのダブルスタンダード」をサウジアラビアのリーダー達が、大変な勢いで非難をしていました。その直後に9月11日という悲劇の日を迎えたことを私は非常に残念に思います。テロの資金がどこから回っているのか、テロの組織を支援しているのは誰なのか、これは一つの国が解決できる問題ではありません。国際社会がネットワークを作って、そして人を人でなくしてしまうような抑圧や暴力と戦っていくことを確認していきたいと思います。今日のセッションが実りあるものとなるようにと。そして傷ついたアメリカの友人たちが安心して暮らせるように、米国政権が様々な自由と民主主義を守る手立てを行うことを、私達はサポートして行きたいと思っています。 ただし、それが新たなる暴力の連鎖を招かないような冷静な姿勢とそして信頼関係に基づく、同盟関係に基づく私達の行動を進めてまいりたいと考えております。いくつか資料をお示しさせていただいて、若干の問題提起をさせていただきました。ありがとうございました。」 ■ DIGITAL松下村塾〜原口一博国会通信 メールマガジン登録 |
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