2002年6月30日
原口一博国会通信(85)                         DIGITAL SYOKASONJYUKU

       税と年金について −待った無しの社会保障負担議論−


 民主党「税と年金に関する勉強会」に一橋大学の高山憲之教授をお招きし議論を深めました。まず、税と年金の事実確認として(1)厚生年金の年々の終始は2003年度から赤字に転落するおそれがあり、年金の最大部分=厚生年金でも危機が顕在化しつつあること(2)1998年度以降、国庫負担と社会保障負担に逆転が生じていること(3)公租公課の中では最近、年金保険料負担が突出して重いことが指摘されました。

 所得税・住民税・法人税よりも年金保険料・医療保険料の方が重いにもかかわらず財政のつじつま合わせの議論しかありません。空洞化は国民年金だけではなく厚生年金でも進行していて、企業負担がとても大きく負担回避に企業が動いています。加入者が減り、加入者の平均賃金が下がっている一方で、企業経営者はパート、派遣、契約労働などで社会保険料を逃れようとしています。

 日本の再配分後所得(個人ベース)は最近、60歳以上の高齢者の方が50歳未満の人より大幅に高い状況です。年金保険負担は個人所得課税や法人所得税の課税ベースを縮小させていて、年金保険料の段階的引き上げは世代間でみた負担の不公平をさらに高めるおそれがあります。若い人にとっては負担が上がる一方で、給付は減る一方というのでは年金離れに加速がかかってしまいます。

 過去の延長線上の財政辻褄合わせ型議論では、もはや解決不可能の状況に陥っており、私たちは20年先を見据えた抜本改革が必要であると考えます。「パイの大きさ」「パイの切り方」より「パイの味」にもっとも関心を強めるべきで、制度の中身つまり、「年金負担を払ってもそれに見合う内容」が求められています。


( 基礎年金の国庫負担問題 )
 65歳以上の年齢が最も多い国(3人に1人の高齢者)で高齢者が全く負担しないでそもそも年金制度が成り立ちうるのかという問題提起もされました。オールジャパンによる公平負担:社会保障負担における20年遅れの「直感比率見直し」が必要で、税の議論と全く逆のことを社会保障負担で行ってきた矛盾を解決しなければならないという指摘です。そもそも税金で賄うべき年金給付とはどのようなものかを改めて検討する必要があります。本来であれば国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げた時に徹底的に議論されるべきテーマであったはずです。

 拠出と給付のリンクを強めるでスウェーデンの「見なし掛け金建て方式」(あなたは保険料を今年いくらはらいました、利回りはいくらです。そこでの給付はいくらです。)に持っていく議論。保険料を所得比例型へ改め、保険料と結びついている年金給付を2階部分に切りかえる(税の部分だけを一階に残す)にする議論。夫婦間の年金分割導入(一身専属規定の廃止)の議論。様々な抜本改革の議論をしました。どのような制度設計改革をするにしても「掛け金払ったら必ず返ってくるという確信を持てる」ことが大切だと思います。

「社会保障の将来像が明確でないことが国民の将来不安の一大原因になっている」「頻繁な制度改正が年金制度への不信感を生んでいる」という仮説は正しいか。むしろ社会保障制度改革の手順やルールが信頼されるものになっていないことの方が大きな問題ではないかという指摘も出されました。

 予算総括を担当し、規制改革の座長を務める立場から、医療・年金のあるべき姿についての民主党としての成案が固まりきれないことに困惑した時期かつてがありました。国民生活の基盤をなす部分を固めないでは、予算も改革も絵に描いた餅にもなりません。民主党政権における医療・年金の改革手順をしっかりと示すことが、全ての改革のスタートになると考えます。そして同志達が数々の困難を乗り越えて成案を得つつあることを頼もしく思います。   


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